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 壮絶な打ち合いだった。4:4の引き分け。お互いに攻撃的なチームなので、多くの得点が生まれたこと自体は、不思議ではない。しかし、この日は、両チームの攻撃力が爆発したというよりは、お互いの守備の脆さを露呈した形だった。

 清水に関して言えば、もうリーグ戦も中盤戦に差し掛かるのに、いまだにディフェンスラインが固定できていなかった。ヴァウドはほぼレギュラー起用されたが、立田、ソッコ、岡崎と色々試されたCBの相棒が、いずれもしっくり来ていなかったのだ。そこでクラモフスキー監督は、この第13節で初めて3バックを採用したのだが、急造は否めなかった。3バックの連携が合わず、試合開始直後から何度も札幌の攻撃陣に突破を許す。そこで相手に与えたフリーキックを、札幌の福森に直接決められると、まるで昨年の悪夢がよみがえったかのように札幌に一方的に攻められ、前半だけで3失点を喫した。対する清水は、福森へのお返しとばかりに、中村慶太が直接フリーキックを叩き込んで1点を奪うも、前半は完全に札幌の試合だった。

 しかし、札幌の側も、この日の守備は不安定だった。GKク・ソンユンが徴兵問題に絡んで韓国の大邸FCに移籍することになり、その関係でこの日は菅野孝憲がGKに起用されたのだ。むろん菅野も経験豊かなプレーヤーだが、守護神の交代が札幌の守備のバランスを微妙に崩したのか、清水が後半頭からカルリーニョスを投入して圧力を強めると、札幌の守備にほころびが目立つようになる。50分には金子のグランダーのクロスをファーサイドのカルリーニョスが押し込んで1点差、68分にはカルリーニョスの強烈なミドルのこぼれ球を河井が流し込んで同点、そして83分にはコーナーキックからニアに飛び込んだテセが頭で合わせて、ついに逆転に成功した。遠く札幌厚別まで駆け付けたオレンジサポーターの歓喜が爆発する。

 このまま昨年のリベンジ達成かと思われた終了間際、落とし穴が待っていた。今季何度かあったように、リードした状況で、追加点を奪いにいくのか、しっかり守るのかが曖昧となり、清水のプレーが噛み合わなくなる。結局、リードしているにもかかわらず、最終ラインが薄くなったところをA.ロペスに裏をとられ、痛恨の同点弾を喫したのだった。

 札幌にリードを許しても、そこで気落ちしてズルズル行くのではなく、そこから逆転まで持って行ったことは、昨年のチームからの進歩だろう。しかし、それを勝ち点3に結び付けられなかったわけで、まだまだ未熟なチームということなのだろう。

 第12節を終えた戦績:4勝・3分・6敗 勝ち点15 16得点・22失点(得失点差マイナス6)。11位

 そんなわけで、お届けしてきた「妄想!」シリーズですが、今回が最終回です。Jリーグのない日々に、少しでも清水サポさんたちの退屈しのぎになればと思って手掛けた企画でした。ただ、自分なりに、「本来ならば存在したはずのシーズン」を真剣に想像し、描いたつもりです。清水が全勝とかにしたい気持ちをぐっと抑えて、なるべくリアルに妄想するというか、そんなことを心がけました。相手チームの情報とか、当日の気象条件とかも調べて、そういうのも盛り込んで描いてみました。だから、これをやるの、結構大変なんですよ(笑)。

 あと10日後くらいには、本物のJリーグが戻ってきます。だから「妄想」はここまで。お粗末でした。

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