エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年08月

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 写真は、マリノス戦の後半開始前、何やら話し込む鳥栖3人衆(+井林)。

 そんなわけで、ロティーナ監督は、合流してわずか数日の松岡を、先発起用した。これについて監督本人は、「大起の移籍は、実力のある選手という意味でも、将来の可能性という意味でも、素晴らしい契約だったと思う。それは今日、フィールドでも見せていたと思うし、我々が重要視しているビルドアップやゾーンディフェンスの部分で、多くの貢献をしてくれたと思う」とコメントしている。

 個人的に、松岡の存在は鳥栖時代から当然知ってはいたし、「金監督はシステムやメンバーをいじることはあっても、必ず松岡だけはピッチ上に残す」といった話も聞いていた。だが、いかんせん、我々のチームに加入するとは思ってもみなかったので、自分のことと意識してじっくりプレーを観たことはなかった。なので、このマリノス戦では、松岡にフォーカスしながら観戦しようか、などと思っていたのだが……。ダメだった。マリノスの攻撃の圧力にさらされ過ぎて、それでころではなくなり、松岡のプレーに集中するということはできなかった。

 ただ、松岡が、味方がパスコースがなくて困っている時に、鬼気迫る表情でサポートに駆け付けたり、あるいは、敵をプレスではめてボールを奪おうとする時に、大きな声で味方に、「そっちを切れ」とか、「このコースに入れ」といった感じの指示を出している様子がうかがえた。

 これって、まさに今までの清水のボランチに欠けていたものかもしれない。日本人ボランチは、宮本・河井は淡々とバランス役をこなす感じで、竹内は背中で引っ張るタイプであり、中村は個人技やひらめきに持ち味がある。ヘナトはボール奪取能力はあるが、一人で黙々と狩る感じ。なので、松岡のように、味方を動かしながら共同作業でボールを奪うようなタイプは、少なくともこれまでの清水にはいなかったのではないか。

 積極的に動いてパスコースを作るのも、味方と声を掛け合って連動してボールを奪うのも、テクニックというよりは、意識・取り組みの問題であろう。清水の既存の選手にそれができていなくて、20歳の新規加入選手にできているのなら、ポジションを奪われるのも道理である。

 だいたい、清水の既存選手たちは、ロティーナ体制の立ち上げから半年以上経って、ようやくそのサッカーに慣れたかどうかといったレベルである。松岡がいかに金監督の下でポジショナルプレーを叩き込まれていたからといって、加入数日の選手に先発の座を奪われるというのは、情けないことだ。

 宮本などは、リーグ戦・カップ戦合わせて、何と23試合連続先発出場を続けていたが、このマリノス戦ではついに出番がなかった。ロティーナ監督、ここであっさりと切るあたり、宮本を重用はしていたが、決して全幅の信頼を置いていたわけではないんだなということが、良く分かった。これは、ボランチだけじゃなく、あらゆるポジションについて言えて、今の清水は弱いと思われるポジションにはどんどん新戦力を入れていくという方針なのだろう。

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 ホームゲームで、相手に押されまくって、どうにか勝ち点1を拾う。。。普通であれば、こんなことで喜んではいけないのだが、今回ばかりは、達成感が大きい。スタジアムの雰囲気も、強いマリノス相手に、勝ち点1をとれた安堵の方が支配的だった。

 個人的にも、昨日の試合は、もちろんストレスも大きかったが、興奮した場面もあり、楽しかった。我々がこの試合に一定の満足感を抱いたのには、いくつか理由があった。整理してみよう。

