エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

カテゴリ:エスパルス > 戦評・分析

907

 色んな意味で、鈴木唯人が目立ちまくった試合だった。これまで左サイドハーフで起用されることが多かった唯人だが、ディサロおよび後藤の低パフォーマンスと、カルリーニョスの負傷離脱で、唯人がサンタナの相棒として2トップの一画として起用されるようになったのが、この試合だった。

 試合序盤に、唯人が突進し、ゴールキーパーまで外しながら、シュートをポストに当ててJ1初ゴールを逃した場面は、今季のJの珍プレー集で優勝しそうなトホホなシーンだった。しかし、その薬が効いたのか、その後この試合で唯人は、前線ハイプレスでチームに勢いを与える。なかなか前への矢印が向かないロティーナ清水にあって、唯人のプレスが勢いをもたらすような結果となった。先制点は、唯人が直接は絡んでいないが(スプリントしてDF2枚を引っ張ってはいたが)、それでも目覚ましい活躍だった。

 ちなみに、これ以降の試合でも、2トップの一画である唯人が前からプレスに行くのは定番になるわけだが、プレスの激しさや運動量ではこの神戸戦が一番だった印象を受けている。神戸戦では、相手GKにまで圧力をかけたり、そうかと思うと自陣に戻ってプレスバックしたり、広い範囲を精力的に動き回っていたが、後の試合ではそこまでの迫力は感じない。本人の変化なのか、それとも対戦相手やチーム戦術ゆえなのか。

 この試合、唯人の働きが光っていただけに、先制直後に唯人に代わって投入された後藤に物足りなさを感じてしまった。84分の場面で、後藤が左コーナーフラッグ付近まで持ち込みながら、なぜか自らタッチラインに蹴り出した場面は、唯人が決定機を外した以上の珍プレーと言わざるを得ない。自分でキープして味方のサポートを待ってもよかったし、相手に当ててコーナーやスローインを狙うならまだ分かるが、なぜ自らタッチラインに蹴り出すのか? 別に、学力テストができなくてもいいから、サッカーだけは賢くやってほしいものである。

 そんなこんなで、内容面で相手を上回ることのできた神戸戦だったが、改めてこの日の神戸のメンバーを見ると、全員が日本人である。あれだけ外国人依存度の高い神戸で、外国人選手が一人もいないのは異例と思われ、イニエスタもサンペールもドウグラスもいなかったからこそ先方の攻め手が限られたということは考慮すべきだろう。

 この試合、もし勝てていれば、今季のベストゲームだったかもしれない。しかし、左右の揺さぶりおよびクロスに弱く、試合終盤に致命的な失点を喫するという悪い癖がまたしても出て、勝ち点は1にとどまった。

 まあ、後から考えると、同点弾を浴びたことよりも、原輝綺が櫻内に踏まれて大怪我したことの方が、ずっと痛かったかな。あれは、守備を固めるためだったのか、奥井に変えてヴァウドを入れ、CBを務めていた原が左サイドに回った直後に起きた悲劇だったわけで、そのあたりも含め、終盤に不幸が集中した試合だった。

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904

 浦和は、今季序盤、新監督の下でのサッカー構築に苦労し、この頃は全然結果が出ていなかった。前節で鹿島が浦和に勝ち星をプレゼントしてしまい、浮上のきっかけを与えてしまったという巡り合わせの悪さはあったが、まだユンカーもいない、興梠も本調子でなかったことを考えれば、絶対にホームで勝っておきたい試合だった。

 それが、前節に続き、ホームで無得点・複数失点の連敗とは、ズシリと響いた。内容的にも、ビルドアップの質、切り替えの速さ、球際の強さなどでことごとく浦和に上回られ、悔しい思いしか残っていない。

 しかし、意外なことに、試合後のロティーナ監督のコメントは、失点シーン以外は悪くなかったといったものだった。

 一つのポイントとして、この浦和戦で宮本がリーグ戦に初先発し、以降、カップ戦を含め、現在に至るまで実に23試合連続で先発出場していることである。ロティーナ監督が勝っても負けても口癖のように「内容は悪くなかった」とコメントするようになるのはこの頃からであり、指揮官の中では、宮本がいると思い描くようなサッカーができるようになるという位置付けなのであろう。

 それとは逆に、苦境に陥ったのが竹内だった。前節の徳島戦で相手にひっくり返されて失点のきっかけとなったのに続いて、この浦和戦でも敵のコーナーで岩波にあっさりと競り負け、またしても先制点の原因となってしまう。おそらく、ロティーナの認識では、チーム戦術が機能していても、DFやボランチのエラーで失点してしまうのはチームとしていかんともしがたく、ならば選手を代えるしかないという考え方なのではないだろうか。実際、竹内は、怪我の時期もあったとはいえ、この浦和戦を最後に、3ヵ月近くリーグ戦の先発の座を外れることになるのである。

 確かに、この試合の浦和はシュート2本と、決定機の数は少なかったが、その両方を決めきったわけだし、チームとしてやりたいことははっきり見えていた。一方、清水は、特に前半、可能性の低い遠目のクロスしか攻めの形がなく、攻撃イメージをチーム全体で共有できているとは言い難かった。後半多少活性化したとはいえ、途中投入のエウシーニョの個人技頼りだったし。試合後、ロティーナは、「良い道のりを歩んでいると思っているので、これを続けていきたい」と述べているが、その道のりは果てしなく遠そうだなと、気の遠くなるような浦和戦であった。

