エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

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 浦和と清水の戦いを観ていると、無秩序と秩序の対戦という印象だった。組織だったサッカーを目指している浦和と、カオス然とした秋葉清水。もしも、スコルジャ監督の浦和が成熟を重ねたら、秋葉清水には勝ち目はないように思える。ただ、現時点で浦和の完成度は3割くらいであり、組織的なサッカーを目指しているだけに、かえってぎこちなさがある。実際、今回対戦してみても、とても歯が立たない相手という印象はなかった。その意味では、浦和を倒すチャンスだったと思うのだが、何だかよく分からない2失点で、勝負が決まってしまった。まあ、J1では危険な位置で変な奪われ方をしたら失点に直結するというのは、分かっていたことではあるが。

 他方、せっかくあれだけ前線を大胆にターンオーバーしたのだから、せめて60分くらいまで引っ張ってもいいのではないかと思った。それで、今後に繋がるなら、たとえ勝ち点ゼロでも、得るものもあったのではないか、と。しかし、後半頭からの3枚替えは、監督がしびれをきらしたということか。まあ、何もできないという印象があった前半から、後半はだいぶ期待感が高まったので、それが正解だったということか。

 古巣相手の松崎がやたら気負っていたことが気になったけど、最後のあのプレーで、まさかパスを選択するとは。清水のアタッカーって、なぜか「ここぞ」という場面で打たずにパスを選択することが多いけど、今回の松崎はその最たるものだった。

 まったく歯が立たずに負けるのも悔しいけれど、今回の敗戦は「もうちょっと何とかなったんではないか」と、別の意味でだいぶモヤモヤが残った。


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 かつてのエレベータークラブを脱し、すっかりJ1中位くらいの地位を確立しつつある湘南。今季は開幕ダッシュにも成功し、これは難敵だろうと予想された。しかし、蓋を開けてみれば、そのチームを相手に、3:0の完勝! 聞くところによると、湘南は前から激しく奪いに来るという話だったので、清水が自陣で防戦一方になる悪いイメージもあったのだが、実際には積極果敢に前プレスをかけたのは清水の方だった。清水はターンオーバーは敷いたものの中2日で、湘南の方が体力面で余裕があったはずなのに、清水の方がずっとアグレッシブで、それがそのまま試合の優劣に繋がった印象だ。

 DAZN解説の水沼さんが、「勝った試合では多くの選手が輝くものだ」というようなことを言っていたけど、まさにそんな印象だった。特に、失礼ながら「不安で一杯」だった両サイドの北爪と吉田が、持ち味を発揮してくれたのが嬉しい。北爪に至っては、地上の上下動だけでなく、ロングボールの受け手として空中戦でも奮闘してくれた。

 当S研ブログでは、秋葉清水の戦術面での薄さに苦言を呈することが多いが、昨日の2点目のように、狙いが的中した綺麗な崩しでゴールを奪えると、本当に嬉しいものだ。ブエノに関しても、危険なエリアで持ちすぎたりリスクの高いパスを出したりして大ピンチに直結する問題を指摘したことがあったが、昨日のプレーはシンプルで、とても良かった。

 まあ、今回の湘南戦のようなインテンシティを、今後の連戦や、夏場の試合でも維持できるかは、まだ分からないが。それでも、とりあえず「これがうちらの生きる道」と思えるものが確認できた、気持ちの良い勝利となった。


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19

 報告が遅くなったが、ルヴァンカップの相模原戦を現地観戦してきたので、その感想。

 全体的には、やはり低調な試合だったと言わざるを得ないのではないか。ボールを持っている時間は長いが、狙いを持って相手ゴールに迫るということが全然できていない。前半3本、後半7本に終わったシュート数が、問題を物語っている。

 個々の選手に関して言えば、このレベルの相手でアフメドフが機能しなかったのは、残念だった。「おっ!」と思うようなプレーを見せそうになる場面もあるが、今のところすべてが未遂である。J3相手でのカップ戦であっても、1点さえとれれば、その後リーグ戦でもケチャップドバドバに繋がるかもという期待は、裏切られた。今季の清水は、センターフォワードが最激戦区などと言われていたが、蓋を開けてみれば計算が立つのは北川だけで、連戦に向け不安を残した。