  • 今季の清水は引き分けがやたら多いが、これまでは大部分が、追い付かれての引き分けだった。これまで、清水が追い付いての引き分けは、アウェー横浜FC戦だけだった。やはり、負けそうだったところから、同点に追いついたというのは、気分が違う。もちろん、この試合は元々は清水がリードしていたわけだから、一時はリードしながらまたしても勝ち切れなかったという面もあるわけだが…。
  • 残念ながら、昨晩の試合、最後の方は例によって敵に押し込まれクリアするだけの展開になってしまった。ただ、ああいう展開になれば、最後に必ず決壊して勝ち点を落とすのが、これまでの清水だった。それが、昨日は最後までどうにか持ちこたえた。試合を通じて、敵のシュートが23本、(苦手な)コーナーキックが11本、(エキセントリックな主審のせいで増えた?)フリーキックが14本もあったわけで、よく我慢したものだと思う。
  • 先日のブログで書いたように、これまでロティーナ清水では、途中投入の選手が得点を挙げるということが、皆無に近かった。それが、昨晩の試合では、後藤から西澤という、まさに途中投入2人の連携で同点弾を奪った。2人とも、危機感からか、アグレッシブに戦ってくれたと思う。ベンチメンバーが活躍してくれると、チームに勢いがつくものである。
  • マリノスの連勝を7でストップした。結果的に、J1の優勝争いにも清水が一石を投じる形になった。ちなみに、その7連勝の中には、清水がアウェー横浜の地で敗れたものも含まれており、今回ちょっとだけリベンジすることができた。まあ、マリノス側の日程とメンバーにハンデが無ければ、引き分けられたかどうかも微妙だが。ちなみに、まだ8月だというのに、今季マリノスとはすでに4回も公式戦を戦ったが、先方は天皇杯で敗退しているので、もう今季マリノスとやることはない。今度当たる時までに、もうちょっと力の差を縮めておきたいものである。

 

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 個人的に、DAZNの配信を動画キャプチャーして清水の試合のアーカイブを作成しているので、当S研ブログでは、今季のリーグ戦を第1節からもう一回全部観直して回顧するという「プレイバック」シリーズを、五輪中断期間に続けてきた。しかし、とか何とか言っているうちに、もう本日からリーグ戦再開である。できればこれまでの試合を全部観た上でブログで取り上げたかったけど、また再び怒涛のリーグ戦の日々が始まるので、リアルタイムの動きの方を優先することになるだろう。というわけで、このプレイバックは、ここでいったん一区切りをつけさせてもらう。

 というわけで、第18節のホーム川崎戦はACLの関係で先延ばしになったので、第19節アウェー仙台戦である。下位直接対決4連戦の初戦となった試合だ。

 点の取り合いになったこの試合、口火を切ったのは鈴木唯人だった。ようやくリーグ戦初ゴールが来たわけだが、決めたのはサンタナのシュートのこぼれ球という、どちらかというとごっつぁんゴールだった。これまで散々、「華麗にかわして、むなしく外す」を繰り返してきたのは、一体何だったのか。殊勲者と言いたいところだが、それ以外にも決めなければならない決定機が唯人だけで3回ほどあり、それをちゃんと決めていればこんなに苦戦はしなかったとも言える。まあ、ともあれ、ディサロのJ1初ゴールも続いたし、サンタナがああいう形で試合終了間際に決勝点を奪って勝負強さを見せてくれたのも初めてだし、清水の未来にとっては明るい材料が揃った。

 ただ、それにしても、得点力が低いことでお馴染みの仙台に、2失点するかね。1失点目は、「セットプレーのゾーンディフェンス、もうムリ!」と叫びたくなるような、ボールウォッチャー烏合の衆がそこにあった。2失点目は、後日、GK権田が守備対応に厳しく苦言を呈していた。権田に言わせると、あのように中途半端なシュートブロックに行かれるのがGKとしては一番困り、むしろシュートコースを限定するような守り方をしてくれれば、自分が必ず止める、ということを力説していた(言外に、鈴木義宜はそれができるけど、竹内はできていないという含み)。

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914

 この試合、終盤にサンドバック状態となり、最後に決壊して勝ち越し点を奪われたので、悪い印象が強かったのだけど、今回試合全体を通して観直してみて、意外に清水も攻撃の形は作っていたんだなと感じた。ちゃんと隣のレーンに良い距離感で味方がいて、ワンタッチで繋いで展開するようなことが、少なくとも前半はできていた。そうした流れから、サンタナの同点弾も生まれたわけだし。ロティーナの目指すような落ち着いたサッカーだったかどうかは別として、前半は割と互角で、実際にも1:1で折り返した。

 しかし、マリノスと清水を比べると、清水は2つの意味で、攻撃の「厚み」が足りなかった。まず、マリノスは、後ろから色んな選手が湧いてくるように飛び出して攻撃にかかわるのに対し、清水はアタッキングサードに入っていくのはほぼブラジル人の3人(サンタナ、カルリ、エウシーニョ)と、後はせいぜい片山くらいに限られた。なので、時折攻め込むことはあっても、攻撃が単発に終わりやすい。5バックで後ろに重いシステムだったとはいえ、攻撃の迫力には欠けた。

