エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年10月

 2021シーズンのルヴァンカップは、名古屋の優勝で幕を閉じた。

 ロティーナが清水の監督に決まり、個人的には、ヨーロッパの監督という共通点から、ロティーナ清水はマッシモ・フィッカデンティ監督率いる名古屋のようなイメージのチームになっていくのかな、なんて想像していた。組織的な守備を構築し、滅多に失点をせず、1点でも奪えばウノゼロで逃げ切れるような、そんなチームである。

 蓋を開けてみたら、ロティーナ清水は、堅守は完成せず、またカウンターにも徹し切れず、何とも中途半端な状態のまま低迷することとなった。

 マッシモ名古屋について、当S研では今年の5月18日に、「気休めだけど… 名古屋もマッシモ就任直後は酷かった」という記事をお届けした。そのマッシモ名古屋がカップ戦優勝という花を咲かせたので、その記事を以下のとおり再掲載することにしたい。

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 名古屋戦のあと(5月15日のJ1第14節の名古屋戦で清水は0:3と惨敗)、ロティーナ監督は、「(名古屋との差は)1ヶ月や数ヶ月で埋まるような差ではないと思う」とコメントした。まさにその通りであろう。

 ただ、それと同時に、所長が個人的に思うのは、「マッシモ・フィッカデンティ監督就任直後の名古屋も、相当酷かったけどな」ということだ。

 そこで、2019シーズン途中に、マッシモが指揮を執る前後の、名古屋の戦績を振り返ってみよう。上の表がそれである。この年、名古屋は風間監督の下でチームは崩壊状態に陥り、夏までには完全に残留争いに巻き込まれた。そして、9月13日に我が清水に引導を渡され、風間氏は解任となったわけである。

 大量失点が続いていたので、名古屋が白羽の矢を立てたのは、守備構築に定評のあるマッシモ・フィッカデンティだった。その結果、名古屋は風間時代から一転して守備的になったが、失点禍は収まらなかった。マッシモ就任後の名古屋の成績は、1勝・3分・4敗。こうして、この年、名古屋はほうほうのていで何とか残留したが、フィッカデンティ監督の手腕には疑問符が残ったのである。

 ところが、翌2020シーズン、名古屋は本当に堅守のチームとなり、リーグ最少失点を達成して、3位と躍進する。ドン引きという印象だった2019シーズン終盤から、攻撃力も加味され、バランスの良いチームになった。

 願望込みで考えれば、現時点のロティーナ清水は、2019シーズン終盤の、マッシモ名古屋のような状態と言えようか。チームスタイルを大きく変えようとする時には、たとえ守備構築に定評のある指揮官が就任したとしても、一朝一夕に堅守が達成できるわけではない、という。

 まあ、気休めの、安心理論だけどね。

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 清水エスパルスとジュビロ磐田のJ1リーグ戦における静岡ダービー。過去10年間の戦績を、清水の側から見て整理すると、以下のとおりとなる。

2012年:●○
2013年:●○
2014年:開催無し
2015年:開催無し
2016年:開催無し
2017年:●●
2018年:△○
2019年:○●
2020年:開催無し
2021年:開催無し

 というわけで、近年は、勝ち負け云々というよりも、どちらかがJ2に落ちていて、J1でのダービー戦の開催自体ができない年の方が、目立ってしまっているわけである(2016年のみ清水がJ2で、その他の年は磐田がJ2でダービー不成立)。

 静岡県のサッカーファンの間には、「静岡ダービーこそが本物のダービー」と自負する意識が強いと思うが、これだけ対戦自体が実現しないシーズンが多いと、「本物のダービー」と誇れるかどうか、怪しくなってくる。

 目下、J2で優勝争いを繰り広げている磐田は、来季、間違いなくJ1に上がってくるだろう。もっとも、来季の選手名鑑で、J1ジュビロのページに、金子翔太の名前があるかどうかは、分からんが……。

 言うまでもなく、問題は、我が清水がJ1に残れるかどうか。それについては、何とも言えない。まあ、今のところ、清水と磐田、どちらかのチームはJ1にいる状態が続いており、Jリーグ発足以来、必ず静岡県のチームが一つはトップカテゴリーにいることにはなっている。「J2での清水・磐田の静岡ダービー」という不名誉な事態だけは、どうにか避けられている。