 小竹のプレーにも期待が集まったが、デュエルで負ける場面が多く、これまた不発。仕掛ける際に、「はい、これから仕掛けますよ」という間合いなので、相手が対応しやすいように見えた。もっとパスの引き出しからトラップ~仕掛けまでスムーズにプレーできるようになると、相手を出し抜けるのではないか。

 小竹が決定的な仕事ができたら、「スター誕生」ということになったと思うが、実際にはその小竹に代わって72分に登場したユースの土居佑至君がゴールを決め、ラッキーボーイに。巡ってきた出番をどれだけ活かせるかで、キャリアが左右されるわけで、小竹にも次のチャンスで大きな仕事をしてほしい。

 期待の新戦力の中では、ボランチとして出場した弓場のプレーは安定していて良かった。試合勘が鈍っているのか、宮本がパスミスを見せたりしていたので、もしかしたら弓場がボランチの序列を3番手に上げたかもしれない。

 結果的には3点がとれたが、終盤の2点は相手が前がかりになったところを突いたもので、それぞれ痛快ではあったものの、攻撃の形が結実したという感じではなかった。公式戦の連敗は止まったものの、個人的には今後の連戦に向け不安を払拭できないでいる。


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 メンタルだけで勝てるほどJ1は甘くないので、我々はどうビルドアップしていくのか、どうフィニッシュに持っていくのか、その中でどうしっかりと守備をするのか。全部引っかけられての失点だった。守備はそんなに揃っていないわけじゃないので、もう一度ホームで勝つ、攻守、そしてメンタリティ、フィジカル、タクティクス。全てが揃わないとJ1では当たり前のように勝てない。メンタルだけでも駄目、フィジカルだけでも駄目、テクニックだけでも駄目、やはりタクティクス含めて、戦術・戦略というのは必ずどのチームにも狙いを持って我々はやっているので、もう一度そこをしっかりやれるようにしたい。

 と、監督は言うのだが、チームの問題を良く分かっているような、まったく分かっていないような、ちぐはぐなコメントだと感じた。秋葉監督は上手く行かない時に「他人事」のようにチームを評することがあるが、ピッチ上で起きていることは、紛れもなく監督のチーム作りの産物だ。

 秋葉清水の場合、とりわけビルドアップ軽視の姿勢がツケとなって重くのしかかっていることは直視しなければならない。今さら「我々はどうビルドアップしていくのか、どうフィニッシュに持っていくのか」と言われても、こちらが困るわけで、それを考えて実践するのが貴方の仕事のはずである。もしも本当に「中は引っかけられやすいから外で回す」という程度のリテラシーしか備えていないのなら、J1の監督としては厳しい。

 怪我人多発は確かに痛いだろうが、この程度の離脱は、どんなチームでも起きうることだ。いや、むしろ主力が欠場した時の方が、チームとしての本来の完成度や組織力が出ると言うべきである。


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2100

 J1の強度とスピードに屈したという印象。ガンバがそんなに強いという感じでもなかったが、やはりJ1の平均以上のチームではあるなと実感した。個人的に、清水がJ1で通用するか非常に心配し、「J1のチームとやったら、こんな感じになってしまうのではないか……」と抱いていたイメージがあったが、実際にそうなったなという感想だ。

 秋葉清水の現在地や問題点が、色々と浮き彫りとなった。秋葉監督は、「J1でも戦えるようなチーム作りを進めてきた」と主張するし、そう言ってくれる評論家もいるが、個人的には疑問だ。昨シーズンも、組織的には清水より上なチームがJ2にもゴロゴロいたわけで、J1に上がればほぼ全チームがそうであろう。

 ビルドアップが苦しいし、最後の3分の1の形もない。ボールが運べないので、中央で無理をして、引っ掛けられてショートカウンターを浴びる。J2だったら清水のCBの個人能力で誤魔化せたかもしれないが、J1だと失点に直結する危険がある。ガンバ戦は、その形から失点したわけではなかったが、危険な場面は多発し、劣勢の基調を作った。

 関連して気になるのは、ブエノにホナウド臭がしており、バイタルエリア等で無理に持ち過ぎ個ではがそうとして、ボールを奪われるケースが散見されたことである。接触プレーに寛容な今季のJで、ああいう危険なボールの持ち方をしたら、餌食である。

 サイドハーフに怪我人に多発しているのか、学徒出陣とばかりに嶋本が先発したが、これまただいぶ苦しかった。今季の清水のスカッドは、「前線は飽和状態だがDFラインが手薄」などと言われていたわけだが、まさかアタッカーの頭数で苦労するとは。

