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 清水が近く自動昇格を果たすことは確実だが、去年よりも力を付けたからそれが実現するとは言いがたい。J1が18チームから20チームに拡大した結果、町田、磐田、ヴェルディといった強敵がJ2からいなくなり、J2のレベルが落ちただけだ。現に、上から落ちてきた横浜FCに、結局清水は勝てなかった。今、清水が自動昇格圏を維持しているのも、長崎が勝手に失速してくれたお陰だし。このまま、優勝できずに、単に2位で自動昇格を果たすだけだったら、清水は自力では何も成し遂げていないに等しい。

 そりゃあ、去年の悔しい経験があるから、今年は何としても昇格というのが、至上命題ではある。そして、それを達成しつつあるのだから、最悪というわけではない。しかし、この低レベルなJ2で、自分たちのサッカースタイル、J1に上がっても通用する組織的な戦い方をしっかりと構築することなく、昇格という結果だけを手にするとしたら、不毛な1年だったと言わざるを得ない。

 失礼ながら、水戸さんというのは、1試合で1点とれるかどうかというチームである。それを相手に、前半だけで2失点というのは、あり得ない話だ。先方は、自分たちから仕掛けて相手を崩すことはできない。つまり、清水が勝手に崩れて2失点したということである。

 この水戸戦で浮き彫りになったのは、結局秋葉清水は、ボールを運ぶ形も、相手を崩す形も、持っていないことだ。力任せ、個人任せのサッカー。ボールの繋ぎは個人のアドリブの積み重ねなので、綱渡りのようになる。その綱渡りをやってのけた時には「上手っ」となるが、失敗すると奈落の底に落ちる。

 秋葉監督のビルドアップ軽視の弊害は大きい。水戸戦での1失点目も、よくある右サイドのビルドアップの詰まりからだった。右SBの原は孤立し出し所がない場面を良く見るが、今回も相手に密着マークされているブラガに無理やりつけようとして、そこからほころびが生じた。

 最近、カルリーニョスが先発で使われず、不思議に思っていたが、この水戸戦のパフォーマンスを見て、納得させられた。悪い時の彼にありがちなように、舐めプレーに終始した。今季限りでの退団が決まっているのか、集中力がまったくなかった。良い選手で、これまでの貢献には感謝しているが、もう居ないものと考えた方がいいだろう。

 最近、秋葉監督よりも、矢島や権田のコメントの方が、チームの問題を如実に語っている気がする。


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