「レアル・マグリット」というYouTubeチャンネルが、「Eloレーティング」という指標に基づき、Jリーグ等の勝敗・順位の確率分析というのをやっているのはご存じだろうか? Jリーグ関係の動画を観ていると、レコメンドされるので、皆さんも目にしたことがあるのではないか。
かく言う所長も、いつも拝見し、楽しませていただいているので、基本的に悪く言うつもりはない。こういう試みにつき、揚げ足を取るのは悪趣味であり、多少の異議はあっても、暖かく見守るのが大人というものだろう。
しかし、「レアル・マグリット」の確率分析には、どう見ても、大きな欠陥が潜んでいる。それを認識せずに、「お、うちのチーム、優勝確率何%!」とぬか喜びしたり、「え~、うちら、今季降格濃厚なのか…」と落ち込んでも仕方がない。データの特性というものを理解し、それを踏まえた上で、ネタとして楽しむくらいのスタンスがいいだろう。特に、開幕時点では。
実は、Eloレーティングというのは、元々はチェスの強さ・弱さを数値化するために編み出されたものということである。まあ、将棋でも同じだろう。チェスや将棋の強さは、短期的にそんなに変動するものではない。去年最強だった藤井聡太は、恐らく今年も最強である。
ところが、サッカーがそうでないことは、皆さんよくご存じのとおりである。サッカーにおいては、とにかく変数が多すぎるのだ。去年ダメダメだったチームが、新監督を迎えて、急に甦ることもある。逆に、新監督の刺激が上手く作用して、1年目に上手く行ったチームが、2年目以降はマンネリ化し成績が下降線をたどることもある(別にハセケンのことじゃないすよ)。サッカーでは、シーズンオフにかなり大幅なプレーヤーの入れ替えがあるのが常である。そもそも、J2から上がってきたチームを、J1の既存チームと同列に数値化できるのか?
「レアル・マグリット」のシーズン開幕時の確率分析は、どうも、昨シーズン終了時点のEloレーティングに基づいているようなのである。清水のレーティングは、百年構想終盤で、ガタ落ちだった。それをもとに計算されているので、清水は堂々、降格候補の一角であり、優勝確率などは0.0%になっている。ここには、清水がJ1でも最も大型補強を敢行したとか、皆が「タイトル」を口にして目の色が変わっているとか、幸いにも現時点で大きな怪我人はいないとか、そういう諸々が一切含まれていないのである。
繰り返しになるが、「レアル・マグリット」はエンタメとして秀逸であり、これからも期待している。しかし、百年構想終盤の下降線を辿っていた清水と、我々が現在目にしている清水は、別物のはずだ。百年構想終盤のEloレーティングを用いる限り、いかに緻密な計算を何百万通り繰り返しても、清水の本当の今季期待値は弾き出せないはずである。
他方、シーズンが深まっていけば、Eloレーティングはその時の実力をかなり忠実に反映するようになるし、「レアル・マグリット」の確率分析はより一層生きてくる。今回言いたかったのは、とにかく開幕時点の確率分析は疑え、ということである。
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