エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2021年05月

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 皆さん、どうお感じになったか、分からないが、個人的には、今回の横浜Fマリノス戦、良い戦いができていたと感じた。だからこそ、勝ち点が欲しかった。

 いきなり、出会いがしらみたいに、4分にあっさりと失点してしまったけれど、相手の戦い方に慣れるにつれ、むしろ敵の攻めの圧力を上手く吸収し、ある意味で自分たちのペースに相手を引き込むことができていた。前半はそこから何度か攻めの形も作り、望外に同点ゴールまで奪えた。相手は、ボールは握ってもこれといったビッグチャンスを作れず、相当やりにくかったと思う。

 昨日のブログに書いたとおり、敵にあっさりと先制点こそとられてしまったが、失点を最小限にとどめて粘るという戦いが、まさにできていた。東京戦に引き続き、集中力、ハードワークも申し分なかった。

 しかし、いかんせん、週2試合ペースで続く連戦。この日の清水の布陣、メンバーは、機能していたと思うが、90分戦い抜く力は残っていなかった。ハーフタイムくらいで限界だったという中村を下げたことで攻守のリンクマンがいなくなり、カルリ&サンタナを下げた時点で攻撃は閉店ガラガラといったところだった。対するマリノスは、後半途中から天野だの水沼だの喜田だの仲川だのが出てきて違いを作るわけで、残念ながらそこで清水としては一気に苦しくなる。あとは勝ち点1を祈るだけの展開になってしまった。そして、その祈りは、通じなかった。

 前半同点で折り返したら、勝ち点0.5もらえるとかだったら、いいんだけど。終始、敵の攻撃にさらされたとはいえ、ある程度納得感のある戦いができ、89分までは持ち堪えたのに、持ち帰る勝ち点がゼロというのは、あまりにも虚しい。

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 敵に追い付かれて引き分けに終わった、横浜FC戦の後だっただろうか? 奥井が、「今日の試合は、最後に追い付かれたよりも、押していた前半に2点くらいとって試合を優位に進められなかったことがすべて」といったことをコメントしていた。まあ、確かに、観ていた側からしても、そんな思いがしたことは事実である。

 だが、あえて指摘したい。奥井の発言は、的外れである、と。サッカーなんてものは、「押し気味でも、なかなか点がとれない」なんてのは、ザラにあることである。やることなすこと上手く行って、前半に2点くらい奪い、その後も安定した試合運びで追加点を奪い、盤石な勝利を挙げるなんてのは、年に数試合あるかどうかだ。なかなかそう思い通りには行かないものである。むしろ、そういう思い通りに行かない試合展開の中で、どれだけ粘り強く戦い、ぎりぎりの争いを制し、勝ち点を奪うことに、サッカーの本質がある。「理想的な展開でなかったので勝てませんでした」なんて言ってたら、年に数回しか勝てなくなってしまう。増してや、横浜FC戦では、後半にちゃんと1点とれたのである。ホームでその状況になりながら、攻撃力のない相手に、追い付かれるのは、やはりあり得ないことであり、まずそれを猛省すべきだ。

 そういう意味で言えば、ホームで勝利したFC東京戦は、ロティーナ監督が「すべてが上手く行った」と語っているとおり、年に数回くらいしかない、例外的に理想的な試合だった。DAZN解説の柱谷氏も、「私もJで監督をやっていて、年に何回か、すべてが上手くはまる試合があり、今日の清水がそれだった」というようなことを言っていた。

 さて、前置きが長くなったが、本日の対戦相手の横浜Fマリノス、もちろん、清水が先制・中押し・駄目押しとたたみかけ、守備も安定して、3:0くらいで勝てれば、理想である。しかし、先方との力関係を考えれば、むしろ苦しい試合展開が予想される。敵があっさりと先制点を奪うことも考えられるだろう。そこで、「今日はダメか」と下を向いてしまうのではなく、どれだけ失点を最小限にとどめて、粘れるかだろう。

 幸いというか、マリノスはリードしたら守りに入るのではなく、ハイラインでさらにプレッシャーをかけてくる。先日、鹿島がやったように、ハイラインの裏を狙うなどして、清水にもチャンスは生まれるかもしれない。

 なお、以前も書いたことの繰り返しになるが、どうも、ポステコ・マリノスは、少なくともセレッソ時代には、ロティーナのチームを苦手にしていたようだ。2019、2020シーズンに、マリノスはセレッソに4戦全敗だったのである。

2019年5月11日 C大阪 3:0 マリノス
2019年8月17日 マリノス 1:2 C大阪
2020年9月13日 マリノス 1:2 C大阪
2020年10月17日 C大阪 4:1 マリノス

 先日のルヴァンの惨劇を見せられると、少々心許ないが、ロティーナはポステコの封じ方を知っていると信じることにしよう。あとは選手が実践できるかどうかだ。


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 趣味で作っている選手の出場状況の表を、また更新したので、お目にかける。ただし、今回はポイントを合計する余裕がなかったので、単に○×を伸ばしただけであり、順番は前回のままとなっている。

 最近の試合で最も顕著なのは、宮本の株が激上がりしていることである。当初は、「消去法的に起用されているだけなのかな?」なんて思いながら見ていたが、今や押しも押されぬ、ボランチの軸である。何しろ、ルヴァンも含めた連続先発出場を、13まで伸ばしている。プレー振りが地味だし、パスミスもかなり多いので、我々にはイマイチ良さが分からないところがあるが、ロティーナに言わせるとポジショニングが素晴らしいそうだ。ロティーナは本当に立ち位置重視の人なんだなと、改めて感じる。