 もう一つの「厚み」は、選手交代の要因である。結局、マリノスの決勝点は、後半途中投入の水沼&レオセアラのコンビが決めたものだった。それに対し、清水は72分にサンタナ&カルリのコンビを鈴木唯人&中山に交代させて以降、明らかに前線の収まりも推進力もなくなり、ゆえに後半の最後の方はブロックを作って跳ね返すだけとなってしまったのである。

 それで、ふと思ったのだが、今季の清水って、途中投入の選手が得点を奪ったことが、ほぼ無いよね。調べてみたら、リーグ戦で、この第17節までに途中投入の選手が決めたのは、開幕戦の後藤が唯一だった。ちなみに、これ以降の試合では、第19節の仙台戦でディサロが決めることになるわけだが、それを入れても、今季これまで、全部でわずか2ゴールだけである。まあ、得点自体が少ないチームだし、後半弱いチームでもあるので、途中投入選手だけの責任ではないだろうが、いくら何でも少なすぎる。

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913

 なにせ、清水は9戦勝利無しで、その間の得点がわずか3点。複数得点は2カ月以上無し。ホームでは未勝利。対するFC東京は連勝中。ありとあらゆる悪い材料が揃ったこの試合だったが、結果は3:0の大勝。ホーム初勝利および今季初完封勝利。本当に、終わってみれば、何もかもが上手く行った試合だった。

 ただし、今回試合全体を通して改めて眺めてみて、決して清水が圧倒したわけではないなということを、むしろ感じた。開始直後は、むしろ東京の方が押し気味だったわけで、それで東京が先制していたら、逆に0:3で終わってもおかしくなかったと思う。それくらい、対戦相手のFC東京は、先制点の行方で、試合の帰趨がほぼ決まるチームなのだと思う。もちろん、この試合で清水は良く戦ったとは思うが、サンタナの奪った先制点はラッキーな部分もあったし、東京にとっては良いアクセントになっていた右SBの内田が29分に負傷交代するアクシデントもあった。清水が先制できたから、2点目、3点目もオマケでついてきたという印象である。

 この試合では、前節札幌戦で今季初めて欠場したサンタナが、先発復帰。個人的には、「サンタナは連戦が続くと顕著にキレが低下するのではないか?」疑惑というのを抱いているのだが、この試合のサンタナは10日振りくらいの出場であり、休養十分ということで、すっかり元気を取り戻した。

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912

 前節はホームで名古屋に惨敗、ミッドウィークのルヴァンではマリノスにたたきのめされ(他会場の結果によりかろうじてプレーオフ進出)、そしてこの札幌戦では鬼門で完敗と、とにかくチーム状態はどん底だった。

 この札幌戦での2失点は、クロスからと、コーナー崩れであり、失点パターンは健在。逆に、得点パターンは未確立という、いかんともしがたい状態だった。

 この試合、今季のリーグ戦としては唯一、サンタナが欠場。コンディション不良だったらしい。普段のサンタナのプレー振りに関しては、動きが重い、シュートセンスがイマイチ、周りを使うのが上手くないと、不満も尽きないが、いなければいないで、チームとして困ったことになる。ビルドアップが下手な清水は、サンタナめがけたロングボールを使うことが多く、その的がいなくなるからである。この試合では、ディサロがその代役を務めたが、サンタナほどの体格はないし、どちらかというとスペースを見付けて走り込むようなスタイルなので、サンタナとは持ち味が全然違う。ならば指宿を最初から出せばいいのではないかとも思うのだが、おそらくコンディション(腰痛?)の面でベンチスタートとなっていたのだろう。実際、指宿は74分に投入されたが、試合終了間際のコントまがいのフリーキックだけが印象に残ってしまった。

 守備面では、この試合は3バックで入った。リーグ戦では鳥栖戦に次ぐ3バックスタートということになるのかな。ロティーナは相手が幅を使ってくる攻撃力のあるチームの時に、対策として3(5)バックを使うということだろうか? この時期から、4バックと3バックを使い分ける(試合中のシステムチェンジも含めて)ことが増えた印象であり、それだけ守備の構築に苦労していたということか。まあ、3バックの時に、あまり点がとれた記憶がないが。この札幌戦では、2点リードされた時点で4バックに変えたが、反撃の力は残っていなかった。

