bunpu

 ブログに「研究所」などという大仰なタイトルを付けたので、少しは分析的なことも試みてみたい。

 2016年のJ2リーグ戦におけるエスパルスの得失点状況をマトリックス状に示すと、上図のようになる。清水の得点を縦軸に、失点を横軸にとり、25勝・8敗・9引き分けに終わったリーグ戦の得失点分布を示したものだ。○が白星、●が黒星、△が引き分けということになる。

 まあ、改めてこうやってみると、2015年の崩壊から、よく立ち直ったものである。カテゴリーが変わったとはいえ、呼吸をするように当たり前に失点していたチームが、今シーズンは3失点は2度だけだった。皆さんご記憶のとおり、GKにありえないミスが出た2試合であり、それ以外は悪くても2失点、大多数の試合は1失点以下という結果だった。

 得点に目を転じると、無得点は8試合、1得点も5試合だけであり、ほとんどの試合で複数得点できたことが特筆される。J2史上最強2トップを中心とした反則的なまでの得点力が、昇格の最大の原動力であったことは疑いない。

 1番多いスコアは2:1勝利の7試合だった。2:1は今季の清水らしくない気もするが、最後の3試合が全部2:1だったので(苦しかったねぇ~)、結果的にそれが一番多くなった。次に多いのが2:0勝利の6試合。3点、4点とれた試合も多く、当然すべて勝利しているが、さすがに5点以上とれたのは、あの伝説の群馬戦だけだった。

 それにしても、異常としか言いようがないのが、いわゆるウノゼロ、すなわち1:0の勝利が1試合しかないことである(アウェー山形戦、デュークのゴールで勝ったやつ)。1:0というのはサッカーでもっともありふれたスコアの一つであり、現に今季コンサドーレは11回、松本も8回、1:0で勝っている。さらに言えば、今季清水のスコアレスドローが3回だけというのもかなり少なく、コンサドーレでは6度、松本では5度に及んでいる。

 逆に、今季清水が4点以上とった試合が7試合に及んだのに対し、コンサドーレも松本もそれぞれ3回しかなかった。「大勝の清水」というのが、2016年の我が軍のスタイルだったわけである。結局、最後にそれが効いて、松本を得失点差で振り切った。

 しかし、来期、生き馬の目を抜くJ1で、こうした豪快な勝ち方ができるのかというのは、疑問である。虎の子の1点を守り切るとか、状況によってはスコアレスドローでよしとするとか、そういう戦いが求められるはずだ。札幌や松本に比べ、そうした部分で清水にやや弱さがあることは、否めない。

 もちろん、守備と呼べるものがほぼ消失していた2015年シーズンに比べれば、小林監督の下で、守備組織はだいぶできてきた。しかし、私の印象では、磐石の守備で失点を少なくできたというよりも、圧倒的な攻撃力で守備の弱さをごまかしていたというか、そんな感じがする(さすがに、3点も4点もとられれば、敵は意気消沈して効果的な反撃はできないのでね)。最終的に1点差勝利は9試合あったとはいえ、そのうちロスタイム勝ち越し弾が4つほどあったので(←むろんこのこと自体は快挙)、「1点差を守り切った」という成功体験は決して多くない。

 ちなみに、清水は2015年シーズン、完封勝ちが1つもなかった(スコアレスドローはあったが)。弱いチームというのは、たいてい1:0の勝利をめざすものであり、そういう勝ち方ができないチームが降格してしまうのは、当然と言えば当然であった。ガンバ大阪も、J1から落ちた年には、確か「2点以上とらないと勝てない」という法則があったと思う。

 むろん、私などが論じるまでもなく、ウノゼロの試合、僅差の試合を制していかなければ、J1で生き残れないなどということは、小林監督はじめ、クラブ関係者は百も承知のはずである。このオフに、さらなる守備の強化、場合によっては戦力補強も進めてくれるはずである。J1でしたたかに勝ち切れる清水への変身を信じたい。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村