写真は、マリノス戦の後半開始前、何やら話し込む鳥栖3人衆(+井林)。
そんなわけで、ロティーナ監督は、合流してわずか数日の松岡を、先発起用した。これについて監督本人は、「大起の移籍は、実力のある選手という意味でも、将来の可能性という意味でも、素晴らしい契約だったと思う。それは今日、フィールドでも見せていたと思うし、我々が重要視しているビルドアップやゾーンディフェンスの部分で、多くの貢献をしてくれたと思う」とコメントしている。
個人的に、松岡の存在は鳥栖時代から当然知ってはいたし、「金監督はシステムやメンバーをいじることはあっても、必ず松岡だけはピッチ上に残す」といった話も聞いていた。だが、いかんせん、我々のチームに加入するとは思ってもみなかったので、自分のことと意識してじっくりプレーを観たことはなかった。なので、このマリノス戦では、松岡にフォーカスしながら観戦しようか、などと思っていたのだが……。ダメだった。マリノスの攻撃の圧力にさらされ過ぎて、それでころではなくなり、松岡のプレーに集中するということはできなかった。
ただ、松岡が、味方がパスコースがなくて困っている時に、鬼気迫る表情でサポートに駆け付けたり、あるいは、敵をプレスではめてボールを奪おうとする時に、大きな声で味方に、「そっちを切れ」とか、「このコースに入れ」といった感じの指示を出している様子がうかがえた。
これって、まさに今までの清水のボランチに欠けていたものかもしれない。日本人ボランチは、宮本・河井は淡々とバランス役をこなす感じで、竹内は背中で引っ張るタイプであり、中村は個人技やひらめきに持ち味がある。ヘナトはボール奪取能力はあるが、一人で黙々と狩る感じ。なので、松岡のように、味方を動かしながら共同作業でボールを奪うようなタイプは、少なくともこれまでの清水にはいなかったのではないか。
積極的に動いてパスコースを作るのも、味方と声を掛け合って連動してボールを奪うのも、テクニックというよりは、意識・取り組みの問題であろう。清水の既存の選手にそれができていなくて、20歳の新規加入選手にできているのなら、ポジションを奪われるのも道理である。
だいたい、清水の既存選手たちは、ロティーナ体制の立ち上げから半年以上経って、ようやくそのサッカーに慣れたかどうかといったレベルである。松岡がいかに金監督の下でポジショナルプレーを叩き込まれていたからといって、加入数日の選手に先発の座を奪われるというのは、情けないことだ。
宮本などは、リーグ戦・カップ戦合わせて、何と23試合連続先発出場を続けていたが、このマリノス戦ではついに出番がなかった。ロティーナ監督、ここであっさりと切るあたり、宮本を重用はしていたが、決して全幅の信頼を置いていたわけではないんだなということが、良く分かった。これは、ボランチだけじゃなく、あらゆるポジションについて言えて、今の清水は弱いと思われるポジションにはどんどん新戦力を入れていくという方針なのだろう。
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