エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

1939

 試合後の監督インタビュー、レポーターには是非、「引き分けOKだったんですね」と訊いてほしかった。サッカー文化が成熟した国なら、そういう一番肝心なことを訊くだろう。予定調和的なことばかりではなくて。

 秋葉監督本人は、「あくまでも勝ち点3を狙う中で」と表向きは言っているが、後半途中から、勝ち点1でもOKという判断に切り替えたと思う。というか、昇格の直接的なライバルである長崎に勝ち点3を間違っても与えないことを優先した。

 サポの間でも、「絶対優勝」という声と、「いや、自動昇格に万全を期すべき」という声が、分かれている気がする。普通であれば、両者の目標は別に矛盾はしないわけだが、昨日の長崎戦のように、引き分けてさえしまえば、2位と3位の差が詰まらず、長崎が清水を逆転するのが限りなく難しくなるという状況では、引き分けOKという選択もありうる。たとえ裏番組で横浜FCが勝ち、勝ち点差が4に広がっても。

 秋葉監督には、まだ直接対決もあれば、未消化試合もあるので、勝ち点差4はひっくり返せるという計算があったのだろうか…

 最近の長崎は後半に弱いらしく、実際この試合でも、後半になると長崎の攻撃の脅威はほぼ失われた。あそこでたたみかけて、逆転まで持って行くことは、充分に可能だったのではと、思いたくなる。

 他方で、この試合でも清水は、相手が引いてブロックを作っている時には得点はできなかった(いつも言うように、どんなチームでもそれは難しいが、清水はとりわけ下手である)。唯一の得点は、カウンターだった。シュートまでは行けていたので、鈍い解説者などは清水ペースのような的外れなことを論評していたが、前半の戦況につき、矢島が「相手ペースだった」といみじくも述べているように、一見押せ押せで攻めながら、変なボールの奪われ方をしてカウンターで即失点というのが、清水の典型的な負けパターンである。

 我々は試合終盤、もっとたたみかけてほしかったと思うわけだが、組織的な完成度の低い秋葉清水でそれをやると、最悪の失点を招きかねない。だから、適当にボールを回して、チャンスがあったら攻めるという感じの終盤になったのだろう。

 もう一つ思うのは、昨日のメンバーでは、交代カードを切っても、あまりギアが上がらないという現実である。アジズ不在が大きく、タンキには多くを期待できない。西原はリードした状況のカウンター要員として力を発揮するタイプだろう。北爪から吉田に交代して攻撃のギアが上がるはずもない。

 何度も言うように、山原のキックは、直接フリーキックには良いが、コーナーキック向きではない。この長崎戦でも、たくさんあったコーナーのチャンスを、ほぼドブに捨てた。最初から矢島がいればと、思わざるを得ない。


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 当S研ブログは、最近すっかり1試合1更新になってしまっているけれど、鹿児島戦について、もう一言。

 リードを奪った後の、時間の使い方が、下手すぎる。周知のとおり、ああいう状況では、敵コーナー付近にもっていってキープするのが定石だが、そういう意識の共有ができていない。また、普段そういう練習もしていないようで、キープが下手すぎて、すぐに相手に奪われてしまう。

 あんな、秒で奪われるくらいなら、キープではなく、普通にコーナーキックを蹴った方がマシなくらいである。

 たぶん黒田監督の町田だったら、「1点リードした状況でのボールキープ」という練習もしているのではないだろうか。清水には、そういう勝つためのリアリズムが圧倒的に足りていない。そういうものの積み重ねの差で、我が軍はJ2の沼に足を取られ、町田はJ1で優勝争いしているのだと思う。PKの前にボールに水をかける必要はないが、勝つための決め事の徹底はしてほしいのである。


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1939

 いやぁ、危なかったねえ。清水サポ全員、5:0くらいで勝つイメージだったと思うが、蓋を開けてみると、まさかここまで大苦戦するとは。

 今季の清水が負ける時って、本当に一つも良いところなく、ゴール前に運ぶことすらできなかったりするけれど、今回の鹿児島戦はゴール前までは楽に運べ、何度も決定機はあった。ただ、これは清水の攻撃が改善したというよりも、鹿児島が前から取りに来ず、ブロックを組んで守備を固めることを選択したからだろう。

 試合前に浅野監督が言っていた「ボールの奪い所」というのは、要するにそういうことだったのだろう。残留争いしているチームが、そういう風に割り切った戦い方をして、集中力高く上位のチームに挑んでくると、思わぬ苦戦を強いられることもあるが、この試合がまさにそれだったのだと思う。

