エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2019年12月

cup

 一年最後のエントリーが、つまらない話で恐縮である。

 12月7日のJ1第34節ホーム鳥栖戦。残留がかかった一戦ということで、サポの皆様は、それぞれにゲンを担いだり、お百度を踏んだり(?)と、神にもすがる思いだったのではないかと思う。

 所長は神も仏も信じないタイプなので、自分からゲンを担いだりといったことはなかったのだが、12月7日の当日、不思議なことがあった。朝、お茶を飲もうとしたところ、マグカップのフチがちょっと欠けていたのだ。そのマグカップはかれこれ10年以上使っているもので、その時は2週間振りくらいに手にしたのだが、いつどうやってフチが欠けてしまったのか、まったく覚えがなかった。

 「まあいいや、これでも飲めるし」と思い、お茶を飲んだあと、カップを洗おうと思って、流し台に持って行こうとした時に、今度はあろうことか、カップを落としてしまい、派手に割れてしまったのだ。これで、もう完全に使い物にならない。個人的に、食器を落として割ることなんか、これまでの人生で、ほぼなかったのに。

 最初は、「清水の決戦の当日に、カップが欠けたり割れたりするなんて、何て不吉な」と、嫌な予感がした。しかし、「いや、このカップは、清水の身代わりに死んだんだな。なら清水は生き残る。そう思うことにしよう」と、考え直したのである。

 サポの皆さん、それぞれに、ゲンを担いで、当たっただの、外れただの、色々あったと思うが、皆さんぜひ、清水の身代わりに死んだマグカップがいたということを、心の片隅に覚えておいてほしい(笑)。

 さて、そんな風に、クラブの浮沈や、選手のキャリアや、サポの思いや、すべてを賭けて、皆で勝ち取ったJ1残留だったが、来年は、あえてそのJ1の地位を、自らリスクに晒すことになる。J1で実績のある監督を選んで、堅実なチーム作りをすれば、来年も10~15位くらいで残留することはできそうなのに、あえて「躍進もあれば最下位もある」という道を選んだ。チームスタイルの変革ということ自体がリスキーなのに、それを経験・実績のない監督に任せるという、リスクの二乗みたいなことをやろうとしている。

 個人的に、挑戦は否定しないし、期待したい気持ちはある。願わくば、目標、ノルマ、忍耐期限、責任の所在等を明確にしてもらい、皆が納得できるような挑戦であってほしいものである。方針がブレたり、後出しでゴチャゴチャ言ったり、責任をなすりつけ合うようなことだけは勘弁してもらいたい。

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 J1からJ2に落ちたチームの経営者・首脳陣・選手・サポは、「必ず1年でJ1に復帰する」と、合言葉のように言うものである。清水が2015年に落ちた時もそうだったし、もしも今年落ちたら同じことを言っていただろう。もちろん、J2からJ3に落ちたチームも同様である。

 しかし、所長は最近、この「1年でJ1に」というセリフに、疑問を覚えるようになってきた。もちろん、カテゴリーが違えば、経営規模や選手の待遇をはじめ、何から何まで違うわけだから、1年でJ1に復帰できれば、それに越したことはないに決まっている。しかし、ここ5年ほどの我が身を振り返ってみて、もちろん大前提としてJ1に残留したりJ2からJ1に上がったりすることは大事だけれど、ではJ1で何ができるかということも、同じくらいというか、もしかしたらもっと大事じゃないかと思えてきたのである。

 清水にとって、2016年にJ2を戦い、1年でのJ1復帰を決めたことは、誇るべき成果だし、当時は所長も大いに感動したものだった。しかし、そのチームは、翌年のJ1でまったく通用しなかった。2018年のプチ躍進こそあったものの、結局2019年も残留争いである。2016年のJ2時代は、J1でも戦えるような競争力のあるチームを作るある意味チャンスだったのに、J2を勝ち上がるためだけの無難なチーム作りに終始し(ちなみにJ2でも清水はポゼション率が決して高くなかった)、それがJ1再昇格後のこの3年の苦戦に繋がっているのではないかと思えてならない。

 したがって、所長としては、J2に落ちたチームが「必ず1年でJ1に復帰します」と言うのは実は間違いであり、「次、上がった時に、二度とJ2に落ちないチームを作ります」とか、「3年後くらいにJ1で優勝争いできるチームを作ります」と言う方が正解ではないかと、最近思うようになったわけである。

 問題は、来期、2020年の清水が、短期的な視野でなく、どこまで中長期的な視野に立てるかだろう(もちろん、クラモフスキー新監督の方向性が正しいという前提になるが)。もしも、J1残留こそがクラブとしての最低限の目標というなら、今からでもいいから、監督の人選は考え直した方がいいと思う。そうではなく、「新しいサッカーに挑戦するので、もしかしたら今季は降格どころか、圧倒的な最下位に終わるかもしれない。それでも、このサッカーが完成すれば、必ず清水は確固たるスタイルを築き上げ、J1で優勝争いできるようなチームになるはずだ」ということであれば、所長も支持するのにやぶさかでない。最悪なのは、2020シーズンの序盤に思うように勝ち点が伸びず、挑戦をあっさりと諦めて、またぞろ「現実的な」サッカーにシフトすることである。そんなことをするくらいなら、初めから挑戦しない方がいい。

