エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2023年05月

215

 試合前にメンバー表を見て、「こりゃ、選手交代をする前に2点はとらないと厳しいぞ。選手を代えるたびにパワーが落ちていく、いつものパターンだろうから」と感じた。実際、そんなような試合になった印象だ。

 個人的には、やはり今の清水の問題は、乾がいるのといないのとで、全然違うチームになってしまうことだと思う。なので、乾が途中交代した後に誰が入るのかが問題で、清水のメンバーを見渡せば、強いて言えば神谷がその互換だろう。なので、神谷は先発させず、乾のバックアッパーとしてとっておいて、乾が途中交代しても、90分同じくらいのチーム力を維持できるようにした方がいいのではないか、などと思っていた。もっとも、最近、乾はプレー時間が伸びる傾向にあり、今回の金沢戦でも85分までプレーしており、終盤もそんなに落ちた印象はない。ならば、乾と神谷のダブル先発は、中山欠場という条件下では、最適解だったか。

 カルリの状態は分からないが、仮に中山とカルリを一定期間、両方欠くことになったら、痛いな。ディサロと北川がイマイチ当てにならないだけに。

 さて、そんなわけで、金沢戦、割と危なげなく勝ったわけだが、こういう隙を見せてくれる相手に、複数得点、大量得点できたからと言って、「相手がブロックを組んでしっかり守ってきた時に極端に攻撃力が落ちる」という課題は未解決のままである。このままだと、弱いものいじめだけのチームになってしまい、先日の町田のようなタフな相手には競り負ける、勝負弱いチームになってしまう。それでは昇格はおぼつかない。

 試合後、神谷が以下のとおり語っており、所長の認識を代弁してくれた感じだ。

 3点ともショートカウンター気味で、自分たちがボールを作っている時ではなかった。前からしっかり守備が行けていたが、あとは流れから点が取れたり、セットプレーから点が取れたり、バリエーションを増やしてゴールを取れたら一番良いのかなと思う。

 チームとして点が取れているので、良く見えてしまう部分もあるが、ゴール前でのコンビネーションとか崩しというのをもっと正確性を出していかなければいけないし、そのクオリティを上げていかなければいけないと思う。


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210

 はっきり言って、この大会は4月19日にアウェーで川崎に0:6と大敗した時点で、終わったと思っていた。4月16日のJ2第10節のアウェー山口戦に6:0と大勝はしたものの、2度の試合中断があり、その日のうちに静岡に帰ってこれるかどうかという、楽勝に反した過酷な旅程となってしまった。ゆえに19日のアウェー川崎戦は、勝敗はほぼ度外視で、実質的にユースチームで戦うことを選択せざるをえなかった。

 今季のルヴァン、勝利、引き分けと良いスタートを切っていただけに、大会を捨てるのはもったいなかったが、J1復帰という至上命題を見据え、今後の日程を考えれば、残り2試合の敗戦処理はユースに任せ、リーグ戦に集中するのが現実的だろうと思われた。

 しかし、昨日のメンバー表を見たところ、これは大会を捨てたわけではなく、むしろ勝たなければならないメンバーだと、驚いた。以前から、この湘南戦はスタジアムで現地観戦をすることを決めていたが、「勝利を願い応援したものかどうか…」と微妙な心境だったところ、これはもう完全に必勝モードだろうと、個人的にも考えを変えた。

 蓋を開けてみれば、見たこともない433の布陣で、前半は相手にほとんど何もやらせない、頼もしい秋葉清水があった。433だと、なぜ湘南の布陣に上手く合うのかというのは、所長の低いリテラシーではよく分からないが(笑)、まあとにかく上手く行った前半だった。完勝ムードから一転して、後半ズルズルと失点を重ねてしまったのは情けなかったが、最後はありそうでなかったサンタナ&セフンのツインタワー戦法も見られたし、まったく期待していなかったミッドウィークのカップ戦で、思わぬ拾い物をした。

