エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年07月

907

 色んな意味で、鈴木唯人が目立ちまくった試合だった。これまで左サイドハーフで起用されることが多かった唯人だが、ディサロおよび後藤の低パフォーマンスと、カルリーニョスの負傷離脱で、唯人がサンタナの相棒として2トップの一画として起用されるようになったのが、この試合だった。

 試合序盤に、唯人が突進し、ゴールキーパーまで外しながら、シュートをポストに当ててJ1初ゴールを逃した場面は、今季のJの珍プレー集で優勝しそうなトホホなシーンだった。しかし、その薬が効いたのか、その後この試合で唯人は、前線ハイプレスでチームに勢いを与える。なかなか前への矢印が向かないロティーナ清水にあって、唯人のプレスが勢いをもたらすような結果となった。先制点は、唯人が直接は絡んでいないが(スプリントしてDF2枚を引っ張ってはいたが)、それでも目覚ましい活躍だった。

 ちなみに、これ以降の試合でも、2トップの一画である唯人が前からプレスに行くのは定番になるわけだが、プレスの激しさや運動量ではこの神戸戦が一番だった印象を受けている。神戸戦では、相手GKにまで圧力をかけたり、そうかと思うと自陣に戻ってプレスバックしたり、広い範囲を精力的に動き回っていたが、後の試合ではそこまでの迫力は感じない。本人の変化なのか、それとも対戦相手やチーム戦術ゆえなのか。

 この試合、唯人の働きが光っていただけに、先制直後に唯人に代わって投入された後藤に物足りなさを感じてしまった。84分の場面で、後藤が左コーナーフラッグ付近まで持ち込みながら、なぜか自らタッチラインに蹴り出した場面は、唯人が決定機を外した以上の珍プレーと言わざるを得ない。自分でキープして味方のサポートを待ってもよかったし、相手に当ててコーナーやスローインを狙うならまだ分かるが、なぜ自らタッチラインに蹴り出すのか? 別に、学力テストができなくてもいいから、サッカーだけは賢くやってほしいものである。

 そんなこんなで、内容面で相手を上回ることのできた神戸戦だったが、改めてこの日の神戸のメンバーを見ると、全員が日本人である。あれだけ外国人依存度の高い神戸で、外国人選手が一人もいないのは異例と思われ、イニエスタもサンペールもドウグラスもいなかったからこそ先方の攻め手が限られたということは考慮すべきだろう。

 この試合、もし勝てていれば、今季のベストゲームだったかもしれない。しかし、左右の揺さぶりおよびクロスに弱く、試合終盤に致命的な失点を喫するという悪い癖がまたしても出て、勝ち点は1にとどまった。

 まあ、後から考えると、同点弾を浴びたことよりも、原輝綺が櫻内に踏まれて大怪我したことの方が、ずっと痛かったかな。あれは、守備を固めるためだったのか、奥井に変えてヴァウドを入れ、CBを務めていた原が左サイドに回った直後に起きた悲劇だったわけで、そのあたりも含め、終盤に不幸が集中した試合だった。

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904

 浦和は、今季序盤、新監督の下でのサッカー構築に苦労し、この頃は全然結果が出ていなかった。前節で鹿島が浦和に勝ち星をプレゼントしてしまい、浮上のきっかけを与えてしまったという巡り合わせの悪さはあったが、まだユンカーもいない、興梠も本調子でなかったことを考えれば、絶対にホームで勝っておきたい試合だった。

 それが、前節に続き、ホームで無得点・複数失点の連敗とは、ズシリと響いた。内容的にも、ビルドアップの質、切り替えの速さ、球際の強さなどでことごとく浦和に上回られ、悔しい思いしか残っていない。

 しかし、意外なことに、試合後のロティーナ監督のコメントは、失点シーン以外は悪くなかったといったものだった。

 一つのポイントとして、この浦和戦で宮本がリーグ戦に初先発し、以降、カップ戦を含め、現在に至るまで実に23試合連続で先発出場していることである。ロティーナ監督が勝っても負けても口癖のように「内容は悪くなかった」とコメントするようになるのはこの頃からであり、指揮官の中では、宮本がいると思い描くようなサッカーができるようになるという位置付けなのであろう。

 それとは逆に、苦境に陥ったのが竹内だった。前節の徳島戦で相手にひっくり返されて失点のきっかけとなったのに続いて、この浦和戦でも敵のコーナーで岩波にあっさりと競り負け、またしても先制点の原因となってしまう。おそらく、ロティーナの認識では、チーム戦術が機能していても、DFやボランチのエラーで失点してしまうのはチームとしていかんともしがたく、ならば選手を代えるしかないという考え方なのではないだろうか。実際、竹内は、怪我の時期もあったとはいえ、この浦和戦を最後に、3ヵ月近くリーグ戦の先発の座を外れることになるのである。

 確かに、この試合の浦和はシュート2本と、決定機の数は少なかったが、その両方を決めきったわけだし、チームとしてやりたいことははっきり見えていた。一方、清水は、特に前半、可能性の低い遠目のクロスしか攻めの形がなく、攻撃イメージをチーム全体で共有できているとは言い難かった。後半多少活性化したとはいえ、途中投入のエウシーニョの個人技頼りだったし。試合後、ロティーナは、「良い道のりを歩んでいると思っているので、これを続けていきたい」と述べているが、その道のりは果てしなく遠そうだなと、気の遠くなるような浦和戦であった。

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901

 引き続き、今季清水のリーグ戦を第1節からもっかい全部観るというチャレンジを続けているが、このホーム徳島戦ほど観るのが辛い試合もない。徳島の良いところが全部出て、逆に清水は良いところが一つもなかった。パンクブーブーのでかい方、じゃなかった、笠原寛貴主審との相性の悪さも相まって、ストレスはMAXである。

 名将の誉れ高いロティーナ監督の仕事振りは、代役に過ぎない敵将・甲本HCに引けをとった。日本代表GK権田のパフォーマンスは、先方の上福元のそれよりも、明らかに劣っていた。ヨーロッパの実績を引っ提げて来日した点取り屋サンタナのプレー振りは、J1経験がほとんどない敵の垣田裕暉よりも見劣りした。うちの方がずっとカネをかけているはずなのに、この現実は辛い。後日、アウェーで徳島と対戦した時も、相手に8割ボールを持たれるというスキャンダラスな試合になってしまったわけで、とにかく徳島とは相性が最悪としか言いようがない。