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 社長・GM・監督という「三役」が全部入れ替わることになり、何だか、あのおぞましい2019年のサッカーのことなど忘れてしまいそうだが、キチンと総括しなければ、未来などない。今年の清水のサッカーを見ていて、所長が一番印象に残ったことを書き留めておく。

 今季、清水はリーグ戦で11回勝った(あれだけ酷い内容の割には、結構勝った方だと思う)。その勝利した11試合で、清水の勝ち越し点が入った時間をまとめると、以下のようになる。

36分(VS磐田、2:1)
82分(VSセレッソ、1:0)
89分(VS仙台、4:3)
90+1分(VS横浜、3:2)
90+5分(VS名古屋、2:1)
68分(VS神戸、2:1)
50分(VS横浜、1:0)
18分(VS山雅、1:0)
54分(VS名古屋、3:2)
25分(VS湘南、6:0)
68分(VS鳥栖、1:0)

 まあ、湘南戦の夢スコア以外、全部1点差勝利だったということにまず驚くが、それよりも、清水が勝ち越し点を奪ったのは、試合終了間際か、そうでなくても後半ある程度時間が経ってからだったことがお分かりいただけるだろう。前半リードを奪って、そのまま逃げ切ったという試合は、3試合しかない。

 いや、前半に先制点を奪った試合は、もっとたくさんあったのである。しかし、今季の清水の場合は、先制が早すぎると、その後、攻撃は閉店ガラガラで、引きすぎて相手にボコられるということが多かった。一体何度、逆転負けを食らったことか。以前も申し上げたとおり、サッカーでは先制したら7勝・2分・1敗くらいが普通なのに、今季の清水は前半先制しても、「どうせいつものフリでしょ」という感じしかしなかった。

 感覚的に言うと、清水が先制して、その後、守り切れるのは、残り時間30分くらいが限界である。だから、先制するなら、60分以降、できれば試合終了間際にして、リードを守る時間をなるべく短くしないと、勝ち点3は望めないというチームだったのである。それだけ守備が脆弱で、なおかつ試合運びがお粗末だったのだ。

 表現が下品で恐縮だが、所長は今季の我が軍の勝ち方を、「ヤリ逃げ清水」と呼んでいた。試合終盤のどさくさに紛れて勝ち越し点を奪い、ホナさいならと勝ち点3を頂戴する。そんな試合がいくつかあったからこそ、生き延びたのだ。その最大の立役者こそ、西澤だった。

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 何となくそういう予感はあったけど、監督、GMに加え、社長も交代か。まあね、左伴社長は、今季開幕前に、5位以内という目標を掲げた上で、「進退を賭けて」なんて発言していたから、2019シーズン、残留争いに巻き込まれた時点で、辞意を固めていたのかもしれない。1年前の久米氏の急逝がなければ、左伴=久米体制があと2~3年くらいは続いたのではないかと思うのだが、改めてクラブにとっての大きな喪失だったと痛感する。

 これはまったくの想像だが、今思えば、大熊氏の役職がしばらく発表されなかったのは、もし山室晋也氏を口説けなければ、大熊氏を社長に据える、なんて事情もあったのかもしれない。

 それにしても、来期以降の新体制では、大熊氏への依存度が高くなりそうである。新社長はサッカーはまったくの素人なので、競技面での統括は当然のことながら大熊GMが全面的に率いることになる。そうかと思うと、モフ氏は監督一年生なので、そのケアも色々してあげなければならないだろう。

 当S研では1年ほど前に、こちらのエントリーで、社長が「進退を賭ける」ほどの意気込みなのは素晴らしいけれど、サッカーの成績などというものは水物なので、ホントに進退を賭けたりしちゃアカンということを書いた。しかし、今回の社長交代の情報に接して、まあ確かに5年というのは一つの区切りだし、2020年代にも突入するし、フロントもチームも一新するという意味で、ここで社長交代というのも、それはそれでアリかもしれないと受け止めた。

 それにしても、不思議な魅力をもった社長だった。人の心を掴むような、キュンとなるセリフを、何度も聞いた。惜しむらくは、社長に率いられ、会社・現場が一体となって、成績面でそれに見合った成果を挙げるということができず、あれだけ働いてくれた社長なのに、左伴時代=低迷期になってしまった。いつか、左伴社長の撒いた種が花開く時が来ると信じたいものである。

 山室晋也新社長については、その筋ではよく知られた人らしいので、本の一冊くらい書いているかと思ったら全く無し、YouTubeで検索してもほとんど動画なしということで、意外に情報が少ない。早く、清水社長としての肉声を聞いてみたいものである。

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 当S研独自の企画として、「走行距離選手権」というのがある。要は、選手たち(基本的にフィールドプレーヤーのみ)が走った累計走行距離を、東海道線に当てはめて、東京駅を出発点に西へと、すごろく風に競ってもらうという企画である。選手権の趣旨とルールについてはこちら、2017年の結果はこちら、2018年の結果はこちらを参照していただきたい。

 それで、2019シーズンのデータを集計したので、それを発表させていただきたい。下の図に見るとおり、今年は松原の圧勝に終わった。2018年の優勝者・金子は、2位に後退。松原の今年の記録351.285kmは、昨年の金子の355.275kmに、わずかに及ばなかった。昨年の金子も、今年の松原も、惜しくも名古屋到達はならなかった。