 そして、宮本の相棒は河井で確定かと思われたが、札幌戦では今季初めて出番無し、東京戦でも途中出場となった。代わって、中村がこの2試合で先発出場。これをどう解釈すべきか? もともと、指揮官の中の序列では中村の方が高かったが、コンディションの問題があり出場機会が伸びず、ようやく中村の調子が上がってきたので、本来のチョイスに戻したのか? それとも、攻撃のテコ入れのために、ドリブルや長短パスでアクセントをつけられる中村を起用したのか? 東京戦がハマったことを考えると、しばらく宮本・中村コンビで行くのかもしれない。

 キャプテン竹内は、エリートリーグで負った怪我が予想外に重かったのか、まったく音沙汰がない。しかし、今の状況では、たとえ怪我が癒えても、出番は少なそうだ。また、昨年までの救世主的存在だったヘナトは、宮本とは真逆のタイプであり、ロティーナが求めるボランチ像とは違うのかもしれない。予想がめったに当たらない当S研ブログだが、ボランチの序列に関しては、開幕前に述べた展望が、案外良い線を行っていたようだ。

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 ここに来て、片山の存在感が、再びクローズアップされている。先日ご紹介した河治良幸さんと元川悦子さんの対談の中でも、清水が4月以降失速したのは、片山の離脱が大きかった旨が指摘されていた。個人的には「ホントかいな? 一人抜けただけで、そんなに崩れる?」と半信半疑だったのだが、東京戦後にロティーナ監督が次のように発言しているのを聞いて、ああ本当にキーマンなのだなと実感した。

 (片山選手を右サイドに起用した理由は?)瑛一はC大阪時代から一緒にプレーしている選手だが、複数のポジションでプレーでき、また高いレベルでプレーできる。この前の試合はセンターバックだったが、今日はウイングでプレーした。右でも左でもポリバレンテに、高いパフォーマンスでプレーできる選手なので、我々にとって瑛一がいない2ヶ月は複数のポジションで選手を失うような感覚だった。
 起用した意図は、彼の特徴があのポジションで必要になると思って起用した。彼があのポジションに入ると、エリアに入ってチアゴ(サンタナ)の近くで存在感を出せる。

 そこで所長は、FC東京戦を、主に片山のプレーに神経を集中して、DAZNで再び観てみたのである。よく、「久保建英専用カメラ」みたいな企画があるが、それを自分の意識を片山に全集中してやってみたわけである。

 残念ながら、所長には戦術リテラシーがないので(笑)、正直言うと、片山専用脳内カメラで改めて観ても、専門的なことは良く分からなかった。ただ、片山が常に首を振っており、相手の動きに合わせて、自分の立ち位置を修正しているということは、確認できた。

 あと、今季の清水の基本布陣として、中山が右サイドハーフの4-4-2でも、敵陣でプレスをかける時には、中山がかなり高い位置まで上がって、4-3-3のような形になると思う(自陣に攻め込まれると中山が下がって4-4-2に戻る)。東京戦の片山の場合には、むしろ下がり目の位置でバランスをとることが多かったと感じた。エウシーニョが最前線まで攻め上がって戻りが遅れるような場面で、片山が右SBのスペースをスッと埋めるあたりは、さすがは本職のSBという気がした。

 一つ気がかりなのは、片山の存在感が大きいことは確認できたとして、東京戦でフル出場した片山が、中3日でマリノス戦に万全の状態で出場できるのか、さらに言えば、再び故障などしないかということだ。まあ、ルヴァンを含め、ここから3試合ほどの過密日程を乗り切れば、リーグも中断するし、今後は基本的に週1のペースになるはずだから、あと一頑張りではあるんだけどね。


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 そんなわけで、「待ちに待った」などという一言では言い尽くせないほど、あまりにも遅すぎたリーグ戦ホーム初勝利を、FC東京戦でようやく掴むことができた。

 なぜ勝てたのか? 状況論的には、いくつか指摘することができる。何と言っても、先制点。昨日も力説したように、FC東京戦は、先方の戦い方からして、先制点で決まる度合いが、非常に大きい。また、清水が追加点を奪って複数得点できたこと。昨日は試合内容も良かったが、例によって決定機を外し続けて1点差のままだったら、試合のクローズが恐ろしく下手な清水は、終盤に冷や汗をかいたことだろう。「2点差付けないと勝てない」というジンクスは、まだ生きていると見る。そして、この試合で大きかったのは、今季清水が泣かされ続けてきたセットプレーで、コーナーは東京の方が11本と多かったにもかかわらず、そこから失点せず、逆に清水が5本のコーナーから2点を挙げたことだった。

 とまあ、状況論的な勝因はあるし、片山の右サイドハーフ起用など、戦術的な勝因もあっただろう。しかし、根本的なところの勝因を言うならば、ひとつひとつの局面、キワの部分で、相手に絶対に負けないという意識を全員が持って、それを90分間やり通したことに尽きるのではないか。プレス、寄せ、シュートブロック、そういったものが、ようやくJ1レベルに近い強度でできていた。