 しかし、清水の豪華攻撃陣、それでもシュートを決め切って、自分たちが高給に見合う存在だと証明しなければ駄目だろう。特に北川の不振は深刻で、今のままなら先発のセンターフォワードをアジズに入れ替えるのだフェアだろう。キャプテンであろうと、それは関係ない。あと、個人的には、セットプレーのキッカーとしてだけでも、矢島を先発で使いたい気もする。

 下位に沈む鹿児島相手に、ようやくこの辛勝だから、アウェー苦手が克服されたとは言えなさそうだ。次節徳島戦も安心できない。


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 昨日夕刻にアイスタで開催された磐田とのTMを観戦。結果は0:1敗戦。あれだけ客が入るんだから、一人あたり1000円くらい徴収して、それを照明、スクリーン、場内アナウンスなどの費用に充てて、もっと本格的なナイトゲームにしたらいいんじゃないかと思ったけど、どうだろうか。

 戦力がJ2で最も分厚いと言われている清水だけど、公式戦翌日のTMとなると、人繰りが苦しい。普通のTMであれば、もっと大々的にメンバー交代すると思うのだが、この磐田戦ではむしろ頭数を揃えるのに苦労している印象だった。

 なお、普段のTMはヘッドコーチが指揮を執るケースも多いと理解しているが、この日は秋葉監督がベンチにいた。しかし、いつものように立ち上がって大声を出すのではなく、ベンチにどっかりと座っていた。選手だけでなく、監督も公式戦の疲労が残っているのか。

 正直言って、清水から見ると、パッとしないゲームだった。アジズにはさすがの存在感があったが、それ以外のアタッカーに怖さが無い。足元でチャカチャカ回すだけで、敵の急所を突くような攻撃の形を持っていない。清水の決定機と言えたのは、スルーパスに西原(だったか?)が抜け出して敵GKと一対一になった場面だけであり、その絶好機もシュートがポストに当たり、その跳ね返りをアジズが枠内に流し込もうとするも敵DFに阻まれた。見せ場はそれくらいだった。

 西澤が普通にプレーできているのは嬉しかった。白崎なきあと、二代目便利屋を襲名した西澤は、最初は右サイドハーフ、次に左サイドハーフ、最後はボランチでプレーした。あのメンバーでは、西澤が冴えたプレーをしてくれないと点はとれないと思うのだが、最初こそ元気にやっていたものの、疲労が見えた最後の方はミスが目立った。

 結局、この試合で手ごたえをつかんだのは、「吉田の守備はやはり堅い」という、そんなの誰でも知ってるよという事だけであった。「レギュラーうかうかしてられないぞ」という突き上げが若手からまったく見られなかったのは、寂しいところだ。

 気になったのは、最終的に、意識高い系のGK、沖が失点してしまったこと。この試合、磐田のシュートはずっとギリギリで枠を外し続けていたが、運悪く最後の沖が出た時間帯にだけ枠内に飛んできて、結果的に沖が敗戦GKのようになってしまった。権田の後塵を拝しても、ずっと意識高くトレーニングに取り組んでいる沖だが、移籍してまだ一度も我々に良い姿を見せられていない。彼のところに運気が回ってきてほしいものである。

 まあ、エスパルスのお蔭で、楽しいお盆休みだったよ。ありがとな。


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70

 この試合の前に、中日VS阪神戦を眺めていて、乾と仲良しの阪神・岩崎が打たれて追い付かれたので、「こりゃ乾もダメな日でホーム初黒星か?」などと思っていたのだけど、結果的には完勝。

 しかし、だいぶ運に助けられたのではないか。むろん、運を手繰り寄せるのも、選手の頑張りであり、サポの後押しだが、それにしてもツイていたとは思う。

 まず、あの高橋祐治のクリアがギリギリ追い付かなかったら、今季初めて(だよね)ホームで先制を許すことになり、だいぶ動揺しただろう。アダイウトンのシュートブロックも、紙一重だった。

 その意味では、試合展開にとりほとんど意味のない追加点を挙げたアジズなどではなく、セレモニーに参加できる状態だったのかは知らないが、神クリアの高橋をマンオブザマッチに選出すべきだったと思う。バカの一つ覚えみたいに、得点者ばかり表彰するのは、止めてもらいたい。