 他方、現時点から振り返ると、「この頃、ロティーナは、選手をふるいにかけていたんだな」ということも感じる。前節の柏戦で良い動きを見せた金子は、この試合でも先発出場を果たしたが、ハーフタイムで引っ込められた。別に金子が特別悪かったという印象はないのだが(全員が悪かったので)、ロティーナのお気に召さないところがあったのか? 結局、金子が清水の選手としてJ1リーグ戦に先発出場するのは、この試合が最後となるのである。

 この試合では、その金子→中山だけでなく、福森→原、後藤→カルリと、ロティーナにしては珍しく、ハーフタイムに一気に3枚替えを行った。さらに、その後も西澤→中村、河井→鈴木唯人とたたみかけ、71分までに交代カードをすべて使い切った。それだけ、チームが機能せず、何かを変えなければという監督の焦りがあったのだろう。しかし、誰が出ても清水の内容はまったく上向かず、試合終了のホイッスルを虚しく聞くことになる。

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900

 DAZNをパソコンで動画キャプチャーし、自力で作成している清水の試合動画アーカイブ。五輪中断期間を利用し、それを第1節から改めて観るというプレイバック・チャレンジを続けている。今回は、アウェー柏戦。個人的には、開幕戦の鹿島戦に続く、「居ても立っても居られなくなり敵地に単身潜入した」パターンであり、酷い嵐の中で勝利を掴んだ試合でもあり、忘れられないものとなっている。

 開幕戦以来の勝利となったこの試合、とにかく際立ったのは、清水イレブンの気迫と一体感だった。前節までの「よそ行き」のサッカーはかなぐり捨て、闘志を前面に押し出し、目の前の敵に負けないという気合が感じられた。それはロティーナ監督にしても同じで、試合後には珍しく喜びを爆発させていた。

 言い換えれば、前節までの戦いがあまりにもふがいなく、シュートすらロクに打てない試合が2試合続き、「このままでは駄目だ」という意識が強かったのだろう。そこで、この柏戦では立ち上がりからアグレッシブに行き、前半のうちに電光石火の2得点を奪った。

 もっとも、この柏戦も、終わってみればシュートは前半の3本だけで打ち止め。前からプレスに行ける時はよいが、受けに回ると守備一辺倒になってしまうというチームカラーが出てしまった。この柏戦では相手の不調もあり、わりと危なげなく勝ち切ることができたものの、試合終盤ずっと押し込まれる悪い癖を露呈した試合でもあった。

 この柏戦で注目すべきトピックは、西澤と金子の2人が、今季リーグ戦では初先発を果たしたことだろう。そして、出場機会に飢えていた2人の悔しさを、上手くチームのエネルギーに転化して勝利した。現地で観ていて、新加入選手だけでなく、既存の中心選手も目の前で躍動していることがとても嬉しく、その時は、「これで新旧が融合し厚みのあるチームになるな」と喜んだのだが…。

 そして、現時点から振り返って、この柏戦が転機になったと思えるのが、宮本と奥井が途中出場ながら今季リーグ戦初出場を果たしたことである。宮本はそれほど派手さはなかったが、ヴァウドが負傷退場したことを受け急きょ投入された奥井が、出色の働きを見せた。体を張ったデュエルや守備は感動的ですらあり、その後奥井が(怪我人続出の結果でもあったが)レギュラークラスで活躍する第一歩となった。そう言えば先日権田が、前半戦のMVPは奥井選手だと思うと述べていたが、それはこの柏戦から始まったのだった。

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896

 オリンピック、思いのほか、盛り上がってまんなあ。しかも、サッカーのような普段触れる機会の多い競技よりも、マイナースポーツの方が熱いような気がして、そう考えると、オリンピックって意外と意味があるのかな、なんて思えてくる。

 とはいえ、個人的には五輪はスルーし、今季清水の激闘の記録(?)をプレイバックするチャレンジを続けている。昨晩は第5節アウェー広島戦を視聴してみた。でも、深夜に観て、清水側が湧く場面が少なかったこともあり、居眠りしながらになっちゃったなあ。

 この広島戦、先発にヴァウドやカルリーニョスの姿がなく、「なぜこんな先発メンバーにしたのか?」と不思議に感じたが、考えてみれば、ミッドウィークの水曜開催で、前節からわずか中2日のアウェー戦だったんだねえ。だから、プレー時間管理のため、ある程度ターンオーバーしたというわけだ。ホント、リーグ戦の水曜開催は、勘弁してほしいわ。

 今、この広島戦を観ると、清水側は、ロティーナ戦術の浸透、システムおよび選手の見極め、過密日程でのやりくりという具合に、己と戦っているようなそんな妙な印象を受ける。広島と戦っているというよりも。それだけ、まだチーム構築の途上だった。

 そして、後知恵で思うのは、「この試合には宮本も奥井もいないなあ」ということである。それもそのはずで、その後出ずっぱりとなるこの2人は、シーズン序盤にはまったくと言っていいほど出番がなかったのである。この2人が、くしくも揃ってリーグ戦に先発出場するようになるのは、第8節浦和戦からであり、序盤は影も形もなかったのである。

 さて、広島戦は、スタッツによれば、清水のシュートはわずか2本。前節の1本に続いて、「フィニッシュに持って行けない病」に苦しんだ。サンタナは孤立し、本人も効果的な動き出しもない。2列目は、右の中山も中央の後藤も左の鈴木唯人も機能せず。先発を外れたカルリーニョスの推進力に、普段いかに依存しているかが、浮き彫りとなった。

 清水のシステムは4-2-3-1または4-4-2っぽかったが、両サイドバックが攻撃面で機能せず。左SBの原は、時折果敢な攻め上がりは見せたが、やはり右の方が良い。では右は誰だったかというと、立田を起用し、攻撃の起点にはなれなかった。この試合、今季初めて、福森がセンターバックとしてリーグ戦に初出場したが、どう考えても、鈴木義則と立田の2CBに、右SB原、左SB福森の方が機能しただろう。それをしなかったのは、この時点でロティーナが立田をCBとして信用していなかったからではないか。

 失点は、広島のコーナーキックから、2度折り返されてボールウォッチャーになり、DFの荒木に蹴り込まれたものだった。広島側としては、この日の清水には、1点で充分だった。