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901

 引き続き、今季清水のリーグ戦を第1節からもっかい全部観るというチャレンジを続けているが、このホーム徳島戦ほど観るのが辛い試合もない。徳島の良いところが全部出て、逆に清水は良いところが一つもなかった。パンクブーブーのでかい方、じゃなかった、笠原寛貴主審との相性の悪さも相まって、ストレスはMAXである。

 名将の誉れ高いロティーナ監督の仕事振りは、代役に過ぎない敵将・甲本HCに引けをとった。日本代表GK権田のパフォーマンスは、先方の上福元のそれよりも、明らかに劣っていた。ヨーロッパの実績を引っ提げて来日した点取り屋サンタナのプレー振りは、J1経験がほとんどない敵の垣田裕暉よりも見劣りした。うちの方がずっとカネをかけているはずなのに、この現実は辛い。後日、アウェーで徳島と対戦した時も、相手に8割ボールを持たれるというスキャンダラスな試合になってしまったわけで、とにかく徳島とは相性が最悪としか言いようがない。

 他方、現時点から振り返ると、「この頃、ロティーナは、選手をふるいにかけていたんだな」ということも感じる。前節の柏戦で良い動きを見せた金子は、この試合でも先発出場を果たしたが、ハーフタイムで引っ込められた。別に金子が特別悪かったという印象はないのだが(全員が悪かったので)、ロティーナのお気に召さないところがあったのか? 結局、金子が清水の選手としてJ1リーグ戦に先発出場するのは、この試合が最後となるのである。

 この試合では、その金子→中山だけでなく、福森→原、後藤→カルリと、ロティーナにしては珍しく、ハーフタイムに一気に3枚替えを行った。さらに、その後も西澤→中村、河井→鈴木唯人とたたみかけ、71分までに交代カードをすべて使い切った。それだけ、チームが機能せず、何かを変えなければという監督の焦りがあったのだろう。しかし、誰が出ても清水の内容はまったく上向かず、試合終了のホイッスルを虚しく聞くことになる。

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900

 DAZNをパソコンで動画キャプチャーし、自力で作成している清水の試合動画アーカイブ。五輪中断期間を利用し、それを第1節から改めて観るというプレイバック・チャレンジを続けている。今回は、アウェー柏戦。個人的には、開幕戦の鹿島戦に続く、「居ても立っても居られなくなり敵地に単身潜入した」パターンであり、酷い嵐の中で勝利を掴んだ試合でもあり、忘れられないものとなっている。

 開幕戦以来の勝利となったこの試合、とにかく際立ったのは、清水イレブンの気迫と一体感だった。前節までの「よそ行き」のサッカーはかなぐり捨て、闘志を前面に押し出し、目の前の敵に負けないという気合が感じられた。それはロティーナ監督にしても同じで、試合後には珍しく喜びを爆発させていた。

 言い換えれば、前節までの戦いがあまりにもふがいなく、シュートすらロクに打てない試合が2試合続き、「このままでは駄目だ」という意識が強かったのだろう。そこで、この柏戦では立ち上がりからアグレッシブに行き、前半のうちに電光石火の2得点を奪った。

 もっとも、この柏戦も、終わってみればシュートは前半の3本だけで打ち止め。前からプレスに行ける時はよいが、受けに回ると守備一辺倒になってしまうというチームカラーが出てしまった。この柏戦では相手の不調もあり、わりと危なげなく勝ち切ることができたものの、試合終盤ずっと押し込まれる悪い癖を露呈した試合でもあった。

 この柏戦で注目すべきトピックは、西澤と金子の2人が、今季リーグ戦では初先発を果たしたことだろう。そして、出場機会に飢えていた2人の悔しさを、上手くチームのエネルギーに転化して勝利した。現地で観ていて、新加入選手だけでなく、既存の中心選手も目の前で躍動していることがとても嬉しく、その時は、「これで新旧が融合し厚みのあるチームになるな」と喜んだのだが…。

 そして、現時点から振り返って、この柏戦が転機になったと思えるのが、宮本と奥井が途中出場ながら今季リーグ戦初出場を果たしたことである。宮本はそれほど派手さはなかったが、ヴァウドが負傷退場したことを受け急きょ投入された奥井が、出色の働きを見せた。体を張ったデュエルや守備は感動的ですらあり、その後奥井が(怪我人続出の結果でもあったが)レギュラークラスで活躍する第一歩となった。そう言えば先日権田が、前半戦のMVPは奥井選手だと思うと述べていたが、それはこの柏戦から始まったのだった。

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896

 オリンピック、思いのほか、盛り上がってまんなあ。しかも、サッカーのような普段触れる機会の多い競技よりも、マイナースポーツの方が熱いような気がして、そう考えると、オリンピックって意外と意味があるのかな、なんて思えてくる。

 とはいえ、個人的には五輪はスルーし、今季清水の激闘の記録(?)をプレイバックするチャレンジを続けている。昨晩は第5節アウェー広島戦を視聴してみた。でも、深夜に観て、清水側が湧く場面が少なかったこともあり、居眠りしながらになっちゃったなあ。

 この広島戦、先発にヴァウドやカルリーニョスの姿がなく、「なぜこんな先発メンバーにしたのか?」と不思議に感じたが、考えてみれば、ミッドウィークの水曜開催で、前節からわずか中2日のアウェー戦だったんだねえ。だから、プレー時間管理のため、ある程度ターンオーバーしたというわけだ。ホント、リーグ戦の水曜開催は、勘弁してほしいわ。

