エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年12月

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 セレッソ戦でちょっと面白い写真が撮れたので、お目にかける。前半が終了し、選手たちがロッカーに引き揚げる時に、大久保嘉人が主審に食い下がっていた。前半のラストプレーで、大久保が鈴木義宜と競り合い、それが大久保のファウルと判定されて、清水のフリーキックになったことに、納得が行かなかったのだろう。「自分はこうやって合法的に体を入れたのだから、ファウルではない」といった感じで、ジェスチャーも交え必死に訴えていた。リーグ戦最終戦まで、この人らしいなと、思わず笑ってしまった。

 それにしても、この試合でも、大久保は存在感たっぷりで、清水のオウンゴールも誘発したわけだし(枠には飛んでいなかったので大久保のゴールと記録されなかったことは正しい)、後半セレッソの唯一のチャンスのヘディングシュートも、動き出しから頭の当て方まで、見事だった。とても引退する選手のパフォーマンスとは思えなかったが、最後の力を振り絞っていたのかもしれず、どんな思いで引退という決断に至ったのか、他サポには伺い知れない。

 本人は、割と直前まで、J1で200得点を決めるまでは、引退しないと公言していたようだが。実際には、YOSHIメーターは191で打ち止めだったようだ。まあ、日本代表GKの権田に192個目をストップされたのなら、納得の引退だろう。

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2021

 シーズンは終わっちゃったし、個人的に情報弱者だしで、大したネタもないのだが。

 清水の節ごとの勝ち点推移を示したこのグラフは、時々更新してお目にかけているものなので、2021年の最終バージョンを掲載する。

 2021シーズンの場合は、何と言っても、20チームで戦われ、いつもの34節よりも多い38節だったというのが特徴である。J1は20チームで固定してほしいものである。今後はJ3とJFLでの入れ替えもあり、Jの拡大路線には終止符が打たれると言われているが、だったらJ1が20、J2も20、J3は18(もしくは20)にした方がスッキリすると思うのだけど、どうだろうか。

 それはさて置き、グラフを見ても分かるとおり、2021年のロティーナ清水は連勝がなく、大型連敗もなく、ずっと生煮えの状態が続いた。しかし、最後は3連敗で終焉。対照的に、平岡監督に移行してからは、1引き分けを挟んで、3連勝でフィニッシュしたので、極めて対照的な結果になった。

 グラフを見ていただくと、近年の清水では、ポンポンポーンと気持ち良く勝ち点が伸びる3連勝は、ヨンソン体制の2018年には2度あったが、それだけだった。平岡清水の3連勝はそれ以来ということになる。あの勢いなら、あと5節くらいあったら、一桁順位くらいまで行けたんじゃないだろうか、などと妄想したくなるが、まあ世の中そこまで都合良くはないわな。

 清水は、2014年以降、最終節には負けておらず、今年もその伝統を保った。

 他方、清水が開幕節と最終節の両方に勝利したのは、2006年以来のことで、実に久し振りだった。

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 それにしても、セレッソ戦におけるサンタナの「フリーキック・コント」には、参ったぜ。直接フリーキックを、ゴールに突き刺すのではなく、壁に入っていた味方の頭に当て、鈴木唯人が悶絶したという、アレ。あんな、5年に一度あるかないかという珍プレーを、今季の清水は、アウェー札幌戦の指宿に加えて、二度も演じてしまったわけだからなあ。

 セレッソ戦、終わってしまえば、必然の勝利のように思ってしまいがちだけど、冷静に考えると、かなり危うかったと思う。というのも、あの日はエースのサンタナが、明らかに不調だったからだ。フリーキック・コントは別としても、緊張していたのか、全般的にプレーの精度が低かった。そして、今季の清水は、サンタナ以外に点をとれる選手が見当たらないというチームである。

 本来であれば、前節でヒーローになった中村慶太に期待したいところだった。個人的に、セレッソ戦の前には、「慶太は先発なのか、あるいは、敢えてスーパーサブとしてベンチスタートなのかっ!?」という点に注目していた。ところが、コンディション不良なのか、セレッソ戦ではベンチにも慶太の名前はない。当S研ブログでは先日、「慶太は出れば活躍するが、なぜか継続的に起用されない」という指摘をしたが、それが現実になってしまった。そんなわけでセレッソ戦、ますます、サンタナが決めないと点はとれないぞ、こりゃという雰囲気になってしまったのである。

