そんなわけで、クラモフスキー新監督の就任と、篠田監督のコーチへの格下げが正式に発表になった。ここで微妙なのは、篠田さんは「ヘッド」コーチとはされていないことである。これは、クラモフスキー氏に、自分の気心の知れた専門家をヘッドコーチに据えたいという意向があり、そのポストを空けているからなのだろうか? だとすれば、篠田さんはチームでどのような役割を与えられるのか? 取りあえず監督退任を飲ませるためにコーチ起用をオファーしたけれど、結局、飼い殺しなどということがなければいいのだが。

 今回のクラモフスキー氏の監督起用、個人的な考えを言えば、期待はしたいのだが、今のところ不安の方が大きい、といったところである。所長は以前から、清水の監督に起用していいのは、トップチームの監督として(それもできればJ1の監督として)実績のある人に限るべきだと考えていた。サッカーおよびチーム作りを知識として知っているというのと、実際に現場の最高責任者としてチームを率いるというのはやはり別物であり、またJリーグ固有の特徴や環境もある。清水のような体力が弱いクラブには、海のものとも山のものとも分からないような原石の指導者を招聘するリスクは、許されないと思っている。以前当S研でも推したように、戸田和幸氏のような期待値の大きいOBだったら話は別だが、基本的には新米監督は避けたいというのが、所長の考えである。

 「できればJ1監督経験者がいい」というのには、こんな考慮もある。たとえば、数年前に清水の監督を務めたゴトビ氏に関し、いまだにサポ間で評価が二分されており、不毛な論争のネタになったりする。彼だって、Jの他のチームを率いたことがあったら、もっと客観的で冷静な評価ができたと思うわけである。たとえば、ゴトビ氏が名古屋グランパスを大躍進させたけど、清水では上手く行かなかったというなら、明らかに清水の戦力の低さが原因ということが分かる。しかし、Jでは清水の指揮しかしていない以上、ゴトビ政権が失敗したのは監督が悪かったのか、選手が悪かったのかなんてことを、証明する術はないのである。来季、考えたくないが、クラモフスキー監督がしくじった場合にも、「監督が悪い」、「いや選手が悪い」という不毛な論争・対立が巻き起こることは、目に見えている。

 2019年にマリノスを大躍進させたポステコグルー監督は、マンチェスター・シティ流のポジショナルプレー、5レーン理論、ニセSBなどの現代的な戦術を駆使して成功したと考えられている。しかし、専門家に言わせれば、一見シティのやり方に似ているけれど、細部の詰めの甘い「なんちゃってシティ」の域を出ていない、なんて声も聞かれる。「小ポステコ」ことクラモフスキー氏の指揮官としての手腕は未知数であり、「なんちゃってシティ」の「劣化コピー」にならなければいいが、というのが現時点の所長の心境だ。ポステコ横浜はシティの国際ネットワークで可能となった的確な補強によって支えられていたが、清水にその芸当は無理(GMのビデオチェックが頼り?)だということも認識しておく必要がある。

 清水というチームをガラっと変えようとする試みだから、少なくとも半年、いや2年くらいかかるかもしれない。もう今日から新監督で練習を始めたいくらいだが、まだ清水にとっての今季は終わっていないし、悪いことに来季の開幕は早いので新たなチーム作りに許される時間は短い。クラブ、サポは、どこまで我慢するか。「東京五輪中断を最下位で迎えてもいい」というくらい覚悟を決めないと、清水は変わんないぞ。

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