 ただ、それにしても、ルヴァンで勝ち上がった場合の、日程面の不安が、個人的には拭えない。


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1490

 静岡県のサッカー人にとり、「絶対に見たくないものランキング」というのを作ったら、「黒田剛氏の笑顔」というのは、かなり上位に入ってくるはずである。その、絶対に許してはいけないものを、許してしまった。しかも先方にとって最高の形で。現状の順位のことを考えれば、6ポイントマッチというのはおこがましいが、昇格争いという観点で痛すぎることは言うまでもない。ただ、それを抜きにしても、静岡プライドという観点から、絶対に負けてはいけない試合を、最悪の形で落とした。

 それにしても、試合前の秋葉監督の挑発的な発言、面白くはあったが、あれだけ言うのであれば、せめて2点はとってほしかったぞ。

 秋葉監督も、あの最悪の状態から、良く立て直してきたとは思う。実を言うと、個人的には、千葉戦、町田戦と負けはしたが、清水の攻撃のクオリティはむしろ上がっている印象だった。相手がブロックを組んで構えても、得点が奪える、あと一歩のところまで来ていると思う。

 しかし、最後のところで、まだ判断ミスや迷いが目立つ。それに比べると、町田の攻撃はシンプルで、迷いなくやっている分、効率が良い。はっきり言って、町田のサッカーを、町田サポ以外で好きという人は一人もいないと思うが、あれぞ勝利へのリアリズムというものだろう。現時点の清水の完成度では、そのリアリズムを凌駕できなかった。


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1486

 今回の千葉戦は、個人的に現地観戦したんだけど、前半から千葉がしつこく続けていたロングスロー、現場の雰囲気で、あんなものが得点になるとは、とても思えなかった。確かに距離は出るスローだったけれど、ふわっとした軌道で、全部ストーンのサンタナあたりがたやすく跳ね返していた。それが、最後の最後に、スクランブルになり、あんなサッカーとも言えないようなプレーで、失点してしまうとは。まったくやりきれない。

 ただ、やはり問題は、一点もとれなかったということに尽きるだろう。先日このブログで、いわきや藤枝相手に大量点で勝ったことは、清水の力を図る上であまり参考にならず、問題は、競った堅い試合で、一点を奪い切れるか、そしてその一点を守り切れるかだ、というようなことを申し上げたと思う。その、今後の清水を占う上で、重要なストレステストとなったのが、守備の強固な千葉相手の今回の試合であり、そのテストに不合格になってしまったという点こそが、重大ではないかと思うのである。

 今回の千葉のように、ある程度のディフェンス力を持った相手が、ブロックを作って守ってくると、今の清水にはまだ決め切る力がない。攻めあぐんでいるうちに、セットプレーか何かで、やらずもがなの先制点を献上してしまう。その意味で、徳島戦、そして今回の千葉戦は、今の清水の負けパターンにはまったものであり、徳島戦では運良く最後に追い付けたが、いつもそんな幸運は転がってはいない。

 まずいことに、次の町田も千葉と同じような基本戦略であり、増してや清水相手には同じような戦い方をしてくるだろう。守備を固めて、一瞬の隙を突いて清水から得点を奪おうとするだろう。


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1479

 普通、サッカーで5:0の勝利は、一年に一度あるかないかの大勝であり、何年も語り継がれるようなカタルシスが残るものである。でも、すでに今季、6:0や9:1を経験した我々としては、5:0では何か物足りないような気もしてしまう。いけないおクスリを決めすぎて中毒になり、5点くらいじゃ満足できないような、そんな体になってしまったのだろうか。

 いや、むしろこの試合に関しては、選手たちも言っているように、点差ほどは楽な試合ではなかったということだろう。特に、後半は一方的に攻められた。印象としては栃木戦と同じで、前半はアグレッシブなサッカーで得点を重ね、「こりゃ後半はもっとすごいことになりそうだぞ」とアイスタの期待感をマックスまで高めておきながら、実際には後半は守ってばかりだったと、そんな感じである。