 それは、戦術とか技術には関係ない部分なので、「ここまで追い詰められないと、戦う姿勢を出せないの?」と感じてしまうのは事実である。昨年までのことを考えても、いよいよ残留争いがヤバくなってきた時とか、「尻に火が付いた時だけ頑張る」というのが、清水の悪い癖だった。鹿島のように、日常から、練習の時から、それを出し続けられるのか? 次節以降の試合で、とくと拝見したい。


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 しかし、サッカーの神様は、不公平だよね。何度も言うように、普通サッカーでは、先制点をとったチームが勝つ確率が7割、引き分けが2割、負けが1割くらいと言われている。確かに、今の清水が先制点をとられたら、「ああ、今日もダメか」と思ってしまう。だが、清水が先制点をとれても、「これで今日は行ける!」とは全然思えない。むしろ、その後に待ち受けている悲劇の前振りのように思えてしまう。

 ちなみに、整理すれば、今季のリーグ戦のこれまでの戦績は、以下のようになっている。まったくありえない数字だ。

 先制した試合:1勝・4分・1敗

 先制された試合:1勝・0分・6敗

 他に、スコアレスドローが2試合ある。

 さて、本日の対戦相手のFC東京、今季リーグ戦の戦績は上表のとおりだが、古典的と言っていいほど、堅守速攻のチームだ。その意味では名古屋に近いが、今季に関しては名古屋ほどの絶対的な守備力はなく、失点はかなり多い。また、名古屋以上に、東京は徹頭徹尾、カウンター命というチームである。オリベイラ、アダイウトン、永井のスピードを活かしたロングのカンターももちろんだが、最近の試合ではショートカウンターからも点をとっている。

 名古屋の時も言ったけれど、こういうチーム相手に、先制点献上は命取りである。先制され、相手にブロックを組まれ、その状況で清水が前掛かりにならざるを得なくなると、カウンターからピンチを重ね、大量失点コースが待ち受けている。逆に、守備が不安だらけの清水だが、今日に限っては、もしも先制できて守りを固めれば、遅攻のクオリティはやや劣る東京なので、勝機を見出せるかもしれない。

 上表を見ても分かるとおり、連敗していた東京、前々節で、突然目覚めちゃったんだよね(対戦相手によるところが大きいのかもしれないけど)。カウンターという自分たちの武器を思い出し、戦い方が整理されたというか。でも、うちとしても、今日あたり勝てないとすると、もう後がないというか、ますます泥沼にはまるからね。どうにかしないと。

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どうしてこうなった

 時々取り上げるけど、ウェブのサッカー情報「タグマ!」のサッカーパックの中でも、河治良幸さん責任編集の「サッカーの羅針盤」は、Jリーグ各クラブや選手に関する非常にディープな談義が披露される。有料だけど、それだけの価値はあるので、ご購読を検討されてはどうか。

 そのサッカーの羅針盤で、河治さんと元川悦子さんが、「J1中間観測」という長大な対談を行っている。当然、ロティーナ清水についても語られているので、以下で両者が清水について語っている部分の骨子だけ紹介することにする。

  • ロティーナ清水は良い試みをしており、最終的な評価はシーズン後になるが、清水のようなところでは、オフザピッチから寄せられるパワーにオンザピッチの結果が付いてきてないと、辛いところがある。
  • ロティーナが清水で時間がかかるのは最初から分かっていたが、怪我人の発生などでさらに難しくなっている。
  • セレッソが上手く行き出したのがゴールデンウイーク明けだったから、「うちだったらもっとかかる」と兵働も言ってた。セレッソは松本戦で瀬古を初めて使ってそこからぐっと上がって行ったというパターンで、そういうきっかけが必要。
  • 開幕の鹿島戦で勝っちゃったので、期待感が高まったけど、ロティーナは1つハマったからイケイケどんどんと言うサッカーじゃない。
  • 鹿児島キャンプで、一見、早い段階で設計が上手く行っていたかのような印象があったけど、ロティーナのサッカーにフィットしていた選手、特に片山、原が軒並み負傷したのが痛かった。
  • 原などは鳥栖でキム監督に5レーンを叩き込まれていたので、ロティーナ戦術も一番理解しているかのように、最初から立ち位置が巧みだったのに。
  • 原、片山、鈴木義宜あたりの早期フィット組に頼りすぎたところはあった。最大の理解者である片山をマルチで動かして、そこから理解者を徐々に広げようとしたのかもしれないが、結果的には失敗したのかもしれない。
  • サンタナなどは開幕から頑張ってるが、逆に休ませたくても休ませられないという事情か。サンタナは孤軍奮闘でかわいそうで、もうちょっと周りがサポートをして、ボックス内の力を発揮させてあげたい。
  • 開幕からのコンディションを維持しているのは中山くらいで、さらにブレイクする可能性がある。

 個人的にちょっと評価が違うところもあるが、このお2人はちゃんと見ている人たちだなと、感心する。

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 当S研ブログは、2016年に清水がJ1復帰を決め、その感動の中で立ち上げたものだった。ちなみに、この年に流行ったものと言えば、テレビドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」である。なので、この年の締め括りの投稿で、所長はそれを文字って、「落ちるは恥だが役に立つ(ただし1回だけ)」という記事を書いた。以下はその一部。

 振り返ってみれば、近年の清水は、「何かを成し遂げる」ということが、ついぞなかったように思う。強いて言えば、2014年のJ1残留は一つの成果達成ではあったが、決して強いとは思えない相手にホーム最終戦でやっとの思いで引き分けての残留であり、あの時の感情は達成感には程遠いものだった。それに比べると、2016シーズンの方が、「成し遂げた」という感覚は、はるかに強い。こんな晴れやかな気持ちで年末年始を迎えられるのも、クラブのお陰であり、そのありがたみを噛み締めているところである。