 そこに現れたヒーローが、西澤健太だったわけである。本当に、お世辞抜きで、あのパフォーマンスを常時続けていたら代表ものだろうと思わせる活躍だった。

 ところで、最終節に右サイドから左足でミドルを突き刺し、残留を確定させるということで言えば、我々には2019年にドウグラスが鳥栖戦で決めた一撃が忘れられない。西澤のゴールは、ドウグラスよりは角度が厳しくなかったが、それでも2年前のあのシーンと重なったというサポも多かったことだろう。実は西澤自身、ドウグラスのあの決勝ゴールの映像を何度も観て、それをイメージしながら試合に入ったということを、試合後に証言している。


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 お気付きのとおり、個人的に図表を作るのが趣味である。清水がJリーグで船出した1993年以来、どのような順位を辿ってきたかを示したこのグラフは、時々更新してお目にかけているものだが、2021シーズンも終わったということで、最新版を作成してみた。図はクリック・タップで拡大します。

 それにしても、なあ。2021年も結局、過去数年で見慣れた風景だった。まあ、去年よりは2個、順位が上がったとはいえ、戦前の期待感からすると、大山鳴動して鼠一匹と言わざるを得ない。

 もう、いい加減、尻に火が付いてから、ようやく戦闘モードになって、最終節に勝って残留を決めるなんてチームカラーからは、卒業しないとな。

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 もうご覧になった方も多いと思うが、今季の清水の挑戦に関し、DAZNでエスパルスとJリーグが制作したドキュメンタリーが配信されている。昨日6日にepisode1が公開され、2以降はこれから出るようである。上のYouTube動画は、ドキュメンタリーそのものではなく、その予告編。

 なお、そもそもなぜこのようなコンテンツが作られたかについては、こちらのコラムを参照していただきたい。

 個人的にも、とりあえずepisode1を観たところである。夏の五輪中断くらいまでの時期が取り上げられている。もがき苦しみながらも、まだロティーナ清水は浮上できると信じられていた頃のストーリーである。

 今回のドキュメンタリーを観ても、ロティーナにビジョンがあることは間違いないし、それを必死にチームに落とし込もうとしていたことは、痛いほど伝わってくる。それが開花した可能性も、確かにあったと思うのである。ホームの福岡戦でも、横浜FC戦でも、湘南戦でも、一つでもいいから、いずれかの試合で勝利を挙げられていたら…。成功体験が次の成功を呼び、良い循環に入っていけたのではないかと、今も思う。失ったものの大きさが、改めて痛感される。

 だが、個人的には、だからと言って、ロティーナと心中すべきだったとは思わない。確かにロティーナサッカーが開花したらどんなに良かっただろうとは思うが、それは死児の齢を数えるというやつで、我々には監督交代で生き残るしか道が無かったのである。ロティーナサッカーという大きな可能性を断念しなければならないような、そういう状況に陥ってしまったことこそが問題なのであって、ロティーナの更迭自体はやむを得なかった。

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 最近、強く思うのは、権田修一は絶対に政治家にはならない方がいいだろうな、ということである。

 向いていない、という意味ではない。向きすぎているのである。あんなに人の心を動かせる演説ができる人は、そういない。ああいう弁舌巧みな人が政治の世界に入ったら、ヒトラーのような恐ろしい独裁者になりかねない(笑)。だから、サッカーチームにいるくらいの方が、無害でいいのである。サッカーだったら、どれだけ演説でサポの感情を揺り動かしても、戦争は起きないからね。我々の貢ぐカネが増えるくらいで。

 恥ずかしい話だが、個人的に、今季終盤戦、試合前のロッカールームの様子がツイッターで流れてきて、そこでキャプテン権田が円陣で披露する声出しに、何度か涙してしまった。そして、最終戦後のセレモニーでの、権田の演説。あれはヤバかった。だいたいああいう席でアスリートが述べることなんて、通り一遍の内容になるものである。それが、チームの方向性や、我々サポの姿勢まで考えさせられるようなことを、感動的に綴ってみせるのだから、恐れ入る。試合が終了して残留が確定しても泣かなかったが、権田の挨拶には涙を禁じえなかった。