 秋葉監督の試合後のコメントを読んでも、点差もあるので、後半は安全運転に徹したというようなことを言っている。超攻撃的に、最後まで相手を殴り続けるというのを標榜していることを考えると、公約違反という気もしないでもないが、なるほど、秋葉さんにはこんな一面もあるのかと、認識を新たにした。まあ、連戦続きで、前節のような残念は失点は絶対にしないというのがテーマだったことを考えれば、納得だ。

 今後も、前半はイケイケ、そこでリードを奪い、後半は慎重にという試合が、増えるかもしれないな。アイスタも、前半たっぷり目の前でゴールを拝むため、東サイドスタンドの方が人気が出たりして。


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1474

 まあ、たまにはこういう娯楽もないと、サポもやってられないよね。

 正直言えば、事前の予習で、いわきFCの前節の試合を観た時に、うちが負ける要素は一つもないな、とは思った。先方には失礼かもしれないが、うちとやれば、カテゴリーが違う戦いだな、という感じである。

 そんなわけで、痛快ではあったわけだけど、9:1というスコアは、もう相手が気絶している状態なのに、お構いなくKOパンチを打ち続けたという様相だった。

 こんな派手な勝ち方をしたからといって、清水の抱えている課題が、全部解消されたわけではない。今回の9得点も、大部分は速攻だったわけで、そもそも相手がハイラインであり、ビハインドになったから前に出てくれ、それで面白いように決まったという面がある。これが、何かの間違いで相手が先制してしまい、引いてブロックを組んできたら、清水は崩せたのか? そうなると、とたんに攻撃が行き詰ってしまうのが清水であり、今回9点とれたからといって、今度そういう難しい展開になった時には1点もとれないかもしれないのである。

 それ以外にも、乾が退いたり離脱しても攻撃は機能するのか?とか、守備の集中力を90分持続できるのか?とか、北川のポンコツは治ったのか?とか、課題は尽きない。

 他のチームが清水をスカウティングしたら、「清水相手には、引いた方がいい。ブロックを組めば、清水は崩せない。前半は固く入るべきだし、試合全体でも引き分けでOK」という結論になるだろう。今後の戦いは、むしろますます難しくなると覚悟すべきだ。


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1467

 いやあ、色々まずいことが浮き彫りになった徳島戦だった。

 秋葉監督が大きくメンバーを変えてきたことに関しては、驚きはしたが、悪い選択だったとは思わない。連戦を乗り切り、チームを活性化させるという意味で、理解できる。ただ、先発に起用された攻撃陣が、まったく期待に応えられなかった。まだ最下位とはいえ徳島が最悪期を脱し復調しつつあったこと、強風の影響があったことなどが相まって、苦戦を余儀なくされた。

 清水は選手層やそのクオリティがJ2随一と言われている。まあ、それは事実だろう。しかし、秋葉体制の最近の試合でも、後半選手交代をしてアタッカーを代えると、攻撃が失速する傾向があった。山口戦でこそセフンや北川が結果を出したが、あれは相手の自滅という面もあったし、今回の徳島は順位の割にはしっかりしたサッカーをするチームで、清水のBチームでは分が悪かった。

 豊富なアタッカーを抱えているようでありながら、やはりAチームでないと攻撃の迫力やスピード感は出ない。とりわけ、今はチームとして未完成な部分を、乾の属人的な能力で補っている状態であり、彼が出ているのと出ていないのとで、まるで違うチームになってしまう。その現実を、改めて突き付けられた。

 もう一つ、非常にやばかったのが、そのAチームをもってしても、相手が1点リードしがっちり守備を固めた状態では、効果的にゴールに迫れなかったことである。再三申し上げるように、遅攻から得点を奪うのはどんなチームにとっても難しいことだが、やはり現清水はカウンター・裏狙いのロングボール・セットプレーだけのチームであり、相手を押し込んで崩し切るような攻撃はできていない。

 秋葉体制で、先制することが増え、引いた相手を崩すという状況にしばらく直面していなかったので、ボロが出なかったが、今回徳島に先制されて、遅攻の引き出しがないという清水の現実が浮き彫りになってしまった。


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