 2015年のJ2降格は屈辱以外の何物でもなかったが、問題はその教訓や経験を、今後どれだけクラブの発展に活かしていけるかだろう。「落ちるは恥だが役に立つ」、まあむろん1回限りの話だが(笑)、J2降格という苦い経験を糧に、強靭なクラブを作り上げていけるかどうか、すべては自分たちにかかっている。

 それから5年近くの時が経ったわけだが、我が清水は、「J2降格という苦い経験を糧に、強靭なクラブを作り上げ」られただろうか? 残念ながら、そうとは言えまい。2018年のプチ躍進を除けば、毎年、降格ラインをフラフラとさまよっている。そして、名将とされる監督の招聘と、大型補強を敢行し躍進を期した今季もまた、蓋を開けてみれば、何のことはない、降格危機に直面することになった。

 最近、新垣結衣と星野源の「逃げ恥婚」が話題になったものだから、以前自分が使った「落ち恥」という言葉を思い出した次第。ゴメン、ただそれだけ。

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 アウェー札幌戦に向け、ロティーナ清水は策を練った。システムを3バックに変えるとともに、メンバーもいじってきた。これは、中2日で準備したというよりも、水曜日のルヴァンの時点で、もう土曜日のシステムとメンバーを想定した人繰りをしていたのだろう。

 システム変更は、札幌対策という色合いが濃く、実際前半は狙い通りの戦いができていた。しかし、「ワンチャンスを必ず決められる」という清水の体質からして、無失点は難しいだろうと思っていたところ、やはり後半に失点し、しかも立て続けに2失点を喫することとなった。こうなると、今の清水では、ジ・エンドである。

 失点の形は、クロスを折り返されてズドンと、コーナーキックからのこぼれ球。ともに、戦前に危惧された通りだった。特に一点目は、福森の絶妙クロス、ジェイの高さと強さ、アンデルソン・ロペスの決定力と、札幌のストロングが凝縮されたようなゴールだった。絶対的な武器がある札幌と、それがない清水とで、明暗が分かれた。最近の試合の中では、途中までは比較的競った展開になったが、札幌の強みと清水の弱みが完全に噛み合ってしまい、終わってみればシナリオ通りといった印象だ。

 2つの失点とも、クロスを上げた福森と、シュートを打った金子に、あと1歩でも寄せてプレッシャーをかけられていればと、悔やまれる。「寄せの甘さ」というのは、このところずっと指摘されている点だ。ロティーナはまずゾーンを埋めることを優先するから、ピンチになった時に、ボールホルダーへの対応が遅れ気味になるという現象なのか? かといって、自分たちのやり方を放棄してしまったら、この監督でやっている意味がないしな。

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 本日のアウェー札幌戦に向け、例によって、札幌の戦績表を上掲のとおり拝見してみよう。4勝・3分・6敗ということになるわけか。今季開幕前の順位予想で、ほぼすべての評論家が、札幌を上でも下でもなく中位に予想していたが、まさにその通りの結果になりつつある。

 しかし、札幌が弱いという印象はまったくない。上の戦績を見ても、どのチームを相手にも、必ず1点差くらいの良い試合をするのが札幌の特徴だ。確かに、強豪のマリノスや川崎相手には2点差負けを食らっているが、途中までは粘り強く食い下がっており、試合終盤に駄目押し点を奪われたというパターンだった。

 現時点で、川崎を倒す可能性のあるチームを挙げるとすれば、その一つは札幌だろう。実際、昨年は金星を奪っているし、一昨年のルヴァン決勝の激闘も記憶に新しい。それくらい、札幌のサッカーには、可能性がある。

 言うまでもなく、今季の清水は、セットプレー(特にセカンドボール)と、クロス(横の揺さぶり)で失点を重ねている。厄介なことに、札幌には福森という国内屈指のプレースキッカーがいる。また、アンデルソン・ロペス、ジェイと真ん中で合わせる選手も揃っている。うーん、どう考えても、失点する予感しかしない。

 敵にフリーキックを与えてしまった場合には、権田は変なプライドなど捨てて、壁を厚めに配置してほしい。福森にやすやすと直接叩き込まれる屈辱だけは、勘弁してほしい。壁で福森のフリーキックを弾いた殊勲者には、特別ボーナスを支給してもいいくらいだ(そうでもしないと、清水の選手は、よけてしまうので)。

 残念ながら、ポジティブな要素は見当たらないが、1つ失点して、気落ちし、大量失点を重ねるのだけは、やめてもらいたい。

 それはそうと、札幌ドームのピッチは、本日はちゃんと旋回済みのようですな。

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 当S研ブログでは、「出場ポイント」という数字をはじき出して、時折お目にかけている。改めて申し上げれば、◎が先発出場、〇が途中出場、△がベンチ入りしたけど出場なし、×がベンチ入りせず。ルヴァンカップよりもリーグ戦の方が重要性が高いので、リーグ戦のポイントを2倍にしている。ゆえに、リーグ戦は◎が6pt、〇が4pt、△が2pt、×が0pt、ルヴァンは◎が3pt、〇が2pt、△が1pt、×が0ポイントとし、ポイントを集計して順位付けしている。水曜日のルヴァン・マリノス戦までの出場成績を反映し、上掲のとおり最新版を作成した。上段が上位14名、下段が下位14名である。