 今季の清水は、権田、竹内、鈴木義宜と、キャプテン3人制で臨んだ。最初は、今までの流れで、何となく3人の中で竹内が「第一キャプテン」みたいな感じだった。しかし、竹内が出ない試合が増え、鈴木義宜も長期離脱する中で、フル出場を続ける権田がいつしか「キャプテンの中のキャプテン」という位置付けになった。考えてみれば、最終節のキャプテン挨拶も、別に竹内がやってもよかったわけだが、権田がやることに、誰も違和感はなかっただろう。

 強く印象に残っているのは、10月2日にアウェー福岡戦で勝利した後、権田がこんな風にコメントしていたことである。「今日のようなアグレッシブな守備だったり、切り替えの早さを失ってしまえば、積み上げが何も無いということになってしまう。ボールをつなぎたいというところもあるが、それだけでは勝てないし、まずは今日のような戦いをベースにしていきたい。」

 福岡戦後に、権田が述べていたことは、実質的にロティーナのやり方に疑問を呈するようなものだったと思う。しかし、権田が提唱するような泥臭い方向に、チームは舵が切れなかった。結局、福岡戦がロティーナ清水の最後の勝利となり、その後は3連敗。対照的に、平岡監督の下で「アグレッシブな守備だったり、切り替えの早さ」を前面に出すことで、チームは蘇生した。こうして、2021年の清水は、終盤になって、名実ともに権田のチームになったと言って過言でないだろう。

 ただ、その権田については、リーグ戦終了と同時に、FC東京がリストアップしていて権田本人も前向きとか、神戸が興味とか、非常に気になる情報が飛び交い始めた。清水も「契約延長を打診中」などと言われるが、「契約延長」ということは買い取りではなくレンタル期間を延長するという意味か? 対するFC東京はポルティモネンセに移籍金を払う用意があるのか? 詳しいことは分からないが、ミクシィとのマネーゲームになったら、分は悪そうである。

 キャプテンの腕章を巻いて、これだけチームの核となり、最終節の挨拶であれだけサポーターの心を揺さぶった男が、古巣から多少良いオファーが来たからといって、それに飛びついてしまうものだのだろうか? 清水での影響力が大きくなり過ぎただけに、失った時の喪失は大きそうだが…。

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 当S研ブログでは、事前に楽観的なことを述べて、それが裏目に出るのが嫌なので、清水のJ1残留の見通しに関しては、慎重な語り口に終始していた。しかし、終わってみれば、最終節のセレッソ戦に堂々と勝ち切って、3連勝フィニッシュ。

 はっきり言って、他会場で徳島が2点リードされたくらいの時点で、残留に関しては、まあ大丈夫だろうという感覚があった。あとは清水が勝って終えられるかということだけだったが、そのミッションも見事クリアし、他会場で柏が敗れたため、最終的には14位まで順位を上げて、今季の戦いを終えた(まだエリートリーグをすべて消化していないように思うのだが、それはどうなるのか……)。

 これも、ジンクスが崩れるのが怖いので、事前には言わなかったが、近年の清水は、最終節には負けないという現象がずっと続いている。なので、薄氷の残留でも、最終的には意外に悪くない順位で終わったりするが、今季もそのパターンだった。今季の最終成績、38試合で勝ち点42、14位なら、まあまあ普通の成績だろう。もちろん、目指していたところには、はるかに及ばないが。

 セレッソ戦、スタッツを見れば、シュートは清水の15本に対し、セレッソは3本である。印象としても、危ない場面は少なかった。優位に試合を進め、不運な失点はあったが力強く盛り返して逆転し、終盤は押し込まれても慌てず対応する。平岡エスパルス、目を見張るような斬新な戦術とかがあるわけではないが、普通のことを普通にでき、ハードワークやチームワークが光る、好チームになった。最後の最後に、すべてがかみ合ったという印象である。

 平岡監督については、「短期リリーフは良いかもしれないが、長期間チームを委ねるほどの手腕はどうなのか」という意見がある。それは確かにそうなのかもしれない。野球で言えば、大魔神・佐々木が凄いリリーフだからといって、先発させて上手く行くとは限らないというのと同じだろう(いちいち例えが古い)。

 しかし、仮に短期リリーフ型にしても、4試合で勝ち点10というのは、とんでもないパフォーマンスである。それこそ9回裏ノーアウト満塁で「お前、行ってこい」とマウンドに登らされて、無事無失点で帰ってきたようなものである。来季の監督人事はおそらくまだ白紙だと思うが、平岡監督にはどでかい特別ボーナスくらい支給してほしいものである。

