以前、当S研では、今季清水が序盤戦でつまづいたのは、「5位仕様」への転換に苦労しているからだというようなことを書いた。もっと具体的に言えば、昨シーズンまでのようなリアクションサッカーから、自分たちで主導権をもってボールを握るようなスタイルへの変革だろう。その一環として、昨シーズンまでだったら、自陣で危ない場面があったら、清水のプレーヤーたちはとにかく力いっぱいボールを遠くに蹴っ飛ばしていた。「イレブン総蹴っ飛ばし小僧化」と言おうか、自陣で押し込まれた状態の時に、そこから繋いで自分たちの攻めに転じようなどということは、誰も考えていなかった。

 しかし、今シーズンは、自陣の深いところからでも、クリア一辺倒ではなく、なるべく繋ごうという姿勢が見える。たとえば、神戸戦の失点場面がそうだ。ペナ内でこぼれ球を拾った立田は、昨年だったらクリアしそうな状況だったが、そこから自分で持ち出そうとし、それをイニエスタに奪われた。そして、イニエスタの折り返しがソッコの足に当たり、それをポドルスキに決められてしまったわけだが、ソッコも大きくクリアするのではなく、とっさに味方に渡そうとしたように、所長には見えた。まあ、一瞬の出来事だったので、「味方へのパス」というのがどれだけ自覚的だったかは分からないが、昨年までのような「危ない場面ではとにかく大きく蹴る」という意識だったら、あの場面ももっとはっきりしたプレーになり、結果的に失点は免れたかもしれないと思うのである。

 所長自身、今季の清水には上位(もっと言えば優勝)を狙ってほしいとの思いから、昨年までのようなクリア一辺倒の守備では駄目だと考えていた。当然、そうしたスタイルの転換に当たっては、産みの苦しみがあるだろうと、覚悟もしているつもりだった。この変革を押し通すべきかどうか、個人的に確信を持てなくなっているのは事実だが、新しいことに挑戦しようとしているからこそミスも生じているのだということは、理解すべきだろう。

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