エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年12月

total

 1993年のJリーグ発足以来の、清水の通算成績をまとめると、上表のようになる。通算の数字には、J2だった2016年の数字は入れていない。

 清水は、現時点で、一応通算で勝ち越してはいる。414勝・155分・387敗というのが、通算成績となる。

 しかし、過去10年ほどの得失点での赤字垂れ流しがたたり、通算の得失点差では、マイナス34という不名誉な数字を記録している。

 清水はすでに、今季開幕時点での通算得失点差が-17で、赤字生活に突入していた。大熊GMが、「得失点差プラス10くらいを常に意識する」と公約していたので、通算得失点差の-17をどこまで減らしてくれるかと期待していたのだが、蓋を開けてみれば、なんと2021年だけで得失点差は17のマイナスとなり、合計34ものマイナスを抱え込んでしまったわけである。

 なにしろ、長谷川健太氏が去り低迷期に入った2011年以降、J2を除くと、得失点差がプラスだった年は、2018年の1年しかないからね。頼みのロティーナも、得失点差-20を残してチームを去ったという(平岡監督でどうにか-17まで挽回)。

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20202021

 昨日の話の続きである。上に見るとおり、2020シーズンと2021シーズンの点差別の勝敗を、グラフにまとめてみた。なお、昨日の図はリーグ戦だけだったが、今日の図はルヴァンも含んでいるので、ご注意いただきたい。2020年が34+3=37試合、2021年が38+8=46試合である。

 まあとにかく、2020年も、2021年も、クセがあり過ぎる。

 何しろ、クラモフスキーが作った2020年のチームは、1点差勝利が一度もなかった。恐らく、Jの長い歴史の中でも、全チームを通じて、初の珍事ではないか。1点差敗戦は結果的に多くなったが、大差で負けている試合で、失点覚悟で捨て身の反撃に出て、試合終了間際に焼け石に水ゴールを奪って、結果的に1点差で敗れるというパターンが多かったためであり、完敗に変わりはなかった。つまり、2020年の清水は、勝てば大勝(回数は多くなかったが)、負ければ大敗というチームだったわけである。引き分けを含め1点差以内の試合を「僅差の試合」と呼ぶならば、その割合は51%という低いものだった。

 それに対し、2021年には、僅差の試合が全体の74%に上った。ロティーナのイメージ通り、馬鹿試合はほとんどなくなり、ロースコア、僅差の試合は、確かに増えた。言うまでも無く、問題は、そうした僅差の試合をものにできず、勝ち点1だったはずの試合が0に、3だったはずの試合が1になることが、余りにも多かったことである。

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2021mat

 大好評(自分で言うな)の、2021シーズンを振り返る図表シリーズだが、さすがにネタが尽きてきたような。。。

 いや、まだあったぞ。出していない図が。当S研では、試合結果を得点・失点のマトリックス状に示した図を、時々お目にかけており、2021年のデータをまとめたので、上掲のとおりお目にかける。

 なお、クラモフスキー~平岡監督による2020年のグラフは、こちらに見るとおりである。比較してみると、全然違うので、面白い。

 2021年の図をしみじみと眺めてみて、驚くのは、清水が複数得点差で勝った試合は、何と2回しかなかったという、衝撃の事実である。まあ、勝利自体が10個しかないわけだが、2点差以上で勝ったのは、開幕戦でアウェー初勝利を飾った鹿島戦(3:1)、そしてホーム初勝利となったFC東京戦(3:0)の、2回しかなかったのだ。後はすべて、1点差勝利である。実は運良く2点リードした試合はもっとあったのだが、だいたい敵に追い上げ弾を許し、最終的にぎりぎりで逃げ切るのがやっとだった。他方、複数得点差で敗れた試合は8回あり、これでは得失点の数字が厳しくなるのは当然である。たとえ勝ち試合であっても、得失点がほとんど改善しないというのが、2021年の清水であった。

 ロティーナのイメージとして、「渋い試合であっても、ウノゼロでがっちり勝ち切れる監督」というのがあったと思う。2021シーズンの清水のウノゼロ勝利は、3回であった。ただ、そのうち2回は平岡監督が達成したものであり、ロティーナのウノゼロ勝利は1回だけだった。もっと言えば、ロティーナがリーグ戦でクリーンシートを達成したのは、スコアレスドローも含め、わずか4回であった。何度も言うように、ロティーナのことを悪く言うつもりは毛頭(?)ないが、チームのコンセプトはさっぱり機能しなかった。

