こちらこちらのページに出ている広島の城福監督のインタビューは、なかなか考えさせられる内容である。

 言うまでもなく、ヨンソン現清水監督は、昨シーズン広島を残留させ、普通であれば続投も考えられるところだったが、広島は契約満了という判断を下し、だからこそ清水が招聘することができた。一方、噂レベルの話だが、清水は2年前、小林監督に声をかける前に、城福氏に打診をしたが、断られたといった話を聞いたことがある。色んないきさつがあって、ヨンソン清水、城福広島という形で今季を迎えたわけだが、場合によっては、城福清水、ヨンソン広島で2018シーズンを戦うことになった可能性もあったのかもしれない。城福氏が2年前に清水のオファーを断ったのだとしたら、その主たる理由は「J1チームを率いたい」ということだったと思うので、清水がポスト小林の新監督に改めて城福氏に声をかければ、あるいは応じてもらえたかもしれない。

 広島がヨンソン監督を切ったことに関し、「立て直したのに、何故?」と疑問に思う人は多かったと思う。ちなみに、今季開幕前に広島を降格候補に挙げた専門家もいたが、その理由は「ヨンソン監督と契約延長しなかったから」というものだった。しかし、今季蓋を開けてみれば、城福広島は大躍進しているわけだから、広島のフロントの判断は的確だったことになる。

 で、ここからは思考実験なのだが、もしも今季の清水の監督が城福氏だったら、清水は今の広島のように大躍進できただろうか? それに関しては、所長は少々疑問に思う。城福氏だって、別にオールマイティの指導者ではなく、FC東京では思うように成績を伸ばせなかったし、甲府では(クラブ規模を考えればJ1に留まり続けたのは立派だが)リアクションサッカーの域を出なかった。城福氏が広島で成功しているのは、今の広島の状況にすばらしくマッチしたからだろう。清水で同じ成功を収められる保証はない。

 上掲の城福監督のインタビューの中で、とりわけ印象的だったのは、次のくだりだ。

 うれしい驚きだったのは、誰ひとりとして、(2017年の低迷の原因を)チームや監督、チームメートのせいにしなかったこと。ただただ純粋に、自分がどうすればよかったのかが分からない、と悩んでいたんです。6年間で3度も優勝しているんだから、去年がたまたまダメだった、と思っている選手がいてもおかしくないのに、そういう選手がひとりもいなかった。こういう集団だからこそ3度も優勝できたんだろうな、と感じました。

 (特に青山は)シーズン前に話し合ったときも、「なんでチームがこうなってしまったのかを知りたい。自分はこう思っているけれど、よく分からないというか、霧がかかっているんです」と苦しんでいた。そんな彼を見て、キャプテンは彼しかいないと思ったし、こういうキャプテンシーもあるんだなと。

 つまり、広島の選手たちは、それだけチーム愛に溢れ、責任感を持ち、サッカーに真摯に向き合っていた、だからこそ城福新監督が気付きの点を伝えたりヒントを与えたりするだけで、それがものすごく大きな効果を発揮し、前年15位のチームが短期間で首位を独走するチームに変貌できたと、そんな風に捉えることができるのではないかと思うわけである。

 問題は、我が清水だ。2017年の屈辱を、どう総括したのか? 選手が自分たち自身で昨シーズンの問題を突き詰めて反省し改善を図るような努力をしているのか。もしかしたら、そういうことを怠り、監督お願いしますといった受け身の姿勢でいるのではないか? 清水と広島の明暗を見るにつけ、そのようなことを考えさせられる。

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