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 結果の分かっているサッカーの試合を観るのは味気ないものだが、増してや惨敗した試合を、しくじったテストの答え合わせのように観るのは、しんどいね。この試合がまさにそう。何しろ試合後にロティーナ監督が「名古屋との差は1ヶ月や数ヶ月で埋まらない」と述べたくらいだからね。

 ただ、この試合に臨むに当たって、危機感が強かったのはむしろ名古屋の方だっただろう。なにせ名古屋は前節鹿島に完敗し、シュートゼロに終わっていた。その危機感が、この清水戦での高いインテンシティーになって表れた。名古屋はマッシモ監督がしばらくコロナ感染で不在だったが、この試合から復帰という、清水にとっての巡り合わせの悪さもあった。

 この試合、清水はあまり前から強くプレスに行かなかった。名古屋はどちらかというと低支配率のリアクションチームだから、名古屋に持たせて引き込んで、清水の側からカウンターを仕掛けた方が勝機を見出せるという首脳陣の判断だったのだろうか? 結果的に、あまり上手く行ったとは思えない。確かに、名古屋は基本的に遅攻からあまり点をとれるチームではないが、マテウスという飛び道具があり、またこの日先発の柿谷もトリッキーなプレーができる。そうした「武器」を有する名古屋に、守備の弱い清水が相手を自陣に引き込むのは、リスキーだったか。

 もう一つのポイントは、この日の名古屋のプレースピードがやたら速く(中2日で日程的に清水より不利だったはずなのだが)、清水が対応できずに、ファウルを重ねたことである。今季、反則ポイントで優秀な数字を示している清水が、この試合では珍しく3枚ものイエローをもらった。結局、ファウルで与えたフリーキックから、絶対に避けたかった先制点を名古屋に献上したわけである(名古屋は先制すれば必ず勝つチーム)。

 この試合、今季初めて、リーグ戦で鈴木義宜が先発を外れた。ロティーナによると、ヴァウドの空中戦の強さを買っての起用だったという。しかし、皮肉にも1失点目、2失点目は、ハイボールではなく、低めのライナー気味のマテウスのキックを清水守備陣が処理し損ねて喫したものだった。特に1失点目なんか、ああいうボールを跳ね返すのは義宜が一番上手く、不在が嘆かれた。思わずロティーナもハーフタイムにヴァウドに変えて義宜を投入したが、後の祭り。FW山崎を予想してヴァウドをぶつけようとしたのか、読みが完全に外れた。

 ちなみに、この試合で名古屋側のDF丸山が負傷(これは清水のファウルではなかった)、今季絶望となってしまった。この試合はファウルが多かったとはいえ、今の清水は基本的にフェアプレーのチーム。ただ、FC東京の内田といい、意外と清水戦で大怪我を負ってしまう人がいるなという印象を受けている。


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911

 五輪サッカーの準決勝が世間の関心事だとは思うし、さすがに私も昨晩はその試合を観たが、当S研ブログではしつこく清水リーグ戦のプレイバックを続ける。しかし、このペースで行くと、五輪が終わるまでに、リーグ戦を全部観終わらないな。どうしようかな。

 代表のユニを着て、昨晩のような異様にテンションの高い試合に立ち会えるかどうか。あれを経験できれば、その選手のその後の意識とか取り組みとか、大きく違ってくるだろうね。現清水所属選手には、昨晩のヒリヒリ感を体感できた者が一人もいなかったわけで、返す返すもその点が残念だった。

 さて、今季数えきれないくらいある、勝てたはずの試合を勝ち切れなかった試合。その典型的な一つが、このホーム横浜FC戦だった。

 はっきり言って、権田のせいで勝ち点を落とした試合だった。彼の、意識高すぎ、考えすぎ、頑張りすぎなところが、裏目に出た。GK大久保だったら、勝てた試合だった。大久保なら、敵フリーキックの場面で、普通に3人くらい壁に立たせ、手塚のあんなシュートが直接ゴールに向かってくることはなかっただろう。あの場面、権田は敵の長身選手に合わせてくることを警戒し、壁をあえて1枚に削って、ゴール前の対応人数を増やしたのだった。直接ゴールを狙ってきたら、自分が必ず止めるという自信ゆえだろうが、それを止められなかったのだから、GKのミスという他はない。実際、翌日だったか、権田もあの失点は自分のミスですと認めていたようだ。個人的には、権田には、止められるシュートだけ止めてくれればいいと思う。そういう考え方の方が、かえって結果も良くなるはずだから。

