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 実に奇妙な試合だった。「豪華メンバーによるど根性サッカー」VS「格安メンバーによるインテリジェンスサッカー」と言おうか。

 まあ、もちろん、今回の熊本戦では、清水が若手主体に切り替えたので、実際にピッチに立った選手は全員が高給取りだったわけではないが、そういうターンオーバーが可能なことを含め、清水の方が選手層が厚く膨大な人件費をかけていることは否定できない。

 ちなみに、確認しておけば、熊本は最終的にJ2の12位のチームであり、一時は降格危機にもあった。そのチーム相手に、サッカーの組織面で完敗し、前半などはほぼ相手のサンドバッグにされた。観ていて誰もが感じたように、もし熊本に「決める人」がいたら、清水は何失点していたか分からない。

 彼我の格差は、何から生まれるのか。指揮官の差。それに尽きるだろう。普通、あるJクラブが成績で躍進すると(特に地方クラブとかが)、そこの監督は引き抜きにあったりするが、J2優勝を遂げた秋葉監督がJ界隈で争奪戦になっているという話は聞いたことが無い。今季の清水の成績が、監督の戦術の賜物ではないことは、周知の事実だからだ。

 誤解してほしくないが、所長も秋葉さんは人間として大好きであり、一生清水にいてほしいと願っているくらいである。ただし、監督以外のポジションで。試合前の声出し係とか(?)。別の言い方をすれば、秋葉さんは少なくとも清水には合っていない。あの人は、それこそ水戸のような、低予算の若手主体のクラブで、選手をハードワークさせることで最大値を引き出すようなタイプなのだと思う。そういう役割だったら、最強だろう。残念ながら、実績のある選手や高給取りとはミスマッチだ。

 明らかに、反町GMは、秋葉さんの監督としての能力を疑問視している。J2優勝したのに、評価は歯切れの悪いものであり、来季の続投も明言していない。

 J2優勝させた監督が解任されたなどという例は恐らくJの歴史になく、秋葉監督は続投とならざるを得ないだろう。それは来季のJ1に向け、丸腰で戦場に出向くくらいの危うさである。来季に向けて、清水は大きなジレンマをしょい込んだ。


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