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 大敗した前節の横浜Fマリノス戦から、中3日でのアウェー戦。清水としては守備を立て直すいとまもなく、早くもオリンピックイヤーの過密日程の試練に直面した形だ。しかも、前節のGKヴォルピの退場により、このセレッソ戦では若い梅田がプロ初先発を務めることになった。前節は試合終了間際に突然お呼びがかかり、初出場の喜びを噛みしめる余裕もなかったが、果たして今回は落ち着いてゲームに入り、大器の片鱗を見せられるだろうか?

 一方、守備が相変わらず安定しないことから、クラモフスキー監督はセンターバックの組み合わせを色々と試していた。この日のCB2枚は、立田と岡崎。若い梅田に安心感を与えるためにも、言葉の通じる日本人コンビが無難と判断したようだ。結果、清水が誇るブラジル人強力助っ人陣が、この日は一人も先発せず、外国人は提携枠のティーラシンだけで、何と外国人枠を1枚も使わないという清水らしからぬ現象が生じた。

 この日も、清水の守備は決して安定しているとは言えず、前半から何度もセレッソにゴール前で危険な場面を作られる。しかし、ディフェンスラインが体を張り、決定的なシュートだけは許さない。特に、ユースの後輩でもある梅田を盛り立てようと、立田が必死に体を投げ出し、敵のシュートを跳ね返す。それでも枠内シュートもいくつか浴びたが、いずれもGK正面で、梅田が落ち着いて処理した。

 「このまま前半を0:0で折り返せば、上々だろう」。そんな空気が漂い始めた時、落とし穴が待っていた。前半終了間際、敵の左SB丸橋が、クロスを上げると、それがこの日の強風に乗り、GK梅田の指先をかすめ、ゴールに吸い込まれたのだ。丸橋は試合後のインタビューで「クロスだった」と証言しており、GKを責められない不運な失点ではあったが、結局のところ試合を分けたのはこのワンプレーだった。

 失点すると下を向く清水の悪い癖が、この日も顔を覗かせた。後半に入ると、清水の守備陣は見るからに自信を失い、ミスが増えていく。50分にはブルーノメンデスに抜け出され、飛び出したGK梅田もかわされ、無人のゴールに流し込まれて追加点。61分には、コーナーキックから奥埜にヘディングシュートを決められ、決定的な3失点目を喫した。対する清水は、ティーラシンの放ったシュートからのこぼれ球を押し込んだ金子の1得点だけに終わる。それ以降は、ロティーナ監督率いるセレッソがしっかりとゲームをコントロールし、試合終了の笛を聞くことになった。

 決して、GKの責任で負けた試合ではない。あのクロスは、たとえヴォルピや大久保でも、対応は難しかっただろう。しかし、不運とは言え、その1失点で、ゲームの流れが変わってしまったことを、若い梅田は痛感していた。試合終了後、敗戦の責任を一身に背負うような表情の梅田だったが、敵GKのキムジンヒョンに二言、三言言葉をかけられると、こらえきれずに涙を流した。そこには、GK同士にしか分かり合えない何かがあったのだろう。

 第6節を終えた戦績:1勝・2分・3敗 勝ち点5 5得点・11失点(得失点差マイナス6)。16位


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