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 監督を含め、あちこちから、「勝てた試合」、「もったいない」といった声が聞こえてくるが、本当にそうだろうか。確かに、先制点を奪えて後半途中までリードしており、追加点のチャンスも何回かあったという状況的な観点から言えば、そう思いたくなるのも分かる。しかし、内容的に一貫して優勢だったわけではなく、敵の決定機も少なくなかった。「負けてもおかしくなかった試合」、「運良く勝ち点1を拾えた」という言い方もできるわけで、要は主観の問題である。

 率直に言うと、FC東京の守備の緩さに、驚いた。こんなに簡単にやらせてくれるのか、と。敵の主力センターバックのショルツ、MF橋本拳人らがコンディション不良で欠場ということが大きかったとは思うが、うちにバイタルで回させてくれるチームはJ1にそう多くはない。

 対する清水の側は、ブロックを組んだ時の守備力は、それほど弱くない。しかし、いつも申し上げるとおり、保持と前進ができないチームなので、攻撃的に行こうとすると、危険なボールの奪われ方をして、大きなピンチを迎える。そして、このFC東京戦では、無理なクサビのパスが失敗してボールロストする場面も多かった。いずれにしても、「攻撃サッカーを掲げる割には、そのノウハウを授けない」という秋葉イズムの帰結であり、試合後に秋葉監督は例によって集中力の欠如のせいにしていたが、そういう問題ではないのである。

 そんなわけで、さすがはJ1の中の下くらいをフラフラしているチーム同士であり、お互いに隙を見せピンチは招くが、相手がそれを外してくれるという応酬になったというのが、この試合の構図だったのではないか。ロースコアではあったが、野球で言えば、投手戦ではなく、貧打戦である。

 まあ、こんな軽口を言っていられるのも、降格の心配がないからであり、まだ目標の10位も狙える位置にいるという意味では、監督および選手たちに感謝している。今のままでいいとは思わないが、今季に関しては一つでも多くの勝利・勝ち点・得点をあげて、良い形で終わってほしい。


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