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 「パリ五輪世代 Jリーグ通算出場時間ランキング」という面白いデータが出ていた。これを見ると、我らが松岡大起がダントツの1位となっている。清水絡みで、何かが1位になることなんて、まずないこと(?)なので、めでたい限りである。

 もっとも、このランキングは、だいぶ工夫の余地がありそうである。というのも、J1・J2・J3をいっしょくたにして、その合計通算出場時間を出しているからである。J1とJ3じゃあ、まったく価値が異なるだろうに。ただ、松岡の出場時間は、すべてJ1で積み重ねたものであり、正真正銘のトップと言え、この世代の第一人者であることが分かる。

 ちなみに、J1だけの出場時間では、松岡が1位、名古屋の成瀬竣平が2位、湘南の田中聡が3位に続いて、清水の鈴木唯人が4位となっている。

 松岡が清水に来て、腐ったミカン(?)に染まり、劣化するようなことだけは、あってほしくないものだ。

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 ロティーナ監督は、だいたいいつも、テンプレ的で同じようなことしか言わない人であり、試合後のコメントとかを読んでもまったく面白くない。ところが、いつもと同じような口調で、時々とんでもないことを言ったりもするので、油断ができない。

 川崎戦後の監督コメントが、まさにそうだった。気になった部分だけ、引用してみる。

 攻撃面でも用意してきたビルドアップでチャンス、またはその手前まで作ることができていた。決定機というのはなかったかもしれないが、ボールを持って準備をしてきた動かし方をして、チャンスを作る感触が持てた前半だった。

 徐々に試合に入り直して、引き分けを目指してリスクを冒してやった。決定機は少なかったが、エリアの近くまでたどり着くことはできたと思う。

 エリアの近くに入っていくことができたが、決定機を作ることができなかった。先ほど言ったように、守備の要求度が高い試合で、選手にとって簡単な内容ではなかったと思う。難しいなかでも狙ってきた、トレーニングしてきたボールの動かし方で、相手のエリアの近くまで前半も後半も入っていくことができていた。ただ、サッカーではそこから両方のエリアでのプレーが重要で、チャンスを作り、決めるということがとても重要になる。

 う~む、言葉尻を捕らえるわけではないが、この監督発言は、どうなんだろうか。絶対王者の川崎相手であったことは事実にしても、もうシーズンは最終盤であり、我が軍は残留争いをしているのである。それなのに、ロティーナ清水は、どうにか「エリアの近く」まで運ぶことが精一杯だと、監督が認めているわけである。まだまだチームは成長途上で、川崎相手に「エリアの近く」まで何度か運べたことで、今は取りあえずよしとしようといった口振りである。

 攻撃側が手数をかけて「エリアの近く」まで運ぶ形にこだわっていたら、相手はかえって守りやすくなり、たとえ「エリアの近く」に辿り着いたとしても、そこからゴールをこじ開けるのが至難の業なのは、常識である。

 他の残留ライバルたちは、もうとっくに、「エリアの近くまで運ぶ」なんて方法論はかなぐり捨てて、「一番手っ取り早いのは手数の少ないカンター」と割り切った戦術にシフトし、それで結果を出している。

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 それにしても、不思議なのである。現在、ロティーナ清水でプレーしているのは、ほぼほぼ、2020年以降に加入した選手たちである。たとえば、柏戦の先発メンバー、清水在籍歴を平均したら、5ヵ月くらいなのではないだろうか。

 しかし、それにしては、今の清水イレブンは、清水の駄目な伝統ばかり継承している。ボールを繋がず、パニック的に蹴ってしまう。スローインが下手(投げる技術ではなく、受ける意識とかも含めて)。失点すると、下を向く。挙げればキリがない。

 最近の試合で、一つ印象的だったのは、柏戦だったと思うが、MF竹内がヘディングでクリアをした場面である。近年の清水の選手は、相手のプレッシャーがなく、胸トラップで収めて、味方に展開できるはずなのに、慌ててヘディングでクリアしてしまうことが多い(例外はエウシーニョくらいか)。くだんの場面も、竹内の周りには敵はおらず、「フリー!」という声もかかっていた。にもかかわらず、竹内はヘッドでのクリアに逃げ、結果、それを拾われてまた攻撃を受けることとなった。