 いやあ、諸君、この作業は楽しいよ。一向に勝てなくても、出場ポイントは順調に積み上がっていくし。一心不乱にデータを入力していると、嫌なことも忘れられるし。(笑)

 以下、思い付いたことをつらつらと述べてみる。

  • 上位の顔触れにはほとんど変化がないが、リーグ戦だけでなくカップ戦にも絡んでいる分、鈴木義宜、河井がトップ争いをしている。
  • アタッカーでは、リーグ戦で、サンタナ、中山、鈴木唯人の3名が不動のスタメン。このうち一人にでも決定力があったらと思うのは、所長だけではあるまい。
  • 竹内は、出場機会を失いかけていたところに、おそらくエリートリーグで怪我をし、直近2試合はベンチ入りもしていない。
  • 宮本がカップ戦も含め何と11試合連続先発出場中。まさか宮本がボランチの一番手になるとは、驚きだ。開幕前、所長は「ロティーナ戦術を体得し、その申し子になれば、たとえば宮本がヘナトを抜いたっておかしくない」と書いたが、それはあくまでもたとえ話であり、まさか本当に宮本がレギュラーになるとは思わなかった。
  • このほかにも、ぐんぐんと出場機会を増やしているのが、奥井と立田。ただ、本人たちが開眼したというよりも、苦しいチーム事情の表れという気が、なきにしもあらず。
  • 西澤は、セットプレーのキッカーとしては引き続き一定の期待感があるけど、ゴールを直接狙うフリーキックがないのが痛いね。横浜FC戦で確か2連続で壁に当ててしまったのは、残念だった。唯人のようなプレスの迫力もない、縦突破もないとすると、なかなか使いどころが見付からない。
  • もちろん、それ以上に苦難の日々を過ごしているのが、金子。出た時には、がむしゃらさは一番感じるのだけどね。完全に、カップ戦が主戦場となってしまった。
  • ボランチの台所事情が苦しい中で、水曜日のマリノス戦、素人の立田にボランチを任せたということは、たぶん中村のコンディションが良くないんだろうね。中村が出たり出なかったりなのは、おそらくそのため。
  • 名古屋戦の先発センターバック、鈴木義宜でなくヴァウドが務めたのは、ちょっとした異変だった。これで義宜の先発フル出場記録も途切れた。ロティーナによれば、空中戦での強さを期待してヴァウドを使った由だが、実際にはあの日の名古屋に長身FWはおらず、スカウティングのミスか。しかも、ヴァウドがイエローをもらった上に口の中を切ったとかで、ハーフタイムで結局義宜に交代させることになったのは、いかにもちぐはぐとしていた。
  • それにしても、水曜のマリノス戦で立田はフラフラになってしまったが、明日の札幌戦、センターバック2枚は誰で行くのだろうか?
  • ディサロは、J1の壁と苦手なポストプレーで苦戦し、陰が薄くなりつつある。もっと彼を活かすような使い方をしたらどうかと思うのだけど、チーム事情ゆえにそうも行かない。後藤あたりも絶賛出場機会減少中。突き上げるアタッカーが見当たらない。
  • 指宿も、いざピッチに立てば異彩を放つのだけど、出場機会が全然伸びない。やはり、腰痛など、何か問題を抱えているのではないか。
  • マテウスの位置付けが、今のところ良く分からない。直近3戦連続で出場無し。マリノス戦で姿がなかったのは、札幌戦で先発する布石か?
  • 一時サポの間で盛んに語られていた都市伝説、「片山さえ帰ってくれば」という願望は、今のところ現実になっておらず、彼の復帰も大きな起爆剤とはなっていない。次は「原さえ帰ってくれば」となるのだろうか。
  • 秀樹がようやくマリノス戦で公式戦に絡み、一部のサポは感激。

 疲れてきたんで、今日のところはこのへんで。

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 清水がルヴァンでグループステージ突破するのは、あの決勝進出した2012年以来? 石毛秀樹がベストヤングプレーヤーに輝いた大会と言えば、どれだけ昔の出来事だったかが実感されよう。だから、それだけを考えれば、昨日5月19日は、めでたい日だったと言える。

 しかし、清水自身はマリノスに1:5と粉砕され、他会場で広島が負けたお陰で、他力でのGS突破とは。グループ突破という結果がすべてとはいえ、あまりにも情けない試合だった。

 最近のリーグ戦の清水は、「試合序盤のビッグチャンスを決められないがゆえに勝てない」みたいな言説もあったが、何のことはない、昨日のマリノス戦では、2分に先制しながら、残りの試合はずっと敵に攻め立てられ、清水はサンドバッグと化すこととなった。

 今の清水、「勝ててなくても内容は徐々に良くなっている」のならいいのだが、むしろ逆で、開幕の頃の方がずっと安定感があった。いや、もっと言えば、今のチーム状態からすれば、おそらく昨シーズンの平岡清水の方が、まだマシだろう。主力もサブも関係なく、おそらく昨晩の試合、ベストメンバーで臨んでも、マリノスのBチームに完敗したのではないだろうか。

 5月30日にまたしても、今度はリーグのマリノス戦があるというのが、気が重くなる。

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 というわけで、本日はルヴァンのプレーオフ進出をかけたマリノスとのアウェー戦。どうせ広島は仙台に勝つだろうという前提で、清水としては引き分け以上の結果を残さなければならない。