 当S研では今年、何度か松原のプレーに注文をつけさせてもらったが、何だかんだで、1年ケガなく、ほぼ先発フル出場を続けてくれたというのは、貴重な貢献であることは間違いない。走行距離選手権の優勝も、その勲章のようなものである。さあ、来季の去就はどうなることやら。

 この走行距離選手権の一つの目安として、せめてホームタウンである清水駅には到達してほしいというのがあるが、今年は12人がそれを達成。六平、中村はあと一歩だった。

 今年の特徴は、149.4kmの中村から、56.0kmのテセまで、100km近い空白のエリアがあることである。途中加入やケガで長期離脱というメンバーがいたことも事実だが、テセ以下の選手たちは戦力として十分に稼働したとは言い難い。

 この走行距離選手権は、基本的にフィールドプレーヤーが対象なので、青で示したGKは参考値である。ただ、六反、西部、大久保の走行距離がだいたい同じくらいであり、約3分の1づつの出場を果たしたことが分かる。

 ちなみに、今季このGK3人が先発し90分出場した試合の、1試合当たり平均走行距離を比較すると、六反4.449km、西部4.413km、大久保5.007kmであり、大久保の「どっしり構えている」イメージとは裏腹に、この3人の中では大久保が一番動くGKだということが判明した。まあ、マリノスのGKが6kmくらい走ることに比べればまだまだだが、大久保は意外とモフモフサッカーに適応できるか?

2019run
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 こちらのページに、2019年のJ1の反則ポイントの表が出ているので、それを見てみよう。

 反則ポイントというのは、チームの強さや弱さに比例しないというところが面白い。何しろ、優勝した横浜Fマリノスが反則ポイントではワーストで、2位のFC東京がベストになっているくらいだ。

 反則ポイントでベスト3の顔触れを見ると、FC東京、広島、セレッソと、守備組織が非常にしっかりしているから、あまり反則する必要がないというパターンだろう。大分、仙台あたりもそんな感じがする。

 逆に、マリノスは、ピンチになったらチアゴ・マルチンスが力づくで止めるような感じなので、それで警告が増えるのだろう。あと、優勝が決まった最終節でも、GKが飛び出して東京の永井を倒してしまい、一発レッドなんてのもあったわけで、リスクの高いハイライン戦術の表れと言える。

 我が清水はと言うと… 反則ポイントは、良くも悪くもない数字だ。しかし、昨今の清水の場合は、守備組織も整っていなければ、「ピンチの時にファウルででも止める」という文化もなく、敵の攻撃を指をくわえて見てるだけというパターンが多いので、反則ポイントの数字が劣悪でないといっても、まったく誇れることではない。むしろ、最多失点のチームなのに、この程度の反則ポイントで収まっているのは、いかに「何としてでも止める」という意識が欠けているかの、証左である。

 所長が、来季について大きな不安を覚えるのは、まさにこの点なのである。リスクの高いハイライン戦術を敷いて、ピンチを迎えた時に、横浜には「ファウルをしてでも止める」というチアゴ・マルチンスがいるけれど、清水にはそのようなディフェンダーがいないのである。それでなくてもワースト失点の清水を、さらにリスクにさらしてどうする?と言いたい。センターバックを総入れ替えでもしなければ、クラモフスキー流は無理なのではないか。

 もう一つ気になるのは、来季清水がクラモフスキー監督指揮下で、マリノス流をコピーして、もし仮にチアゴ・マルチンス的な「ファウルをしてでも止める」という守備が清水に根付いたとしても、来季からVARが導入され、より厳しい判定が下されるようになるのではないか?ということだ。つまり、VAR導入によって、東京・広島・セレッソ的な、組織でクリーンに守るチームの方が、有利になるのではないだろうか?

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 役職不明のままスタッフ入りだけが発表されるという不自然な状態だった大熊氏だが、大方の予想どおり、昨日、GM就任が発表された。大榎GMは強化部部長へ、内藤強化部部長は同補佐へと、一段づつ格下げされるような形となった。

 久米GMの急逝により、充分な準備もないままGMに就任した大榎氏だったが、結局はその任に堪えなかった、という結論だろうか。むろん組織内部のことは分からないので、状況証拠からの推測になるが、2019年の戦力のうち、エウシーニョは元々久米GMが獲得を熱望していたものであり、それ以外の大榎GM主導で獲得したと思われるブラジル人は、ヘナトこそ拾い物だったが、ヴァンデルソンがハズれたことは2019年に清水が低迷した主原因の一つだった。大榎氏の強化担当者としての眼力・手腕がどれほどのものなのかは正直分からないが、不用意に「映像だけ見て決めた」などと発言してしまったことも含めて、ある種「ケチ」がついてしまったことは否めない。ますます正念場となる2020年の編成を控え、クラブが大熊氏というプロのGMを招聘したことは、的確な判断と思われる。

 そして、大榎GMをバッサリ切るのではなく、強化部部長として残したというのは、クラブの温情なのか、はたまた何か別の事情があるのか。何となく、「篠田監督がクビというのは忍びないからコーチとして残す。大榎GMもクビは可哀想だから強化部部長として残す」というニュアンスも感じてしまう。どうも、明確な役割が不明なスタッフばかりが増えているような。幹部を雇うのだってタダではないわけだから、その分、戦力の獲得に充てたらどうかという気がしないでもない。