 たぶん、こういう駄目プレーは、メンバーが入れ替わっても、チームの伝統として、引き継がれていってしまうものなのだろう。だから、現下のように、期待された新メンバーばかりのチームでも、我々にとっては既視感のある駄目サッカーになってしまうのかもしれない。

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2021

 それにしてもなあ。今季開幕前には、こんな風に思ったもんだ。ロティーナのサッカーは習得に時間がかかると言われているから、序盤は苦戦するかもしれない。しかし、自分たちの戦い方を掴みさえすれば、加速度的に調子を上げていくはずだ。もしかしたら、ロティーナ清水は、豊かな実りの秋を迎え、ひょっとすると、ACL圏争いや、ルヴァンの決勝くらい戦っているかもしれない。まあ、それは高望みのし過ぎかもしれないが、少なくとも守備は安定して、失点は大幅に減り、残留争いとは無縁のはずである……。

 それが、まさか、こんなに惨めな秋を迎えるとは、思いもしなかった。

 それで、よく考えてみれば、川崎戦は第33節だったから、例年だったら、次の第34節が、もう最終節である。今年は例年より4試合多いので、まだ5試合残っているというだけである。

 本来であれば、もうシーズンは終わり。ここまで、上向く気配がまったく無かったロティーナ体制であり、本当ならもう審判が下されてしかるべきだが、どういうわけか、今季はまだ戦いが続く。

 ロティーナ清水が上向く様子が一向に見られない以上、清水としては、シーズンが34試合で終わってくれた方が、ラッキーだったかもしれないね。次節、徳島と湘南のどちらかが敗れれば、清水が負けても、残留できるわけだから。下位では、湘南や大分が、かなり調子を上げている。戦いが長引くほど、清水には不利になるように思えてしまう。

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 さすがは王者・川崎で、こういう完成度の高いチームと当たると、ロティーナ清水の駄目な部分が、見事に可視化される。

 今回の試合に関しては、DAZN解説の水沼さんの論評に、尽きるだろう。普段は割と暖かいコメントをすることの多い水沼さんが、90分間ずっと、清水の駄目出しをしていた。

 水沼さんいわく(大意)、清水の選手たちは立ち位置をとることはできるけれど、ボールへのアプローチに行けず、揺さぶりについていけない。ずっと攻められているので、ボールを奪うとそれだけで安心してしまい、まず落ち着こうとするので、攻撃に転じられない。ボールを持っても、周りのサポートや前線の動き出しが無いので、チャンスが広がらない。

 そんなような、日頃我々が感じていることを、解説の水沼さんがはっきりと指摘してくれた。サポさんたちの中には、解説者の否定的な評価を快く思わない方もいらっしゃるかもしれないが、個人的には、我が軍の問題点をはっきり言語化して伝えてくれるのは、有難いことだと思う。

 まあ、今回突き付けられた現実は残酷なものだし、下位との差も詰まってしまったが、今節は清水にとって一番厳しい節であったことは事実である。アウェーの川崎戦で、相手にそれほどビッグチャンスを作らせず、0:1での敗戦は、破局的な結果ではないだろう。川崎がロティーナ清水の限界をあぶり出したとはいえ、このクオリティでも、誤魔化しながら、幸運も味方すれば、勝ち点をとれる相手は、まだ残っているのではないか。

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penetrate

 当S研ブログでは9月の初めに、「今のところ、シーズンダブルは無い」と題し、今季の清水はリーグ戦で良い意味でも悪い意味でも「シーズンダブル」は無く、つまり同じ相手に2度勝ったり負けたりということは生じていないと指摘した。

 それから時は流れ、良いダブルは達成した。仙台に対してホーム&アウェーで両方勝ったものである。さらに言えば、仙台に対してはルヴァンでも2つ勝っているから、シーズンクアドラプルということになるか。

 一方、リーグ戦で同じ相手に2度負ける事態は、今のところどうにか回避している。同じ相手にダブルを食らわないということが、どんな相手にもある程度勝負はできていることを意味すると考えれば、是非とも継続したい点である。

