新型コロナウイルス中断は、今季チームの立ち上げや新戦力の合流が遅れ、また怪我人の復帰も待っている状態の我が軍にとっては、プラスに作用する可能性がある。その際に、単に開幕が遅れるのではなく、1節を消化して、宿題を課せられたというのがミソだろう。FC東京戦の教訓を得た上で中断に入るというのは、この間のトレーニングにより明確な課題意識を持って取り組めるという意味で、効果が期待できよう。

 さて、FC東京戦の結果について、1:3という結果を捉え、「去年からの大量失点癖、試合運びのまずさはまったく変わっていないじゃないか」とする論評と、「いやいや、内容は去年よりもずっと良くなり、このサッカーなら期待できる」という論評とに、二分された感があった。

 個人的にも、内容が見違えるように良くなったことには、喜んでいる。はっきり言って、今までのようなおバカスローインが改善されただけでも、泣きそうに嬉しい。昨年なら、相手が5メートルくらいに近寄ってきただけで、パニック大蹴りを繰り返していたチームが、勇気を持って繋ぐようになったのを見せてもらえただけでも、生きてて良かったと実感する。だから、チーム改革の方向性は、完全に支持するし、今後についても期待する。

 しかし、同時に忘れていけないのは、本当の意味で良いサッカーとは、勝ち点をとれるサッカーのことであり、冷静に考えてみれば、1:3で負けるサッカーが良いサッカーのはずはないということである。現段階のモフ清水は、正確に言えば、「一見良さげなサッカー」にすぎない。プロのサッカーチームなら、60分くらいまで「一見良さげなサッカー」で相手を苦しめることくらいは、できて当たり前なのである。その「一見良さげなサッカー」を、勝ち点に繋げることにこそ、サッカーという競技の難しさがある。そのためには、監督による臨機応変な采配も必要だろうし、1試合を通じたゲームコントロールも必要だろうし、本当の勝負所で体を張れる根性も必要だろう。それらの、実はサッカーにとってより本質的なものを欠いていたからこそ、FC東京戦で必然の逆転負けを喫したのであり、このままではそれを繰り返す恐れが強いということを、忘れてはならない。

 カッコ付きの「良いサッカー」をしているのに勝てない。そういう罠に陥って、没落していったチームが、サッカーの歴史にはたくさんあったということも、わきまえておく必要がある。

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