 そして、幸運と言えば、アダイウトンの一発退場に尽きる。先方は、後半頭から屈強系FWマクーラを入れてきて、その圧力に屈しかけたところで、「決める人」アダイウトンがいなくなったことはデカかった。公平に見て、レッドでなくイエローくらいでよかった気がするのだが、どうだろうか。

 ただ、先方が自滅したのだから、この好機を、大量点という形で生かしたかった。アジズの3点目で、何とか帳尻を合わせた感はあったが、後半、中だるみした時間帯が長かった。酷暑でスタミナ削られるのは分かるんだけど、相手はそれ以上に苦しいわけで。先発メンバーが機能していたというのはあるにしても、もうちょっと早めの選手交代で活性化した方がよかったのではないか。

 仙台もそうだけど、甲府も、サポのガラが急に悪くなったね。残念。


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65

 横浜と長崎が潰し合いで、清水が最下位群馬が相手なのだから、これはもう、「ボーナス節」としか言いようがない。誰がどう考えても、絶対に活かすべき好機であり、勝利はもちろん、大量得点も狙いたかった。


 結局、4:0で完勝したわけだが、別に群馬さんのことを悪く言うつもりはないものの、現状先方が苦しんでいることを考えると、相手が弱すぎて参考にならないと言わざるを得ない。奪った4得点よりも、明確な決定機を外しまくった印象が残ってしまう。逆に、先方のシュートは3本だけだったらしいが、その3本がすべてやられてもおかしくない危ない場面であり、甘さが目立った。今のままでは、J1では戦えないだろう。とはいえ、この沼から抜け出さないことには、その先もないわけで、それに向け重要な勝利ではあった。

 今季ずっと観ていて、山原のキックはコーナーキックに向いておらず、ピンポイントで合うということがほとんどなく、期待感が低かった。中に入れずに、ショートコーナーにしたら、そこから2点もとれたというのは、ある意味象徴的である。

 宇野は、そのコーナーで得点を奪ったことが目立つが、流れの中からの2得点も、実は宇野がテンポ良くトップ下にパスをつけたことが、効果を発揮した(宇野→乾→カルリ、宇野→矢島→アジズ)。まあ、ただ、清水の選手が、加入直後に輝いても、だんだんチームに染まって凡庸になっていくのは良くあることで、頼むからプレーは清水色に染まってくれるなと、変なことを願う清水サポなのであった。


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1910

 実は今回の敗戦は、今季初めてのパターンだった。アウェーで負けるのはお馴染みだが、これまではアウェー負けは2点差以上をつけられた完敗ばかりであり、1点差の惜敗というのは今季初めてだった。仙台と戦ってみて、先方が強いという印象はまったくなく、どうせなら「今季初のアウェー引き分け」くらいは達成してほしかったところだが、結局良いところはまったくなく負けたことに変わりなかった。

 失点2つは両方とも、ポジティブトランジションのセキュリティが甘く、悪いボールの奪われ方をして、バイタルエリアからのミドルを決められたもの。シュートブロックが甘く、またジェラの守備に根気がない(最初の対応は集中しているが、波状攻撃を受けると集中を失いがち)現象が目立った。

 まあ、それにしても、横浜FCとか長崎は試合終盤で劇的に勝ち越したり同点に追い付いたりするが、清水がビハインドになると、そういう期待感が一切感じられない。押し込んだり、シュートに持ち込むことすらできない。西原のスピードとか、アジズの突破力を活かすこともできない。先行逃げ切り以外に勝ち点を拾う術をもっていないというのは、大問題である。


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1903

 当S研ブログ、最近は1試合1更新になってしまっており、しかもルヴァンや天皇杯は試合自体観れなかったので、リーグ戦の寸評だけになっていた。今回のランス戦は、SBSの英断でネット視聴できたので、コメントする次第。

 親善試合とはいえ、最近の清水っぽい流れになった。なかなかシュートシーンに持ち込めないものの、最初のシュートをブラガが沈め、「ホームで先制すれば実家並みに落ち着く」という今季の清水らしく、以降はピンチはありながらも落ち着いて試合を運んだ。

 今季、清水が苦戦するのは、「対策」され、弱点を意図的に突かれた試合である。フランス1部が親善試合でJ2を「対策」するはずはないし、ランスは組織的に戦うというよりも意外に一対一を重視するスタイルだったので、清水のタレント力で対抗しやすく、J2のいやらしい対戦相手よりも楽だった。また、相手に引かれると遅攻が停滞するばかりの清水にとって、ランスのように来てくれるチームの方が、奪ってカウンターという清水の形を発揮しやすかった。