 しかし、ここからが大変だ。今シーズン、清水が対戦を残しているのは、川崎、FC東京、札幌、広島、浦和、セレッソの6チーム。FC東京以外は全部、前半戦で敗れた相手ではないか。6試合のうち5試合までもが、悪い意味でのシーズンダブルを回避する戦いということになるわけである。これは厳しい。まあ、もちろん、ダブル云々よりも、今は残留がすべてなわけだが、それだけ相性の悪い相手ばかりが残っていることは、覚悟しておかなければならないポイントだろう。

 特に、本日の対戦相手の川崎には、すでにリーグ戦で1敗している上に、天皇杯でも負けているから、既に事実上ダブルを食らっているようなものだろう。これで、本日も敗れることがあったら、トリプルみたいなものである。

 本音を言えば、今の清水がどうすれば川崎から勝ち点を奪うことができるのか、想像がつかないのだが。まあ、ドリームジャンボで5億円当たる確率よりは、清水が川崎から勝ち点を持ち帰る可能性の方が高いだろうから、宝くじ抽選会を見物する気持ちで観ることにするわ。


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penetrate

 サッカーでは、途中投入の選手が得点を決め、「監督の采配的中!」などと称賛されることが時々ある。もっとも、良く考えてみれば、それは当然の現象と言える。サッカーの選手交代は、GKを代えることは普通はしないし、DFもまず代えないから、アタッカーを代えることが多くなる。試合終盤になれば、両チームとも、前線には途中交代の選手が多くなるので、確率的に言って、途中交代の選手が重要なゴールを決めることは、そんなに珍しくないのである。増してや、現在のように5人交代制なら、試合終盤のゴールは、かなりの確率で、途中投入の選手によるものと思って間違いない。

 そういう観点から見ると、ロティーナ清水というのは、かなり異様である。今季のリーグ戦で、清水の途中投入選手が得点を決めたのは、下記のように、わずか3例しかないはずである。

  • 2月27日:第1節アウェー鹿島戦:83分 後藤優介
  • 6月23日:第19節アウェー仙台戦:72分 ディサロ
  • 8月9日:第23節ホーム横浜FM戦:60分 西澤健太

 調べたわけではないが、普通のチームなら、途中投入選手による得点だけで、だいたい10点くらいにはなるのではないかと思う。今季の清水が異様に勝負弱い一因と言える。


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 こちらの記事によると、原輝綺がオンライン取材に応じ、「残留は絶対」と言い切ったそうである。

 ただ、「残留は絶対」とは、どのような意味だろうか? 「自分たちが目指すところは、本来はもっと上。残留は当然で、最低限の目標に過ぎない」という意味だろうか? そういうニュアンスのことを、今回のはらてるに限らず、他の選手たちからもチラホラ聞くわけだが、もしもそのように勘違いしているのだとしたら、おそらく今季清水がJ1残留を達成するのは、期待薄だろう。

 我が軍は、酷いサッカーをしてきたからこそ、その報いとして、現在のような危険な順位にいるのである。原輝綺で言えば、シュートブロックに行くべきところをよけてみたり、左右に揺さぶられた時にしばしばファーサイドの敵を見失ったりと、失点に直結するエラーを何度も起こしている。そういうことの積み重ねの結果が、現在の順位なわけで、言葉尻を捕らえるわけではないが、「残留は絶対」などと言い切る前に、そういう一つ一つのプレーを見つめ直し修正すべきだろう。

 もしも、「残留は絶対」という言葉が、「我々は弱者だ。もうなりふり構ってはいられない。現実を受け止め、ここからは死に物狂いで戦って、全身全霊で残留を勝ち取る」という意味ならば、少しは期待が持てるかもしれない。

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 こちらの記事によると、

 ケガで戦列を離れていた川崎Fの元日本代表MF大島が、20日の練習で全メニューを消化。鬼木監督は15日の取材対応で「休んでいた期間が長いので、慌てずに」と慎重な姿勢を見せていたが、早ければ24日のホーム・清水戦で約3カ月ぶりに復帰する可能性も出てきた。

 9月にDF谷口ら主力にケガ人が続出したチームだが、これで全選手が戦列に復帰した。今季は残り6試合で、2位横浜との勝ち点差は9。最短Vは11月3日のホーム浦和戦となる。大島は10日のファン感謝デーで、8月5日に第1子が誕生したことを報告。父になった28歳の司令塔が2年連続4度目のリーグ優勝へチームにさらなる勢いをもたらす。

 下の表に見る通り、今季、大島のリーグ戦出場は、アイスタでの清水戦の1試合だけ。長い離脱を経て、くしくも今度は等々力の清水戦で、復帰するということになるのだろうか?

