よく、「清水はサッカー王国なので、観客も良くサッカーのことを知っている」と言われるが、あれは大ウソであろう。少なくとも、アイスタで観戦していて、周りの観客の反応を見ている限り、「こいつらサッカーのこと全く分かってないな」と感じることの方が多い。
今回の長崎戦もそうだった。ジェラのプレーは、誰がどう見ても、絵に描いたようなDOGSOで、一発退場間違いなしである。実際に山下主審は即座にその判定を下した。しかし、周りの観客たちの反応は、「そんなに激しく当たってないじゃないか」と怒っている様子だった。いや、DOGSOの4条件というのを知らないのか、激しいか激しくないかなんて関係ないのだ、入れ替わられて決定機を阻止するため後ろから手をかけて倒したのだから、いかに「そっと」であろうと、あれは退場なのである。山下主審が優れた審判だとは思わないが、あの判定は100%正しい。
この長崎戦、序盤は、全員の矢印が前に向いていて、良い入りだと感じていた。あの入れ替わってしまった場面は、その前への矢印が裏目に出てしまったような印象だ。もちろん、冷静に考えれば、GKと一対一になっても外す可能性も半分くらいはあるわけで、あそこでリスクのあるファウルを犯して8分という早い時間に数的不利に陥る愚は犯すべきではなかった。「やられてはいけない」というディフェンダーの本能で止めてしまったというところだろう。
しかし、吉田監督の対応は興味深いもので、3バックから4バックに変更し、メンバーチェンジは行わなかった。その賜物か、21分には弓場の持ち上がりから、中央のセフンに渡り、最後は嶋本が先制点を決める。はっきり言って、長崎の攻撃に高度な設計や精度はなく、もしかしたらこのまま勝ち切れるのではないかという雰囲気もあった。
その期待感を破ったのが、早くも33分に喫した同点ゴール。本当に、吉田体制になってからのセットプレーは、自分たちは一切チャンスを生み出せず、敵チームだけが得点の可能性があるという、究極のハンディキャップとなっている。今回のように、数的不利に陥った試合では、「セットプレーは人数関係ない」とよく言われるのだが(統計的に真実かどうかは知らない)、そのセットプレー(スローインだったが)で簡単に決められてしまったというのが、痛恨だった。
退場後、4バックでしのいではいたが、危なっかしかったことは事実である。そこで、ハーフタイムに蓮川を入れてスタートの3バックに戻したこと自体は、理解できる。吉田流ではないが、数的不利に陥ってしまった以上は、低い位置で構えて戦おうという考えだろう。しかし、またしても誤算だったのは、その後半早々に失点してしまったことである。あの場面、ポジティブトランジションになりかけて、弓場が攻め上がろうとした背後を突かれてしまった。前半の得点シーンでは弓場の良いプレーで得点を引き寄せただけに、本人も「行ける」と踏んで前に出て、それが裏目になってしまったのだろう。
これで万事休す。後半のシュートはゼロ。1試合を通してもシュート3本というお寒い試合に終わってしまった。J1の普通のチームなら、この清水からもっと追加点を奪ったところだろうが、長崎はリードしても後ろに人数を残し、ジェズスやキャンベルのような攻撃の武器は温存し、堅く勝ち切ることを選んだ。
よかったらクリックお願いします
にほんブログ村





