現時点でJ1首位のFC東京。アウェー連戦で苦しいかと思いきや、追う立場の鹿島に怪我人が続出しており、もしかしたらこのまま初優勝を遂げるかもしれない。このまま行けば、オリ10の我々としては、新参者(?)にまた先を越されることになってしまうが、これが現実だ。

 さて、そのFC東京、最大のストロングポイントは、相手にボールを奪われた時に、全員が自陣に戻って守備の陣形を整え直す、その素早さだろう。そもそも、変な奪われ方をしないことを意識しながらボールを回していると思うが、常にリスクをヘッジし、仮に奪われても相手のチャンスの芽を膨らませないことに最大の主眼を置いた戦い方である。リーグ最少失点の東京と、最多失点の清水で、決定的に異なる点と言える。

 それで、全員がハードワークをする東京のサッカーを見ていると、「さぞかしキツいトレーニングを長時間やってるんだろうな」と想像してしまうが、実はそうでもないらしい。「健太トーキョーのフィジカル革命――躍進を陰で支えるふたりのキーマン」という記事によれば、東京の練習時間は非常に短いらしく、しかもすべてがボールを使った練習であり、単なるランニングのようなメニューはないらしい。清水サポが、「長谷川健太と言えば砂浜ダッシュ」などというイメージを抱いているとしたら、どうやら認識のアップデートが必要なようである。

 言うまでもなく、現代の科学的なサッカー・トレーニング論においては、ボールを使わないランニング等の単なるフィジカルなトレーニングは、時代遅れとされている。したがって、FC東京が常にボールを使った練習をしており、しかも短時間で練習を終えるという話自体は(ケンタについての我々の先入観はさておき)、驚くに値しない。

 しかし、我々清水サポは、どうも合点が行かないのである。ゴトビ監督時代に、そうした先端的とされる練習法を取り入れながら、現実には選手のフィジカルは低下していき、成績は下降線を辿った。ゴトビ監督が解任されて、選手がまず取り組んだのはランニングであり、2014年はそれによってギリギリの残留を果たした。

 また、ヨンソン前監督もまた時短主義者で、負荷の高い練習を長時間するようなことは忌避していた。しかし、それによって出来上がったのは、後半足の止まるチームであり、ヨンソン監督解任時にある選手は、「練習量が足りない。昨年はどうにかなったが、今年はもう誤魔化しが効かなくなった」と証言していた。

 つまり、世界の常識では常にボールを使い短い集中した練習をやることが正しいとされており、今年のFC東京の躍進もそれを証明しているものの、清水がそうした現代科学トレーニング法に挑戦すると必ず失敗し、どちらかというと根性論で立て直すという繰り返しなのである。

 何が正しいのか、清水はどうすればいいのか、正直言って所長にはもう良く分からない。一つだけ確かなのは、ケンタが清水時代の失敗を踏み台のようにしてFC東京で成功するとしたら、非常にシャクに触るということだ。

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