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897

 昨日は多くの皆さんがサポーター・サンクスデイに参加し、楽しまれたようで、良かった。残念ながら、所長はアイスタまで出かける時間が捻出できず、不参加となった。それに、個人的にはバラエティ企画的なものにはそれほど興味がなく、サッカーそのものに集中したいという気持ちが強いので、家で試合動画を観ていた方が自分らしいかという気持ちもあった。

 そんなわけで、昨日は第4節ホーム鳥栖戦をプレイバックしてみた。今振り返ってみると、この鳥栖戦は前半戦の大きな転機になったと思う(悪い意味で)。望外の勝利を収めた第1節、勝てたはずだった第2節、そんなに悪くもなかった第3節と、ここまではそれなりに手ごたえがあったわけだが、第4節に至って「ほとんど何もできない」という試合になってしまった。放ったシュートは、わずか1本とされている。内容は非常に厳しかったが、その割には権田のセーブ連発で何とか勝ち点1を拾ったという、今季の中では非常に珍しいパターンだった。結果的に、ロティーナ清水のリーグ戦としては初のクリーンシートを達成したが、同時に初の無得点でもあった。

 この鳥栖戦から清水のパフォーマンスがガクンと落ちたのは、周知のように、ロティーナ・サッカーの申し子である片山が前日練習で怪我をして、戦線離脱したことが痛かったと言われている。この鳥栖戦、清水が初めて3バックで臨んだのは(ビルドアップの時に右の立田が上がり気味になる変則的な3バックだったが)、片山不在ゆえだったのか、それとも鳥栖対策だったのかは、いまだに良く分からない(試合後の監督コメントは後者であったような口振りだったが)。まあ、確かにキーマンの離脱は痛手にせよ、1人がいなくなっただけでチーム全体が沈んでしまったのだとしたら、そもそもそこまでのチーム力だったと言わざるを得ない。

 清水も鳥栖も、チームコンセプト的には、広い意味でのポジショナルプレーを志向しており、相手も見ながら立ち位置を調整して優位に立とうという考え方だろう。しかし、この試合では、その浸透度・完成度の差が、如実に表れた。一応、清水の時間帯も無かったわけではなく、後半開始から15分くらいは前線からのプレス強度を高めた清水が敵陣に攻め込む形勢となった。しかし、次第に主導権を奪い返され、最後の20分ほどは、(本当は見たくない)権田の見せ場の連発となってしまった。

 全体として、鳥栖のチャンスはチームコンセプトがシュートという形で結実する再現性の高いものであるのに対し、清水は選手の属人的能力やアドリブだけで、稀にそれが上手く行った時だけチャンスになりかける、という印象だった。

 片山の離脱と、鳥栖戦での自信喪失が、2つのボディーブローのようになって、その後の清水を苦しめていった。

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896

 世の中はオリンピックで盛り上がっている(?)が、所長は一人MYオリンピック、今季の清水のリーグ戦を第1節から全部観直すというチャレンジを続けている。ちなみに、できればルヴァンカップの試合もプレーバックしたかったのだが、カップ戦も含めると五輪中断期間に全部観るのは不可能なので、残念ながら割愛。

 というわけで、第3節アウェー・セレッソ戦である。ロティーナ体制で初の敗戦となってしまった試合だ。ただ、今回改めて試合全体を観てみて、「今季、負けた試合の中では、一番内容が良かったな」と感じた。清水が勝った可能性もあっただろうし、少なくとも勝ち点1程度には値した。

 全体の印象は悪くなかったものの、試合開始早々の4分に先制しながら、2点目がとれそうでとれなかったところが、問題だろう。特に、先発出場した後藤が前後半に1回ずつあった絶好機を外したのが痛かった。「後藤、お前、そういうところだぞ」と言いたくなる。こういうことを続けていた結果、ポジションを鈴木唯人に奪われ、出場機会を失って行ったわけだからなあ(じゃあ唯人が決めまくっているかというと、それはまた別の話だが)。

 今、改めて観てみても、そんなに悪くない印象のセレッソ戦だったが、コーナーから失点、クロスから失点、終盤の勝負所で失点と、今季の清水の悪癖が凝縮されたような試合でもあった。最後の清武に決められたシーンは、原を責めるのは酷で、西澤がついていくべきだったのかな?


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 本日開催された「【後援会員限定企画:選手交流オンラインイベント」、「S-PULSE TV:みんなで前半戦を徹底振り返り!」。視聴し終わったところだが、山室社長から新スタ問題に関し予想外に踏み込んだ発言があったので、速報させていただく。

 司会者に、新スタ問題に関し話を振られた山室社長は、現時点では具体的なことは言えないが、水面下で様々な動きがあり、半年、遅くとも1年以内には、具体的な構想が出てくると思うと発言されていた。

 個人的には、今回、仮に社長が新スタ問題に言及するとしても、「引き続き各方面と連携しながら頑張ります」程度の話かと想像していた。それが、「半年、遅くとも1年以内」と、いつになく具体性のある話として伝えられたものだから、ちょっと驚いた。

 近く、朗報が発表されると期待していいのだろうか? まあ、その朗報が伝えられる時に、気運が盛り下がらないよう、清水がなるべく高い順位をキープしていたいし、我々サポはそれを精一杯盛り立てたいものだ。

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988

 ツイッターとかを眺めていると、昨晩、皆さん結構、五輪の開会式をご覧になったようで、驚いている。散々批判とか揶揄する声があったけど、それなりに皆さん関心はあったということか。その時間帯、個人的には、プレイバック・シリーズで、第2節ホーム福岡戦を観ていた。

 さて、ホーム開幕戦の結果は、2:2で引き分けだった。アディショナルタイムのフリーキックから、同点ゴールを被弾。今、考えても、まったく受け入れられない結末である。

 この試合を勝ち切れなかったことは、本当に痛かった。単に、開幕2連勝を逃したというだけでなく(実現すれば14年振りだったらしい)、その後2勝目が遠くなってしまったし、ホーム初勝利が3カ月近く先になってしまったし、ついでに言えば昇格チームの福岡を調子付かせてしまった。今思えば、ロティーナ清水が前半戦に低迷した大きな原因が、この試合で勝てなかったことにあったと言って過言でない。

