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 雲一つない快晴に包まれたIAIスタジアム。もちろん、ホームサポーターが望むのは、勝ち点3だけだ。ここまで清水は、ルヴァンカップを含めて、ホームで勝ち無し。今季まだ一度も、ホームで勝ちロコを踊れていないのだ。今日の相手・仙台は、先々、残留争いのライバルとなる可能性もある相手だけに、今日こそは何としてもホーム初勝利を掴みたいところである。

 一方、仙台を率いるのが、清水とも縁のある木山隆之新監督。強固な守備ブロックを軸としたチーム作りは、渡邉晋前監督と似通っているものの、戦術の微妙な違いに選手が戸惑っていること、新戦力がフィットしていないこと、そして怪我人が出ていることで、チーム状態は上がっていなかった。第7節まで終了して、4分・3敗でまだ勝ち無し。違いを生み出せるタレントと期待して獲得したクエンカが長期離脱したことにより、攻撃の形が作れず、守備で粘って引き分けに持ち込むのがやっとという苦しい戦いが続いていた。しかも、前節の湘南戦で、守備の要シマオ・マテがイエロー2枚で退場となり、この清水戦を欠場するというのも痛手だ。この日は、シマオ・マテの代役として、経験豊富な金正也がCBのスタメンに名を連ねた。

 試合が始まると、この日も仙台は後ろに重心を置いた慎重な入りであり、序盤から清水が押し込んだ。しかし、やはり不動のCBシマオ・マテの欠場は影響が顕著で、仙台の守備にいつもの強度が見られず、ズルズル下がるだけとなる。ゴール前の混戦から、何度か清水の決定機があったが、仙台GBヤクブ・スウォビィクのファインセーブが続き、かろうじて持ち堪える。しかし、31分、ついに清水が先制する。引きすぎた相手にはミドルシュートとの定石通り、西澤健太が左45度から放ったシュートがスウォビィクの指先をかすめ、ゴールに吸い込まれた。

 さらに36分、仙台をアクシデントが襲う。身を挺して仙台のゴールを守っていた平岡康裕が、シュートブロックに行った際に、足首をひねってしまったのだ。苦悶の表情を浮かべ、担架で運び出される平岡。これには清水サポも、我が子の安否を気遣うように、心配そうな表情を浮かべた。清水在籍時から、「毎試合、担架に乗る男」と呼ばれ、当時はしばらくするとピッチに戻るのが常だったが、木山監督は平岡の状態を見て、すぐに交代を決断する。ボランチを務めていた吉野恭平が最終ラインに入り、金正也とCBコンビを組むこととなった。この2人が試合で組むのは初めてであり、これ以降、仙台の守備は見るからに混乱するようになった。

 後半も、清水は主導権を離さない。金子のクロスから、ティーラシンが頭で決めて、リードを2点に広げる。さらに、終盤相手が前掛かりになったところ、カウンターから途中出場の滝が抜け出して、GKの股を抜く技ありシュートを決め、リードを3点に広げた。最後まで仙台にはチャンスらしいチャンスを作らせず、試合はそのまま3:0で終了。

 かくして、クラモフスキー清水にとっては、初めて内容・結果ともに伴う、完勝となった。しかし、半分は仙台側の不振・不運に助けられたものだったことは、認めなければならない。ともあれ、新生清水にとっては、大いに手応えを掴んだ、ホーム初勝利。西日の中、今季初めての勝ちロコに、サポーターの笑顔がはじける。ただ、照れ屋のクラモフスキー監督は、勝ちロコの列に加わることは固辞したのだった。

 第8節を終えた戦績:3勝・2分・3敗 勝ち点11 10得点・12失点(得失点差マイナス2)。11位


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