 今、この広島戦を観ると、清水側は、ロティーナ戦術の浸透、システムおよび選手の見極め、過密日程でのやりくりという具合に、己と戦っているようなそんな妙な印象を受ける。広島と戦っているというよりも。それだけ、まだチーム構築の途上だった。

 そして、後知恵で思うのは、「この試合には宮本も奥井もいないなあ」ということである。それもそのはずで、その後出ずっぱりとなるこの2人は、シーズン序盤にはまったくと言っていいほど出番がなかったのである。この2人が、くしくも揃ってリーグ戦に先発出場するようになるのは、第8節浦和戦からであり、序盤は影も形もなかったのである。

 さて、広島戦は、スタッツによれば、清水のシュートはわずか2本。前節の1本に続いて、「フィニッシュに持って行けない病」に苦しんだ。サンタナは孤立し、本人も効果的な動き出しもない。2列目は、右の中山も中央の後藤も左の鈴木唯人も機能せず。先発を外れたカルリーニョスの推進力に、普段いかに依存しているかが、浮き彫りとなった。

 清水のシステムは4-2-3-1または4-4-2っぽかったが、両サイドバックが攻撃面で機能せず。左SBの原は、時折果敢な攻め上がりは見せたが、やはり右の方が良い。では右は誰だったかというと、立田を起用し、攻撃の起点にはなれなかった。この試合、今季初めて、福森がセンターバックとしてリーグ戦に初出場したが、どう考えても、鈴木義則と立田の2CBに、右SB原、左SB福森の方が機能しただろう。それをしなかったのは、この時点でロティーナが立田をCBとして信用していなかったからではないか。

 失点は、広島のコーナーキックから、2度折り返されてボールウォッチャーになり、DFの荒木に蹴り込まれたものだった。広島側としては、この日の清水には、1点で充分だった。

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897

 昨日は多くの皆さんがサポーター・サンクスデイに参加し、楽しまれたようで、良かった。残念ながら、所長はアイスタまで出かける時間が捻出できず、不参加となった。それに、個人的にはバラエティ企画的なものにはそれほど興味がなく、サッカーそのものに集中したいという気持ちが強いので、家で試合動画を観ていた方が自分らしいかという気持ちもあった。

 そんなわけで、昨日は第4節ホーム鳥栖戦をプレイバックしてみた。今振り返ってみると、この鳥栖戦は前半戦の大きな転機になったと思う(悪い意味で)。望外の勝利を収めた第1節、勝てたはずだった第2節、そんなに悪くもなかった第3節と、ここまではそれなりに手ごたえがあったわけだが、第4節に至って「ほとんど何もできない」という試合になってしまった。放ったシュートは、わずか1本とされている。内容は非常に厳しかったが、その割には権田のセーブ連発で何とか勝ち点1を拾ったという、今季の中では非常に珍しいパターンだった。結果的に、ロティーナ清水のリーグ戦としては初のクリーンシートを達成したが、同時に初の無得点でもあった。

 この鳥栖戦から清水のパフォーマンスがガクンと落ちたのは、周知のように、ロティーナ・サッカーの申し子である片山が前日練習で怪我をして、戦線離脱したことが痛かったと言われている。この鳥栖戦、清水が初めて3バックで臨んだのは(ビルドアップの時に右の立田が上がり気味になる変則的な3バックだったが)、片山不在ゆえだったのか、それとも鳥栖対策だったのかは、いまだに良く分からない(試合後の監督コメントは後者であったような口振りだったが)。まあ、確かにキーマンの離脱は痛手にせよ、1人がいなくなっただけでチーム全体が沈んでしまったのだとしたら、そもそもそこまでのチーム力だったと言わざるを得ない。

 清水も鳥栖も、チームコンセプト的には、広い意味でのポジショナルプレーを志向しており、相手も見ながら立ち位置を調整して優位に立とうという考え方だろう。しかし、この試合では、その浸透度・完成度の差が、如実に表れた。一応、清水の時間帯も無かったわけではなく、後半開始から15分くらいは前線からのプレス強度を高めた清水が敵陣に攻め込む形勢となった。しかし、次第に主導権を奪い返され、最後の20分ほどは、(本当は見たくない)権田の見せ場の連発となってしまった。

 全体として、鳥栖のチャンスはチームコンセプトがシュートという形で結実する再現性の高いものであるのに対し、清水は選手の属人的能力やアドリブだけで、稀にそれが上手く行った時だけチャンスになりかける、という印象だった。

 片山の離脱と、鳥栖戦での自信喪失が、2つのボディーブローのようになって、その後の清水を苦しめていった。

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896

 世の中はオリンピックで盛り上がっている(?)が、所長は一人MYオリンピック、今季の清水のリーグ戦を第1節から全部観直すというチャレンジを続けている。ちなみに、できればルヴァンカップの試合もプレーバックしたかったのだが、カップ戦も含めると五輪中断期間に全部観るのは不可能なので、残念ながら割愛。

 というわけで、第3節アウェー・セレッソ戦である。ロティーナ体制で初の敗戦となってしまった試合だ。ただ、今回改めて試合全体を観てみて、「今季、負けた試合の中では、一番内容が良かったな」と感じた。清水が勝った可能性もあっただろうし、少なくとも勝ち点1程度には値した。

 全体の印象は悪くなかったものの、試合開始早々の4分に先制しながら、2点目がとれそうでとれなかったところが、問題だろう。特に、先発出場した後藤が前後半に1回ずつあった絶好機を外したのが痛かった。「後藤、お前、そういうところだぞ」と言いたくなる。こういうことを続けていた結果、ポジションを鈴木唯人に奪われ、出場機会を失って行ったわけだからなあ(じゃあ唯人が決めまくっているかというと、それはまた別の話だが)。

 今、改めて観てみても、そんなに悪くない印象のセレッソ戦だったが、コーナーから失点、クロスから失点、終盤の勝負所で失点と、今季の清水の悪癖が凝縮されたような試合でもあった。最後の清武に決められたシーンは、原を責めるのは酷で、西澤がついていくべきだったのかな?


