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 皆様ご存知のとおり、今日の日本のプロスポーツ界で最も成功しているチームとして、プロ野球の広島カープが挙げられるだろう。こちらの記事などで伝えられているとおり、チケットは常に争奪戦の状態である。以前テレビで、他県の出身ながら、カープが好きすぎて、広島に移住してしまった女性がいるなんて話もやっていた。そして、今日のカープの隆盛は、新しいマツダスタジアムの誕生と密接にリンクした現象であろう。

 翻って、我が清水エスパルスである。最初にお断りしておくが、所長は左伴社長のことを、この世で一番尊敬している。しかし、先日のサポーターミーティングにおける社長の新スタ問題についての発言には、心底落胆させられた。かいつまんで言うと、この中で社長は、当然クラブとしては新スタを希望しており、行政に要望を伝えたが、そう簡単には行かないし、クラブとしてまずなすべきことは現在のアイスタを観客で満員にすることだ、と述べている。

 なぜ、そんな後ろ向きのことを言うのだろうか? 上に載せたのは、広島カープの観客動員の推移である。かつての広島市民球場は、3万人以上の収容能力があったのだが、上掲の表から試算すると、おそらく1試合平均では1.5~2.0万くらいしか入っていなかったはずである。順位も、低迷していた。にもかかわらず、むろん旧球場の老朽化という背景はあったにせよ、広島は新しいスタジアムの建設に踏み切ったのである。そして、まず新スタジアムができて、観客動員と、チームの成績は、後からついてきた格好なのである。

 左伴社長が、「新スタを実現するためにも、観客動員と、チーム成績の向上を頑張ろう!」と言うのならいい。しかし、社長が、「新スタ云々よりも、まずは今のスタジアムを満員に」などということを言っては、絶対にダメだ。なぜなら、そのようなことを言うと、言質をとられた格好となり、行政などから、「現スタジアムが満員でないから、新スタを要望する資格はない」、「新スタを要望できるのは、優勝してから」などといった具合に、いつの間にかそれが必須条件のようにされてしまう恐れがあるからだ。

 もう一つ、社長の発言で残念だと思ったのは、「2014年にクラブとして正式に静岡市に要望書を提出しております」という部分だ。え?、一回要望して、それで終わりですか? こういうものは、しつこいくらいに、常に言い続け、訴え続けなければ駄目である。現状では、クラブが行政に要望をする熱量や頻度が低すぎるし、サポへの情報発信を通じた機運醸成努力もまったく不十分である。

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