 まあ、だから、プレシーズンのランスに快勝したからといって、これで今季のJ2制覇に近付いたなどということではないわけだが、一定の自信にはなったし、若い選手などには良い刺激になったことだろう。なんでフランスの金持ちどもに搾取されなければならないのかは釈然としないが、清水としても実りの多い親善試合になったのではないか。

 プレーヤーレベルの話では、今季の当初の主力CB2枚の復帰は大きい。ただ、蓮川のドリブルでの大胆な持ち運び、最終ラインの危険なパス回しは、個人的にあまり好みではなく、もうちょっと安全優先でやってほしい気はする。ブラジル人アタッカー4枚という今回の先発メンバーは、今後実際に選択肢になっていくのだろうか? 宇野は、将来性を買っての先行投資なのかと思っていたら、意外と即戦力候補なのだろうか? 仮に宇野がレギュラーボランチの一画を占めるとすると、相棒は誰になるのか、白崎の処遇はどうなるのかも気になる。権田、原、山原は別メニュー的な?


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1879

 観ていて不満とストレスばかりたまる90分だったが、結果的にはなぜかがっちり勝利し、首位奪還のオマケ付き。

 試合後の秋葉監督は、やたら「距離感」ということを強調し、それが改善したことに手応えを感じている様子。一応、「超攻撃的、超アグレッシブ」という標語も繰り返していた。

 アウェーで惨敗が続き、やり方を徹底するのか、それとも変えるのかというのが、秋葉清水に突き付けられた難問だった。監督の口ぶりからすると、「徹底」を選択し、結果的に勝利を手繰り寄せたように思える。

 しかし、監督の実際の采配は、相手を見ながら慎重に戦い、交代策が非常に遅く、しかも守備重視と思える人選だった。超アグレッシブの徹底というより、現実路線でアウェー連敗地獄に終止符を打ったような気が個人的にはしたが、果たして真相はどうだったのだろうか。

 それにしても、敵将の片野坂氏が、「清水の弱点を突こうとしたが…」というような発言をしていたのが気になった。弱点がバレバレで首位という、変なチームだなと、痛感した。我々素人には、その弱点というのが、イメージでは分かっても、なかなか具体的に言語化できない。ぜひ、後半戦の観戦のお供に、知将・片野坂氏に清水の弱点を解説してほしいものである。もう今年の対戦も終わったので、利害関係はなかろう。


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63

 前半優位に試合を運べたのは、珍しくブラガが切れていたことが大きかった。普段は迷走台風のごとく、やたら真ん中に持ち運びたがるブラガだが、しばらく出番を失って自分のプレーを見直したのか、この千葉戦では割とウィンガーの役割を忠実に果たし、彼のところから局面を打開して得点に繋げた。まあ、しかし、ドリブルのタッチが大きすぎてボールを失うケースが相変わらず多いし、プレスバックも弱い。

 2点リードしてからは、特に後半は、我慢の時間が続いた。時折、チャンスになりかけるのだが、清水はどうもポジティブトランジションが下手である。攻撃を発動しようとすると、逆に変な形でボールを失うので、「こりゃ攻めない方が安全だわ」ということになり、守るだけになる。実際、今回の千葉戦も、結果的には守り切れたわけだが、「これでいいのか?」という課題は残った。

 清水の中盤って、良い形でボールを受けても、そこから仕掛けたり、前を向いたりしないよね。秋葉監督はバックパス禁止みたいなことまで言っているのに、ファーストチョイスが下げることになっているような。そのあたりが、ターンして前を向き局面を打開できる乾との違いなのだろう(その乾も今季は空回りするケースが多いが)。

 当ブログでは、「なぜ清水はポケットを攻略しようとしないのだ」という疑問を、ずっと提起してきた。最近、ポケットえぐりのプレーが時々見られるようになり、そのこと自体は嬉しいのだけど、ポケットからのマイナスの折り返しが、必ずと言っていいほどズレる。今回の千葉戦の原テルの折り返しが、「なんじゃそりゃ」というくらいズレたのが象徴的だった。これは、ポケットを攻略した上で、中の選手はこういう形で詰めるといったような、実践的な良い練習ができていないからではないかと、個人的には疑っている。

 まあ、でも、勝ってよかったな。


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