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988

 ツイッターとかを眺めていると、昨晩、皆さん結構、五輪の開会式をご覧になったようで、驚いている。散々批判とか揶揄する声があったけど、それなりに皆さん関心はあったということか。その時間帯、個人的には、プレイバック・シリーズで、第2節ホーム福岡戦を観ていた。

 さて、ホーム開幕戦の結果は、2:2で引き分けだった。アディショナルタイムのフリーキックから、同点ゴールを被弾。今、考えても、まったく受け入れられない結末である。

 この試合を勝ち切れなかったことは、本当に痛かった。単に、開幕2連勝を逃したというだけでなく(実現すれば14年振りだったらしい)、その後2勝目が遠くなってしまったし、ホーム初勝利が3カ月近く先になってしまったし、ついでに言えば昇格チームの福岡を調子付かせてしまった。今思えば、ロティーナ清水が前半戦に低迷した大きな原因が、この試合で勝てなかったことにあったと言って過言でない。

 今回、改めてこの福岡戦を観てみて、実に皮肉だなと思ったポイントがあった。例のアディショナルタイムの同点被弾に至る経緯である。あの場面は、権田のゴールキックから始まった。この試合でも、一応はGKからのビルドアップを試みていた清水だったが、試合終盤で1点リードしている状況ゆえ、低い位置でボールを奪われることを恐れ、権田はビルドアップではなく、大きく蹴ることを選択した。ところが、清水はそのロングボールを収められず、相手にこぼれ球を奪われ、そこから福岡に繋がれ、結局ヴァウドが危ない場所でファウルで止めることになってしまったわけである。つまり、安全策として選んだはずのロングボールが、逆に痛恨の失点を招いてしまったわけだ。そのことも含め、何ともやりきれない、いまだに釈然としない、引き分けだった。


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893

 当S研ブログではだいぶ以前に、「DAZNも録画できないことはない」ということをお伝えした。DAZNにはダウンロード機能がなく、一定期間が終わると試合の視聴ができなくなってしまうので、動画キャプチャーソフトの一つであるBandicamというのを使い、清水の試合のアーカイブを自力でせっせと作成しているということを申し上げた。

 今でもそれを続けてはいるのだが、最近一つ、気付いた点がある。ウインドウズPCは、Windows 10になってから著作権保護がやたらと厳しくなり、Windows 10上では、動画キャプチャーソフトを使っても、DAZNの動画を録画することはできないことが判明した。画面が真っ黒な状態の動画が残されてしまう。ちなみに、動画だけでなく、Windows 10ではDAZNのスクショすら撮ることができない。所長がメインで使っているPCはWindows 8なので、問題なくDAZNを動画キャプチャーできているが、Windows 10では駄目なので、皆様諸々お気を付けください。そう考えると、Windowsもバージョンが新しいほどユーザーにとって便利ということでは決してなく、逆にWindows 8機がお宝PCに化けたりするかもしれないな。

 実を言うと、清水の試合の動画をアーカイブしても、普段はそれほど観る機会がない。新しい試合が次から次へとやって来て、それを追うのに精一杯になるからである。しかし、今年に限っては、五輪による長いリーグ戦の中断があるので、その中断期間を利用して、「プレイバック」シリーズと銘打って、今年の試合を第1節からもう一度観返すことにした。

 そんなわけで、開幕戦のアウェー鹿島戦である。個人的に、この試合は、居ても立っても居られなくなり、初めてアウェー鹿島の地に単身乗り込んで、望外の勝利を挙げたので、今季の試合の中でも、最も鮮烈な記憶に残っている。

 改めて試合動画を観返すと、清水はかなり幸運だったことは否めない。何しろ、鹿島のシュートが権田の守るゴールの枠に当たった場面が、3度もあった(そのうち1回はそのこぼれ球から失点してしまったわけだが)。FW上田が前半に着地の際に足を痛め、その後のプレーで精彩を欠いたのも大きかった。対する清水は、数少ない攻撃機会を効率良く得点に繋げ、鹿島側にしてみればまさにエアポケットに入り込んだような形で終盤にあれよあれよという間に3失点を重ねたのだった。開幕当初の鹿島はまだチームの完成度が低かったという見方もできるし、逆に開幕節で清水にショッキングな形で負けたことによって、ザーゴのチームはそのまま悪い流れに陥り、監督交代にまで至ったという見方もできる。

 この試合のサンタナのゴール、良いゴールだった。ボックス内に侵入し、ボールを上手く収め、相手のタイミングを外してコースを狙うような打ち方だった。その後のサンタナは、ゴール前に迫っても、足を思いっ切り振ろうとするあまり時間がかかって、相手DFやGKにブロックされてしまうシーンが目立つようになるけれど、この開幕弾のように、落ち着いてコースを狙うようなシュートを心掛けてほしいものである。