 攻撃面では、横浜FC側のGKが初出場で、ビルドアップも拙く、そこを突いて試合開始5分くらいで3度くらい決定機があった。奥井も言っていたが、本来は、それを活かし、前半のうちに2~3点くらいとって、完勝すべき試合だった。

 まあ、それはもちろんそうなのだが、今回試合を改めて観て、むしろ感じたのは、同点に追い付かれた後である。清水の動きが、かなり重かった。ルヴァンも含めた連戦の疲れに、この日の高温も重なって、疲労困憊といった様子だった。エウシーニョが一人だけ最後までパワー全開といった雰囲気だった。もちろん、選手にも何としてもホーム初勝利をという気持ちはあったはずだが、疲れから一歩足が出なかったといったところか。無念。


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910

 清水サポ界隈では鳥栖からの松岡加入の話題で持ち切りかと思うが、個人的には録り貯めた今季清水のリーグ戦を第1節からもう一回全部観るというチャレンジを粛々と続けている。

 さて、この大分戦、先方は7連敗中で、そのうち5試合は無得点だった。しかし、なぜか敵のそういう悪い流れを止めてあげるのが清水というチームであり、この試合は0:1で大分が勝利。大分の戦い振りはスペクタクルとはかけ離れたものだったが、スタンドに掲げられた「泥臭くても貪欲に勝利を」という横断幕のとおり、連敗の危機感から、闘志を前面に押し出した戦いをしてきた。清水にはそれを上回るだけの、力が無かった。

 清水は過去3試合で、いずれも引き分けには終わってしまったものの、プレスを前面に押し出した新しい戦い方で、手応えを掴んでいた。しかし、そろそろ相手に分析・対策される頃であり、具体的には良く分からなかったが、この試合では知将・片野坂監督に上手く対策され、攻撃が封じられてしまったのだろう。チャンスの数は前の3試合よりも減少し、それらを決めきるにも至らなかった。

 そうは言っても、全体的にはお互いに決め手がなく、スコアレスドローくらいが妥当の試合だったはずである。大分の虎の子の1点は、コーナーキックでゴール前の混戦から押し込まれたものであり、ゴラッソを食らったわけではないので、余計に釈然としない。野球に例えるなら、四球で出したランナーに、ワイルドピッチとバンドで3塁まで進まれ、内野ゴロの間に1点とられて、結局それが決勝点になってしまったと、そんな印象である。う~ん、モヤる。


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909

 世間は五輪一色で、サッカーファンも主に五輪代表に注目しているところだと思うが、個人的には録り貯めた今季の清水の試合を第1節からもう一回全部観るというチャレンジを続けている。

 もっとも、今回観た湘南戦は、五輪とも重なり合うところがあった。敵のGKが、現在大ブレーク中の谷晃生だったからだ。もともと有望株ではあったが、五輪代表の正守護神にまで登り詰めたのは、今季の活躍によるものであり、この清水戦もその一つだったはずである。

 周知のとおり、谷はガンバからのレンタルである。しかし、ガンバもうらやましいね。あと2~3年は東口で行けるだろうし、東口が衰えたら谷が跡を継ぎばいいしで、これから15年はGKが安泰だろう。GKは欧州に流出するリスクもそれほど高くないからね。

 今回の五輪サッカーにおける日本代表の活躍、もちろん嬉しくは感じているけれど、冷静に考えると、「これってフロンターレ祭りじぇね?」と、複雑な思いもする。残念ながら、メンバーには、清水ユース出身者も、清水在籍経験者も、一人もいない。

 そんなモヤモヤした思いを抱いていたところ、鳥栖の松岡大起(20)を獲得へというニュースが飛び込んできて、驚いた。次回のパリ五輪チームの中心になると目されている選手である。権田や原の獲得もそうだったが、代表クラスの選手を輩出できないのなら、獲ってしまえという発想か?