 今回、改めてこの福岡戦を観てみて、実に皮肉だなと思ったポイントがあった。例のアディショナルタイムの同点被弾に至る経緯である。あの場面は、権田のゴールキックから始まった。この試合でも、一応はGKからのビルドアップを試みていた清水だったが、試合終盤で1点リードしている状況ゆえ、低い位置でボールを奪われることを恐れ、権田はビルドアップではなく、大きく蹴ることを選択した。ところが、清水はそのロングボールを収められず、相手にこぼれ球を奪われ、そこから福岡に繋がれ、結局ヴァウドが危ない場所でファウルで止めることになってしまったわけである。つまり、安全策として選んだはずのロングボールが、逆に痛恨の失点を招いてしまったわけだ。そのことも含め、何ともやりきれない、いまだに釈然としない、引き分けだった。


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Aigle

 報道によれば、ブラジル人ボランチのホナウドに続いて、コソボ代表コロリの獲得も本決まりのようだ。

 コロリは、国籍(?)およびナショナルチームはコソボだけど、生まれはスイスである。プレーヤーとしての期待は当然だが、個人的にはヨーロッパ事情的な観点からも、興味がある。

 コロリのように、ルーツはコソボ(民族的にはアルバニア人)だが、スイス生まれで、西ヨーロッパでプレーしたりしていると、ナショナルチームに関して数種類の選択肢があり、どれを選ぶかというのが、かなり本人の選択次第ということになる。彼は、両親の祖国をナショナルチームに選んだわけだが、スイス代表よりも入りやすいという考慮があったのかもしれない。

 もう一つ気になるのは、コロリは何語を話す人なのか?ということだ。調べてみたら、彼が生まれたのはスイスの中でも西寄りでフランス国境に近いAigle(アイグル?)といいう村であり、我々が思い描くようなアルプスの少女ハイジの世界だったようである(上掲写真参照)。このAigleという村は、フランス語圏である。たぶんコロリは、家庭内ではアルバニア語、外ではフランス語といった育ち方をしたのではないか。ちなみに、彼のツイッターを見ると、フランス語のつぶやきがちらほらと見られ、第一言語はフランス語ではないかという気がする。

 ただ、彼が最近までプレーしていたチューリッヒは、スイスの中でも北東部で、ドイツ語圏である。ドイツ語も簡単な会話くらいはできるかと想像する。

 まあ、なんだかんだで、清水での意思疎通は、英語になるのかな。アルバニア語はもちろん、フランス語やドイツ語の通訳をわざわざつけることはないような気がする。

 カルリーニョスもスイスリーグのFCルガーノでプレーしていたから、対戦したこともあるだろうし、その点ではコロリと話が合うかな? ちなみにルガーノはイタリア語圏のようだが。


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893

 当S研ブログではだいぶ以前に、「DAZNも録画できないことはない」ということをお伝えした。DAZNにはダウンロード機能がなく、一定期間が終わると試合の視聴ができなくなってしまうので、動画キャプチャーソフトの一つであるBandicamというのを使い、清水の試合のアーカイブを自力でせっせと作成しているということを申し上げた。

 今でもそれを続けてはいるのだが、最近一つ、気付いた点がある。ウインドウズPCは、Windows 10になってから著作権保護がやたらと厳しくなり、Windows 10上では、動画キャプチャーソフトを使っても、DAZNの動画を録画することはできないことが判明した。画面が真っ黒な状態の動画が残されてしまう。ちなみに、動画だけでなく、Windows 10ではDAZNのスクショすら撮ることができない。所長がメインで使っているPCはWindows 8なので、問題なくDAZNを動画キャプチャーできているが、Windows 10では駄目なので、皆様諸々お気を付けください。そう考えると、Windowsもバージョンが新しいほどユーザーにとって便利ということでは決してなく、逆にWindows 8機がお宝PCに化けたりするかもしれないな。

 実を言うと、清水の試合の動画をアーカイブしても、普段はそれほど観る機会がない。新しい試合が次から次へとやって来て、それを追うのに精一杯になるからである。しかし、今年に限っては、五輪による長いリーグ戦の中断があるので、その中断期間を利用して、「プレイバック」シリーズと銘打って、今年の試合を第1節からもう一度観返すことにした。

 そんなわけで、開幕戦のアウェー鹿島戦である。個人的に、この試合は、居ても立っても居られなくなり、初めてアウェー鹿島の地に単身乗り込んで、望外の勝利を挙げたので、今季の試合の中でも、最も鮮烈な記憶に残っている。

 改めて試合動画を観返すと、清水はかなり幸運だったことは否めない。何しろ、鹿島のシュートが権田の守るゴールの枠に当たった場面が、3度もあった(そのうち1回はそのこぼれ球から失点してしまったわけだが)。FW上田が前半に着地の際に足を痛め、その後のプレーで精彩を欠いたのも大きかった。対する清水は、数少ない攻撃機会を効率良く得点に繋げ、鹿島側にしてみればまさにエアポケットに入り込んだような形で終盤にあれよあれよという間に3失点を重ねたのだった。開幕当初の鹿島はまだチームの完成度が低かったという見方もできるし、逆に開幕節で清水にショッキングな形で負けたことによって、ザーゴのチームはそのまま悪い流れに陥り、監督交代にまで至ったという見方もできる。

 この試合のサンタナのゴール、良いゴールだった。ボックス内に侵入し、ボールを上手く収め、相手のタイミングを外してコースを狙うような打ち方だった。その後のサンタナは、ゴール前に迫っても、足を思いっ切り振ろうとするあまり時間がかかって、相手DFやGKにブロックされてしまうシーンが目立つようになるけれど、この開幕弾のように、落ち着いてコースを狙うようなシュートを心掛けてほしいものである。

 開幕戦では、金子はベンチ入りして、途中出場も果たしてたんだなあ。後藤も毎試合使われていたし、彼らにもチャンスは充分与えられていたということだ。わずか半年前のことなのに、思わず遠い目になってしまう。

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68

 昨日の続き。今季これまでの「出場ポイント」で、残念ながら今のところBクラスとなっている選手たちのデータだ。

 と言っても、選手ごとの境遇は、大きく異なる。片山、原がBクラスになっているのは、誰が見ても明らかなとおり、能力の問題ではなく、負傷で離脱していた時期があったからである。はっきり言って、現段階のロティーナ清水は、片山とはらてるのチームと言っても過言でない。そのくらい、今季新加入の2人は、なくてはならない存在になっており、戦術理解度の高さがその鍵だろう。