 開幕戦では、金子はベンチ入りして、途中出場も果たしてたんだなあ。後藤も毎試合使われていたし、彼らにもチャンスは充分与えられていたということだ。わずか半年前のことなのに、思わず遠い目になってしまう。

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30

 個人的な印象では、ロティーナ監督の試合終了後のコメントは、通り一遍の話が多く、あまり面白くないというイメージがある。しかし、川崎戦後のコメントでは、珍しく具体的な話をしていて、おや?と思った。

 (CB井林の評価を訊かれて)全体的なパフォーマンスは良かったと思う。ビルドアップで期待していたように貢献してくれていたし、ディフェンスも良かったと思う。ただ、1失点目は体を使うのが上手い選手に対して、無理にインターセプトに行って入れ替わられた。これは修正していく必要があると思う。私は常にインターセプトを狙うセンターバックは好きではない。というのは、相手に抜くチャンスを与えてしまうから。

 シーズン前から、ロティーナは、ディフェンダーが持ち場を離れてむやみにインターセプトを狙いに行くようなプレーは好まないと、話には聞いていたが、本人の口からはっきりとそのような発言がなされ、なるほど、やっぱりそうだったのかと思ったわけである。

 ただ、問題の川崎戦の1失点目、井林はインターセプトを狙っていたのだろうか? ちょっと前に出たところ、ダミアンに後ろをとられてブロックされ、結果的にダミアンのペナ侵入を許した、といった感じに見えたのだが、どうだろうか? まあ、いずれにしても、そこからほころびが生じて、失点してしまったのは事実だ。ロティーナ戦術を知る男という触れ込みで加入した井林が、監督の意に沿わないプレーをしてしまい、敗因になったのだとしたら、ちぐはぐなことだ。

 センターバックがむやみに敵に食いつくのは正しくないというロティーナ哲学からすれば、徳島戦の2失点目は、どうだったのだろうか? あの場面は、立田が前に食いついた結果として中央の守備が手薄になり、やられてしまった。以前からよく見る光景ではあるけれど。

 今季の清水では、4バックと仮定すると、2人のCBのうち、鈴木義宜が絶対的な軸であり、ヴァウドか立田のどちらかが義宜の相棒を務めるという状態が続いていた。開幕から第8節くらいまではヴァウドが優勢だったが、第10節で立田がレギュラーを奪い返し、第15節で再びヴァウドが先発の座を奪還、しかしルヴァン・プレーオフで義宜が大怪我をしてしまったことで、否応なしにヴァウド・立田のコンビとなっていた。

 そして、ロティーナと相性が良いはずの井林が加入し、CBのレギュラーに割って入る可能性があるだろうなと思っていたが、個人的には井林+ヴァウドになるのかな?と思っていた。言い換えれば、ロティーナ監督の中では、立田よりもヴァウドの信頼度の方が高いのではないかと思っていたわけである。

 しかし、川崎戦で監督が起用したのは、井林と立田のコンビ。ヴァウドより立田のパフォーマンスが現状高いという判断なのか、ヴァウドのコンディションの問題か、井林との相性を考慮したのか、そのあたりは分からない。今後どうなっていくかも、まだ良く分からない。

 川崎戦で井林は、位置取り、サポート、パス出しなどで、良いセンスは見せてくれたと思う。ただ、ロティーナ監督の言うように、1失点目の原因を作ってしまったのだとしたら、もしかしたら信頼が低下してしまったかもしれない。

 原が右SBとしてあまりにも効いているので、原をその位置から動かしたくはないが、もしもヴァウドや立田がピリっとしないようだと、やはり原をCBで使うかということになるかもしれない(特にエウシーニョが復帰したあかつきには)。もちろん、原を含めた3CBも、引き続き有力なオプションだ。

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81

 川崎側は、飛車・角・金を落としたようなメンバーだったけど、それでも先発メンバーを見れば、それなりに豪華だった。あと2~3人、主要メンバーが欠けてくれれば、もしかしたら、もうちょっと良い勝負になったかもしれないが…。

 あと、先方は酷暑の外国遠征から帰国したばかりであり、コロナ対策のバブルなど、色んなストレスが溜まっていたはずだ。後半になったら足が止まるはずで、それまでに何とか無失点で行ければ、などと期待して観ていたのだけれど。

 まあ、そういう条件の差を打ち消してしまうほど、両チームには大きな力の差があるということだろう。清水の方も、今できることは、すべてやった。徳島戦のように、相手に8割持たれることはなく、時折自分たちのやりたいことをトライしていたし、何度かゴール前にも迫った。

 ただ、全体としては、やはり清水は、グループでボールを動かすことが、なかなかできない。後半途中、相手の足が止まるまでは、パスが繋がるのは2~3本程度で、ビルドアップできるのはハーフウェイまでだった。カルリにボールが渡った時だけ、個人的な推進力で敵陣に侵入できる程度だった。そして、やはり最後の3分の1のクオリティが、川崎には大きく劣る。

 もちろん、絶望することはない。清水は、今のサッカーを磨いていけば、J1で生き残っていくことは、可能だろう。しかし、今回見せ付けられた川崎との「質」の差は、いつか埋まることがあるのだろうか? そんなことも、考えさせられた。