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inout

 個人的に、選手の移籍動向については、来る者は拒まず、去る者は追わず、泰然自若の精神を貫いている。現時点で、サポの皆さんの最大の関心事はそれだとは思うが、当S研ブログでは選手の出入りに関しあまり深入りはしない。

 とはいえ、趣味の(?)図表作りで、しばらく前に、清水の在籍期間の長い選手は誰?という図を作ったので、今オフの契約・移籍動向の情報を加え、更新してみた。

 清水は、ここ2年ほどで選手が劇的に入れ替わり、3年在籍したらもう「古株」といった雰囲気である。2020年、2021年加入選手は、最大でまだ2年しか経っていないし、今オフに契約を更新する可能性が高いのではないか(奥井がJ2長崎に完全移籍という情報は流れているが)。なので、この図では、在籍3年以上の選手だけをまとめている。

 青で示したところは、他チームにレンタルされていた時期である。一人だけ完全移籍していた不届き者(笑)がいるが、古参メンバーはどんどん希少になっているので、特別に加えることにした。そして、今オフの去就で、他チームに移ることが決まっている選手については、やはり青で示した。

 現清水の最古参選手は、竹内である。1年間、北九州に修行に出たこともあったが、それ以外は一貫して清水でプレーしている。個人的には、2011年の天皇杯でのプロ初ゴールも現場で目撃したし、北九州の試合も観に行ったし、何だかんだで長い付き合いになったものだ。2021年は、キャプテンでありながら、ロティーナの下でいったんポジションを失いかけたが、そこから盛り返した。契約更新は妥当だろう。

 その一方で、「2018年の黄金の中盤」を支えた河井、石毛、金子の退団は、やはり寂しいものである。近年で唯一の「躍進」らしきものの立役者だっただけにね。ただ、彼らは、ますますフィジカル強度が高まるJ1の中では、線が細すぎるきらいがあり、チーム編成の方向性としては、間違っていないと思われる。

 昨日になって、白崎の復帰という驚きのニュースが飛び込んできた。上図は、基本的に清水に連続して長く在籍しているプレーヤーを取り上げているわけだが、つい情けにほだされて、入れてしまった。正直、「清水だけはない」と思っていただけに、この出戻りにはどんな背景があったのか、興味がある。

 もちろん、全員が全員、雇い続けることはできないものの、チームの精神的支柱となり象徴となるような長期在籍選手は、やはり必要だと思う。たとえば、「清水がJ2の時、こんな様子だった」といったことを語り継ぐ語り部は必要だろう。そうでなければ、チームが単なる傭兵の寄せ集めになってしまう。現に、2021年のチームには、そういう危うさがあった。

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 ツイッターに、以下に見るとおり、来年J1に所属することになるチームを地図上に示したものがあったので、それを引用させていただく。

 実は、個人的に、2021シーズンのJリーグに関し、気になっていたことがあった。Jでは、地方大都市クラブが台頭しつつあるのではないかということだ。

 代表格が、アビスパ福岡である。これまでなかなかJ1に定着できなかったが、2021年は躍進し、過去最高の成績を収めた。その背景には、スポンサーによる支援の大幅増と、それを活用した補強があったようである。

 J2で2位に入りJ1昇格を決めた京都サンガも見逃せない。新スタジアム効果もあるし、このオフも積極的に補強を進めているようだ。

 福岡も、京都も、もともと日本屈指の大都市でありながら、サッカークラブはJ2が定位置になりかけていた。しかし、2021年は、いよいよホームタウンの本来のポテンシャルを発揮し、好成績を収めたわけである。もしも、福岡や京都などがJ1に定着すると、他クラブにとってはそれだけJ1が狭き門となってしまう。

 他方、広島などは、古くからのサッカーどころなので、サンフレッチェは一貫してJの実力チームとなってきた。その広島でも、もうすぐ市の中心部にサッカー専用新スタが完成しようとしている。これにより、サンフレッチェはさらにパワーアップすると考えて間違いないだろう。街の規模はやや小さくなるが、長崎も本気を出そうとしており、かなり強力な新スタが誕生するはずなので、油断できない。

 最近のJ1は、完全に首都圏と阪神圏が中心で周っていた。もっと言えば、過去5年間は神奈川県の川崎とマリノスが優勝を独占している。それが、もしかしたら、上述のような地方大都市系クラブの台頭により、勢力図が変わってくるかもしれない。