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 篠田政権について、思うところはすでに当S研で何度か述べているが、改めてそのまとめである。

 確実に言えることは、17位の状態でチームを引き継ぎ、内容はどうあれ、結果的に12位でフィニッシュさせるというのは、誰にでもできることではなく、その仕事をやり切った篠田監督には心から感謝したいということである。

 もちろん、篠田監督就任と、ドウグラスの復調の時期が重なり、「ドウグラスさえ復活してくれれば、ヨンソン監督のままでも残留できたのではないか」というよく言われる話も、まあそのとおりだとは思う。しかし、個人的には、残留に向けたシフトチェンジをはっきりさせる上で、やはり監督交代は不可避だったと思っている。

 今季我々がうんざりしながら見続けたあのサッカーが、篠田監督の本来志向するサッカーだとは、思わない方がいい。はっきり言って、あんなサッカーを進んでやりたいと思う指導者など、この世にいないだろう。あくまでも、順位等の状況や、現有戦力を前提にして、最も効率的に勝ち点をとるための方法を選択し、それを今いる選手たちがやってみたらああいうサッカーになった、というだけのことであろう。篠田監督が別の状況で、別の戦力を率いたら、サッカー自体も別のものになるはずである。

 「だったら、来季も篠田監督でいいのではないか? 篠田さんが本来志向するような、もっとしっかりしたサッカーをやってもらおう」とも考えたくなるが、個人的には、それはちょっと違うだろうと思う。同じ監督、ほぼ同じ戦力で来季を戦うとすると、2019年の惰性の延長になってしまう恐れが強い。2019年終盤にあれだけ手詰まり感が生じたわけだから、2020年はさらにじり貧となることが必定だろう。それゆえに、篠田監督に勇退していただくことは正しいというのが、当S研の結論である。

 残念だったのは、11節終了時点で篠田監督がチームを引き継ぎ、当面は守備重視、ロングボール多用、ドウグラスを活かしたカウンター主体の戦い方を選ぶのは必然だったものの、しばらくその戦い方で勝ち点を稼ぎながら、徐々に新しい戦術も浸透させていくようなことを、篠田監督ができなかったことである。代表週間等でJ1が中断したこともあったわけだから、そういう時間を使ってポゼションの形とか攻撃イメージの共有とかを作ってほしかったのに、秋以降もそういう手応えがまったく感じられなかった。相手チームの分析と対策を持ち味とする篠田監督だけど、「対策の対策」をされるとなす術がなくなるような感じだった。結局は、チームが追い込まれれば追い込まれるほど、「戦術ドウグラス」に純化していったような印象だった。そういう具体的な上積み、引き出しを示せなかったことが、「篠田体制はここまで」というクラブとしての順当な判断に繋がったと言える。

 それにしても謎なのは、来季、篠田コーチがチームでどのような役割を果たすかである。まさか、選手のモチベを高めるための円陣での声出し専門コーチとか、クラモフスキー監督の指示をベンチからデカい声で伝える人間拡声器の役割、ということはないはずだが… もしかしたら、これからクラモフスキー新監督を交えて、役割分担を決めていく予定で、現時点では明確に決まっていないのかもしれない。

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 2019シーズンが終わったばかりで、こういうことを言うのはなんだが、はっきり言って、来季に関しては巨大な不安しかない。

 個人的に、篠田監督に勇退していただくというのは、それでいいと思う。ポゼション重視、攻撃型に舵を切るということにも、異存はない。しかし、100%残留モードの篠田監督から、戦力は基本的に現状維持で、満足な監督経験もないクラモフスキー氏へのバトンタッチというのは、あまりに飛躍が過ぎると思う。

 J1の他のチームの事例を見ても、「180度方針転換」というケースが、ないわけではない。たとえば、名古屋の風間監督からフィッカデンティ監督への交代などは、まさにそれだろう。しかし、普通そういうのは、攻撃型のサッカーをやって上手く行かず、危機に直面したチームが、現実主義に転じて、守備型にシフトするものである。清水のように、引きこもりカウンターサッカーから、いきなり超攻撃型への方針転換というのは、ほとんど聞いたことがない。

 また、たとえば今の横浜Fマリノスで、ポステコグルー監督が何らかの理由で退任した後、ヘッドコーチのクラモフスキー氏が監督に昇格するということであれば、政権移行はスムーズだろう。選手も、新監督も、前任者のやり方を良く知っているからである。しかし、清水の場合には、今のチームとは真逆の哲学の持ち主を監督に招聘し、しかも当人はプロチームの監督は事実上初体験となるわけだから、そのリスクは巨大である。横浜のようにメンツが揃っているならいいが、今の清水には守備の文化が欠如し、まともなセンターバックが一人もいないのが現状であり、ずいぶんと無謀な大バクチである。

 例えて言えば、こういう話である。清水君は、J1学校の中でイケテないグループに属すいじめられっ子だった。2019年は、湘南君が家庭の事情でイケてないグループに転落し、清水君もこれ幸いと湘南君をいじめる側に回ったことで、清水君は何とか生き延びることができた。そんな清水君が来年、突然チャラ男に変身して、イケてるグループの仲間入りすることなど、できるのだろうか? 中身はヘタレのままなのに、髪だけ金髪に染めて、かえっていじめられたりしないだろうか?