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bc

 徳島戦で清水がたたき出した23.2%という支配率は、恐らく今季のJ1の最低記録だろう。調べたわけではないが、Jの歴史全体で見ても、ワースト10には入るのではないか。知らんけど。

 清水が川崎あたりとやって、7:3くらいでボールを持たれることは、しばしばあることだ。しかし、8:2というのは、普通はまずお目にかかれない比率である。

 言うまでもなく、ボール支配率を高めることを自己目的にするのは、愚かである。支配率が高ければ高いほど勝利に近付くなどということもない。

 現に、今季清水のリーグ戦における戦績を、支配率の高かった順に整理したのが、上表である。勝ちは青で、負けは赤で、引き分けは白で示してある。そもそも、今季清水の支配率が50%を超えた試合は3試合しか無いことに驚くが、清水が比較的ボールを持った試合は、結果が芳しくない。

 それに対し、清水が勝利した試合は、支配率が35~45%くらいのゾーンに集中している。現時点の清水にとっては、このくらいが一番丁度良いわけである。カウンターとセットプレーくらいでしか点がとれないチームとしては、有りがちな現象だ。

 もちろん、支配率と勝敗の因果関係は、どちらが原因でどちらが結果なのか、微妙なところである。アウェー大分戦、ホーム徳島戦などは、相手にリードされ、清水がシャカリキになって攻めたので、結果的に支配率が高まった形だろう。高支配率の結果、負けたわけではない。

 このように、支配率の数字を盲目的に追い求めるのは、ナンセンスである。だが、何はどうあれ、今回の徳島戦の23.2%という数字は、完全に「有り得ない」レベルである。

 いくら徳島がボールを持つだけで、攻撃の迫力がないからといって、ずっと攻めさせていれば、何かが起こっても、不思議ではない。それを防ぐためにも、清水の側も時にはボールを保持して呼吸を整える時間も必要だったし、攻撃の武器を見せて相手を警戒させ、敵の全員が清水陣に入って好き放題にボールを回させるようなことを抑止すべきだった。マイボールのスローインすら、すべて相手に渡しているような状態で、いずれ同点弾を被弾するのは、やはり必然だったと思える。

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 先日の大分戦の際に気付いたのだけど、試合前のウォーミングアップのメニューが、ちょっと変わったのではないか。センターバック2人が、GKと声をかけあいながら、ゴール前でクロス対応の練習をしていた。所長の知る限り、以前はこのようなメニューはなかったはずである。上の動画がその様子。

 何しろ、今季の清水の3大失点パターンは、クロス(折り返しも含む)、コーナーキック(折り返しも含む)、そしてバイタルからのミドルシュートだからな。そのうちの一つ、クロス対応を改善するため、試合前に確認を行うというのは、理解はできる。まあ、プロサッカーチームのウォーミングアップでは、あまり見ないような気もするが(笑)、なりふりは構っていられない。

 ようやく、クロスを跳ね返すところまでは、徐々に改善されつつある気もするが、ここに来てクローズアップされているのが、セットプレーからのこぼれ球を含め、バイタルからのミドルシュートによる失点だ。天皇杯ではJ3相手にカットインからのゴラッソを許したし、徳島戦に至っては2失点ともにその形だった。それにしても、あれだけ監督が中央の守備を固めろと言っていたのに、なぜあんなヤバい位置からのシュートを許すのやら…。

 どうも、清水のイレブンは不器用なようだから、試合前のウォーミングアップで逐一確認しないと、ちゃんと対応ができないのかもしれない。クロス対応に続いて、バイタルからのミドル対応も、メニューに加えるべきかもな。それこそ、そんな練習をしているチーム、見たこともないが…。

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885

 アウェー徳島戦は、土壇場に追い付かれて、2:2ドロー。まあ、敵がリーグで2番目にボール支配率が高く、逆に清水は支配率下位ということで、徳島がボールを持つ展開自体は予想できた。それにしても、8割近く持たれるというのは、あまりにも極端だった。

 これだけボール保持で差がついたのは、両チームのスタイルの違い、ポゼション力の差、この日の戦術に加え、試合展開も重なった結果だっただろう。何しろ、清水はあまりにも簡単に先制でき、追い付かれはしたが、またしても簡単に勝ち越し点を奪えた。リスクを冒して攻撃に重点を置くよりも、ブロックを敷いて守ろうという意識が、必要以上に大きくなった。

 徳島は、ボールは握ってもシュートまでは行けないという前評判通りで、後半ずっと支配されていても、危ない場面はほとんどなく、このまま行けるのではという感触もあった。ただ、それにしても、自陣にこもって大きく蹴るだけの清水の戦いは情けなく、「このブサイクなサッカーで、勝ち点3までも失うことがあったら、目も当てられない」と思いながら観ていたのだが…。最後は、あまりにも志の低いサッカーに対して、「罰」を受けたという印象だ。

 同点にされて、残り数分。清水イレブンは、勝ち越し点を奪って再び突き放したいという選手と、アウェーだからこのまま勝ち点1でやむを得ないかという選手とで、バラバラだったように見えた。ただ、どちらかというと、引き分けやむなしの方が多かったか。だとすれば、この日の清水が値したのは、最大でも勝ち点1だったという結論になる。

 得点力のない徳島だから、こんな相手を引き込んだ戦いをしても、2失点で済んだ。次節、川崎相手に、こんな腰の引けた試合をしたら、どれだけ失点をするか、分かったものではない。