 一方、曲がり角を迎えているのが、鹿島のような企業城下町系のクラブである。今後ビッグクラブとして生き残っていくには、ホームタウンの規模が小さすぎる。なのでメルカリも新スタにかこつけて大都市(東京?)へのシフトを画策しているフシもある。同じようなジレンマは、磐田についても言えよう。

 微妙なのが、我が清水である。静岡市は一応日本で20番目の人口を擁し、J1クラブを賄っていくだけの経済的ポテンシャルはあるはずだ。しかし、清水区と葵区・駿河区では温度差があり、69万静岡市民がこぞってエスパルスをおらがクラブと位置付けてくれるかどうかは心許ない。

 一つだけ確実なのは、清水には新スタがぜひとも必要ということだ。葵区・駿河区の皆さんもより気軽にアクセスできる新スタを実現し、ホームタウンのポテンシャルをフルで発揮できるようにしなければ、今後J1の中で生き残っていくことは難しい。

ff
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open

 好評(?)の図表シリーズで、本日は、2021リーグ戦で清水が先制した場合とされた場合の戦績を整理してみたい。

 集計してみたところ、リーグ戦38試合のうち、清水が先制した試合が15試合、先制された試合が21試合だった。他にどちらにも先制点が生まれなかった、つまりスコアレスドローに終わった試合が2つあった。

 比率で言えば、清水の先制試合が39.5%、被先制試合が55.3%ということになる。まあ、弱いチームとしては、そんなものか。

 そして、上表のように、先制した試合は8勝・6分・1敗、先制された試合では2勝・4分・15敗という結果に終わった。

 所長の理解によれば、統計的に言って、サッカーでは先制したチームが勝つ確率がざっくり7割ほど、引き分けに終わるのが2割ほど、逆転負けを食らうのが1割ほどだと思う。

 興味深いことに、2021年に清水が先制された試合では、そのまま負けたのが71.4%、引き分けに持ち込んだのが19.0%、逆転勝ちに持ち込んだのが9.5%であり、ほぼサッカーの常識に沿った結果になっている。その意味では、先制された試合の数字は別に異常なものではないが、ただ、先制されるとズルズルと追加点を許す悪癖があり、それゆえ得失点差で苦しむことになった。

 やはり、問題は、先制しながら勝ち切れない試合が多かったことである。先制15試合のうち、勝ち切ったのはわずか53.3%で、引き分けに持ち込まれたのが40.0%、負けたのが6.7%だった。逆転負けが1回しかないのは意外だったが、とにかく先制しながらドローに終わってしまうことが多過ぎた。2021年に清水が残留争いに巻き込まれたのは、この要因に尽きると言って過言でない。

 ところで、上表に見るように、2021年の逆転勝ちは2試合だったわけだが、それは開幕戦と最終戦だった。ホント、最初と最後だけは良いというシーズンだった。

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homeandaway

 2021年の清水の数字を整理していたら、変なことに気付いてしまった。リーグ戦で、ホーム・アウェーともに、5勝・6分・8敗であり、まったく同じ戦績だったのだ。

 ホーム初勝利が大幅にずれ込み、例年通り「鬼門アイスタ」と呼ばれた割には、最終的には多少盛り返したか。平岡監督に交代して以降、ホームで2勝・1分・0敗だったので、それで最終的に帳尻を合わせたような格好である(厳密に言えば、もちろん帳尻は合っていないわけだが…)。

 ただし、得点・失点を見ると、どちらもアウェーの方が数字がマシになっている。ホーム・サポーターの期待に応えたとはとても言えないわけで、猛省が必要なことに変わりはない。これじゃ福祉基金が泣くぜ。

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2021goals

 皆様お楽しみ、かどうかは知らないが、図解資料で振り返る2021シーズンの清水のシリーズである。今回は、リーグ戦における時間帯別の得点・失点数を整理してお目にかけたい。

 2021年の清水は、トータルで、37得点・54失点だった。結論から言えば、前後半ともに得失点はマイナスだった。整理すると、以下のとおりとなる。

前半:17得点、20失点
後半:20得点、34失点
合計:37得点、54失点

 比較的善戦した前半に対し、後半がすこぶる弱かったことは歴然である。

 こうやって見ると、前半、清水の入りは決して悪くない。しかし、なぜか前半の飲水タイム直前くらいに失点するケースが多かったようだ。

 面白いのは、前半の31~35分、後半の31~35分(通算では76~80分)と、ほとんど得点も失点もない不思議な時間帯があることである。

 後半に滅法弱かった2021年の清水だが、こうやって見ると、後半の半ば頃には、それほど失点はしていない。酷かったのは、後半の開始15分までと、残り10分になってからである。

