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 自慢ではないが、所長は今季、現地参戦した試合はずっとすべて勝っていた。まあ、苦手のアウェーにあまり参戦してないだけという説もあるが(笑)、それでもアウェー千葉戦の勝利は現地で見届けたし、今季は参戦全勝なんて慶事に恵まれるのではないかなどと期待していた。

 しかし、国立での横浜FC戦でそのジンクスも途切れ、せめて現地観戦した試合は無敗でいてほしかったのだが、今回の山形戦でそれも途切れ。

 個人的なことは別として、チームに目を向けても、良いジンクスが、最近ことごとく崩れている。国立の長崎戦では、今季初めて、ホームで敵に先制を許した。そして、今回の山形戦では、今季ホーム初黒星の上に、初の逆転負け。今季は、過去2シーズンとは異なり、試合終了間際の失点で勝ち点を落とすということがほぼなかったが、今回の山形戦の敗戦は、2022年のAD失点清水を見ているようだった。

 落語家に指摘されるまでもないが、機運が最高潮に盛り上がり、「ここで勝たなきゃ」という試合を、ことごとく落としてきたのが、我が清水の歴史である。またもそれが繰り返された。

 ということ以上に、痛感したのは、「渡邉晋監督のチームは、シーズン終盤にかけて完成度を上げ、しり上がりに強くなっていく。秋葉監督のチームは、シーズン終盤に勢いを失い、しりすぼみになっていく」という格差である。秋葉さんはそれを気力・体力の問題だと捉え、シーズン前のキャンプでハードな走り込みをすれば解消できると思っていたようだが、山形と清水の格差はプレーモデルの有無、オーガナイズの質の違いである。

 まあ、最近はあんまりポジショナルプレーという言葉も聞かなくなったが、今回の山形のサッカーを見ていて、久し振りに「ファイブレーン」という言葉を思い出した。それくらい、山形は選手がどのコースを走り、どういう風に攻撃を組み立てるかということが、整理されていた。

 対する清水は、試合後のコメントで矢島がチームへの強烈な駄目出しをしているとおり、とにかく個人任せで、グチャグチャである。試合後の監督コメントには見るべき点が一つもなく、途中出場の一選手の方がチームの状況を雄弁に語っているというのは、なかなか珍しい現象だ。昇格目前で、まだ優勝の可能性もあるチームが崩壊寸前というのも、これまた珍しい。


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