 上表を見ると、中村、エウシーニョが同じタイミングで離脱してしまったことが確認できるが、怪我ばっかりはしょうがない。中村は攻守のリンクマン、エウシーニョは鬼キープに定評があり、両者が同時に欠けることで、それでなくても低い清水のボール支配率がますます低下したことは、間違いない。まあ、両者の全治期間からすれば、8月には合流してくれるのではないか。

 その一方、怪我とは関係なく、急激に出場機会を減らしているのが、後藤である。開幕戦のセンセーショナルな逆転弾もあり、上表の通り、ルヴァン第5節ホーム仙台戦まではむしろロティーナに重用されていたのだが、最近は完全にカップ戦要員と化してしまった。まあ、確かに開幕戦を除くと大活躍したという印象はないが、それにしてもある時点からパッタリ使われなくなり、サポとしては戸惑いを覚えるところである。

 これまでの清水には、後半途中に投入して期待できるアタッカーが見当たらなかったが、最近、指宿、滝がそうした役回りを果たし、期待感を高めているのは、結構なことである。早く2人のリーグ戦ゴールが見たい。

 今季一度もベンチ入りがなく、ゆえにこの表にも登場しない成岡は、J2相模原への育成型期限付き移籍が発表された。ロティーナのちびっこ冷遇疑惑(?)もあり、清水でまったく出番がない以上、外に出て出場機会を積むのは良いことだ。その一方、「レンタル先も見付からないのかな」などと考えてしまい、不憫に思える選手もいるような…。

 井林も清水で第一歩を刻んだし、新外国人も来日するみたいだし、そのあたりの新戦力にも期待だな。

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86

 今季、清水の公式戦における選手の出場状況に、勝手に「出場ポイント」というのを設定して、ランキングをお届けしている。現在、リーグ戦は休止中なので、ここで改めてここまでの出場ポイントを整理しておくことにする。

 以前もご説明申し上げたとおり、◎が先発出場、〇が途中出場、△がベンチ入りしたけど出場なし、×がベンチ入りせず。カップ戦よりもリーグ戦の方が重要性が高いので、リーグ戦のポイントを2倍にしている。ゆえに、リーグ戦は◎が6pt、〇が4pt、△が2pt、×が0pt、ルヴァン・天皇杯は◎が3pt、〇が2pt、△が1pt、×が0ポイントとし、ポイントを集計して順位付けしている。ただし、ルヴァンのプレーオフは重要度が高かったので、今回プレーオフの2試合はポイントを1.5倍にし、◎が4.5pt、〇が3pt、△が1.5pt、×が0ptとしている。

 この表も、だんだんデカくなり、手に負えなくなってきた。そこで、今回は上位の選手だけ発表し、残りは明日にする。現在までのところ、公式戦に出場した選手が30名おり、上の表はその上位15名をまとめたものである。これらが、コンスタントに試合に絡んでいるプレーヤーたちと言っていいだろう。

 前回このデータをお届けしたのは、天皇杯福山戦の後だったが、それからずいぶんと勢力図が変わった。前回発表時点では、鈴木義則がトップだったのだが、長期の離脱により、出場ポイントは足踏み。

 現在は、ヴァウドがトップで、サンタナがそれを追う格好となっている。ヴァウドは、怪我による長期離脱がなく(フェイスガードをつけていた時期もあったが)、またリーグ戦だけでなくカップ戦にも出ていることから、ポイントをがっつり稼いでいる。

 そして、カップ戦も含めた驚異の連続先発記録を伸ばしているのが、宮本。開幕直後は出遅れたが、このまま行けば、今季最終的に、このランキングを1位でフィニッシュするのではなかろうか。

 ダブルボランチの宮本の相棒候補は、中村、河井、竹内のいずれかということになる。一頃までは河井がファーストチョイスだった感があるが、中村が存在感を高めたところで、中村は無念の負傷離脱。そして、その後は竹内が河井からポジションを奪い返した。専門家の河治良幸さんが最近、「ロティーナ監督は1年目でのインアウトが激しくなりやすい。でも個人的に開幕当初、アウトの可能性が高いかなと思っていた一人が最近フィットして清水を助けていたりするのが興味深い」というのは、竹内のことじゃないかと、勝手に想像している。

 ちなみに、西澤って、最近出場した試合でパフォーマンスが良かったというサポ評価も聞かれたけど、こうやって見ると、リーグ戦で先発出場したのは、第13節横浜FC戦が最後だったんだなあ。あとはベンチ要員およびカップ戦要員ということで...。

 明日の後半に続く。

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889

 個人的に、サッカー以外の五輪競技を、たとえテレビでも、観る予定はない。五輪期間中、J1のリーグ戦が中断するのはまあ仕方がないが、せめてJ2は開催し続けてほしかったな。清水ゆかりの選手も多いので、なるべくJ2もチェックしたいのだが、普段はJ1をフォローするのに精一杯で、J2の試合はダイジェストで眺める程度である。だから、J1が中断している間に、J2の試合があればぜひじっくり観てみたかったのだが、残念である。

 それでも、この週末には、今年初めて、J2の試合を、DAZNでフル視聴した。磐田VS山形である。磐田に関しては、もしかしたら金子が出場するかなという関心があったし、周知のとおり山形はクラモフスキー監督を迎えてから絶好調である。結果は、2:1でアウェーの山形が勝利した。

 山形がピーターを招聘するという話を聞いた時、個人的には、「山形さん、下手打ったな」と思ったものである。何せ、ピーターは、夢や希望を託すのなら結構だが、残留争いには甚だ不向きな監督というイメージだった。ところが、山形の戦績を見ると、ピーター前は3勝・5分・5敗だったものが、ピーター後は9勝・1分でいまだ無敗なのである。結果、上掲の順位表に見るとおり、山形は完全に昇格圏を射程に入れた形である。現時点で、J2で一番勢いのあるチームであることは間違いない。

 ピーターが就任して以降の試合を、フルで観たのは、今回の磐田戦が初めてだった。「勢いだけ、監督交代ブーストだけで勝っているのかな?」などと想像していたのだが、どうしてどうして、今の山形のサッカー、本当に素晴らしい。ハードワークに、高い守備意識。ビルドアップは巧みだし、フィニッシュの形も整備されている。