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 今季のJ1の日程が発表された時に、最終節がホームでのセレッソ戦というのを見て、一体どんな状況で最終節を迎えているのだろうかと、色々と思いを巡らせたものだった。それが、まさかJ1残留を賭けたヤバイ試合になるとは思わなかったし、増してやベンチにロティーナがいないなどということは想像もできなかった。「最終節は新旧ロティーナ・ダービーか。楽しみだな」なんて思っていたのに、もう我々の意識にはロティーナの残像もあまり残っていない。

 今季のセレッソは、ロティーナからクルピへの監督交代が案の定失敗し、第27節ガンバ大阪戦から小菊昭雄監督が指揮を執っている。そこで、それ以降のリーグ戦の戦い振りを上表のとおり整理してみたのだが、なかなか特徴的な戦績だ。6勝・6敗の五分の星であり、なんと引き分けが一度もないのである。個人的に最近のセレッソの試合はほとんど観ていないのだが、想像するに、アグレッシブに戦って、勝つか負けるか、勝負がはっきりつく戦い方なのだろう。

 「中位のチームは、上位争いも降格も関係なく、リーグ戦終盤でモチベを失う」とはよく言われることだが、どうも最近のセレッソは本気度が高いようだ。それというのも、チームのレジェンドである大久保嘉人に、最後に点をとらせて、良い形でスパイクを脱がせてあげたいという雰囲気が強いからだろう。

 ならば、本日の清水VSセレッソ戦、大久保嘉人の得点と、清水の勝ち点をバーターしないか、などとフラチな取引を持ち掛けたくなるが、まあそんなわけにもいかんだろうし、難しい試合になるだろう。

 他方、セレッソに関しもう一つの要因は、まだ天皇杯で勝ち残っており、12月12日(日)に準決勝・浦和戦を残していることだ。リーグ戦で大久保嘉人に最後のゴールをとらせてあげたいというモチベとともに、「嘉人さんを国内タイトル無冠のまま引退させるわけにはいかない」という思いもあるようで、もしかしたら先方の優先順位は天皇杯準決勝の方にあるのかもしれない。仮にそうだとすると、1週間空くとはいえ、今日の清水戦では、主力はフル出場させないとか、嘉人は温存するとか、何らかの影響があるかもしれない。

 本来であれば、清水自身の戦いにフォーカスし、「対戦相手も、他会場も関係無い」などと言い切りたいところだが……。なかなかそこまでの気持ちにはなれないので、謙虚な気持ちで最終節を見守ろうと思う。

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 この1週間、浦和に勝利したことにより、チームもサポも残留に向けて前向きな雰囲気に包まれていたが、そんな中、我々をやきもきさせていたのが、エウシーニョの動きである。すでにチームを離れたことがSNSでほのめかされ、それを後追いするかのように、チームからはエウシーニョの怪我と治療のためのブラジル帰国が正式に発表された。

 そして、エウシーニョほど確定的な情報は出ていないにしても、ヘナト・アウグストについても、同じような雰囲気が漂いつつある。

 率直に申し上げれば、個人的にはだいぶ前から、エウシーニョもヘナトも今シーズン終了をもって退団だろうと思っていた。たぶん、実際にそうなりつつあるのではないか。

 公式発表によれば、エウシーニョは広島戦の短い出場時間で、肉離れを起こしたそうである。今季、実に3度目の肉離れということになる。10分出場して、3ヵ月離脱といったことを繰り返していては、戦力として当てにはできない。それは、ヘナトについても同様だろう。2人とも、まだ現役でプレーできるとは思うが、そのためにも、環境を変えた方が本人たちのためだろう。

 もう一つのニュアンスは、エウシーニョもヘナトも2019年入団で、つまりは大熊現GMの息のかかっていない選手ということになる。エウシーニョは故・久米さんがこだわって獲得したと言われているし、ヘナトは大榎案件だろう。エウシーニョとヘナトが、チームを去ろうとしているのかな?というのを目の当たりにして、今やチーム編成が大熊GMに一元化されつつあるというのを、改めて感じた。

 夏に大熊GMがインタビューに応じた時には、「エウシーニョはあれだけボールを持って違いを作れるし、ヘナトもチームの心臓で、その2人ともが離脱しているのは痛い」といったことを発言していたので、ああ大熊さんも2人のことは評価してるんだなとホッとしたこともあったが、やはり今後の編成については自分が発掘した戦力(外国人に関して言えば2020年以降、カルリーニョス以降に加入した選手)を優先しているということか。

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 最終節で、残留を争う3チーム、それぞれはどんな心理状態になるだろうか?

