エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2025年10月

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 晴れて残留が決まったわけだけど、このヴェルディ戦を見せられると、達成感は乏しい。清水が試合を通して放ったシュートはわずか4本で、後半は乾がドリブルで持ち込んで打った1本だけ。少ないチャンスを良く活かして勝ったと言えなくもないが、決して強敵とは言えない相手に、低調な戦いに終始した。

 今回の試合後のインタビューで、秋葉監督は「ブレイクパス」という新たなキーワードを披露した。敵の攻撃をしのいで、ボールを奪い、そこから局面を打開して攻撃に転じる最初のパスを、ブレイクパスと呼んでいるらしい。そして、その成功率が低かったから、追加点が取れず、苦戦したのだと。

 所長としては、この試合の感想として、とにかく秋葉清水はポジティブ・トランジションが下手だなと感じた。一見すると、秋葉監督のいう「ブレイクパス」の不発と、同じことを指しているようでもある。

 しかし、現実には両者は本質的に異なるのではないか。清水が後半押し込まれて、攻撃に転じられなくなるのは、一本のパスミスというよりは、チームの設計の問題であろう。せっかく奪っても、縦に急ぐのか落ち着かせるのかの共通理解もできていない、パスコースがない、ワントップも含め全員で守備しているので前線の収まりどころもセカンドボールの拾い手もない、そういったないない尽くしの状態だからこそ、反抗が不発になるのではないか。乾のような個の力で打開できるのなら別で、実際この試合の後半もシュートに行けたのは乾が運んだ時だけだったわけだが、「ブレイクパスの失敗」といった選手個人の精度の問題にしていたら、いつまで経ってもチームとしての成長はないだろう。

 3節残して、もう残留が確定なんて、夢のような状況だが、サッカーの中身の手ごたえがまったくないというのが、どうにも……


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 以前も指摘したが、秋葉清水というチームの面白いところは、監督よりも一部の選手の方がサッカー・リテラシーが高いことである。今回の川崎戦でも、試合後の秋葉監督のコメントはツッコミどころだらけだが、松崎快のコメントを読むと、「おぉ、やはりピッチ上の選手から見てもそうなのか!」と、思わず身を乗り出してしまう。特に次のような発言に深くうなずいてしまった。

 前半は外から観ていたが、率直に言うと今日前半4失点しただけで、FC東京戦でもこうなっていてもおかしくなかったと思っている。リーグ最多得点の川崎だから攻撃のクオリティが高いというのもあるが、遅かれ早かれというか、FC東京戦の前半も失点してもおかしくないようなシーンが何回もあった。

 あとはずっと言っているが、例えば直近で言ったら京都や神戸など攻撃が直線的なチーム相手には対応できるが、保持して揺さぶりながら攻めてくるチームに対しては上手く守備ができていないというイメージが僕の中ではある。それが出た結果だと思う。

 個人的にはこれまでゲームコントロールに主眼を置いていたが、このチームはカオスな状況にしてしまったほうが強いのではないかと感じている。とくにもう夏場ではなくなり体力的な面でももつと思うので、そっちの戦い方にしたほうがいいのかなと思う。

 う~む、指摘がいちいちもっとも過ぎて、同意せざるを得ない。

 自分も、どうも秋葉清水は対戦相手によって得意・不得意が激しいなと感じていた。鹿島とか神戸みたいな力任せに来る感じのチームに対しては、たとえ先方が優勝争いするくらいの力があっても、根性ベースで、割と互角に戦えたりする。しかし、今季で言えば柏のように、戦術的な完成度がやたら高いチームや、セレッソ、そして今回の川崎のように止めて蹴るがやたら上手かったりボールの動かし方が洗練されたりする相手には、もう成す術がない感じで敗れる。自分がずっと感じていたその現象を、今回松崎は、「攻撃が直線的なチーム」、「保持して揺さぶりながら攻めてくるチーム」という表現で、見事に言い表してくれた。サンキュー、快。

 ただ、だからと言ってこのチームを戦術的な熟成によって上向かせられるかというとそれも疑問で、これも松崎が認めているように、カオスの中で根性を発揮し勝ち点を拾うということが、生きる道なのかもしれない。とりあえず、今季に関しては、それで最小限の結果は得られた以上、軽々にその批判はできない。

 ところで、今季の清水、本当にPKが多い。たぶんPK機会はリーグ最多のはずである。しかし、私の記憶が正しければ、今回の川崎戦で、北川は2度目のPK失敗をした。はっきり言って、メンタルもそんなに強靭ではないし、あまりPKの上手い選手ではない。本人は、最初失敗して、2度目に決めたことを美談のように自賛しているが、そういう問題ではないだろう。見ているとどうも、「北川はキャプテンでチームの中心でエースストライカー。だからPKは北川に任せる」という雰囲気を感じる。個人的にも、北川が試合に出続けてバリバリ点をとりまくってくれたら嬉しいが、現実には出場時間は減っており、今のFWの軸は高橋である。「だからこそPKは航也に」ということかもしれないが、優先すべきはチームの勝利であり、一番安心して任せられる選手に蹴らせるべきだ。たぶん、ブエノみたいなふてぶてしい選手が一番PKに向いているような気がするのだが、どうだろうか。そういえば高橋も一回失敗しており、あの時も「こいつじゃないだろ」と感じたものだったが、案の定失敗した。


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 監督を含め、あちこちから、「勝てた試合」、「もったいない」といった声が聞こえてくるが、本当にそうだろうか。確かに、先制点を奪えて後半途中までリードしており、追加点のチャンスも何回かあったという状況的な観点から言えば、そう思いたくなるのも分かる。しかし、内容的に一貫して優勢だったわけではなく、敵の決定機も少なくなかった。「負けてもおかしくなかった試合」、「運良く勝ち点1を拾えた」という言い方もできるわけで、要は主観の問題である。

 率直に言うと、FC東京の守備の緩さに、驚いた。こんなに簡単にやらせてくれるのか、と。敵の主力センターバックのショルツ、MF橋本拳人らがコンディション不良で欠場ということが大きかったとは思うが、うちにバイタルで回させてくれるチームはJ1にそう多くはない。

 対する清水の側は、ブロックを組んだ時の守備力は、それほど弱くない。しかし、いつも申し上げるとおり、保持と前進ができないチームなので、攻撃的に行こうとすると、危険なボールの奪われ方をして、大きなピンチを迎える。そして、このFC東京戦では、無理なクサビのパスが失敗してボールロストする場面も多かった。いずれにしても、「攻撃サッカーを掲げる割には、そのノウハウを授けない」という秋葉イズムの帰結であり、試合後に秋葉監督は例によって集中力の欠如のせいにしていたが、そういう問題ではないのである。

 そんなわけで、さすがはJ1の中の下くらいをフラフラしているチーム同士であり、お互いに隙を見せピンチは招くが、相手がそれを外してくれるという応酬になったというのが、この試合の構図だったのではないか。ロースコアではあったが、野球で言えば、投手戦ではなく、貧打戦である。

 まあ、こんな軽口を言っていられるのも、降格の心配がないからであり、まだ目標の10位も狙える位置にいるという意味では、監督および選手たちに感謝している。今のままでいいとは思わないが、今季に関しては一つでも多くの勝利・勝ち点・得点をあげて、良い形で終わってほしい。


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