2016シーズン、第14節のアウェー東京ヴェルディ戦から左サイドバックを務め、結局最終節まで先発の座を守り通したのが、松原后選手だった。福村貴幸選手からレギュラーの座を奪った形である。
それにしても、松原后ほど、2016年に我々をワクワクさせたり、ヤキモキさせたり、とにかく色んな感情を揺さぶってくれた選手はいなかったかもしれない。鬼師匠と駄目弟子みたいなテセとの師弟関係も、物語性があったし。とにかく、普通の物差しでは計れないというか、評価が分かれるというか、何とも表現しがたい存在が、松原后という男である。
清水に入団した当初から、本人は海外移籍を視野に入れていたと伝えられる。また、テセがバラした話によると、本人は「3年以内に代表に入る」と豪語しているらしい。近年のエスパルスで、これほどまでに野心をギラつかせたプレーヤーがいただろうか? ただ、現時点の実力がその野心にまったく追い付いていないことは、誰が見ても明らかだし、さすがに本人も自覚している様子である。しかし、人間の成長というのは、本人が描いている目標以上には達しないものだから、ともかく野心が大きいということは、理論的な伸びしろも大きいということになる。師匠のテセも、「現状では后が代表なんてお笑い草だが、希少な左サイドバックというポジションだし、もしかするともしかするかも・・・」なんてニュアンスで語っていた。
松原后は、プレースタイルも独特である。あんな変わったサイドバック見たことないというのが、所長の印象だ。テセも、「もっの凄く遅いドリブルなのに、なぜか抜いちゃう」と指摘していたが、確かに抜き方が普通のサイドバックと全然違うと思う。元々フォワードだったせいか、センターフォワードみたいな抜き方をする。あるいは、バスケットボールのフォワードみたいに、敵に体を預けてグイグイ押しながら、相手の体勢が崩れた瞬間に抜くみたいな、そんな場面が見られる。なんだか、やることも、風貌も、引退した矢島っぽいのよね。ポジションは違うけど。
そんな具合に、野心と現実のギャップが大きく、伸びしろが計り知れず、プレースタイルも独特で他と比べられないなど、とにかく見ているサポの側は良い意味でも悪い意味でも色々とざわついてしまうという、これが松原后問題である。
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