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 J1最終節終了後のセレモニーで、社長とキャプテンが天皇杯に向け妙に熱い煽り言葉を発していたけど、サッカーの中身がないまま、気持ちだけで勝てるほど、甘くはなかった。神戸は、イニエスタのアクセントを除けば、ものすごく強いという印象はなかったし、時折隙も見せてくれたけど、試合全体で見れば、清水が負けたのはまったく順当だったと考えざるをえない。

 今季の清水は、J1の底辺に何としてでもしがみつこうと、恥も外聞もなく、ただただ残留するためだけのサッカーに終始した。何度も言うように、それが篠田監督就任時の皆のコンセンサスだったわけだから、それ自体については今さら是非もないことである。ただ、これだけ出来損ないのサッカーで、残留以上の何かを得たいというのは、虫が良すぎたということだろう。リーグ戦終盤から見え始めた傾向だけど、今回の神戸戦でも、ロングボールをドウグラスに当てるという形は多くなく、むしろ最終ラインから繋ごうとしていた。しかし、そこでボールを持てない、繋げない、挙句の果てにはスローインもできないと来れば、現状でJ1の中の上くらいの神戸に、太刀打ちはできない。頼みの綱のドウグラスが決定機を3回も外せば、そりゃもう勝ち目はないというものである。清水は、一応はJ1で12位のチームということになっているが、2試合目で見たJ2の12位の長崎よりも明らかにクオリティは低く、公平に言って天皇杯の決勝を戦うには値しないチームだった。

 所長にしても、新国立で戦う最初のチームになりたい、久し振りのタイトルが欲しいと人並みに望んではいたが、現実的に考えれば、清水が決勝に進出すれば、来季に向けたチーム作りに、色々と歪みが生じてくる。来季の清水は、とてつもなく難しい(というか不可能に近いような)挑戦をすることになる。それに向けて、なるべく早く切り替えられるという意味では、この時点で2019シーズンが終了したことは、大局的には悪くないという受け止め方もできるのではないか。

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122

 そんなわけで、辛かった今シーズンの最後のお楽しみ、天皇杯の準決勝、神戸戦の日がやって来た。

 今年は神戸にリーグ戦で負けていないので、何となく「得意意識」を抱いているサポさんも多いかもしれない。しかし、J1の最終順位表を見ると、最終的には神戸にずいぶんと水をあけられたことが分かる。割と終盤まで残留争いに片足を突っ込んでいたガンバと神戸という関西勢2チームが、ともに最後の5試合を4勝1敗で乗り切っており、勝ち点も同じ47で、7位と8位でフィニッシュしているわけである。最終順位表を見た時に、「あれ? いつの間にこんなに勝ち点を稼いでいたのか?」と驚いたものだった。優勝した横浜ほどではないが、それに迫るくらいのラストスパートだった。

 今季、清水はたまたま神戸相手に勝ち点を稼げたけど、別に「相性」が良いとまでは思わない。先方の豪華外国人のコンディション次第という気もするが、普通にJ1でトップクラスの相手だと覚悟しておくべきだろう。

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 当S研では、専門家諸氏のJ1順位予想の結果を検証しランク付けする「評論家リーグ」というのを毎年開催しており、今年ももちろん後日やる予定だが、その前に自分自身の懺悔をしておきたい。2019シーズン、当S研で「清水のJ1リーグ優勝」という目標を掲げ、それを前提とした順位予想を示していた件につき、うやむやにするつもりはない。駿河湾より深く反省だ。

 ただ、言い訳のようになってしまうが、清水がJ1優勝を狙う上で、今季がチャンスだったことは、間違いないと思う。今年のJ1全体を見渡してみても、本当に強かったチームというのは、見当たらない。最終的には、横浜が称賛に値する攻撃サッカーを完成させたことは事実だが、その横浜に清水は2度勝っているのである。清水さえしっかりしていれば、2019年に上位争いできたはずという見解に、今も変わりはない。

 それで、今季開幕前に所長が示した順位予想のうち、1位清水と、17位鳥栖、18位神戸は、予想というよりも願望に近いということは、あらかじめお断りしていた。ただ、それ以外の順位は、ガチで予想したつもりだった。上の図は、所長の予想(願望含む)と、実際の最終順位とを照らし合わせて、答え合わせをしたものである。

 うーん、これは酷い(笑)。順位が一致したところは一個もないし、良く見ると一番近くても順位が2つ離れている。これは、S研方式で評点したら、マイナス何点になるのか、恐ろしいくらいである。

 特に恥ずかしいのは、優勝した横浜さんを、降格争いに巻き込まれると予想していたことである。大変失礼いたしました。ただ、後日お目にかけるとおり、有識者の中で横浜を1位予想にしていた人なんか一人もいないし、所長と同じように下位予想していた評論家先生も多かったのだ。

 そんなわけで、日頃、評論家先生をこき下ろしてばかりだったが、いざ自分が順位予想をしてみたら、とんでもない結果となった。ただ、これに懲りず、来季の順位予想もするつもりである。もちろん清水を1位にして。