 残り10分を切ってから16失点も喫していることに関しては、もちろん持ち駒不足ということもあるだろうが、ロティーナの選手交代の遅さや勝負勘の鈍さといった要因があったことは否めない。あの人は、チームの構築が専門であって、試合中の駆け引きや采配といった面では弱さがあったと思う。

 2021清水の唯一の後半アディショナルタイムゴールは、アウェー浦和戦の千金弾である。ただ、それを決めた人は、いなくなるそうだ。

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 ロティーナは、ボールを持ってゲームをコントロールする、ボールを持っている状態が一番良い守備、といったコンセプトを掲げていたはずである。これは決してロティーナをDisるわけではないのだが、そのコンセプトは完全に失敗に終わった。

 以下に見るのは、清水の2021リーグ戦の戦績を、支配率が高かった順に並べたものである。まず、上位19試合。

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 次に、下位19試合。

bb

 そもそも、38試合も戦って、清水の支配率が50%を上回った試合は、7試合しかなかった。そして、その結果は0勝・2分・5敗である。近年の清水は、支配率が低い方が良い結果が出る傾向があったが、結局2021年もまったく同じだったのである。運良くカンターやセットプレーで点がとれ、後はずっと相手に殴られながら、どうにか逃げ切った時だけ勝てる。ロティーナをもってしても、そんな体質は改善されず、むしろ極端になったと言わざるを得ない。

 もっとも、セレッソ時代のロティーナ監督の戦績を見ると、セレッソの時も、支配率が低い方が、勝率は良かった。ただし、ロティーナ・セレッソは、支配率が50%を上回る試合も多くあり、そして支配しながら勝つということもできていた。それが、清水の場合は、支配率50%を切らないと勝てないというチームになってしまった。ロティーナはもちろん良い監督だと今でも思うが、つくづく、清水の状況や人材には合っていなかったのだろうなと思わされる。

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 現時点でまだ正式発表はされていないが、今季はポルティモネンセからのレンタルだったGK権田修一は、高額な移籍金を支払い、清水への完全移籍となることが確定的なようだ。本件に関しては、一時期、流動的な雰囲気が漂ったこともあったが、それは清水のJ1残留が微妙だったからだろう。日本代表としてW杯に出場を目指している権田が、J2でプレーすることは選択肢になかったはずだからである。もし清水がJ2に落ちていたら、多分FC東京が完全移籍で獲得していたのではないかと想像する。

 そうした中、DAZN清水ドキュメンタリーのエピソード2が公開された。エピソード2は、もっぱら権田の視点から見たチームの苦闘を描いている。

 一言で感想を言うと、のどかな地球人の村に、一人だけ宇宙人が舞い降りたような感じである。まあ、このドキュメンタリーがそういう筋立てにしていると言えばそれまでだが、それくらい、チームの中で浮いた存在になっている。

 いや、権田の星では、権田は別に変人なのではなく、周りは権田と同じように意識や向上心の高い選手ばかりだったはずである。ところが、清水星に降り立ったとたん、そこは心地良いぬるま湯の世界であり、意識や向上心が高いと逆に浮いてしまうのだ。

 この清水星は、恐ろしいところだ。加入当初は向上心が強いプレーヤーでも、ユルい環境の中でしばらく過ごしているうちに、2~3ヵ月もすれば周りに馴染んでしまい、いつしか自分もぬるま湯星人になってしまうのだ。監督の指示を表面的にこなし、球際で戦うことを忘れ、シーズン終盤に降格危機に直面して初めて本気を出すような、そんな集団に同化してしまうのだ。

 つくづく、清水の体質は厄介である。今季の清水のメンバーは、ほぼここ1~2年の新加入組ばかりである。にもかかわらず、清水の駄目な伝統は、皆しっかりと継承しているのだから。

 権田は、孤軍奮闘であっても、清水のぬるさには染まらないはずである。問題は、彼が影響力を発揮し、意識や向上心が高い仲間をどれだけ増やしていけるか、だろう。もし、本当に清水を変えてくれるなら、高額とされる移籍金も、安いものだ。

