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 この試合の勝利には、一人の立役者がいた。篠田善之コーチだ。試合後、明らかになったところによると、試合の2日前、篠田コーチがクラモフスキー監督に、進言をしたのだという。「ガンバは開幕戦で、マリノスを破っています。クラモフスキー監督はポステコグルー監督直系なので、ガンバの宮本監督はマリノスを倒したのと同じ方法で、清水を攻略しようとしてくるでしょう。開幕戦でガンバに勝利をもたらしたのは、オフサイドラインの裏を突くロングボールと、最終ラインへのハイプレスでした。もちろん、我々のサッカーを変える必要はありませんが、相手の出方を想定し、それを逆手にとるようなこともやってみたらどうでしょうか。」

 それを聞いて、クラモフスキー監督は、しばらく考え込んでいたという。そこで篠田コーチがたたみかけた。「我々は、2連敗しています。今日からゴールデンウィーク。子供たちもたくさん観に来てくれるでしょう。私は勝ちたいんです。サポーターたちに笑顔で帰ってほしい。」

 さすがのクラモフスキー監督も、篠田コーチの熱意に押されたのか、最後は首を縦に振ったのだという。「OK、シノダさん、勝ちたいのは私も同じ。今回のガンバ戦では、相手の出方を想定して、それを封じることを軸にした戦い方をしましょう。」


 篠田コーチがクラモフスキー監督に進言した具体的な点は、ロングボールの出所となるガンバのMF井手口、矢島の2人に、清水の3トップが徹底的にプレスをかけるというものだった。この作戦が、見事的中する。この試合、清水の唯一の得点も、金子が井手口のボールを引っ掛けたところから始まった。それを拾った河井がドリブルで持ち込み、自分でもシュートを打てそうだったものの、フリーだった逆サイドのティーラシンにパス、これをタイの英雄が落ち着いてゴールに流し込んだのだった。

 ガンバは、清水にリードを許しても戦い方を変えず、二列目の倉田やサイドの藤春が再三裏を狙うものの、ボールの出し手とのタイミングが合わない。一度だけ、倉田に抜け出され危ない場面があったが、GKヴォルピが広い守備範囲を発揮し、事無きを得た。宮本監督もついに業を煮やし、75分からはパトリックと宇佐美の2トップに変更、これでガンバにも多少攻撃の形ができるようになったが、時すでに遅し。宮本監督は、策に溺れた感があった。

 クラモフスキー清水らしい勝ち方だったかは、分からない。試合後に金子も、「今日は相手を封じることに神経が行ってしまい、うちらしい攻撃ができなかった」と反省を口にした。でも、いいじゃないか。晴れ渡った青空。スタジアムのセンターポールには鯉のぼり。子供たちの笑顔と、勝ちロコ。これ以上の幸せが、あるものか。

 第11節を終えた戦績:4勝・2分・5敗 勝ち点14 12得点・17失点(得失点差マイナス5)。11位


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