 まあ、大島がいても、いなくても、清水が川崎相手に大苦戦することに、変わりはなさそうだが。

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 つい先日、「Jリーグが来季から事実上のホームタウン制度の撤廃を検討している」との報道が一部に出た。ホームタウン制度の撤廃、それに伴う地方クラブによる首都圏での試合開催・育成組織の活動、また、クラブ名のネーミングライツなどが検討されているという話だった。ただし、それを受けてJリーグは村井満チェアマンがただちに否定する声明を発表していた。

 そして、昨日19日、Jリーグはホームタウンと活動区域外におけるマーケティング活動のガイドラインに関するブリーフィングをオンラインで実施し、Jリーグ木村正明専務理事と出井宏明パートナー・放映事業本部本部長が出席したということである。

 結論から言うと、今回のブリーフィングでも、「大前提としてJリーグは豊かなスポーツ文化の振興、国民の心身への健康への寄与を謳っており、それを具現化したものが規約、定款、百年構想になる」との立場を改めて示した。規約の第24条に[Jリーグのホームタウン]があり、木村専務理事は「地域密着を標榜して活動を進めてきた。これら理念を具現化している規約、活動方針に一切の変更はございません」とあらためて強調したということである。以上は、こちらの記事が伝えている。

 Jリーグ側による説明では、地方クラブが首都圏に展開するといった側面が強調されている。コンサドーレのサポが首都圏に住んでいてもファンサービスにアクセスできるようにするとか、東京にある都道府県のアンテナショップで地方クラブのグッズを売れるようにするとか、そういった話である。

 しかし、それはJリーグ側の方便かもしれない。現実には、今回浮上したホームタウン制の見直しは、大都市・大資本の論理によるものである可能性もある。たとえば、クラブの広域活動が認められ、川崎フロンターレが静岡市でサッカースクールを開設したとする。小さな子供たちにも、清水と川崎、現時点でどちらが素晴らしいサッカーをしているかは、一目瞭然である。静岡の子供たちでも、清水ではなく、川崎のスクールに通いたいという子が出てくるかもしれない。「サッカー所」にあぐらをかいてきた清水のような地方クラブは、容赦なく淘汰されてしまう恐れがある。

 これから実際に何が起きるのかは分からないが、いずれにせよ、Jリーグは深甚な変化を迫られているのかもしれない。そのビッグウェーブに飲まれて沈没しないよう、清水というクラブの経営も、そしてもちろん競技面も、今のうちにたくましさを身に付けておかなければならないことだけは確かである。

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 アイスタで神戸戦を現地観戦していた時のこと。CB井林がボールを持って、前にスペースのある状況があった。その時、ボランチの松岡が、「運べっ!」と井林に指示を出したのだが、井林はそれを無視するように、無難なパスを出した。

 柏戦では、松岡が不在だったわけだが、今度は、井林がボールを持った時に、同じように前にスペースがあり、それを見てGK権田が、「運べっ!」とコーチングをした。しかし、井林は今度もそれを無視して、パスを選択した。もしかしたら、そういうことが試合中に複数回あったかもしれない。

 まあ、もちろん、センターバックの前にスペースがあって、ボールを運ぶか運ばないか、どちらが絶対的に正しいということはないのかもしれない。何しろ、井林はロティーナ戦術を知る男という触れ込みで清水に加入したわけで、現時点でも監督は鈴木義宜よりも井林を優先している。その井林がむやみに持ち上がらないということを選択しているのなら、もしかしたら「センターバックは持ち場を離れては駄目で、ドリブルでボールを運んだりするのはあまり奨励されない」というのが、ロティーナルールなのかもしれない。

 だとすると、むしろ松岡や権田が、ロティーナ戦法から逸脱しているということ? 井林の相棒のヴァウドは、センターライン付近までドリブルすることは、よくあるけどねえ。わからん。

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 当S研ブログでは昨日、「ロティーナサッカーに特有の余計な一手間」という表現を使ったが、それには理由がある。実は、名波氏が以前そのような指摘をしていたのである。