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 そんなわけで、昨日ようやく、平岡宏章監督が来季も指揮を執ることが、クラブから正式に発表された。

 個人的に、クラモフスキーやロティーナを迎え入れた時のような、ドキドキワクワクはない。しかし、納得感はある。短期リリーフだったとはいえ、ここ5年間くらいで、一番良い成績を残した指揮官を、切る道理は無い。現代戦術重視の皆さんは、「やはりロティーナのチームでは立ち位置が絶妙だった」などと未練がおありかもしれないが、その結果34試合で7回しか勝てず、勝ち点も32しかとれなかったのだから、仕方がない。サッカーは立ち位置を競い合う競技ではなく、得点・勝利・勝ち点を競い合うものなのだから、その実績が一番大きい人に指導をお願いするのが筋であろう。

 なので、平岡監督続投ということで、個人的には納得しているのだけれど、発表が昨日にまでずれ込んだことが、少々気になる。よそのチームはもっと早く情報が出ていた。清水は、セレッソ戦に勝って残留を決めた直後、「基本的に平岡監督に続投を要請する」といったことが伝えられていたにもかかわらず、そこから正式発表までに、半月ほどの時間を要した。この空白の半月を、どう解釈したらいいのだろうか?

 考えられる一つの説は、「深い意味はない」ということである。平岡続投が規定路線なので、特に急ぐ必要も無く、単に正式発表が遅れただけ、という解釈である。まあ、案外、そんなものなのかもしれない。

 だだ、当初伝えられた「基本的に平岡監督」といった言い回しが、若干気になる。もしかしたら、大熊GMには、もっと良い人材が得られるのなら新監督を迎え入れたいといった思惑があり、水面下でその可能性を探ってみたが、結局上手く行かず、平岡続投という元の鞘に収まったなんて、そんな経緯もあったかもしれないなどと、つい想像してしまう。

 それとも関連して、以前お伝えしたように、清水のフロント内には、改革を急ぐ大熊GMと、大榎氏ら古参スタッフとの確執があるとされている。あるいは、来季監督の人選を巡って両者で意見が割れ、それで決定が長引いたなんてことも、無かったとは言えない。知らんけど。

 あるいは、平岡監督の続投自体は一貫して既定路線だったが、条件面、特にコーチ陣の組閣の調整に時間を要した、なんてこともあったかもしれない。結局、昨日平岡監督の続投と合わせ、篠田さんがヘッドコーチ就任、育成部門で長く働いた加藤新コーチの就任が発表されたわけだが、空白の半月は、このあたりの人選と関係していたのか?

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1000

 個人的に、昨日の天皇杯決勝は、どちらを応援するでもなく、TVでユルく観戦した。戦術的な駆け引きもあったし、終盤にドラマチックな展開があったし、第三者にも面白い試合だった。

 2年前には、清水がロドリゲス監督をリストアップしたこともあったんだよね。もし招聘に成功していたら、どうなっていたか。それにしても、浦和はもうちょっと時間がかかるかと思ったけど、ロドリゲス初年度で、カップ戦タイトルという花を咲かせた。良く考えてみると、J1のリーグ優勝は、もう何年も続けて神奈川県のチームが独占しており、その牙城に挑戦する一番手が浦和あたりになってくるのか?

 相変わらず浦和サポの観戦ルール違反が批判の的になっているものの、退団の決まっている功労者が土壇場で劇的な決勝ゴールを挙げるという、あれだけのドラマを見せられたら、そりゃまあ興奮はするわな。

 我々清水サポも、忍耐を強いられるだけの月日は、とうに限界である。いくらなんでも、そろそろ「歓喜」を味わいたい。

 過去10年くらいで、「歓喜」と言えるものが、どれだけあっただろうか。一番嬉しかったのは、やはり2016年のJ2で自動昇格を決めた時だったが、あれは「歓喜」というより「安堵」に近かったように思う。あと、2018年にホームで磐田に大勝したことや、2012年にナビスコ決勝を決めたホームFC東京戦の勝利など、個々に痛快な出来事はあったものの、いかんせん単発の喜びだ。

