こちらのウェブサイトには、清水の試合の様々なデータが出ていて、その中に「スローインの成功率」という指標もある。これによれば、仙台戦における清水の「スローインの成功率」は、84.6%だったという。全部で26本スローインがあったらしいから、そのうち22回、「成功」したとカウントされているのだろう。一見すると、悪くなさそうな印象を抱いてしまう。

 しかし、所長はこの「スローインの成功率」という指標に、重大な疑念を持っている。たぶん、投げたボールを、最初に味方が触ったら、「成功」とカウントされているのではないだろうか? しかし、それは我々が試合を観て覚えている感覚とは、だいぶ異なる。仙台戦でもそうだったように、今の清水は基本的にスローインをFW(大抵の場合はクリスラン)に当てるというやり方をとっている。しかし、ほぼそのパターンしかないので、クリスランは常に敵に密着マークをされており、それでもそこをめがけて投げている。確かに、ボールにファーストタッチをするのはクリスランかもしれないが、最初から厳しく相手につかれているので、狭いエリアで厳しい体勢で受けることになり、ボールを収めて味方に繋ぐことはなかなかできず、すぐに奪われることが多い。上記の「スローインの成功率」なる指標は、そのようにあっさりと敵に奪われてしまったものも含めて、1回味方が触ったというだけで、「成功」としているのではないか? だとしたら、根本的に無意味な統計である。

 不思議なことに、清水というクラブは、メンバーや監督や戦術やシステムが変わっても、「スローインが下手」ということだけは終始一貫している。実にありがたくない伝統である。ヨンソン監督に代わってサッカーが全体的に改善されつつあっても、スローインに無駄に時間をかけすぎ、その結果密着マークされているFWに無理に投げて簡単にボールを失うという問題は、手つかずのままとなっている。考えてみれば、これはものすごく重大な問題である。相手ボールのスローインはだいたい相手が収めるのに、マイボールのスローインはだいたい相手に奪われているわけで、これではサッカーのルールが一方的に清水に不利に書き換えられているに等しい。今シーズン、今のところ結果は出ているが、ボール支配率は一向に高まっておらず、マイボールのスローインを確実に保持できていないこともその一因ではないだろうか。これでは自分で自分の首を締めるようなものだ。スローインは、心がけとチームの共通理解さえあれば簡単に改善できるはずである。中断期間中に、ぜひとも取り組んでほしいことの一つである。

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