 覚えておられる方も多いと思うが、名波ジュビロは2018年に低迷し、16位に沈んで、J1参入プレーオフに回った。その時の対戦相手が、ロティーナ監督率いる東京ヴェルディだったのである。結果は、磐田が勝利し、これがロティーナにとってのヴェルディのラストマッチになった。

 それで、ここからは少々うろ覚えなのだが、プレーオフに勝利したあと、名波氏は確か、こんな風に発言したはずである。

 ヴェルディのサッカーを分析する中で、我々が気付いたのは、ヴェルディはボールを奪った後に、すぐに攻め切るのではなく、必ず余計な一手間をかけるということである。そこで攻撃がワンテンポ遅れ、守備側に対応する余裕が生まれる。J2ではそれでもいいかもしれないが、J1のように守備側の切り替えが速いと、あれでは通用しない。シュートについてもそうで、ヴェルディのように手数をかければかけるほど、シュートブロックで足が2本も3本も出てくるわけで、J1ではもっと素早く攻め切れないと得点は決まらない。

 とまあ、少々うろ覚えなのだが、名波氏は確かそんな趣旨のことを述べていたはずである。

 ロティーナが清水の監督に就任すると聞いた時、所長は、期待感で胸を膨らませると同時に、約2年前の名波氏の指摘が気になり、名波予言が的中しなければいいのだが…などと思っていた。そして、2021シーズンももうフィナーレに差し掛かろうとしているのに、いまだに攻撃を大胆・迅速に遂行し切れない昨今のロティーナ清水の様子を見ていると、「やはり名波氏の言っていたことは正しかったのか」と、つい考えてしまうのである。ロティーナサッカーの攻撃は、J2規格の「遅さ」を特徴にしているのだろうか、と。

 ではなぜロティーナはヴェルディやセレッソを躍進させられ、その両チームでも一定の攻撃力を発揮できたのか? ヴェルディに関して言えば、あのクラブはユースから優秀なテクニシャンを数多く輩出するところであり、選手たちが元からゴール前での崩しの形を共有しており、それで点がとれたという仮説は成り立ちそうだ。セレッソについては、そもそもロティーナが来る前からJ1の上位だったわけだし、清武の妙技やら、止まったところからでも仕掛けられる坂元の能力などがあるので、ロティーナの下でもある程度点がとれた、ということなのかもしれない。知らんけど。

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 今回の柏戦の前半、清水はいつになく、ビルドアップが比較的上手く行き、ミドルサードくらいまでは簡単にボールが運べるので、見ていてそれほどストレスを感じなかった。結局、清水の前半のボール支配率は56%だったようである。これまでの試合で、清水は支配率が50%を超えて勝った試合が一つもないわけだが、「もしかしたら、その壁を、初めて超えられるか? 支配しながら勝つというロティーナサッカーの完成形を、初めて拝めるのか?」などと思いながら観ていた。

 しかし、そういう試合展開は、古狸ネルシーニョの思う壺だったのだろう。そもそも、清水はGKに2CBに2ボランチと、5人でビルドアップしており、対する柏はFWの2人がにらみを利かせる程度だったので、いかに清水と言えども、ミドルサードまでボールを運べるのは、当たり前である。

 なので、柏側としては、ある程度相手を引き込みながら、ボールを奪って、そこからクリスティアーノの機動力を中心に一気に攻め切って得点を奪うというのが、この試合の戦略だったのではないか。清水の側は、いつもと違ってある程度ボールが持て、何度かシュートまで行けたので、勘違いして、まんまと敵の策にはまったのかもしれない。

 もちろん、清水にしても、ボールを持って、ゴールを奪い切る力があればいいのだが、ロティーナサッカーに特有の「余計な一手間」によって、この試合でも攻撃が常にワンテンポ遅れる印象があった。実際には長短のカウンターで一気に攻め切った時の方が点がとれているのに、たまにこの日の試合のようにボールが持ててしまうと、逆に攻撃が停滞するのが清水だ。敵将は、そのあたりも見透かして、ハイプレスではなく、引き込み作戦を発動したのだろう。

 柏の虎の子の1点は、ワンタッチプレーが3つくらい続いた見事なものだった。清水だったら、ボールを持って迷ったり、トラップをして相手に寄せられたりしそうなところを、素早く完結し切った攻撃だった。いくらボールを持っても、ここぞという場面ではあれくらい決断およびプレーのスピードを上げないと、J1では点はとれないのだということを、見せ付けられた。