 そろそろ、もうちょっと良い夢、見せてよ。

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gl

 どういうわけか、クラブは奇妙な沈黙を守っているので、当S研ブログではもうちょっとデータ検証というか、趣味のグラフ作りを続けたい。

 先日のエントリーで、「清水のJ1リーグ戦における監督別成績」という表をお見せしたが、改めて、1試合平均の得点・失点を分布図にして表すと、上図のようになる。

 もちろん、2020年も、2021年も、平岡さんは短期リリーフだったので、割り引いて評価する必要はある。それにしても、1試合当たりの得点が一番多かったのは2020年の平岡さんだし、失点が一番少なかったのは2021年の平岡さんである。なぜか平岡さんに代わると急に数字が良くなるのだ。

 平岡さんが、チームを一から構築してシーズンを通して戦い抜く手腕があるのかは、分からない。ただ、既存のチームを引き継ぎ、今いる選手たちの良い部分を引き出して、すぐに結果を出すという点において、きわめて優秀な指揮官であることは、疑いないだろう。

 2021シーズン、ロティーナ体制で船出するに当たって、守備の立て直しが託され、1試合1失点以下という目標が掲げられた。まあ確かに、リーグ最多失点を記録していた2019年、2020年に比べれば、ロティーナ指揮下で失点は減ったことは事実である。しかし、1試合平均失点が1.5では、とても及第点とは行かない。増してや、その代償として、得点が1試合平均0.91では、擁護するのは難しい。

 改めてこうやって見ると、2021ロティーナは、2017小林と似通ったパターンであったことが分かる。実際、引き分けの多さなど、戦績も似た感じになった。

 平岡監督に代わり、わずか4試合ではあったが、近年の清水では初めて、1試合平均失点が実際に1を切った。もちろん、そこにはロティーナが築いたベースがあったわけだが、それを使って短期間で上手く成果を出した手腕は、やはり高く評価されるべきだろう。


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fouls

 まったく冴えなかった2021シーズンの清水だが、一つだけ、リーグで最も優秀な(?)数字があった。上図に見るように、ファウルの数がリーグで最少だったのである。これをどう考えるか。

 結論から言えば、リーグ最少ファウル、それ自体では、まったく誇れるものではないだろう。名古屋のように「少ないファウルでクリーンシートを数多く達成」とか、川崎のように「少ないファウルで勝ちまくった」とかなら、称賛に値する。しかし、清水の場合はファウルが少なく、その結果として大量失点し、順位も下位に沈んだのだから、何の意味も無い。

 恐らく、ロティーナ監督は無駄なファウルをしないよう、指導を徹底したのだろう。しかし、その結果、必要な時にも相手に強く行けない傾向が生じてしまった。

 また、ファウルのTPOにも問題がある。たとえば、相手のカウンターになりかけた時に、早い段階でファウルで潰しておけば、ピンチの芽は摘めるし、ほぼイエローももらわないわけで、そういうファウルはむしろやった方がよかった。また、2021シーズンの試合で、FWが前プレスをかける時に、強く行きすぎた結果としてファウルになっても、ピンチにも警告にもならないのだから、もっと強く行けばいいのに、やたらとお上品にプレスをかける傾向があった。

 逆に、自陣ではなるべく余計なファウルはしたくないのに、そういう場所に限って無駄なファウルをして、苦手なセットプレー守備を強いられ、そこから守備がほころびるという場面が何度もあった。

 2021シーズンのファウルの少なさは、チームのコンセプトが機能しなかった表れの数字としてとらえるべきだろう。


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J1

 我が清水からは、笑っちゃうくらい何の情報もなく、根幹となる監督人事ですら、まだ明らかではない。

 まあ、我々が色々と思いを巡らす際の材料として、こんな表を作ってみた。2017年に清水がJ1に復帰して以降の、監督別戦績表である。

 シーズンを通して見れば、やはり2018年のヨンソンが一番良かった。2019年にそのヨンソンが大コケして、個人的に解任はやむを得なかったと思うが、2018年の勢いで、あのあたりでせめてJ1中堅くらいのポジションを安定してキープできなかったことが、改めて悔やまれる。

 で、この表をしみじみと眺めると、やはり、2020年、2021年と短期リリーフを務めた平岡監督の優秀さが、際立つ。篠田さんの立て直しも及第点だが、平岡監督の数字は素晴らしい。

 もちろん、清水には大躍進をしてほしいので、そのためには監督に高度な戦術家を据えることが必須なのかもしれない。しかし、過去5年間、ほぼ毎年降格危機に直面していることを考えると、とりあえずは平岡監督でJ1中堅くらいの位置を確かなものとして、その上で2年後くらいに新監督で高度な戦術にチャレンジとか、そんな発想があってもいいかも、なんてことも思う。

