エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2023年11月

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 今季2試合を戦った印象では、山形に負ける気はしていなかったのだけど、いやいやどうして、非常に面倒くさい相手だった。

 さすがは渡邉晋監督、ポジショナルプレーをチームに上手く落とし込み、機能的なサッカーをやっていた。戦術が浸透しチームの完成度が高まったからこそ、シーズン終盤を5連勝で終え、プレーオフに滑り込んだのだろう。

 その姿は、秋葉清水とは対照的だった。秋葉監督が初陣を飾った東京ヴェルディ戦と、今回の山形戦、何か積み上げがあったようには思えなかった。個人戦術のパッチワークのままである。まあ、それは周知の事実であり、今さらジタバタしても仕方がない。

 山形の戦い方、特に3トップの両翼が幅をとり、時にはMFも加わって、常に裏を狙っているのには、ヒヤヒヤした。あれだけ前線に人数を割けば、どこか手薄な場所があるはずなのだが、どうも清水のプレスははまらなかった。

 というわけで、90分+α、チーム戦術的にはずっと劣勢に立っていた印象だ。あれで山形に決定的な仕事をするストライカーがいたら、清水の守備は決壊していただろう。

 権田欠場の原因は知らないが、択生が代役と呼ぶのには失礼なほどの安定振りを発揮。配球は別として、ゴールを守るだけなら、権田と遜色ない能力を見せた。

 ところで、サイドを使われて序盤バタバタしたことを考えたら、今日こそ早い時間に3バックへの変更があってもよさそうだったが、なぜか秋葉監督は今日に限っては4バックを長い時間貫いた。このあたりの監督の考え方はどうたったのか、興味がある。


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 チームがアレなので、気晴らしに、少しポジティブな話をしてみたい。Jリーグの秋春制移行は、静岡のサッカーにとってチャンスになるのではないかという仮説だ。

 Jリーグが春秋制から秋春制に移行すると、シーズン中にも、ウインターブレークが入ると見られる。たぶん、12月後半から2月上旬くらいまでが、冬季中断になるはずだ。そうなると、各チームは、シーズン開幕前の夏にチーム作りのためのキャンプを張るのに加え、冬の中断期間にもチーム状態を落とさないため(あるいはそのタイミングで監督交代となり新たなチーム作りのため)キャンプが必要になる。年に2度キャンプを張ることになって、これがかなりの出費となりチームの財政を圧迫する。

 その際に、夏のキャンプは、本州・四国・九州では無理だから、北海道の涼しい地域が夏のキャンプ特需に沸くのではないかと言われている。

 そう考えると、静岡は、「冬のキャンプ地」に名乗りをあげればいいのではないか。エスパルスは、冬に鹿児島でキャンプを張っているが、良く考えてみれば、あれはどうしても必要というわけではない。自宅から離れ、環境を変え、一緒に生活することによって、チームの一体感が生まれるといった効果はあるだろうが、純粋に気候的観点だけから言えば、冬の静岡だって充分にサッカー適地だ。とにかく、「絶対に雪が降らない」土地なのである。エスパルスは、夏のキャンプは北海道で張り、冬のキャンプは地元で過ごすという形で、出張キャンプは年に一回で済み、経営的な観点から他のJクラブよりも有利な立場に立てる。

 そして、清水エスパルスだけでなく、磐田、藤枝、沼津が申し合わせ、冬には地元でキャンプを張るようにすれば、練習試合の相手にも困らない。ていうか、冬の中断期間中に、「富士山カップ」みたいな大会を毎年開催してもいい。静岡県のサッカーバカたちがこぞって観戦に出かけて、興業的にもおいしいだろう。負担増どころか、プラスに転じられる。

 さらに言えば、県外のJクラブも、静岡県でのキャンプに誘致したい。Jステップや草薙競技場もあるし、何なら県の施策として新たなキャンプ地を整備してもいい。シーズン移行の頃には、清水の駅前スタジアムも完成しているはずなので(?)、アイスタも貸し出せる。県外のクラブにとっても、遠い九州や沖縄でキャンプを張るよりも、静岡の方が安上がりに決まっている。特に山梨や長野のクラブはそうだ。上述の「富士山カップ」に、県外のクラブも2チームくらいゲスト参加してもらうと、中断期間に暇を持て余した県外のサッカーバカさんたちも観戦に来てくれるだろう。

 静岡県にとっての経済効果もサッカー強化効果も期待できるこのプラン。どうだろうか?