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 それにしても、思うのである。柏レイソルというのは、つくづく波の大きいチームである、と。J1でリーグ優勝したこともあるし、2020年のオルンガ台風のように、旋風を巻き起こすこともある。そうかと思うと、チームが崩壊し、J2に落ちたことも、実に3度にわたる。

 近年の清水は、J1の下位で低迷を続けているが、J2に落ちたことは、今のところ1度しかない。柏のような波の大きさは、清水には無い。

 興味深いことに、今シーズンの中でも、柏は非常に波が大きい。上の表に見るように、連勝とか連敗が非常に多いチームだ。それとは対照的なのが清水であり、今季の清水は連勝が無いが、大型連敗も一度もない(連敗は最大で2まで)。ずっと同じような調子で、くすぶり続けているのが今季の清水だ。また、柏は勝ち負けがはっきり出るチームなので引き分けが少ないが、対する清水は引き分けがリーグ最多レベルで多い。現時点で、清水と柏の勝ち点が接近していても、勝ち点の内容は全然違うのである。

 というわけで、本日の柏戦、もちろん清水の側に大いに奮起してほしいのだが、大前提として、今日の柏は、良い柏なのか、悪い柏なのか、それによって試合結果が大きく違ってくるはずである。清水の方のメンバーや戦い方はなんとなく想像がつくのだけど、柏はシステムも変えてくるし、瀬川などの怪我人情報もありメンバーも流動的だし、ホント、今日の対戦相手がどんな相手なのか、良く分からないんだよね。

 清水がJ1で生き残っていくために、本日の柏戦がどれだけ大事かなんてことは、当たり前のことなので、ここでは繰り返さない。結果あるのみである。

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107

 上のグラフは、今季の清水のリーグ戦における得点者を示したもの。まあ、そもそも31試合で31得点しか取れていないということが大問題なわけだが、その内訳にも大いに問題がある。ご覧のとおり、まとまった点が取れているのはサンタナ一人だけであり、あとは2点が最高なのである。

 個人的に思うのは、やはり昨年のチーム得点王であるカルリーニョスが、今季怪我がちなのが痛いなということだ。センターフォワードのポジションはサンタナに譲ったものの、カルリもずっと出ていれば、5ゴール以上は取れたのではないかと思うのだが、その彼がここまで2得点というのがとにかく誤算だった。

 あとは、鈴木唯人、中山あたりはもっとチャンスはあったし、ここには名前がないが、西澤、ディサロ、指宿、後藤などは、少なくとも3点くらいは欲しかったところである。

 案外、サンタナに次いで「3点の壁」を突破するのは、藤本になったりするかもしれない。

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 「Jリーグにおける勝率と集客率の関係」という記事が目に留まった。この中で、J1各クラブの勝率に着目し、過去3シーズン(2017〜2019年シーズン)平均と2020年シーズンでどのような変化があったのかという図が掲載されていたので、上掲のとおり紹介したい。横軸にアウェイ勝率、縦軸にホーム勝率を設定し、分析対象期間中に一貫してJ1に所属していた13クラブを対象にプロットしたものということである。

 「過去3シーズン平均(2017〜2019年シーズン)」を見ると、ホームでの勝率が最も低いのが清水だという現実があり、涙を誘う。2020年は単年度なので、データの信頼性がやや落ちるが、この年も清水はホーム勝率が下から3番目に低かったようだ。もっとも、2020年にはむしろアウェー勝率が対象13クラブの中で最も低いことが目を引くが。

 結論として、過去数年の清水はホームで滅法弱かったという現実が、可視化されたと言えるのではないか。そんな気はしていたが、やっぱりそうだったんだ。


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sn

 クラブチームでも、代表チームでも、どう見ても監督が限界を迎えている時に、「この試合で負けて、その結果、監督が代わるなら、それも悪くないか」と、我々観戦者側が感じる時がある。今回の日本代表のオーストラリア戦がまさにそうで、多くの人が、「森保監督のラストマッチかな、それも当然の報いか」という目線で観ていたと思う。しかも、サッカーファンの多くは、田嶋会長による協会私物化を承服できず、森保監督に固執するのはその弊害の最たるもので、「日本代表の敗戦により、田嶋体制の弊害があぶり出されるなら、敗戦も致し方無い代償か」といった、複雑な思いを抱いていたのではないか。