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 2019シーズンの結果、磐田と松本が降格し、柏と横浜FCが来季J1に上がってくることになった。皆さんお気付きのことと思うが、2020シーズンのJ1は、地理的に関東に偏重することになる。もしかしたら、2020年は、J1の歴史上、関東チームが最も多い年になるのだろうか? そのような関心を抱き、Jリーグが発足して以降のトップリーグの地域別所属チーム数を、調べてみた。

 ここでちょっと注釈しておくと、日本におけるサッカーの地域割りは、こちらのサイトに見るような区分が基本である。当S研でも基本的にその区分を利用しようと思うが、一つだけ、山梨県が関東所属というのが、しっくり来ない。山梨は、静岡とか長野と一緒のグループにした方がいいのではないか。そこで、今回S研で使用する地域区分では、山梨は関東ではなく、「甲・北信越」という小区分に入れ、これを東海と合わせて「中日本」という大区分を設けている。

 皆さん、憶えておられるだろうか? 上の画像に見るように、2015年に甲府・松本・新潟・清水の合同企画「2015中部日本横断シリーズ」というのを実施したことを? この企画にしても、地理的な近接性が意識されたこそであり、山梨を中日本のグループに入れることは理に適っていると考える。

 さて、そんなわけで、1993年から来季2020年までの地域別のJ1所属チーム数を整理すると、下表のようになる。まず、冒頭の関心について言えば、2020シーズンに関東が8チームになるのは過去最多ではなく、過去には関東のチームが9チームに上っていたシーズンもあったことが確認できた。そもそもJリーグは、10チーム中6チームが関東という状態から始まったのであり、今も昔も関東偏重は変わらないという結論である(むしろ2019年の関東6チームというのが異例の少なさで、平常に戻ったと言えそうである)。一方、西の関西に目を向けると、過去には京都まで含め関西4チームという時代もあったが、最近は大阪×2+神戸の3チームで定着している(京都も新スタで盛り返すか?)。いずれにしても、J1が関東・関西という大都市圏を中心に回っていることは否定できない現実である。

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 一方、ここ何年か凋落が目立つのが、東海+甲・北信越から成る「中日本」である。まず、東海の清水・名古屋・磐田はJ初期からの老舗だが、近年は代わる代わるJ2に降格しているような感じであり、3チーム揃うことが少なくなった。そして、最も落ち込みが激しいのが甲・北信越で、最盛期には3チームを数えたのに(それが、くだんの「中部日本横断シリーズ」が実施された2015年だったわけだが)、2020年にはゼロになってしまうわけである。結果、2020年には中日本全体でも清水と名古屋の2チームしかない状態になる(ついでに言えば、中日本のチームが優勝したのは2010年の名古屋が最後であり、それ以来栄冠から遠ざかっているという事実も、指摘しなければならない)。

 それに比べると、北日本は、札幌と仙台だけと言えばそれまでだが、2で定着しつつある。西日本では、広い中国地方に広島1つだけは寂しいし、四国は空白のことが多いが、九州は鳥栖+1で2枠は確保しつつあり、大分の躍進でますます盤石になりそうだ。

 要するに、関東も関西も、北も西も頑張っているが、中日本だけが地盤沈下している状態なのである。中日本にJ1チームが少なければ、我が清水にとって遠征の距離面で不利になるし、練習試合を組もうにも近場に強い相手がいないという弊害もある。「中部日本横断シリーズ」はそもそも企画として微妙だったので、ああいうのをもう一度やるかは別として、地域レベルで危機感を共有し、場合によっては共同施策を打つべきだろう。

*12/20 2017年のデータに誤りがありましたので修正しました。

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 以前、平成最後の日に、「平成の清水のリーグ戦戦績」というのをお目にかけたことがある。せっかく作ったので、平成だけで終わるのはもったいなく、令和の数字も足して、今季終了時点の清水の通算成績表を作成してみた。

 何となく嫌な予感はしていたが、今季大量失点を重ね、リーグ・ワーストの得失点差を記録した結果、清水の通算得失点(J2は除いたJ1リーグ戦のみ)は、わずかプラス5になってしまった。

 あのオレンジ色のユニフォームを着た連中は、事の重大さを認識しているのだろうか? このままでは、来期、この数字がマイナスに転落することは、必定であろう。何なら、この表を印刷した年賀状を、全スタッフ・選手に送り付けてやろうか。あるいは、Ichi-meterとかYoshi-meterみたいに、通算得失点のボードをスタジアムに常設してやろうか。

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2019

 大熊清氏のスタッフ入り、ねえ。本人の資質云々以前に、なんだか、「船頭」が多くなり過ぎるような懸念も。まあ、今のところ役職すら明らかでないので(あるいは、今いる誰かがいなくなるのか?)、何とも言えないけれど。役職が決まる前に発表になったというのが、何やら社内権力闘争が絡んでいそうな気がしないでもない。

 さて、本日のお題は、「チームのコスパ」。Jリーグには、上位と下位の格差が小さいという特徴があるが、それにも関連して、もう一つ、お金と順位が必ずしも比例しないという傾向がある。

 それを検証するために、2018年の営業収益と、2019年のJ1、J2の順位を上のグラフにまとめてみた。もちろん、本来であれば2019年の営業収益を使うべきだが、まだ数字が出ていないし、まあ1年でそんなに変化はないだろうという前提に立っている。

