先日の清水と広島の試合。ともに最近ヨンソン監督に率いられた時期があったり、城福・篠田両氏はFC東京の監督を前後して引き受けたことがあったり、一説には近年清水が城福氏にオファーを出したことがあったりと、監督およびそのスタイルをめぐる機微が交錯した試合だった。論点を整理すれば、以下のとおりではないか。

  • 城福氏は、甲府時代は「堅守速攻」というイメージが強かったが、それは甲府の戦力や位置付けゆえであり、監督本来の志向ではなかった。
  • 城福氏は、2016年にFC東京の監督に就任し、本来の哲学である攻守に主導権を握るサッカーでの勝利を目指したが、その転換が上手く行かず低迷、解任された。
  • 城福氏の後を襲ってFC東京の監督に就任した篠田氏は、堅守速攻をベースにチームを立て直し、見事J1残留させた。しかし、そのオフにフロントの進めた大型補強は、必ずしも篠田監督の意に沿ったものではなかったりして、翌2017年は成績が出ず、篠田監督は9月に解任された。
  • 広島が2017年に残留争いを演じたこともあり、2018年に広島監督に就任した城福氏は、どちらかというと堅守速攻の現実路線を採り、攻撃はパトリックにお任せという雰囲気があった。しかし、2019年は、堅守速攻型から、城福監督が本来志向するポゼション、ゲームコントロール、攻守の主導権といった路線へとアップグレードし、それにより好成績を収めているように思える。

 で、以上のように論点を整理した上で、我が篠田エスパルスについて考えると、今のところ清水は堅守速攻型のチームコンセプトである。ただし、現実には「堅守」ではないので、ロースコアの堅い試合よりも、ノーガードの打ち合いの方が勝率が高いという、チームコンセプトとは矛盾した傾向になっている。

 広島は、本当に上手く、堅守速攻型からゲームコントロール型に転換したと思う。言い換えれば、城福氏は、東京で失敗した課題を、広島では首尾良く実現しつつあるということにもなる。どうだろう、篠田監督には、今のような出来損ないの「堅守速攻」だけではない、さらなる引き出しはあるだろうか? そして、仮にあったとして、選手たちはその転換に適応できるだろうか? まあ、今季残留できた場合の、その先の話だが。

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