 まず、現時点での順位では一番不利な徳島は、「絶対に勝たなければならない」という意識だろうから、ある意味で一番シンプルである。しかも、徳島は最近、自分たちのサッカーを貫いて調子も良いので、自信を持って戦うだろう。ただ、他会場で湘南が大差で負けているという情報が入ったりすると、試合の最後の方では、無理せず引き分けでもOKという判断になるかもしれない。

 それに比べると、湘南は他会場、具体的には徳島の途中経過を気にする度合いが大きいかもしれない。現時点で湘南の方が得失点差で上回っているとはいえ、最終節で自分たちは同点なのに徳島はリード、または自分たちは負けているのに徳島が同点というシチュエーションになったら、大変なことになるのでね。現状では半歩リードしているとはいえ、逆に追われる立場ゆえに、他会場が気になって仕方がなく、心理的には一番厳しいかもしれない。

 さて、我が清水は、どうだろうか? 清水は、他会場がどうあろうと、勝ち点3、最低でも1を目指す戦いであり、他会場のことを気にしたって仕方がない。ただ、徳島と違って、「1でも残留確定」というところが、微妙な心理的作用を及ぼす恐れもある。同点の状況が長く続いて、勝ち点1でOKと思っていたところに、試合終盤に敵に勝ち越しゴールでも奪われたりしたら、目も当てられない。

 そこで提言なのだが、残留というよりも、「14位の柏をとらえる」ということを意識したらどうか。上の表に見るとおり、清水は14位の柏とは勝ち点が2つ離れており、最終節で勝たなければ柏には追い付けない。清水が最終節で勝った上で、柏が大分相手に敗戦か引き分けてくれれば、清水は柏を抜いて14位まで順位を上げられる。

 下ではなく、上を見るのである。まあ、結果的に、柏が勝ったりして、14位に手が届かなかったら、それはそれで仕方がない。

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 浦和戦勝利の立役者となった中村慶太。ただ、彼はなかなか不思議なプレーヤーであり、出れば活躍しインパクトを残すものの、なぜか継続的に起用されない傾向がある。

 思い起こせば、クラモフスキー体制で迎えた2020年の開幕戦、慶太と西村がダブルボランチを組み、FC東京に敗れはしたが、ダブルボランチの活躍は鮮烈だった。「ああ、今季は慶太がボランチの軸になっていくんだろうな」と思ったものだったが、その後はチームの低迷もあり、慶太の存在感も尻すぼみになっていった。リーグ戦は25試合出場1得点に終わった。

 そして、ロティーナ体制で迎えた2021年の開幕戦@鹿島でも、慶太はボランチとして先発出場を飾り、勝利に貢献した。ホーム開幕戦の福岡戦でもそれは続き、カルリーニョスの先制点をおしゃれアシストしたことが思い出される。余談ながら、はっきり言って、カルリのあの点が決まったた時には、「ヤバい、これホントに優勝するんじゃないの!?」と思ったものである。

 しかし、不思議なことに、その後のシーズンで慶太は出たり出なかったりを繰り返すようになる。そして6月6日、あの忌まわしいルヴァン鹿島戦で、鈴木義宜と共に大怪我を追い、長期離脱を迫られたのである。

 思うに、ロティーナ監督にしても、ボランチの本来のファーストチョイスは、慶太だったのではないか。それが、公式発表するほどの大怪我はなくとも、色々とコンディション不良があり、慶太を継続的に起用できなかったのではないかと想像する。しかも、6月6日にはついに大怪我となり、2ヵ月半ほどの長期離脱となってしまったわけだ。

 彼がピッチ中央にいるといないとでは、大違いだ。ボールを持って敵をかわしたり、自分で運んだりすることによって、攻守のリンクマンになれる。結局、多くの試合で慶太を欠いたことにより、ロティーナ清水のボランチはほぼ守備専になり、ボール保持率が異様に低いチームになっていったのではないかという気がする。

 ロティーナも、退任する際に、怪我人多発のことを低迷の一因としてほのめかしていたが、中でも慶太のコンディションがなかなか整わず、決定的には6月に大怪我を負ったことが、ロティーナ構想を大いに狂わせたことは間違いないだろう。

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