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scorers

 以前もやったけど、2021年の清水のリーグ戦における得点者を円グラフにしてみた。

 そもそも得点が試合数よりも少ない37しかないのが大問題なわけだが、いびつなのがその内訳である。トップのサンタナは13ゴールを挙げ、これはリーグ全体の中で5位タイであった。しかし、それに次ぐ、まとまった数を稼げるストライカーが、ついぞ現れなかった。最後まで、サンタナを除くと2得点が最高というままだった。

 まあ、2得点を挙げたのが8人いて、1点も6人おり、「満遍なく点がとれてる」なんて、無理やり言えなくもないが、2位が2点というのは、やはり少なすぎる。

 ちなみに、37点のうち23点を、2021年の新規加入選手がとった。2020年の加入選手は7点だった。それに対し、2019年以前から所属している選手の得点は5点しかなく、いかに古株の影が薄いシーズンだったかが、改めて実感される。

 ポジション別では、ロティーナサッカーの特性かもしれないが、案の定、ボランチの得点がゼロに終わった。

 あと、今季はPKによる点が、1点もなかったな(ルヴァンでは1回だけあって金子が決めたけど)。ペナ内で仕掛けたり、えぐって至近距離から鋭いクロスを上げたり(相手のハンドを誘発しがち)、そういう攻撃が全然できていなかったことの表れだろう。

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2021a

 というわけで、昨日に引き続き、出場ポイント選手権のAクラスを発表する。

 金メダルに輝いたのは、信頼と実績のチアゴサンタナだった。おめでとうございます。銀がヴァウド、銅が権田と続いた。

 周知のとおり、権田は唯一、リーグ戦フル出場だったが、カップ戦は全休。サンタナとヴァウドはカップ戦にも出ている分、トータルの出場ポイントでは権田よりも上を行った。そして、ヴァウドがずっと首位を走っていたわけだが、札幌戦の愚行による退場、次節の出場停止、次々節の先発見送りにより、サンタナにトップを譲った。

 鈴木唯人は、ため息を誘った数も多かったが、なんだかんだで、シーズンを通して攻撃を牽引してくれた。あとは決めるべきところをもごもご

 片山と原は、負傷離脱した時期こそあったものの、復帰して以降の稼働率の高さは、えげつないものがある。原などは最後は足がパンクしそうで痛々しかった。あのあたりの負担を少しでも立田がもごもご

 夏の新規加入選手が、終盤に故障したことにより、残留をかけた終盤の戦いは、否応なしに既存選手が中心となった。それがまた、サポたちの心を揺さぶったところがあった。

 そうした中、古株中の古株である河井が、最後の方はほぼ音信不通になってしまったのが、気になるところである。近く悲しいお別れがなければいいが。

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2021b

 当S研独自の企画として、今シーズンずっと、「出場ポイント選手権」というのをやってきた。シーズンも終了したということで、最終的な結果発表と行きたい。

 改めて説明すれば、◎が先発出場、〇が途中出場、△がベンチ入りしたけど出場なし、×がベンチ入りせず。カップ戦よりもリーグ戦の方が重要性が高いので、リーグ戦のポイントを2倍にしている。ゆえに、リーグ戦は◎が6pt、〇が4pt、△が2pt、×が0pt、ルヴァン・天皇杯は◎が3pt、〇が2pt、△が1pt、×が0ポイントとし、ポイントを集計して順位付けしている。ただし、ルヴァンのプレーオフは重要度が高かったので、今回プレーオフの2試合はポイントを1.5倍にし、◎が4.5pt、〇が3pt、△が1.5pt、×が0ptとしている。

 今季、清水の公式戦に出場した選手は36人おり、まず今日のところは、下半分から発表することにする。ただ、表が縦長になりすぎて、もはや何だか分からないね。昔、マッチデープログラムにこういうデータが載ってたような気がするが、今はこういう形ではないのかな?