 清水が、ルヴァンで次のステージに進めないと、少なくとも6月は相当ヒマになるし、その後の楽しみも消え失せる。リーグ戦では、上位進出が絶望的な状況なので、リーグ後半戦はひたすら、残留を目指すための惨めな戦いになる公算が大きい。そうした中、唯一、ポジティブな、希望の灯火となりうるのが、ルヴァンでの勝ち上がりである。もしかしたら、秋くらいにロティーナ清水は安定した良いチームになっているかもしれない。その時期に、ルヴァンで勝負をかける可能性を、是非とも残しておきたい。本日のマリノス戦は、そのために負けられない戦いである。

 なお、所長の理解によれば、グループステージを突破した場合、プレーオフでどんな組み合わせになるかは、出場チームが決まった後に、発表されるはずである。勝ち上がった場合、どこと当たるか、まったく読めないので、清水がマリノスを下してグループ1位になるということには、それほどこだわらなくていいのではないか。グループ1位になって、プレーオフでかえってやりにくい相手と当たったりする可能性もある。清水としては、1位でも2位でもいいから、とにかくグループを突破することが最優先であり、本日の試合、展開によっては、終盤引き分け狙いに切り替えてもOKな気がする(狙って引き分けられるほどの守備力があるのかという疑問は置くとして)。

 考えたくないが、もし今日の試合でルヴァン敗退してしまうと、天皇杯はあるにせよ、表舞台の公式戦は、リーグ戦だけになってしまう。そうなると、現控え選手がアピールする機会もなくなり、リーグ戦のメンバーはますます固定されていくだろう。後から振り返って、あんな選手とか、こんな選手が、「実はルヴァンのマリノス戦が、オレンジのユニで公式戦を戦った最後の試合だった」なんてことになってしまうかもしれない。実際、昨年も、ルヴァン鹿島戦でテセが出場したのが、結局、彼の見納めになってしまったのである。そういう寂しい状況を作らないためにも、何としてもルヴァンの戦いを続けたいし、今日出る選手には奮起してほしい。

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 名古屋戦のあと、ロティーナ監督は、「(名古屋との差は)1ヶ月や数ヶ月で埋まるような差ではないと思う」とコメントした。まさにその通りであろう。

 ただ、それと同時に、所長が個人的に思うのは、「マッシモ・フィッカデンティ監督就任直後の名古屋も、相当酷かったけどな」ということだ。

 そこで、2019シーズン途中に、マッシモが指揮を執る前後の、名古屋の戦績を振り返ってみよう。上の表がそれである。この年、名古屋は風間監督の下でチームは崩壊状態に陥り、夏までには完全に残留争いに巻き込まれた。そして、9月13日に我が清水に引導を渡され、風間氏は解任となったわけである。

 大量失点が続いていたので、名古屋が白羽の矢を立てたのは、守備構築に定評のあるマッシモ・フィッカデンティだった。その結果、名古屋は風間時代から一転して守備的になったが、失点禍は収まらなかった。マッシモ就任後の名古屋の成績は、1勝・3分・4敗。こうして、この年、名古屋はほうほうのていで何とか残留したが、フィッカデンティ監督の手腕には疑問符が残ったのである。

 ところが、翌2020シーズン、名古屋は本当に堅守のチームとなり、リーグ最少失点を達成して、3位と躍進する。ドン引きという印象だった2019シーズン終盤から、攻撃力も加味され、バランスの良いチームになった。

 願望込みで考えれば、現時点のロティーナ清水は、2019シーズン終盤の、マッシモ名古屋のような状態と言えようか。チームスタイルを大きく変えようとする時には、たとえ守備構築に定評のある指揮官が就任したとしても、一朝一夕に堅守が達成できるわけではない、という。

 まあ、気休めの、安心理論だけどね。

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 そう言えば、名古屋戦終了後、異様な光景があった。

 皆様ご存じの通り、ホームでの試合終了後には、選手たちが場内を一周して、何箇所かで立ち止まり、観客に一礼して挨拶して回ることになっている。名古屋戦では、竹内不在、鈴木義宜途中出場だったので、権田がキャプテンマークを巻いており、試合終了後の挨拶も権田が取り仕切っていた。

 まあ、試合終了後はだいたい選手も疲れているし、緊張感も解けて、観客への挨拶はダラダラとやりがちである。

 ところが、名古屋戦後の挨拶では、選手たちが整然と整列し、キャプテン権田の「礼っ」という掛け声に合わせて、選手たちが丁寧に頭を下げていたのである。まるで体育の授業か高体連のチームのようだった。それだけ、「せめて態度だけはきちんとしなければ」という意識があったのだろう。あるいは、横浜FC戦後に、バックスタンドの客と立田が揉めそうになった(鈴木義宜が立田にこらえさせて事無きを得た)そうなので、名古屋戦ではトラブル回避のため、あらかじめ「ちゃんとやろう」と申し合わせていたのか。はたまた、キャプテン権田のキャラクターによるものか。

 我々サポとしては、どんなに選手の態度が悪くても、勝ってくれる方がいい。でも、勝てない時に、最低限、きちんとした態度を示してほしいというのはある。その意味では、名古屋戦後の権田の統率には、わずかながら救われた思いはした。

 権田は開幕前に、「2020年の清水が、5連敗を2度もしながら、その時点で、選手同士で話し合ったりして解決しなかったのは、おかしい」と指摘していた。今年は4チームも降格するシーズンなので、昨シーズンの5連敗×2以上に、すでに危険水域に入っていると考えるべきだろう。

 ということは、少なくとも、もう、選手同士で「話し合い」はしてるよね? その成果が近いうちに出ると、期待していいの? どうなの?