 2018年の清水の営業収益は、J1で11番目で、J1平均の4,755を下回っていた。しかし、神戸という特殊なチームを除けば、ほぼJ1の平均くらいの経営規模だと理解していいだろう。だから、2019年の12位という順位は、だいたいそれに見合っているという見方も、できないわけではない。2019年には、名古屋や浦和のように、清水よりもコスパが悪かったチームもあった。

 しかし、2019年に我が軍を蹂躙した札幌、尻上がりに完成度を高めたセレッソ、相変わらずの安定感を示している広島などは、2018年の数字を見る限り、清水よりも経営規模が小さい。そして、大分のように清水の3分の1の予算でJ1に爪痕を残すチームもあれば、徳島のようにJ2で目を見張る攻撃サッカーを見せたチームもあった。当然、見習うべきはこれらの高コスパチームだろう。

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 以前作った清水の順位推移の図だけれど、2019年の順位が確定したので、更新して再録することにする。

 今さらながら気付いたが、清水が「12位」という順位になったのは、初めてだということが分かった。今まで清水がなったことのなかった順位は、18位、16位、13位、12位、そして1位(涙)だったが、そのうち12位を埋める形となった。

 しかし、今年の清水の残留は、ただただ、湘南さんのパワハラ騒動(しかもJリーグ側が解決を長引かせたこと)に助けられた形であり、文字通りの他力だった。鳥栖がトーレスというお荷物に振り回されて迷走したことも然りであり(ただ、そのお荷物に2点もとられた試合があったなあ)、磐田のフベロ監督起用があと1~2ヵ月早かったら磐田にもまくられていた恐れがあった。

 清水は最終節で一気に順位を12位まで上げたが、これは明らかに出来過ぎであり、名古屋と浦和がすでに事実上残留を決めてモチベを失っていたことが作用しただけである。経営規模の大きな名古屋や浦和よりも上の順位に終わったということは痛快ではあるが、「12位」という順位を過信して、危機感が薄れるようなことがあってはならない。

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 そんなわけで、クラモフスキー新監督の就任と、篠田監督のコーチへの格下げが正式に発表になった。ここで微妙なのは、篠田さんは「ヘッド」コーチとはされていないことである。これは、クラモフスキー氏に、自分の気心の知れた専門家をヘッドコーチに据えたいという意向があり、そのポストを空けているからなのだろうか? だとすれば、篠田さんはチームでどのような役割を与えられるのか? 取りあえず監督退任を飲ませるためにコーチ起用をオファーしたけれど、結局、飼い殺しなどということがなければいいのだが。

 今回のクラモフスキー氏の監督起用、個人的な考えを言えば、期待はしたいのだが、今のところ不安の方が大きい、といったところである。所長は以前から、清水の監督に起用していいのは、トップチームの監督として(それもできればJ1の監督として)実績のある人に限るべきだと考えていた。サッカーおよびチーム作りを知識として知っているというのと、実際に現場の最高責任者としてチームを率いるというのはやはり別物であり、またJリーグ固有の特徴や環境もある。清水のような体力が弱いクラブには、海のものとも山のものとも分からないような原石の指導者を招聘するリスクは、許されないと思っている。以前当S研でも推したように、戸田和幸氏のような期待値の大きいOBだったら話は別だが、基本的には新米監督は避けたいというのが、所長の考えである。

 「できればJ1監督経験者がいい」というのには、こんな考慮もある。たとえば、数年前に清水の監督を務めたゴトビ氏に関し、いまだにサポ間で評価が二分されており、不毛な論争のネタになったりする。彼だって、Jの他のチームを率いたことがあったら、もっと客観的で冷静な評価ができたと思うわけである。たとえば、ゴトビ氏が名古屋グランパスを大躍進させたけど、清水では上手く行かなかったというなら、明らかに清水の戦力の低さが原因ということが分かる。しかし、Jでは清水の指揮しかしていない以上、ゴトビ政権が失敗したのは監督が悪かったのか、選手が悪かったのかなんてことを、証明する術はないのである。来季、考えたくないが、クラモフスキー監督がしくじった場合にも、「監督が悪い」、「いや選手が悪い」という不毛な論争・対立が巻き起こることは、目に見えている。

 2019年にマリノスを大躍進させたポステコグルー監督は、マンチェスター・シティ流のポジショナルプレー、5レーン理論、ニセSBなどの現代的な戦術を駆使して成功したと考えられている。しかし、専門家に言わせれば、一見シティのやり方に似ているけれど、細部の詰めの甘い「なんちゃってシティ」の域を出ていない、なんて声も聞かれる。「小ポステコ」ことクラモフスキー氏の指揮官としての手腕は未知数であり、「なんちゃってシティ」の「劣化コピー」にならなければいいが、というのが現時点の所長の心境だ。ポステコ横浜はシティの国際ネットワークで可能となった的確な補強によって支えられていたが、清水にその芸当は無理(GMのビデオチェックが頼り?)だということも認識しておく必要がある。

 清水というチームをガラっと変えようとする試みだから、少なくとも半年、いや2年くらいかかるかもしれない。もう今日から新監督で練習を始めたいくらいだが、まだ清水にとっての今季は終わっていないし、悪いことに来季の開幕は早いので新たなチーム作りに許される時間は短い。クラブ、サポは、どこまで我慢するか。「東京五輪中断を最下位で迎えてもいい」というくらい覚悟を決めないと、清水は変わんないぞ。