 さて、下半分は、言わば残念組ということになるが、夏に出ていった選手、逆に夏に入ってきた選手、怪我で長期離脱した選手、これからの若手など、状況は人それぞれである。

 そうした中、控えGKゆえに、ポイントは伸び悩んだが、Bクラスでトップなのは永井である。実は、ベンチ入りした試合というのは、チーム全体の中で永井が一番多く(1試合休んだだけ)、陰の貢献度は大であった。

 気になるのは、夏に新規加入した5人は、途中までは順調に出場機会を重ねながら、結局、松岡を除いて、シーズン終盤に全員怪我で離脱してしまったことである。このあたり、チームとしてのマネジメントがどうだったのかと、気になる。

 実績があり、大きな怪我はないのに、不発に終わったのが、指宿だったなあ。

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997

 以前お届けしたネタの更新版となるが、悪しからず。

 2016年に清水がJ2で2位に入り、自動昇格を決めた時に、一緒にJ1に復帰したのが、コンサドーレ札幌(J2優勝)とセレッソ大阪(プレーオフ勝利)だった。その後この3チームは、いずれもJ1に定着している。その状態で、もう5シーズンが経過した。

 一緒にJ2からJ1に挙がった2チームなり3チームが、その後も数年間も揃ってJ1に定着するというのは、極めて珍しいケースである。おそらくJリーグでは初のことであり、今後も100年は破られない記録なのではないか。

 普通は、昇格チームというのは、翌年の降格候補の筆頭だ。現に、2021シーズンも、福岡こそ躍進したが、結局は徳島が4チーム降格ルールの餌食となった。

 それだけ、2016年の昇格争いはレベルが高く、本来であればJ1を戦う体力のあるチームが揃っていたということだろう。

 ただし、このように「花の2016年J1再昇格決定トリオ」とでも呼ぶべき清水、札幌、セレッソであるが、2017年以降のJ1における成績では、明暗が分かれている。この3チームの中では、清水が常に一番下であり、2018年のプチ躍進を除けば、毎年降格危機に直面している。また、札幌、セレッソはカップ戦の決勝までたどり着いたのに、清水はまだ遠い。

 札幌はずっと中位を確保し、2018年には4位躍進もあった。個人的に面白いと思ったのは、今季の札幌に関し、開幕前の順位予想で、すべての評論家が札幌を中位に位置付け、実際にその通りの10位に終わったことだった。

 一方、ずっと一桁順位だったセレッソは、明らかに監督の人選に失敗し、2021年は12位に順位を下げた。ロティーナからクルピへの継投は、いくら何でも無理がありすぎ、傍から見れば2021年の低迷は必然だったとしか思えない。

 セレッソの順位が下がるところまでは想定内だったのだが(個人的には降格の危険もあるのではないかと予想していた)、まさかセレッソからロティーナを引っ張ってきた清水が、それ以上に低迷しようとはね。「花の2016年J1再昇格決定トリオ」の中での序列も、いいかげん覆したいものである。

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995

 皆さんの様子を見ていると、もう来シーズンに意識が行っているような気がするが、個人的には、もうちょっと2021シーズンの余韻に浸るというか、この1年の戦いを検証してみたいわけである。

 セレッソ戦は、14:00キックオフだった。良く知られているとおり、アイスタでは、秋~冬の試合で14:00キックオフだと、後半に東サイドスタンド側が酷い逆光になり、それが原因でGKのミスというのも時々起きる。

 しかし、清水は「後半はゴール裏のコアサポに向かって攻める」というならわしに沿って、コイントスに勝ったら前半は西サイド側、後半は東サイド側に陣取るというのが基本だった。

 個人的には、その無意味な因習に、大いに疑問を抱いていた。せっかくホームスタジアムの特性を知り尽くしているのに、なぜそれを活かそうとしないのか? なぜこのチームは、勝つことにストイックになれないのかと、不満だった。「後半サポに向かって攻めるなんて、クソくらえ。勝ってさえくれれば、どっち方向に攻めようが、まったく構わん」というのが個人的な意見だった。

 しかし、勝つことに誰よりも貪欲な権田なら、あるいは古い因習にはとらわれず、プレーの上で有利なエンドを選択することもあるのではないか? 個人的には、そんなことに注目していた。

 そしたら、セレッソ戦のコイントスの結果、エンドが入れ替わることになった。キックオフはセレッソだったということは、清水がエンドを選んだということであり、つまり権田がそれを選択したということだったのだろう。

 西日の要因が、セレッソ戦の結果を左右したかどうかは分からない。西澤のシュートは、西日があろうがなかろうが、入ったとは思う。

 しかし、勝つために万全の準備をして、理詰めの選択をする。結局はそういうチームに、勝利の女神は微笑むのではないか。試合前のエンド選択、今後もそうあってほしいものである。

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