当S研では、清水駅前のLNG火力発電所計画につき、折に触れ言及してきたので、今回も触れないわけにはいかないだろう。こちらのニュースなどが伝えているとおり、県・市行政の反対姿勢、市民の反対運動などを受け、事業者のJXTGエネルギーは中止を決定したということである。

 こういう話題を取り上げると、「サッカーに関係ない話はするな」といった批判をする方も出てくるものだが、関係ないはずはない。清水エスパルスというクラブが末永く繁栄していくためには、その基盤となるホームタウンが魅力に溢れ、調和ある発展を遂げていかなければならないはずである。スタジアムの最寄り駅の目の前に大規模な火力発電所を建てるか否かという問題は、当然、今後のホームタウンのあり方を大きく左右するわけで、我々清水サポがそれに重大な関心を寄せることは、当たり前のことである。増してや、当該の土地はJXTGエネルギーの所有であるとはいえ、土地の代替の活用案としてサッカースタジアム建設という構想が取り沙汰されたこともあるわけだから、我々として無関心でいられるはずはない。

 今回の計画中止という情報に接し、所長がまず何よりも敬意を表したいのは、反対運動に携わった市民の皆さんである。これも、「住民エゴ」だとか「サヨク」だとか、的外れな批判をする向きは必ず出てくるものだが、地域社会と調和しない産業施設の立地に異を唱えるのは市民の当然の権利であり、清水という街においてそうした健全な抑止力が機能したことを誇りに思う。皆さんの活動がなかったら、どうなっていたことか。

 県、市の行政も、遅きに失した感はあったものの、最終的に反対の立場を明確にしたのは、良識に沿ったものだった。県知事も市長も、この問題を政争の具にしなかったことについては、一定の評価をしたいと思う。さらに事業者であるJXTGエネルギーも、なし崩し的に建設を強行するようなことをせず、行政および市民の声に耳を傾けた姿勢は、立派だったと評価できる。

 今回問題となったのは、駅を中核としたコンパクトシティーや、清水港周辺の海洋文化拠点創出、客船の誘致といった街づくりの方向性と、駅前の火力発電所建設という計画が、あまりに乖離していたことである。LNG火力発電所の建設自体は、どこか他の適地があれば、それはそれで検討すればいいことだと思う。場合によっては、駅前の土地と別の市有地をバーター交換するとか、駅前の土地を市が買い上げるとかしてもいいのではないか。その上で、駅前の土地の一番の有効利用法は何か?となった場合に、我々が待ち望む新スタジアムも、自ずと有力な候補になっていくのではないかと思う。行政・市民・企業のウィン・ウィン・ウィンの関係は、可能なはずである。

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