 こういうのを見せられるにつけ、「清水におけるピーターの大コケは、一体何だったのか?」と、考えさせられてしまう。2020年のピーター清水と、2021年のピーター山形が対戦したら、絶対に山形が勝つと思う。同じ監督で、ここまで結果が対照的とは、やはり巷間言われているとおり、清水の選手の質の問題なのかと、暗い気持ちになってくる。

 2020年のロティーナ・セレッソと、2021年のロティーナ清水も、サッカーはずいぶん違っているし、困ったことに、明らかに昨年のセレッソの方が強い。

 まあ、個人的な持論だけど、監督も、選手も、単純に能力を点数では測れない。両者の食い合わせや、経緯が大事なのだと思う。今の山形だって、恐らく元々素地は悪くなく、そこにピーターの持ち味が良いスパイスになって、結果が上手く行っているのだと思う。古い話になるが、長谷川健太監督がガンバで成功したのも、元々ガンバには西野監督が築いた高度な攻撃サッカーがあって、そこに健太氏が規律を持ち込むことで、良い塩梅になったのだと理解している(健太氏自身には特別な攻撃戦術などないので)。

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 個人的な印象では、ロティーナ監督の試合終了後のコメントは、通り一遍の話が多く、あまり面白くないというイメージがある。しかし、川崎戦後のコメントでは、珍しく具体的な話をしていて、おや?と思った。

 (CB井林の評価を訊かれて)全体的なパフォーマンスは良かったと思う。ビルドアップで期待していたように貢献してくれていたし、ディフェンスも良かったと思う。ただ、1失点目は体を使うのが上手い選手に対して、無理にインターセプトに行って入れ替わられた。これは修正していく必要があると思う。私は常にインターセプトを狙うセンターバックは好きではない。というのは、相手に抜くチャンスを与えてしまうから。

 シーズン前から、ロティーナは、ディフェンダーが持ち場を離れてむやみにインターセプトを狙いに行くようなプレーは好まないと、話には聞いていたが、本人の口からはっきりとそのような発言がなされ、なるほど、やっぱりそうだったのかと思ったわけである。

 ただ、問題の川崎戦の1失点目、井林はインターセプトを狙っていたのだろうか? ちょっと前に出たところ、ダミアンに後ろをとられてブロックされ、結果的にダミアンのペナ侵入を許した、といった感じに見えたのだが、どうだろうか? まあ、いずれにしても、そこからほころびが生じて、失点してしまったのは事実だ。ロティーナ戦術を知る男という触れ込みで加入した井林が、監督の意に沿わないプレーをしてしまい、敗因になったのだとしたら、ちぐはぐなことだ。

 センターバックがむやみに敵に食いつくのは正しくないというロティーナ哲学からすれば、徳島戦の2失点目は、どうだったのだろうか? あの場面は、立田が前に食いついた結果として中央の守備が手薄になり、やられてしまった。以前からよく見る光景ではあるけれど。

 今季の清水では、4バックと仮定すると、2人のCBのうち、鈴木義宜が絶対的な軸であり、ヴァウドか立田のどちらかが義宜の相棒を務めるという状態が続いていた。開幕から第8節くらいまではヴァウドが優勢だったが、第10節で立田がレギュラーを奪い返し、第15節で再びヴァウドが先発の座を奪還、しかしルヴァン・プレーオフで義宜が大怪我をしてしまったことで、否応なしにヴァウド・立田のコンビとなっていた。

 そして、ロティーナと相性が良いはずの井林が加入し、CBのレギュラーに割って入る可能性があるだろうなと思っていたが、個人的には井林+ヴァウドになるのかな?と思っていた。言い換えれば、ロティーナ監督の中では、立田よりもヴァウドの信頼度の方が高いのではないかと思っていたわけである。

 しかし、川崎戦で監督が起用したのは、井林と立田のコンビ。ヴァウドより立田のパフォーマンスが現状高いという判断なのか、ヴァウドのコンディションの問題か、井林との相性を考慮したのか、そのあたりは分からない。今後どうなっていくかも、まだ良く分からない。

 川崎戦で井林は、位置取り、サポート、パス出しなどで、良いセンスは見せてくれたと思う。ただ、ロティーナ監督の言うように、1失点目の原因を作ってしまったのだとしたら、もしかしたら信頼が低下してしまったかもしれない。

 原が右SBとしてあまりにも効いているので、原をその位置から動かしたくはないが、もしもヴァウドや立田がピリっとしないようだと、やはり原をCBで使うかということになるかもしれない(特にエウシーニョが復帰したあかつきには)。もちろん、原を含めた3CBも、引き続き有力なオプションだ。

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 川崎側は、飛車・角・金を落としたようなメンバーだったけど、それでも先発メンバーを見れば、それなりに豪華だった。あと2~3人、主要メンバーが欠けてくれれば、もしかしたら、もうちょっと良い勝負になったかもしれないが…。

 あと、先方は酷暑の外国遠征から帰国したばかりであり、コロナ対策のバブルなど、色んなストレスが溜まっていたはずだ。後半になったら足が止まるはずで、それまでに何とか無失点で行ければ、などと期待して観ていたのだけれど。

 まあ、そういう条件の差を打ち消してしまうほど、両チームには大きな力の差があるということだろう。清水の方も、今できることは、すべてやった。徳島戦のように、相手に8割持たれることはなく、時折自分たちのやりたいことをトライしていたし、何度かゴール前にも迫った。

 ただ、全体としては、やはり清水は、グループでボールを動かすことが、なかなかできない。後半途中、相手の足が止まるまでは、パスが繋がるのは2~3本程度で、ビルドアップできるのはハーフウェイまでだった。カルリにボールが渡った時だけ、個人的な推進力で敵陣に侵入できる程度だった。そして、やはり最後の3分の1のクオリティが、川崎には大きく劣る。

 もちろん、絶望することはない。清水は、今のサッカーを磨いていけば、J1で生き残っていくことは、可能だろう。しかし、今回見せ付けられた川崎との「質」の差は、いつか埋まることがあるのだろうか? そんなことも、考えさせられた。