 近年の清水で唯一と言っていいプチ躍進は、ヨンソン政権下の2018年だった。ユース上がり・地元っ子・生え抜き選手である北川、松原、河井、竹内、石毛、金子らが中心として活躍した年である。我々にとっては、そうした「うちの子」がそのまま成長を続けて清水を強豪に変え、自らも代表レベルになってくれれば、ベストだった。しかし、そうならなかった以上、外の血を入れ、競争を激しくするしかない。ホナウドと松岡の加入で、ボランチは急にポジション争いが激しくなりそうだが、個人的には歓迎という思いしかない。

 さて、前置きが長くなったが、第11節ホーム湘南戦。結果的には3試合連続で引き分けに終わってしまった。ただ、3試合のニュアンスはそれぞれ異なり、神戸戦は勝ちたかった試合、ガンバ戦は勝てたかもしれない試合、湘南戦は絶対に勝たなければいけない試合だったと思う。

 湘南戦、ちゃんと攻撃を組み立てて相手ゴールに迫っていたのは、圧倒的に清水だった。決定機の数は、10対1、いや、ウェリントンのあの同点ゴールは決定機ですらなかったから、10対0くらいか。本当に、ラストパスとフィニッシュの精度さえあれば、3点くらいとって楽に勝てたはずである。特に、鈴木唯人の「華麗にかわすところまではいいが、シュートが虚しく逸れていく」という残念シーンが、この試合にもあった。

 まあ、そんなことはありつつも、どう考えても、勝ち試合だったはずだ。なんで、よりによって、ウェリントンがこの試合に間に合い、あんな奇跡的なシュートが決まってしまったのやら。


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908

 前節、鈴木唯人をFWのプレス役に起用し、いわば第2形態に移行したロティーナ清水。ほぼ同じような布陣でこのガンバ戦に臨んだが、結果はスコアレスドロー。関西遠征2連戦は、手応えを掴みながら、2試合連続で引き分けという結果になった。

 むろん、個々にメンバーの変更はあった。何と言っても、原が離脱し、ロティーナ・サッカーの肝であるはずの片山と原が両方いない試合が、これからしばらく続くことになる。とはいえ、それと入れ替わるようにエウシーニョが復帰したことが大きく、また左SBを主戦場とするようになる奥井の活躍は嬉しい誤算だった。

 また、このガンバ戦では、立田がリーグ戦としてはかなり久々の先発出場。一時はベンチにも入れないことが多かった立田がここで使われたのは、練習でアピールしたのか、パトリック対策だったのか、はたまた顔に怪我をしたヴァウドを適度に休ませるためだったのか。結果、試合を通して、パトリックにはほぼ競り勝ち、大きなミス無く乗り切った(試合の最後のシーンでパニック的に蹴り出して敵にコーナーを与えたのはいただけなかったが)。

 さて、このガンバ戦、敵の宇佐美と井手口にポスト・バー直撃弾を打たれた印象が強いので、どちらかというと押され気味の試合だったと思っていたのだが、今回改めて観てみると、むしろ清水の内容の方が良かったんだなあと、認識を改めた。清水のボール支配率は46.1%だったが、ボールを保持してグループで繋ぎながら相手ゴールに迫るシーンは数多く作っていたし、ボールを握って攻めることができていたという意味では、今季ベストだったかもしれない。得点の確率は、カウンターの方が高いのは当然なので、結果的に点はとれなかったけれど、自分たちが思い描くような攻撃はかなりできていたということを感じる。中山、鈴木唯人の躍動は印象的だった。

 チャンスを実際に得点に繋げられるかどうかは、最後の質であり、工夫であり、また運でもある。さらに言えば、この日の敵のGKとCBは日本代表クラスだったわけで、良い攻撃をしても、そう簡単にゴールは割れないのも事実だ。

 この試合、ロティーナは75分まで選手交代を行わなかった。最終的にも、交代カードを余らせる形で、試合を終えた。矢継ぎ早に交代カードを切った第7節ホーム徳島戦などとは対照的に、ガンバ戦では上手く行っているがゆえに、代える必要がなかったのだろう。ただし、逆に言えば、清水は途中投入で大きな仕事をできるような切り札をベンチに持っていないということでもあり、実際この日交代で入ったディサロや後藤は大きなインパクトを残せなかった。残念ながら、今の清水には、選手交代をすると尻すぼみになっていくという現実がある。

 ともあれ、このガンバ戦。内容は良かった、後は決めるだけだ、チームは良い道のりを歩んでいるというロティーナの常套句に、この日はまあまあ納得できたかな。

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