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 世間は五輪一色で、サッカーファンも主に五輪代表に注目しているところだと思うが、個人的には録り貯めた今季の清水の試合を第1節からもう一回全部観るというチャレンジを続けている。

 もっとも、今回観た湘南戦は、五輪とも重なり合うところがあった。敵のGKが、現在大ブレーク中の谷晃生だったからだ。もともと有望株ではあったが、五輪代表の正守護神にまで登り詰めたのは、今季の活躍によるものであり、この清水戦もその一つだったはずである。

 周知のとおり、谷はガンバからのレンタルである。しかし、ガンバもうらやましいね。あと2~3年は東口で行けるだろうし、東口が衰えたら谷が跡を継ぎばいいしで、これから15年はGKが安泰だろう。GKは欧州に流出するリスクもそれほど高くないからね。

 今回の五輪サッカーにおける日本代表の活躍、もちろん嬉しくは感じているけれど、冷静に考えると、「これってフロンターレ祭りじぇね?」と、複雑な思いもする。残念ながら、メンバーには、清水ユース出身者も、清水在籍経験者も、一人もいない。

 そんなモヤモヤした思いを抱いていたところ、鳥栖の松岡大起(20)を獲得へというニュースが飛び込んできて、驚いた。次回のパリ五輪チームの中心になると目されている選手である。権田や原の獲得もそうだったが、代表クラスの選手を輩出できないのなら、獲ってしまえという発想か?

 近年の清水で唯一と言っていいプチ躍進は、ヨンソン政権下の2018年だった。ユース上がり・地元っ子・生え抜き選手である北川、松原、河井、竹内、石毛、金子らが中心として活躍した年である。我々にとっては、そうした「うちの子」がそのまま成長を続けて清水を強豪に変え、自らも代表レベルになってくれれば、ベストだった。しかし、そうならなかった以上、外の血を入れ、競争を激しくするしかない。ホナウドと松岡の加入で、ボランチは急にポジション争いが激しくなりそうだが、個人的には歓迎という思いしかない。

 さて、前置きが長くなったが、第11節ホーム湘南戦。結果的には3試合連続で引き分けに終わってしまった。ただ、3試合のニュアンスはそれぞれ異なり、神戸戦は勝ちたかった試合、ガンバ戦は勝てたかもしれない試合、湘南戦は絶対に勝たなければいけない試合だったと思う。

 湘南戦、ちゃんと攻撃を組み立てて相手ゴールに迫っていたのは、圧倒的に清水だった。決定機の数は、10対1、いや、ウェリントンのあの同点ゴールは決定機ですらなかったから、10対0くらいか。本当に、ラストパスとフィニッシュの精度さえあれば、3点くらいとって楽に勝てたはずである。特に、鈴木唯人の「華麗にかわすところまではいいが、シュートが虚しく逸れていく」という残念シーンが、この試合にもあった。

 まあ、そんなことはありつつも、どう考えても、勝ち試合だったはずだ。なんで、よりによって、ウェリントンがこの試合に間に合い、あんな奇跡的なシュートが決まってしまったのやら。


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