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0716

 昨日清水市内で開催されたシンポジウム第2弾「どうしても新サッカー場が欲しい」に参加してきた。細かい運営上の改善点などはあったものの、まずは、手弁当でシンポジウムを実現してくれた関係者の皆様に感謝したい。

 総論的だった第1回から、今回は、吹田スタジアムの建設を寄付金方式で実現させた元ガンバ社長の野呂輝久さんにじっくり話を伺うというのが目玉だった。以下、個人的に感じたことを3点に絞ってまとめておく。

 第1に、新スタ実現のためには、組織であれ、個人であれ、強力なリーダーシップを発揮する主体が絶対的に必要ということである。そもそもがスタジアム建設は行政・クラブ・スポンサーなどの利害が複雑に絡み合うわけだが、清水の場合は市と県の二重行政の弊害がモロに生じているわけで、余計に、岩盤を突破するだけの強力な推進力が不可欠だ。

 結論から言えば、清水では、行政に任せていたら、未来永劫、新スタなどできず、清水エスパルスと、親会社の鈴与が自ら主体となってやらなければならないということだろう。

 ちなみに、ガンバの場合は他ならぬ野呂社長が強力なリーダーシップを発揮したようだ。今回のシンポで野呂さんは、自分が吹田で得た知見を惜しみなく他クラブの新スタ建設にも提供したいという姿勢を示してくれていた。これから清水で実際に新スタ建設となれば、各方面の調整とか許認可のクリアとか山のような作業が必要であり、何だったら野呂さんを新スタ建設問題特別顧問として清水にお迎えしたらどうかと、そんなことも感じだ。

 第2に、新スタの建設は、見切り発車でもいいから、とにかく走り出すことが大事だということである。今回のシンポで、一番面白かった話は、ガンバの吹田スタジアムの建設では、ゼネコンの竹中工務店と、「停止条件付建設契約」を結んだということだった。つまり、ゼネコンと契約した段階では、必要な額の寄付金が集まるかどうかは不透明だったので、たとえば90億円しか集まらなかったら、ゼネコン側は90億円分で工事を止める(!)という、そういう契約だったそうである。恐らく日本で初めての契約形式ということだった。

 司会者から、「資金が全額集まってから、建設に着手するということは考えなかったのですか?」と尋ねられた野呂さんは、「それはまったく考えませんでした」と明答していた。まあ、ガンバの場合は、最終的に不足分はパナソニックおよびその関連会社が何とかするという含みだったとは思うが、清水でも、まず走り出してみるという姿勢が大事なのだろうと感じた。

 第3に、昨年の第1回、そして今回の第2回のシンポジウムはそれぞれ有意義だったものの、もう市民シンポジウムは役割を終えつつあるというか、むしろ終えるべきではないかと感じた。というのも、このシンポジウムには清水エスパルス、鈴与、エネオス、市、県というステークホルダーがまったく参加しておらず、あくまでも市民が環境醸成と認識深化のために催しているものだからである。

 シンポジウムはその役割を十二分に果たしたと思う。もう、市民ではなく、当事者が実際に動くべき時期ではないか。もちろん、今後もシンポジウムはあってもいいと思うが、今後は当事者もパネリストとして招かなければ、意味がないのではないか。

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 さすがに、金子翔太の移籍は精神的にこたえたというサポさんは多いだろう。かく言う所長も、心情的にはそうである。

 昨日、「引退後に備えろ!宅建受験、低酸素ジムの経営、投資、プロサッカー選手・鄭大世の副業術」という記事を目にした。記事自体ももちろん興味深かったが、この中で、テセと大前の最近の2ショット写真が出ており、思わず遠い目になってしまった。連続無失点記録を名古屋に奪われた清水にとって、今や残っているJリーグ記録は、「5試合連続アベック得点記録」くらいではないか。そのアベックの2ショット近影を、久し振りに見たからである。

 あのJ2を戦った2016年、テセと大前の2トップで点をとりまくり、しかし大前が町田戦で大怪我をして、その間に台頭したのが金子だった。結局、最終節でも大前に代わって金子が投入され、その金子がテセのクロスから決勝ゴールを奪って、我々はJ1に戻って来たのである。シーズン終了後、金子に地位を追われたかのように、大前はチームを去って行った。そんな人間模様があったのはつい5年前だが、今やその時のイレブンもほとんどが清水を去った。今や、テセが町田のユニを着て、群馬の大前と2ショット写真を撮る。そして、金子までもが清水の地を後にする。つくづく、サッカーのチームというのは儚いもので、時代は移ろうのだと、しみじみと思う。

 しかし、そんな甘えたことは言っていられない。重要なのは、清水エスパルスが強靭になり、躍進することである。はっきり言って所長は、2020年までの在籍選手は、2年くらいでほとんど全部入れ替わると思っている。清水は上位争いに名乗りを上げることを目標にしているはずであり、2020年までの在籍選手がそれに値するかと言えば、怪しいからだ。2020年オフの大型補強はその第一歩であり、今噂されている新外国人を含め、さらに補強が進んでいくだろう。

 既存の在籍選手は、自分の力を証明しなければ、このチームに残れない。清水は、そういう非情な方向に舵を切ろうとしているように思える。心情的に古株選手への思い入れは大きいが、我々はそんなものをかなぐり捨てて、前に進まなければならないのである。

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 先日の大分戦、「選手応援タオル」が配られた。すでに述べたとおり、所長は背番号30・金子翔太だった。王者の旗の時、それを掲げた。金子へのレクイエムのつもりだった。

 個人的には、ここまでロティーナ清水での出番が少ない以上、この夏の移籍はやむを得ないだろうと、覚悟していたわけである。他方、J2、J3で、きわどい順位にいるチームで、金子を欲しいところはいくらでもあるだろうから、「良い形で話がまとまれば」と思っていた。

 ただ、それにしても、磐田というのは意外だった。磐田自体は好調だが、J2優勝および自動昇格をさらに確実なものにするために、あと一駒欲しいという判断だったのだろうか。対する金子は、他のオファーも色々あったのではないかと想像するのだけど、家族のこともあるので、近場を優先したといったところか。

 俗に言う「禁断の移籍」ということになるわけだが、今回の決定、個人的にはまったくOKである。レアルとバルサのようなビッグクラブじゃあるまいし、清水も磐田も、そしてそこに所属する選手も、皆それぞれに生き残るのに必死である。移籍の最適解が隣のクラブにあったのなら、それを活かせばいい。増してや、現時点ではカテゴリーも違うわけだから。金子の磐田での活躍を、心から願う。

