今季初め頃のジュビロのサッカーを観た時、「あ、このチームは、まだそんなに勝ててないけど、いずれ上がってくるだろうな」と思った。選手の立ち位置、距離感が良く、再現性の高いサッカーをやっている。補強禁止は痛かっただろうが、逆に選手の顔触れが変わらないだけに連携もとりやすく、その点もプラスに働いているように思えた。
清水のチーム作りは、だいぶ違った。リカルド解任後は、確固たるプレーモデルを追い求めるのではなく、タレントをシンプルに活かすような戦い方にシフトし、それがまあまあ上手く行った。しかし、秋葉監督の「ビルドアップに興味はない」という迷言に象徴されるように、根幹となるスタイルが築き上げられているわけでは、必ずしもない。
大袈裟に言えば、J2のリアル・マドリードと言おうか、スタイルよりはタレント力でねじ伏せようとするのが、秋葉清水だ。もっとも、そのタレント力とやらも、前節・藤枝戦のように、多少相手に対策されると、個の力の違いを見せられずに、沈黙してしまうこともままある。
今回の磐田戦も、勝ちはしたものの、内容はだいぶ怪しかった。清水の場合、マイボールのスローインからリズムを崩すことが多いのだけど、その点は多少改善が見られた。ただ、さすがは監督がビルドアップに興味がない(!)だけあって、自陣からボールを持って前進できないというのは、重症だ。今の状態なら、自陣から相手陣に運べる確率が3分の1、ロングボールをサンタナに当ててキープできる確率が2分の1くらいで、後者の方が可能性の高い攻め方ということになってしまう。
他方、今回の磐田戦で、多少良かったと感じたのは、選手たちの落ち着きだった。逆に言うと、町田戦は、スタジアムの異様な空気に選手たちが興奮しすぎ、入りが最悪で、試合を壊しかけた。それに対し、今回もスタジアムの熱気はあったが、相手は磐田というお馴染みさんなので、お約束の煽りはあるにしても、そこまで変な興奮ではなかった。主審も西村氏で、清水と相性が良い印象はないが、さすがに試合はコントロールできる。
そんなわけで、終盤はずっと押し込まれる、情けないレアル・マドリードではあったが、どうにか自力での自動昇格の権利を死守した。先のことは知らんが。
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