今回の名古屋戦。エウシーニョのシュートが河井に当たってラッキーな形で入ったのが54分、西澤の追加点が入ったのが59分だった。そこからの残り時間が、長かったこと、長かったこと。ずっと十字架にはりつけにされて、往復ビンタを食らい続けるような時間帯。「自らボールを持って時間を使う」というオプションのないチームは、つくづく辛いなと感じた。とても、今季開幕時に、「ポゼションを上げる、ショートパスで崩す」という目標を掲げていたチームとは思えない姿が、そこにはあった。

 今回は珍しく2点差にできた。2点差のリードは、4月の磐田戦で一度あったが、それ以来の天恵であった。もっとも、磐田戦では2点差のリードが13分しか持たず、先方のロドリゲスに追い上げ弾を食らって、最終的にはぎりぎりで逃げ切った。それと同じように、今回の名古屋戦でも、2点差は15分しか持たず、敵に追い上げ弾を許した。まるでお約束であるかのように、「勝つ時は必ず1点差の辛勝」という今季の命題を、またしても実践して見せた。

 たとえば、大分は、片野坂監督がJ3時代から一貫した哲学で強化を図り、J1に上がってもブレない戦いで、現在のところ中位に着けている。あのチームにもしも強力な外国人ストライカーでもいれば、それこそ上位争いも可能かもしれない。また、柏などは、今季のJ2を圧倒的な大差で制したあと、同じサッカーで、来季J1で暴れまくる可能性もあるだろう。

 残念ながら、そういう着実な上積みのチームと比べ、清水が今やっているサッカーに、未来はない。イモムシがいつか美しい蝶に変身するように、清水もこれを継続すればいつか強く美しいチームに生まれ変われるなどということは、ありえないのである。今季に関しては、どんな形でもいいから、とにかくJ1で生き残ることだけに特化することを決めたのである。来季以降のことは、残留が決まってから考える、ということだ。こんな継続性のない、焼き畑農業のようなチーム作りを続けていて、いつか栄光の日が訪れるのかと、暗い気持ちになってしまうが、これが現実だ。

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