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 J2を過ごした2016年と2023年を比べると、今シーズンは悪いことばかりではなく、上位の町田、磐田、ヴェルディにも勝てた。2016年には、札幌、山雅に、まったく勝てなかったからね。

 その代わり、2016年には、下位チームとやって、負ける気はまったくしなかった。それに対し、今シーズンは、どう見ても弱そうな相手に、あっさりと勝ち点を落とすことが多い。

 もっと言えば、今年はルヴァンでJ1相手に勝つこともあったが、天皇杯でJ3相手に負けることもあった。序列とは関係なく、サイコロの目のように、勝ったり負けたりしてきたシーズンだったと言える。最後の最後に、悪い目が出てしまったなという印象だ。

 確かに、今季は爆発的な大量点で勝てた試合もあった。しかし、いつも言うように、それは気絶した相手を殴り続けるのが得意なだけで、相手がちょっとでもガードを固めると、とたんに攻め手を欠いてしまう。

 秋葉清水が確実に勝てるのは、第1に、明らかに崩壊したチームであり、金沢、大宮などがそれに該当した。第2に、清水とは関係なく自分たちのサッカーを貫こうとするチームであり、いわき、山口、アウェーの藤枝などが該当した。逆に、下位との対戦でも、相手が清水対策をちゃんとやり、きっちりガードを固めてくると、清水の勝敗は運任せのようになってしまう。

 それもこれも、何度も言うように、チーム戦術の欠如、ビルドアップ軽視の弊害であるように、個人的には思える。今回の水戸戦、別に選手が弱気であったわけでも何でもなく、自陣からボールを持って前進できないのだから、致し方がない。そして、ビルドアップの拙さが、変な形でボールを奪われ、押し込まれているわけでもないのに、少ないピンチでコロッと失点する現象に繋がる。

 でも、しょうがないではないか。クラモフスキーも、ロティーナも、他のクラブでは結果を出している人なのに、確固としたプレーモデルを植え付けようとするタイプの指揮官は、清水ではまったく結果が出なかった。ゼ・リカルドは最初から微妙だったが、とにかく駄目だった。ならば、指揮官はモティベーター型しかなく、秋葉さんがそれにはまった。秋葉戦術というよりも、選手たちを解き放ち、4バックか3バックかさえもピッチ上に任せるという異例のチームとなった。

 チーム戦術を事実上欠き、個人戦術のパッチワークのようなサッカーでも、J2であれば何とかタレント力で押し切れるのではないか。あと1試合、ごまかしきれるのではないか。個人的には、秋葉清水を信用するわけではなく、「ごまかしきってくれ」と願うような気持で見ていたが、届かなかった。

 予想されたように、敗戦後に秋庭監督は、ひたすら気持ちの弱さについてのみ語った。プレーオフも、「ごまかしきれるかどうか」という戦いになりそうだ。


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 前節の反省を踏まえた、上手くコントロールした上での勝利だったと思う。

 観客席で、近所のバカが、「なんでもっと早く出さないんだよ。なんでもいいから前に出せよ」とか、ずっと愚痴っていたけれど、この試合に限っては、イケイケでなく、無失点で確実に勝つことがテーマだったと思う。確かに、自分たち自身で攻撃にリミッターをかけて、制御してしまっている気がしてイライラする場面もあったが、ずっとリードはしていたわけだし、強引に仕掛けて変な形で失い、カウンターを浴びたりするよりは、ゲームコントロール重視で試合を運ぶということだったのだろう。

 この試合で2度あった大ピンチは、チーム戦術のミスによるものではなく、個人的な問題だった。序盤の枠に当てられたシュートは高橋が揺さぶりに対応できなかったもの、後半の権田のセーブでしのいだやつは原がクロスにかぶる悪い癖が出たものであり、チームとして乱れたわけではなかった。

 こういう、コントロール重視の試合で、4点とれたのだから、まあ良かったのではないか。磐田が5点とった日に、清水が4点しかとれなかったのは癪に障るが(笑)、大量得点には変わりない。

 残念だったのは試合後のグダグダで、例によってなんちゃらMVPとかの表彰が長すぎて間延びするわ、運営とゴール裏が噛み合ってないわで、最悪だった。「王者の旗」といえば、我が軍の聖歌のようなものだろう。クラブの聖歌を、チャントでかき消すゴール裏というのは、何なのだろうか。秋葉監督にリバイブを持ち上げられて、何か勘違いしたのか。

 ちなみに、もう10年以上前だが、シーズン終盤、日本平で湘南のJ2降格が決まったことがあった。その時、清水のゴール裏は、相手に配慮して勝ちロコを自粛した上で、湘南にチャントを送った。相手もそれを返すという、感動的な場面があった。今の清水のゴール裏は、J3降格が事実上決まってしまった大宮に、エールを送る度量もないのか。


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