すでに新シーズンに意識が向かっている大方のサポさんと異なり、当S研ではしつこく2017シーズンの振り返りを続けている。2017年にリーグ戦に出場したすべてのオレンジ戦士につき、昨日までの「個人別反省会」で、個別に論評した。

 しかし、2017シーズンを振り返るに、いた選手だけでなく、いなくなった選手のことも、どうしても考えてしまう。大前元紀の大宮移籍、あれは返す返すも、不幸な出来事だった。大久保が川崎から東京に移籍し、家長が大宮から川崎に移籍し、家長の後釜のような意味合いで大前が大宮に移籍したわけだったが、大久保や大前にとっては完全な失敗移籍だったし、家長も川崎が最良の選択だったという印象はない。全体として、不幸な玉突き移籍だった。

 特に大前の場合は、失った清水にとっても、獲得した大宮にとっても、そして本人にとっても、何の得にもならなかった。Win-Winという言葉があるが、大前の大宮移籍はまったくもってLose-Lose-Loseだった。

 まあ、はっきり言って、大前は清水にとって功罪両面があった。得点能力は高かったが、前線から守備をするというよりも、攻め残って得点を狙いたいタイプであり、近年の清水で守備組織が機能しない一因にもなっていた。しかし、テセと大前の2トップが健在なら、J2時代のように得点量産とまでは行かないまでも、J1でも一定の得点力は維持できたはずだ。2017シーズンの開幕前に、評論家連中が「大前の抜けた穴が・・・」と異口同音に指摘していたが、シーズンが終わってみれば、ある意味でその指摘は正しかったと認めざるをえない。

 大前本人にとっても、慣れ親しんだ清水で普通に試合に出続ければ、二桁得点くらいは狙えたのではないか。ロシア・ワールドカップは無理として、国内組限定の東アジア選手権で代表招集されるくらいのことはあったかもしれない。それが、「代表に呼ばれるためには、環境を変えなきゃ」みたいに焦った結果として、降格・大宮の戦犯となり、代表など夢のまた夢という境遇となってしまった。もはや清水と関係ない選手とはいえ、その身の上は、同情を禁じ得ない。

 本当に、誰にとって何の得にもならない、不幸な玉突き移籍だった。でも、JリーグはDAZNマネーを使って、わざと貧富の格差を作り出し、一部のビッグクラブに戦力が集中するように仕向けているわけだからね。これからそのマネーが引力となって、不幸な玉突き人事は、どんどん増えていくだろう。

 ちなみに、平山相太が東京から仙台に移籍し、今般クリスランが仙台から清水に移籍したので、これで大久保の東京移籍に端を発したアタッカー玉突き移籍は一回りしたことになる。まあ、もう大久保は出戻り、平山に至ってはこのほど引退表明しちゃったけどね。

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