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883

 というわけで、本日はアウェー徳島戦。まあ、誰もが思う通り、徳島は、甲本ヘッドコーチが暫定的に指揮を執り、日本人プレーヤーだけでやっていた第9節までの方が、今よりずっと強かった。その最大の被害者になったのが他ならぬ清水であり、日本平で徳島に見せ付けられた流動的で完成度の高いサッカーには、脱帽せざるを得なかった。その4試合後の鹿島戦から、今のポヤトス監督に代わり、外国籍選手も続々と合流してきたわけだけど、それ以降は1勝・2分・8敗と苦しい星である。

 甲本ヘッドコーチの時には、ロドリゲス前監督の遺産で戦い、それが上手く行ったのだろう。ポヤトス監督も能力はあるはずだが、やはりシーズン途中から変則的な形でチームを引き継ぐ難しさがあり、そこで陥った悪い流れから抜け出せないでいるのだろう。

 最新のデータによると、徳島はボール支配率56%を誇り、あのマリノスに次いでリーグで2番目に支配率が高いらしい。しかし、ボールを持ってもシュート数が非常に少なく、最近の試合ではシュート数1ケタが続いている。また、クロスの数も少ないということなので、清水には朗報(?)かもしれない。

 清水にとっては、4試合続いた、下位同士の対戦の、最後の一戦。もしも本日の徳島戦で勝利できれば、下位シリーズは上々の結果だったと言っていいだろう。もちろん、全勝できたら最高だったが、そう何もかも理想的に行くはずはないし。だから、徳島に勝てれば、この下位対戦4連戦は、及第点だ。ここで勝ち点3を積めれば、8月以降は、下ではなく、上を意識して戦えるかもしれない。逆に、本日の徳島戦を落とすようなことがあると、次節川崎戦での勝ち点獲得が「ノルマ」になってしまう。それはチト苦しい。

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2021

 先日、「『試合終盤に滅法弱い清水』を可視化してみた」というエントリーをお届けし、今季の清水はとにかく試合後半、特に終盤に弱く、終盤になると勝ち点を左右するような失点を喫するばかりで、清水が終盤に得点を挙げるケースはほぼ皆無だということを嘆いた。

 ところが、所長の苦言が効いたのか(?)、その後のリーグ戦3試合で、清水はむしろ後半に強いチームに変貌している。そこで、時間帯別得失点の図に、直近3試合のデータを加えて、上掲のとおり更新してみた。赤いボールが、直近3試合の得点・失点であることを示している。

 仙台戦および大分戦では、後半の得点で勝ち点3を獲得した。横浜FC戦では、勝ち越せなかったのは痛恨だったが、一応は後半の得点で追い付き、最悪の敗戦だけは免れた。

 そして、大会およびメンバーはだいぶ違うが、天皇杯3回戦でも、後半の2得点で、逆転勝ちを収めている。

 まあね、直近4試合は、降格危機の3チームに、J3が相手だったから、「清水は後半に点のとれる勝負強いチームになった」と、100%の確信を持って言うことは、まだできないけど。それでも、良い兆しは見えてきた。

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 天皇杯いわて戦については、試合をフルで観ていない以上、これ以上コメントのしようがないので、リーグ戦の方に話を戻させていただく。

 1:0で勝利した大分戦、原の活躍が鮮烈だった。決勝点をとったこともあるが、何と言っても攻撃参加とクロスの質。

 普段の清水の試合を観ていると、サイドからクロスが上がっても、期待感があるボールは、全体の3分の1くらいに限られ、後はあさっての方向に飛んでいく残念クロスだったりする。それが、原の場合は、ほぼすべて、高さ・速さ・位置・球筋など、絶妙なのである。

 当S研ブログでは以前、ボランチの強度不足にかんがみ、原をボランチに回すのがいいのではないかと提言したが、前言は撤回する。原は右サイドバックに固定したい。個人的には、トリッキーすぎるエウシーニョのプレースタイルがあまり好きでないということもあり、右SBのファーストチョイスは原で行きたい。

 原のプレー振りもパーフェクトというわけではなく、個人的には、ボールの持ち方がディフェンダーとしてはちょっと危なっかしいのではないかと感じることもある。また、クロス対応でかぶってしまい、ファーサイドの敵にやられる場面も、何度か見たような…。

 まあ、いずれにしても、最近の原のプレーを観ていると、「なんでこんな良い選手が清水に来てくれたのだろうか?」などと思えてくる。そして、「果たしていつまで清水にいてくれるのやら…」と、心配になったりしてしまうのである。

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 天皇杯いわて戦は2:1で逆転勝ち。だいぶ手こずりはしたが、うまく選手をローテーションしながら、これまで出場機会の少なかった選手も活用し、90分以内での勝利という欲しい結果を達成した。他会場では敗退したJ1勢もあったわけだし、ミッドウィークの、遠隔地遠征だったことを考えても、無難に乗り切ったという評価になるだろう。

 何しろ、メンバーと、ゴールシーンの動画くらいしか得られないので、試合の本質的なところは、うかがい知れない。失点シーンを見る限り、やはり西澤が左SBの4バックだった、という理解でいいのだろうか? 敵にロングボールでサイドに振られ、カットインされたところで、その西澤がタイトにマークできず、敵に先制点を許すことになってしまった(ように見える)わけだが、まあ急造だから仕方がないかという気がする。