 他方で、日本代表が今回オーストラリアに勝てないと、W杯出場権を自動で勝ち取る2位以内はおろか、プレーオフに回る3位以内も限りなく厳しくなる。そういう意味では、絶対に勝たなければならない試合だった。

 なので、個人的に一番良いのは、日本はオーストラリアに勝つが、森保監督が自らの限界を悟って、試合後に自ら辞任するというシナリオだと思っていた。実際、試合前に君が代が流れている時に、森保監督が目を潤ませているのを見て、「この人は、勝っても負けても、これがラストマッチと覚悟を決めているから、感極まって泣いているのかな?」なんて勘ぐった。

 ところが、試合後の会見などから判断する限り、森保監督はまだまだやる気満々のようだ。試合後の円陣の時も、無茶苦茶ハイテンションだったし(テレ朝の中継では、実況・解説が余計な無駄話をして、森保監督が何を言っているのか聞き取れなかったのが残念だったが)。要するに、日本代表が逆境に陥り、風当たりが強まったことで、森保監督はだいぶ情緒が不安定になっただけで、本人の決意に変わりはないということのようだ。

 個人的に、森保氏は人物として嫌いではない。もしかしたら、彼が監督を続けても、奇跡的にW杯に出場することはできるのかもしれない。しかし、代表監督がどうしても彼である必然性は無いし、W杯出場の可能性を高めてくれる監督候補は絶対にいるはずだ。確かに、オーストラリア戦で森保監督はシステムやメンバーをいじり、勝利にはプラスだったとは思うが、他の監督でもそうしたとか、もっと早くやるべきだったという声もあるだろうし、それよりも崖っぷちに立った選手たちが奮起したという要因の方が大きかっただろう。

 森保氏が代表監督を務めているのは、ただ単に、田嶋会長のお気に入りだからであろう。オーストラリアに勝ったことで、W杯を目指す日本代表は首の皮が繋がったが、森保監督の首の皮も繋がってしまい、恐らくこの体制が続くことになるのだろう。日本代表の最大の敵が、日本サッカー協会の会長であるという歪んだ状態が、続くことになるのか。うんざりだな。

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sn

 FC東京は、ルヴァンの準決勝敗退で今季の無冠が確定し、契約最終年の長谷川健太監督と延長しない可能性があるらしい。そして、日本代表が本日のオーストラリア戦で勝てなかった場合、森保監督は解任となり、健太が日本代表監督に就任するという観測が、一部で唱えられている。

 実は、個人的に、健太は代表監督に向いているのではないか、いやむしろ代表監督にこそ向いているのではないかと感じていた。

 一番は、やはりモティベーターとしての能力だろう。メモばかりとっている森保監督と違って、健太は選手とともに戦い、やる気を引き出すのに長けている。代表チームというのは、もともと能力が高い選手が集まってくるわけで、監督の一番大事な役割は、戦術云々もさることながら、選手たちを団結させ能力をMAXで発揮させることである。そうした観点で、健太は適任だ。

 逆に言うと、健太はそれほど豊富な戦術的引き出しがあるわけではないので、じっくり作り上げるクラブチームの指揮官としては、一定の限界がある。ガンバの時のように、豊富な戦力や攻撃文化を引き継いだ時には、いきなり結果を出せるが、3年くらいするとマンネリになってくる。清水でも、FC東京でも、突き抜け切れなかった。

 健太は、割り切った、シンプルな戦術をとる指揮官であり、その意味でも、準備期間の短い代表チームには向いていると思う。

 健太は、代表監督としては、あまり「カリスマ性」のようなものは感じられない。しかし、FC東京に復帰した長友が、早くも健太の人柄に心酔していると伝えられるように、ベテラン・若手を問わず、選手には慕われる。

 最近の若手、海外組にとっては、「ドーハ組」の年代の指導者は、古臭いものと感じられるかもしれない。しかし、日本代表で攻撃のキーマンとなる久保建英をFC東京で、堂安律をガンバ大阪で、健太は指導した経験がある。その点も、今の日本代表監督に適しているかもしれないと考える根拠だ。


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