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 「清水の来季新監督に横浜F・マリノスのピーター・クラモフスキー・ヘッドコーチが就任することが13日、濃厚となった。続投が基本線だった篠田善之監督は今季限りで退任し、来季はコーチとしてチームに残る予定。14日にもクラブから正式発表される」と報じられている。数日前に名前が挙がったうちの1人に、実際に白羽の矢が立ったようだ。

 個人的に、今回の話が出るまで、クラモフスキーなんて存在は認識していなかったし、その手腕や人となりも知らず、「分からん」としか言いようがない。

 クラモフスキー氏がポステコグルー監督と同じようなサッカーを志向するという前提で、直感的に論評するならば、確かに楽しみな部分はあるものの、やや危うさを感じる。単に、「今季の横浜のような楽しい攻撃サッカーをやりたいから、ポステコ本人を引き抜くのは無理にしても、小ポステコを引っ張ってくるか」的な発想でクラモフスキーの招聘に動いたのだとしたら、落とし穴が待ち受けているのではという不安を感じる。

 今の清水にとっての一番の課題は、守備の規律や組織の立て直しであろう。クラモフスキー氏にその手腕はあるのか? 篠田さんがコーチで残る方向のようだが、篠田さんの持ち味は相手チームのスカウティングや対策であり、今季の実績を考えても、篠田さんが清水の守備を見違えるように良くしてくれるとは思えない。では、新たに守備専門のコーチでも招聘するのか? その部分がはっきりしないと、来季に向けて安心できない。

 今季のマリノスは、失点が38と、優勝チームの割には多かった。しかも、チアゴ・マルチンスという今季のJ1の守備のMVP級のCBが広いエリアを奇跡的にカバーしてくれたからこそ、その程度の失点で収まったのであり、もちろん相棒CBの日本代表・畠中の存在も大きく、属人的要素が大きい。さらに言えば、マリノスでGKに求められているような役割を果たせる、足元の上手いGKは、今の清水には見当たらない。今の清水のディフェンス陣の陣容で、今季のマリノスのような戦術をとったら、危険なことこの上ない。新監督の主導で守備系総入れ替えくらいの大ナタを振るわないと、無謀な挑戦になりかねない。

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 昨日、呉越同舟、じゃなかった、篠田監督と大榎GMがSBS静岡新聞社を訪れてシーズン終了の報告を行った、なんてニュースが流れていた(上の画像はスクリーンショットなのでクリックしても再生しません)。腹の中は分からないが、さすがにマスコミの前で不仲を晒し出すようなことはなかったようで、安堵した。

 12月15日 (日)に、『2019応援感謝デーin三保』が開催されるようだ。はっきり言って所長は完全にこの週末も試合があるつもりでいたので、試合ではなく「応援感謝デー」というユル・イベントが開かれるというのは、何だか拍子抜けというか、奇妙な感覚である。

 所長はあまり選手と直接触れ合ったりしたいとは思わないタイプなので、普段だったら、応援感謝デーなどには興味はない。しかし、今年に限っては、スケジュールさえ合えば、出向いてみたいという気持ちがある。監督がこの手のイベントに出席するのかは存じ上げないが、もし監督に会えるのなら、直接感謝の念を(そして、会社の非礼についてのお詫びを)伝えたいという気持ちがあるからである。

 個人的にも、今季の総括は必要だし、来シーズンの監督はゼロベースで最良の人選をすべきだとは思っている。その意味では、GMと同じ考えとも言える。しかし、まずは難しい仕事をやり遂げた篠田監督への最大限の敬意と感謝を表するのが先決だろうと思う。その手順を間違えてはいけない。

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 それにしても今季の清水の残留は、ありえない、奇跡に近いものだったと思うわけである。これまでのJの歴史を見れば、最多失点のチーム、ワースト得失点差のチームは、ことごとく降格してきたからである。

 そのことを確認するために、上掲のような表を作成してみた。J1はチーム数やレギュレーションに変遷があり、過去には1チームだけ入れ替え戦に回っただけのシーズンもあったりしたから、現在と同じ18チーム、シーズン34試合で、降格チームが3ないし2.5になった2005年以降のデータをまとめてみた。青が残留、赤が降格である。

 まず、最多失点のところから見ていくと、最多失点のチームは17位か18位で降格というケースがほとんどであり、これまでの歴史で残留に成功したのは2009年の磐田と2018年の名古屋だけだった。最多失点のチームとしての過去最高順位は2009年磐田の11位であり、今季の清水は12位に終わって、わずかに届かなかった(別にそんなことで張り合わなくてもいいが)。

 そして、得失点差のデータは、よりダイレクトに順位に直結している。ワースト得失点のチームは最下位が定位置であり、従来の歴史では、どんなに頑張っても2007年の広島の16位が最高であった(入れ替え戦で敗れて降格)。2019年の清水が、ワースト得失点差でありながら残留を果たしたのは、もちろん現行レギュレーションでは初の快挙である。それのみならず、12位というそこそこの順位でフィニッシュしたのは、空前絶後と言っていい。勝つ試合は常に1点差で、負ける試合では派手に負けるという今季の清水の大クセが、この珍現象をもたらした。

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