 さて、金子が清水の中で、ここ2~3年、出番を失ってきた原因を考えるに、残念ながら、彼がJ1のスペックに合わなくなってきたという現実があると思う。

 元々、金子は体格で劣り、俊敏ではあるが、実は足も遅い。最近目立つようになっているのは、シュートが相手ディフェンダーに簡単にブロックされるシーンである。比べてはなんだが、オルンガだったら右足から左足に持ち替えただけで、相手を揺さぶることができる。ところが、金子は懐が浅いので、大きく切り返したりしても、全然相手を揺さぶれず、シュートブロックの餌食になる。

 ここ2~3年で、Jリーグはフィジカルなリーグになってきたと思う。外国人枠の拡大で、大柄な選手が増えた。また、昨年からだったか、Jリーグはフットボールコンタクトを積極的に許容し、ちょっとくらいの接触では笛を吹かなくなった。これ自体は非常に結構なことだが、小柄なテクニシャンタイプの金子のような選手には、逆風だっただろう。実際、金子が、「ファウルでしょ」とセルフジャッジして、しかしレフェリーには笛を吹いてもらえず、その流れで清水が失点するような場面も見られた。

 金子は、持久力はある方である。しかし、昨年から5人交代制が取り入れられ、金子のように「90分間走れます」という選手よりも、60分でいいから密度の濃いプレーができる選手の方が優先されるようになった。

 金子にとっては、2年連続で、状況的に不利な面があった。というのも、2020年に清水に来たクラモフスキー監督は、マリノス出身だから、金子の主戦場である右サイドハーフ/ウイングに、MVP男・仲川の役割を期待しただろう。2021年に清水に来たロティーナ監督は、セレッソから移って来たから、右サイドハーフに、大ブレーク男・坂元の役割を期待したはずだ。それぞれ日本代表に登り詰めた仲川や坂元のプレー振りを、金子に期待するのは、酷というものだろう。金子はサイドでデュエルを仕掛けて勝ちまくるというタイプではなく、右サイドで金子にボールが渡っても積極的に行けず、バックパスするような場面が多くなってしまった。

 金子が最も輝き、二桁得点を挙げたのは、2018年のヨンソン体制下で、右サイドハーフを務めた時だった。その時の役割は、幅をとって一対一を仕掛けるというよりも、神出鬼没にゴール前に侵入していくというシャドーストライカーに近い形だった。スピードやフィジカルで劣る金子にとって、そうしたステルス的なプレースタイルが一番合っていたのだろう。

 では、現ロティーナ清水で金子にとっての最適ポジションはどこかと言えば、個人的には、現在、鈴木唯人がやっているサンタナの相棒のFWとして、前線のチェース役ではないかと思う。しかし、ロティーナはそのポジションでは金子を使わず、唯人の代役としてはむしろ後藤を使った。金子ではボールを奪った後の推進力がなさすぎるという判断だったのか。

 そんなこんなで、残念ながらJ1のスペックには合わなくなり、清水というチームの状況からも不利な立場になった金子。上掲のYouTubeでのコメントを拝見すると、清水に在籍した1年1年を噛み締めるような、異色の内容となっている。半年間で、ロティーナ監督の構想には入れなかったわけで、よほどのことがない限り、清水復帰は難しいということを、本人も自覚している様子である。

 「よほどのこと」というのは、磐田で5~6点とったという程度では不充分であり、「後半戦の磐田のMVPは金子だった」というくらいの活躍をしないと駄目だろう。清水としても、金子と同じようなポジションには、北九州の大悟や岡山の川本もいるわけで、将来性込みでより若い選手を選択するはずだ。

 専門家の河治良幸さんは、「(金子は)ロティーナ監督の戦術との相性も少なからずあると思うので。本人は合宿で適応しようと頑張ってたけど。磐田の距離感と連動で崩していくスタイルにはマッチしている」とコメントしている。もちろん、清水の未来と金子の未来がずっと重なり合えば、我々にとっても一番幸せだったが、そうでなくなったとしても、金子の未来にエールを送るだけである。

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bc

 徳島戦で清水がたたき出した23.2%という支配率は、恐らく今季のJ1の最低記録だろう。調べたわけではないが、Jの歴史全体で見ても、ワースト10には入るのではないか。知らんけど。

 清水が川崎あたりとやって、7:3くらいでボールを持たれることは、しばしばあることだ。しかし、8:2というのは、普通はまずお目にかかれない比率である。

 言うまでもなく、ボール支配率を高めることを自己目的にするのは、愚かである。支配率が高ければ高いほど勝利に近付くなどということもない。

 現に、今季清水のリーグ戦における戦績を、支配率の高かった順に整理したのが、上表である。勝ちは青で、負けは赤で、引き分けは白で示してある。そもそも、今季清水の支配率が50%を超えた試合は3試合しか無いことに驚くが、清水が比較的ボールを持った試合は、結果が芳しくない。

 それに対し、清水が勝利した試合は、支配率が35~45%くらいのゾーンに集中している。現時点の清水にとっては、このくらいが一番丁度良いわけである。カウンターとセットプレーくらいでしか点がとれないチームとしては、有りがちな現象だ。

 もちろん、支配率と勝敗の因果関係は、どちらが原因でどちらが結果なのか、微妙なところである。アウェー大分戦、ホーム徳島戦などは、相手にリードされ、清水がシャカリキになって攻めたので、結果的に支配率が高まった形だろう。高支配率の結果、負けたわけではない。

 このように、支配率の数字を盲目的に追い求めるのは、ナンセンスである。だが、何はどうあれ、今回の徳島戦の23.2%という数字は、完全に「有り得ない」レベルである。

 いくら徳島がボールを持つだけで、攻撃の迫力がないからといって、ずっと攻めさせていれば、何かが起こっても、不思議ではない。それを防ぐためにも、清水の側も時にはボールを保持して呼吸を整える時間も必要だったし、攻撃の武器を見せて相手を警戒させ、敵の全員が清水陣に入って好き放題にボールを回させるようなことを抑止すべきだった。マイボールのスローインすら、すべて相手に渡しているような状態で、いずれ同点弾を被弾するのは、やはり必然だったと思える。

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