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 まあ、上位の名古屋が相手なので、負けること自体は、ある程度仕方がないかもしれない。それにしても、負け方ってものがある。我々が目にしたのは、ずいぶんと絶望的な負け方だった。敵に圧倒的な力の差を見せ付けられ、戦術・技術・決定力・集中力と、すべての面で上回られた。現象としては、敵のマテウス一人にやられた格好ではあるが、チーム全体でお膳立てして「武器」を活かすということからして、両軍には雲泥の差があった。

 この試合、清水サポが一番沸いたのは、0:1で負けている状況で、GK権田が大声で、「勝てるよ」とイレブンを鼓舞した場面だっただろう。負傷で試合が中断し、静寂の中だったので、それを聞いてスタジアム全体が拍手喝采に包まれた。もしかしたら、これで流れが変わるかもしれないと期待させた。しかし、その守護神自身、すっかり神通力を失い、その後も失点を重ねたのだった。

 それにしても、困ったものだ。現在の成績は、完全に降格相当で、同程度のガンバなどはすでに宮本監督の解任に踏み切っているし、清水も2019年に同じくらいの成績でヨンソン監督を切っている。しかし、今季の清水は三顧の礼で迎え入れたロティーナ監督を、よほどのことがない限り、解任はできないだろう。

 それに、普通こういう時は、「まずは守備の立て直しから」ということで再建をするものだが、我が軍の場合はそもそも守備組織の構築に定評のあるロティーナが指揮をしているわけで、一体どう舵を切ればいいのか? 指揮官交代の道筋など、まったく描けない。名古屋戦で終始響いていたのは、平岡コーチの甲高い声だったが。。。

 結局、ロティーナに託し、やっていくしかないわけだが、ある程度時間がかかることは覚悟していたにせよ、それにしても結果がまったく出ない。いや、むしろ開幕戦の頃より劣化しているような。。。

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 清水サポ諸君、君たちの考えていることは、お見通しだぞ。「下位の湘南、大分、横浜FC相手に勝てなかったから、もしかしたら、逆に上位の名古屋相手には勝てるんじゃないか?」なんて、かすかな望みを抱いているんだろ(笑)。

 残念ながら、そんなに甘いもんではない。下位相手に苦戦した我が清水は、当然のごとく、上位の名古屋相手には、もっと厳しい戦いを強いられるだろう。

 とはいえ、戦う前から白旗を挙げていては、仕方がない。何とか勝機はないものか?

 名古屋のリーグ戦の戦績を示したのが、上の表である。これを見ると、無失点記録を続けるなど、圧倒的に強かったのは4月前半くらいまでであり、4月後半以降はむしろ黒星が先行している。まあ、そのうち2敗は川崎が相手なので、あまり参考にならないが、とにかく先方の調子が一頃に比べれば下り坂であるのは事実であろう。一時はノリノリだったガッツポーズお姉さんも、最近は表情が曇りがちなのではないか(ご存じない方は動画参照)。

 本日の試合に関しては、清水が1週間空いたのに対し、名古屋は中2日というのが、大きなハンデである。ただ、それを見越し、水曜日の鹿島戦では、かなり早めに選手交代をしていた。また、コロナで不在だったフィッカデンティ監督が本日の清水戦から復帰するということで、それによりチームが落ち着きを取り戻すことも考えられる。

 名古屋というのは、ある意味で非常に分かりやすいチームである。ディフェンスラインとボランチに実力者を揃え、強固なブロックを築き、必要とあらばサイドハーフまでもが最終ラインで守備に参加して、水も漏らさぬ守備網を築く。終盤でリードしていれば、さらにディフェンスの枚数を増やしたりして、とにかく守り倒す。

 それに対し、名古屋の攻撃には、川崎やマリノスのようなクリエイティブな要素はあまり感じない。ずばり言えば、マテウスと相馬の突破力に尽きると言って過言でない。特にマテウスは、何もないところから、自陣からのドリブルで、一気に決定機までもっていく力がある。そして、1点をもぎ取り、あとは守り倒して勝つという、リアリズムがある。

 言うまでもなく、こういうチームに絶対与えてはならないのは、先制点である。逆に、敵に先制され相手にブロックを作られると、さしもの名古屋も苦しくなるわけである。

 ガッツポーズお姉さんがアイスタに来てくれるかどうかは知らないが、今日ばかりは貴方に歓喜のポーズを許すわけにはいかない。貴方の笑顔は尊いが、今日だけは泣いてもらう。


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20202021

 それにつけても、ロティーナ清水は本当に勝負弱いチームである。そのことを可視化するために、こんなグラフを作ってみた。2020年と2021年の、J1リーグ戦およびルヴァンカップで、どういう点差で勝敗が決したかを示したものだ。2点差以上勝利、1点差勝利、同点引き分け、1点差敗戦、2点差以上敗戦という分類になっており、青系が勝利、赤系が敗戦と色分けされている。

 2020年のクラモフスキー~平岡清水は、実に特異なチームだった。何しろ、1点差勝利が一度もなかったのである。調べたわけではないが、J史上初の珍事ではないだろうか。ついでに言えば、ウノゼロで勝つこともなければ、ウノゼロで負けることもなかった。勝つにしても、負けるにしても、常に大量得点差がつくというのが、2020年の清水だった。

