1640

 J2を過ごした2016年と2023年を比べると、今シーズンは悪いことばかりではなく、上位の町田、磐田、ヴェルディにも勝てた。2016年には、札幌、山雅に、まったく勝てなかったからね。

 その代わり、2016年には、下位チームとやって、負ける気はまったくしなかった。それに対し、今シーズンは、どう見ても弱そうな相手に、あっさりと勝ち点を落とすことが多い。

 もっと言えば、今年はルヴァンでJ1相手に勝つこともあったが、天皇杯でJ3相手に負けることもあった。序列とは関係なく、サイコロの目のように、勝ったり負けたりしてきたシーズンだったと言える。最後の最後に、悪い目が出てしまったなという印象だ。

 確かに、今季は爆発的な大量点で勝てた試合もあった。しかし、いつも言うように、それは気絶した相手を殴り続けるのが得意なだけで、相手がちょっとでもガードを固めると、とたんに攻め手を欠いてしまう。

 秋葉清水が確実に勝てるのは、第1に、明らかに崩壊したチームであり、金沢、大宮などがそれに該当した。第2に、清水とは関係なく自分たちのサッカーを貫こうとするチームであり、いわき、山口、アウェーの藤枝などが該当した。逆に、下位との対戦でも、相手が清水対策をちゃんとやり、きっちりガードを固めてくると、清水の勝敗は運任せのようになってしまう。

 それもこれも、何度も言うように、チーム戦術の欠如、ビルドアップ軽視の弊害であるように、個人的には思える。今回の水戸戦、別に選手が弱気であったわけでも何でもなく、自陣からボールを持って前進できないのだから、致し方がない。そして、ビルドアップの拙さが、変な形でボールを奪われ、押し込まれているわけでもないのに、少ないピンチでコロッと失点する現象に繋がる。

 でも、しょうがないではないか。クラモフスキーも、ロティーナも、他のクラブでは結果を出している人なのに、確固としたプレーモデルを植え付けようとするタイプの指揮官は、清水ではまったく結果が出なかった。ゼ・リカルドは最初から微妙だったが、とにかく駄目だった。ならば、指揮官はモティベーター型しかなく、秋葉さんがそれにはまった。秋葉戦術というよりも、選手たちを解き放ち、4バックか3バックかさえもピッチ上に任せるという異例のチームとなった。

 チーム戦術を事実上欠き、個人戦術のパッチワークのようなサッカーでも、J2であれば何とかタレント力で押し切れるのではないか。あと1試合、ごまかしきれるのではないか。個人的には、秋葉清水を信用するわけではなく、「ごまかしきってくれ」と願うような気持で見ていたが、届かなかった。

 予想されたように、敗戦後に秋庭監督は、ひたすら気持ちの弱さについてのみ語った。プレーオフも、「ごまかしきれるかどうか」という戦いになりそうだ。


よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村