 ガンバ戦の前までの清水は、ひたすらツイていたと思う。しかし、この試合では山原を負傷交代で欠くこととなり、ツキにも見放された。長引かないことを願う。


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9

 シティライトスタジアムって、名前変わったのか。いつもと雰囲気違い、芝の状態も悪そうだったので、DAZNで観てて、今回はどっか別の会場でやったのかと思った。

 岡山と言えば、申し訳ないが、格下というイメージで見てしまう。昨年もダブルだったし、J2で5位のチームだし、清水から流れていった選手も多いし。しかし、戦ってみて、もう格下イメージは返上せねばと感じた。元々木山監督の指導でベースがしっかりしているところに、オフの補強は清水より力が入っていただろうし、今季ここまで好調なのもうなずけると納得した。

 お互いの時間帯があり、お互いにチャンスがあり、どちらに転んでもおかしくない試合だった。ただ、清水としては、違いを見せていたカピシャーバや松崎が欠場し、連戦の疲れもあり、攻撃のクオリティは低かった印象。同じ1:1でも、広島戦は高いレベルのスリリングながっぷり四つだったのに対し、岡山戦は泥臭いしのぎ合いという感じだった。

 今季ここまで、清水が悪くない戦いができているのは、すべての試合で先制できていることが大きい。ただ、2試合連続で追い付かれたのも事実である。

 北川のPK、不安しかなかったが、的中した。ストライカーがPKが上手いとは限らず、現に歴代の名ストライカーでPK役を固辞した人も少なくない。北川は瞬間的なひらめきタイプで、精神的なムラもあり、PKのような間の駆け引きがキモの役割には、向いていないのではないか。


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5

 試合前、「あれ? 変なメンバー構成だ。さては、広島相手にミラーゲームに持ち込むべく、3-4-2-1で行くのか?」と思った。しかし、キックオフすると、山原左サイドハーフの、4-2-3-1のように見えた。ただ、試合が進むに連れ、山原がディフェンスラインまで下がることが増え、なんだ結局3バックだったのかなどと、頭を捻りながら見ていた。秋葉監督監督は試合後に、「実は4枚も3枚もうちはあまり関係ない。どのみち広島さんはマンツーマン気味にくるチームなので、あまりシステムどうこうというよりは、どうマンツーマンにくる相手を剥がすのか、という話を選手たちとしていた」とコメントしている。まあ、要するに可変だったということか。

 当S研ブログではいつも、秋葉清水にはアタッキングサードの形や質がないと苦言を呈することが多い。しかし、この広島戦では、前半は割と良い攻撃ができていた。クサビのパス、ポケットをとる動き、ドリブル突破、何度も会場が沸いた。松崎がキレているのも大きかった。広島の3バックは、両脇が開くという読みがあったのか、清水はサイドに突破力・走力のある戦力を配置し、その結果として試合途中までは優位に運べたと思う。

 まあ、とはいえ、広島が連戦で疲弊していたことは、割り引かねばなるまい。3バックの不動の一角であるベテラン塩谷を温存したのも、その影響だろう。ハーフタイムで塩谷を投入して以降の広島は格段に落ち着き、王者の戦いを取り戻した。ついでに塩谷は同点ゴールまでゲット。

 後半にも清水には何度かチャンスもあったが、寒空の中で押され気味の試合を観ていたオレンジサポの多くは、「このまま勝ち点1で終わってくれ」という思いだったのではないか。最初から広島がフルスロットルで来たら、飲み込まれていたと思われ、つくづく今季ここまでの清水はツイてるなと感じる。


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3

 マンオブザマッチは、カピでも松崎でもなく、乾だろうな。あの退場劇を誘発したという意味で。

 そう思わせるくらい、この試合の序盤は劣勢だったし、彼我の格差を実感させられた。新潟はとにかくボールを動かすのが上手い。誰がどこに立って何をするのかがはっきりしている。清水はその逆。

 考えてみれば、清水はJ2で過ごした2年間も、こういう「安い選手たちを監督がしっかりと仕込んで機能的にサッカーをしてくるチーム」が苦手だった。それをより高い次元でやってくる新潟に、苦戦するのは当たり前か。あれでもうちょっと決め切るストライカーがいたら、もっと恐ろしかった。