 もっとも、こうやって見ると、2020年には1点差敗戦が12回(割合にして32%)と意外に多かった。ただ、皆様ご記憶のとおり、これは早い段階で2失点くらいして、完全に勝負の行方が決した後になって、試合終盤に焼け石に水の反撃弾を決め、結果的に数字上は1点差になったけれど、ゲーム内容は惜しくもなんともなかったというパターンばかりだった。徹頭徹尾、「大敗の清水」だったのだ。

 ともあれ、1点差以内の試合を「僅差の試合」と呼ぶならば、2020年には引き分けを含め19試合、割合にして51%が僅差だった。

 それが、予想されていたこととはいえ、2021年にロティーナ体制になって、1点差以内の僅差の試合が、激増しているのである。これまでのところ、14試合、78%が、僅差の試合となっている。大勝も大敗も少なくなった。

 2021年に目立つのが引き分けの多さであり、8試合、実に44%が引き分けに終わっている。しかも、スコアレスドローが4回あったが、残りの4回はすべて、終盤に追い付かれての引き分けである。清水が追い付いて同点になったことは、1度もないのだ。

 4回あった1点差敗戦についても、そのうち2回までが、敵に後半、手痛い勝ち越し点を許したものだった。ともにアウェー戦だったので、我慢して引き分けに持ち込めればそれでもOKだったのだが、それができなかった。

 本当に勝負弱い。開幕戦の鹿島戦だけは、試合終盤に重要な勝ち越しゴールを奪えたが、それ以外は、試合の終盤は敵に勝ち点を左右する1点を奪われるのみであり、こちらが値千金のゴールを決めるということがまったくできていない。

 紙一重で、戦績が大きく上向くはずと、言えなくもない。しかし、チームが変わらなければ、このまま試合終盤に痛恨の失点を喫し続けることになるだろう。


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 横浜FC戦の、痛恨の失点。そもそも、フリーキックに繋がった河井のプレーはファウルじゃないだろと思う。くしくも、福岡戦で終盤に同点弾を浴びた場面で、そもそもヴァウドのプレーはファウルじゃなかっただろというのと、重なるところがある。

 いずれにしても、それが横浜FCのフリーキックになってしまったわけだが、それを直接決められた。「ゴラッソだから、あれはしょうがない」と、GK権田を擁護する声も多い。

 ただ、当S研ブログでも、これまでは権田を称賛することが多かったが、そろそろ彼を特別扱いしたり、神格化し過ぎるのは良くないと思い始めた。横浜FC戦の失点は、完全なGKのミスだと思う。

 あの場面、フリーキックは、それほど危険な場所ではなかった。常識通り、壁を2~3人立てておけば、普通に防げただろう。しかし、権田は中央で敵の長身選手に合わされることの方を警戒して、当初壁に2人立っていたところを1人に減らす指示を出し、中央の守備を厚くすることを選択したらしい。

 壁を1人にしたということは、敵が直接ゴールマウスを狙ってきたら、それを自分が全部止めるという自信があったからだろう。そう選択した以上は、実際に止めてくれなければ困る。逆に言えば、手塚は壁が1枚と手薄だったからこそ、あのコースに直接狙うことを考えたのかもしれない。弁解の余地はない。明らかにGKの失敗である。

 普通のチーム状態なら、権田も常識的に壁に2~3人立てる選択をしたのかもしれない。しかし、リーグ戦で勝てておらず、ホームでは未勝利。それゆえに権田は、「ここは自分の力でピンチを救わなければ。直接なら自分が止めてやる」と功を焦り、壁を少なくしたのではないか。だとすれば、現在の権田は、平常心でプレーできていないことになる。

 権田が清水の中で(というか日本全体の中で)総合的に最も能力の高いGKであることは間違いない。ただ、チームが上手く行っていない時に、一つの劇薬として、GKを代えるという方法がある。身近な例で言えば、ゴトビ氏はそういうことをよくやった(たとえGKに責任がなくても)。もしも権田がリーグ戦の先発から外されれば、「このチームでは、たとえ日本代表でも、先発の座は保証されてないんだな」「それだけ、チームが危機的状況なんだな」という緊張感が、チーム内に浸透するだろう。

 とはいえ、その荒療治が失敗に終わると、チームはさらに迷走の度合いを深めるだろうから、実際にはやらないと思うが。

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penetrate

 それにしても、なぜ清水のストライカーたちのシュートは入らないのか。主な傾向をちょっと考えてみた。

  • サンタナ:フリーなのにGKの正面にシュートを打ってしまう。そして、サンタナが決定機を逃すと、その試合は必ず悲劇的な結末を迎える。
  • 鈴木唯人:華麗に抜き去るところまではいいが、シュートがだいたい枠外に逸れる。
  • 中山:置きに行くような弱いシュートが多く、それでも枠外に外れることもある。
  • 後藤:シュートは意外と良いコースに飛ぶが、なぜかGKに反応される。モーションなどが分かりやすいのか?
  • 金子:DFにブロックされ、ゴールを脅かすシュートにならない。
  • 西澤:そもそもあまり打たない(悩みながらプレーしているように見える)。
  • 指宿:リーグ戦の出場機会がほとんど与えられない。
  • カルリーニョス:負傷で不在。

 こんな感じで、合ってる?

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