2145

 個人的に、今回の鹿島戦、「内容」が良かったとは思わない。鹿島よりボールを持ち、パスを回したかもしれないが、それを効果的にシュートに持ち込むようなことはできていなかった。それでも何度か決定機を思わせるような場面はあったが、枠内にシュートを収めることもできていなかったわけで、相手GKが慌てるような場面はほぼなかった。

 それでも、実に「もったいなかった」と思うのは、鹿島が思ったより強くなかったからである。まず、秋葉清水は前線からハイプレスに来られるとボールを運べずにペースを失うが、今回の鹿島戦ではずいぶんと楽に持たせてもらえたなという印象が強い。レオ・セアラの欠場で、攻撃の迫力もなかった。鬼木監督の鹿島に、川崎時代のようなクオリティはなく、むしろ勝負強さが身上の鹿島の遺産で戦っているなという感触だった。

 鹿島としては、レオ・セアラだけでなく、守備の要の関川も負傷で長期欠場が確定的。それに対し清水の方はメンバーが戻りつつあり、その点で清水に優位性がある試合だった。ただ、山原がチャブリッチへの対応で後手を踏み、最後はジェラがシュートコースを絶妙に変えてしまうという、復帰が待ち望まれていた2人が失点に絡んでしまったのは皮肉だった。

 さて、今回の試合を落としてしまったという目先のもったいなさに加え、つくづく思うのは、決して負け惜しみではなく、「この程度のサッカーで首位なのか。それくらい、今のJ1には傑出したチームはないのか。清水も、世が世なら、J1の優勝争いに絡めたのではないか」という点である。

 川崎と横浜FMの2強時代には、とてもではないが、神奈川勢に勝てる気はしなかった。あの頃のフロンターレやマリノスは、タレント力に裏付けられた完成度の高い攻撃サッカーで、やられる側の清水から見ても、実に魅力的で輝いていた。

 しかし、フロンターレやマリノスは、上手く行きすぎて、タレントが海外に流出してしまったり、ACLという罰ゲームステージに臨まざるをえず、それでクラブ体力を削られた。いま首位争いをしている鹿島や柏には、あの頃のフロンターレやマリノスのような絶対的強さはない。もしも清水が、個人能力頼みではなく、保持も前進もアタックもきっちり組織的に確立した上でJ1に殴り込みをかけていたら、今季はJ1優勝のチャンスだったのではないか。そんなことを、つい妄想してしまうのである。


よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村