 驚いたのは、新潟が一人少なくなって以降も、若干慎重にはなったが、基本的には同じような戦いを続けていたことである。一人少なくても、清水程度なら行けるという判断だったか。まあ、そう思われても仕方ないのが、今の我が軍の力だろう。

 いずれにしても、清水が数的優位になったことで、ようやく活路が開けた。退場劇に続いてラッキーだったのは、前半終了間際に、セットプレーから先制できたこと。そして、後半も効果的な攻撃はまったくできていなかったが、ラッキーパンチのような形で、追加点がとれたこと。むろん、両得点とも、シュートは素晴らしかったが、一人少ない相手を理詰めで追い詰めて決め切ったという感じではなかった。

 2点リードで余裕が生じ、次節ミッドウィーク連戦もにらんでか、秋葉監督の割には交代策も早かった。おそらく2トップのテスト、その組み合わせも、色々試したかったのだろう。

 しかし、誰が見ても、意気消沈した新潟を押し込みながら、3点目、4点目をとれなかったことが、いただけない。相変わらずアタッキングサードの「形」が見られず、選手の思い付きだけでやっているので、決定機が生まれない。秋葉監督も言葉では「ポケットをとれ」と言うが、それを具体的に落とし込むトレーニングはできているのか? 開幕2連勝は夢のようだが、同時に我が軍の厳しい現在地も痛感することになった。


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 個人的に、多忙につき国立には行けなかったのだけど、現地組の皆さん、ご苦労さんでした。

 まあ、何しろ昨年のJ1で6位だった相手だし、会場が会場なだけに、もっと苦労するかと思ったのだが、見事な開幕戦勝利。うちのチャンスも多くなかったが、相手に危ない場面はほとんど作られなかった。

 リードしたあと、後半の前半は、前プレスがはまり、完全に優勢だった。欲を言えば、もっと上手く終盤の試合運びができた気もするのだが、昨シーズンからのパターンで、秋葉監督の交代策が遅い。ただ、この日のベンチ入りメンバーを見ると、メンバーチェンジをすることで逆に流れを悪くしてしまう可能性もあり、慎重だったのもまあ何となく理解はできる。

 北川がイエローを受けたこともあり、注目のアフメドフは割と早く投入されたが、ちょっとプレーが淡泊で、前線から猛烈にプレスをかけるような印象はなかった。アフメドフはサンタナのようなボックスストライカーで、味方にお膳立てしてもらって最後を決め切るのが持ち味なのかもしれない。この日の後半の後半のように清水が跳ね返すだけの展開になってしまうと、活きないのではないだろうか。タンキの方が、前で収めてくれる分、今回のような試合展開には向いているような気がした。

 先発メンバーは全員が持ち味を発揮していたが、交代策がパワーアップではなくダウンに繋がってしまったのが、少々残念。控え枠が拡大されても、矢島や小塚らの名前がなかったということは、コンディション不良だろうか。


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 2025年のJ開幕を告げる昨晩の「金J」大阪ダービーは、2:5と思わぬ差がついて、アウェーのセレッソが勝利、か。

 言うまでもなく、清水以外の試合を観る時も、清水目線になるわけで、特に今季は「J2で優勝こそしたものの、我が軍はJ1で通用するのだろうか…」と、不安を抱えながら開幕戦を観てみた。

 清水サポからすれば、残留ライバルとなりそうなチームが負けてくれた方がありがたい。その観点で言うと、事前の下馬評では、ガンバ上位予想、セレッソ中位予想が多かったので、強いて言えばセレッソの敗戦を予想・期待するという目線になる。ちなみに、サッカーダイジェストの評論家平均予想では、ガンバが4位、セレッソが12位だった。セレッソは、監督も変わったし、エースストライカーをはじめとする戦力流出もあり、「下手したら残留争いに巻き込まれる」という見方もあった。

 しかし、開幕戦の蓋を開けてみると、セレッソの完成度は思いのほか高く、ガンバは随所で甘さを見せ、予想外の結果となった。開幕前の評論家の予想など、たった1試合で、覆ってしまうものだなと、実感した。

 セレッソが残留争いなどということはありそうもないし、ガンバも巻き返していくだろう。所長のような志の低い清水サポの目から見ると、これでまた降格候補の顔触れが絞られてしまったなという印象だ。


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