 得点シーンは、まず同点ゴールの場面、コーナーキックの崩れから、奥井がペナ外からミドルを放ち、指宿がゴール前で角度を変えて、決まったようである。コーナーなどの時に、主にサイドバックの選手がペナ外でセカンドボールを拾い、二次攻撃に繋げるというのは、ロティーナ戦術の一つらしいので、この得点も、崩れたプレーのようではありながら、実は再現性の高いものだと思う。

 滝による勝ち越し点は、指宿が粘ってボールを奪ったところから、滝が前に運んで、そこから素晴らしいミドルを決めたとしか言いようがない。滝がトップ昇格して以降、決めた得点は、どちらかと言うと、ゴール前での絶妙なポジション取りや意外性のあるシュートの印象が強く、こんなにパンチ力もあるアタッカーなのだというのを、初めて知った。今回のゴールで、プロの世界でまだまだやっていける(できれば清水で)、目途が立ったか? その一方で、金子、後藤らのプレーはどうだったのだろうかというのが気になる。

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30

 清水の試合というのも、負けた時などは、全員が冴えなかったという印象ばかりが残り、「WONDERプレイヤー賞」を選べと言われても、困るものである。

 それに対して大分戦は、誰一人欠けても勝利が得られなかったと思えるほど、全員が貢献していた。しかも、個々人がバラバラに頑張るのではなく、チーム全体に一体感と意思疎通があるのが素晴らしかった。

 現地で観ていて、チームの一体感、意思疎通を特に感じた場面を挙げてみる。

  • 非常に目立たない、さりげないプレーだったが、宮本航汰が敵のボールホルダーに寄せた場面があった。それを見て、チームメイトからは、「ナイス!航汰」という声がかかった。これは、ただ単に宮本が頑張ったから褒めたのではなく、「こういう場面ではボランチが寄せる」といった決め事が共通理解としてチームに浸透しつつあり、それを声を出しながらお互いに確認し合うということができるようになっているということなのではないか。
  • 後半、片山が攻撃参加したけれど、相手に奪われ、ネガティブトランジションとなった場面があった。本来片山がいるべき場所が、スペースとしてぽっかり空いていた。そこで片山はスプリントして持ち場に必死に戻ったのだが、その時にチームメイトから「瑛ちゃん頑張れ!」という声がかかり、ポジションに戻り切ったところで「ナイス!」という声がまたかかった。これもチームの共通理解と一体感を感じさせる場面だった。
  • 後半84分に、鈴木唯人からディサロへの選手交代があった。その時、竹内がベンチ近くまで戻っていった。それを見ていて、「何だ?竹内。選手交代でもないのにベンチまで戻って。まさか選手交代の混乱か?」などと思ったものである。しかし、後から良く見返すと、竹内はベンチと戦術的な確認をしていたようである。おそらく、あの時間、大分が4-4-2に変えたことで、清水の守備対応が混乱しており、その対処を竹内が代表してベンチに確認に行ったのではなかったか。
  • 試合終了間際、GK権田がシュートを防げず、ゴールインしそうなところを、竹内がライン上でギリギリクリアした。その直後、清水のカウンターになり、ディサロのシュートが阻まれ、清水のコーナーキックとなった。そのコーナーの場面、少し間が空いたので、権田はセンターサークル付近にいた竹内まで駆け寄り、失点を防いでくれた竹内に感謝を伝えていた。DAZNでは分からない、現地で観ていて良かったと思えるシーンだった。

 最初の2つのエピソードで、声をかけたのが誰だったのかは、分からない。もしかしたら、竹内だったか。だとすると、この試合のもう一人のMVPは、一時はポジションを失いかけたが、再び這い上がり、チームの中心に戻って来た、キャプテンだったのかもしれない。

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80

 苦しんでいる大分が相手なので、本音を言えば、終始主導権を握って、3:0くらいで勝てればベストだった。しかし、見方を変えれば、これだけ苦しんで、でも皆がハードワークして、1:0で勝ったことは、チームが成長していく上で、より意義深かったかもしれない。

 昨年も、今年も、清水は複数得点して、2点差くらいをつけないと、勝てないチームだった。今季は、先日の仙台戦でようやく1点差勝利をものにしたが、あの試合は点の取り合いの乱戦を最終的に制したということであり、1点差の堅い勝利を収めてというのは、ちょっと違っていた。柏戦も、最終的には1点差だったが、あれは一時は2点差をつけたので、1点とられてもまだ余裕があったというパターンだったし。

 皆さんは、清水がリーグ戦をウノゼロで勝つのがいつ以来か、覚えているだろうか? 今年はこれまで一度もなかった。昨年はシーズンを通じて一度もなかった。ウノゼロは、2019年12月7日にまで遡る。そう、最終節、ホームで鳥栖相手に、ドウグラスの一発で勝った、あの試合だ。あの日以来、清水の辞書に、ウノゼロは存在しない状態が続いた。

 もちろん、先制・中押し・駄目押しとたたみかけ、複数得点および大差で勝つことが理想ではある。でも、今回の大分戦のように、思うように行かない試合もあるだろう。そういう試合展開でも、なんとか相手のゴールをこじ開け、その1点を全員で守り切る。そんな戦いができなければ、上に行けるはずはない。下位相手の試合としては、実に苦しい試合だったが、清水が大人の階段を上る、そのためには通らなければいけない一歩だったのではないか。これが成功体験となり、思うように行かない試合展開でも、動じずに粘り強く戦えるチームになってほしい。

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