エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2019年10月

 札幌がルヴァンカップで準優勝したことで、ペトロビッチ監督の手腕が再び脚光を浴びている。しかし、個人的には、札幌におけるペトロビッチ氏のチーム作りは、だいぶ誤解されているのではないかと思えてきた。

 たとえば、ミシャのサッカーと言えば、GKから細かく丁寧に繋ぐというイメージがある。しかし、最近読んだ記事によれば、ミシャはGKには「危ない場面では大きく蹴って構わない」と伝えているそうである。また、前線にジェイのような屈強なFWがいるのだから、場合によってはFWに向けてロングボールを蹴ってもいいという指示もしているそうだ(実際、札幌の試合を観ていると、そういう場面は案外多い)。ミシャは、特に札幌に渡ってからは、我々が想像している以上に、柔軟になっているのだと思う。

 もう一つ、こちらに札幌のDF福森晃斗の物語が出ているが、この中で所長が驚いたのが、「コーナーキックの練習のときから、入る選手と入るところは決まっていたので。あとはいかに自分がいいボールを蹴られるかどうかでした」というセリフだった。あれ、ミシャって、セットプレーの練習しないんじゃなかったっけ(笑)? 確かに、ミシャが札幌監督に就任した当初は、セットプレーの全体練習がなく、福森は自主練でセットプレーのボールを蹴る練習をしていたようなのだが、どうも最近は全体でのセットプレー練習もあるらしい。(なお、福森は決勝戦での直接フリーキックを自信をもって決めたようだが、同じような位置からのフリーキックを清水戦で決めたことが自信に繋がったのかな、などと想像すると、屈辱がぶり返す。)

 それで、これは所長の仮説なのだが、ミシャが札幌で、持ち前の攻撃的サッカーと、現実主義を上手く折衷できているのは、四方田前監督がHCとしてチームに留まっていることが大きいのではないか。四方田氏が作った守備のベースやハードワークの徹底があったからこそ、そこに上手くミシャ流の攻撃サッカーをプラスして、札幌は強くなったと思うのである。

 Jリーグでは、こういう具合に、理想と現実を上手く折衷したチームが強くなるというパターンが多い。ミシャが追った理想を引き継いだ森保氏が、現実主義を加えて広島を強くしたり。風間監督のロマン主義の後を受けた鬼木監督が、守備の強度を加えて川崎に栄冠をもたらしたり。札幌の場合は順番が逆で、四方田氏の現実主義の土台の上にミシャの攻撃サッカーを建て増ししたような感じだろう。

 翻って、現下の我が清水は、残留だけを目標に割り切って戦っているという意味では現実主義だが、守備の強度は一向に高まらず、とてもこの上に理想主義や攻撃サッカーを建て増しできるような「土台」は存在しない。仮に今季首尾よく残留できたとしても、チーム再建の道は険しい。

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 リーグ戦の前節、清水VS広島戦のDAZN解説は、興津大三氏だった。正直言うと、この人の解説にあまり感心したことはないが、この試合の中で、「清水は攻める時のバランスが良くない。ボールを失うと、すぐにピンチに直結する。その点が広島との大きな違い」といった趣旨のことを述べていたのには、納得させられた。

 サッカーというのは、攻守が表裏一体になった競技であり、攻めている時にどれだけ守備の備えをしているか、逆に守っている時にどれだけ攻撃の準備ができているかが肝心である。そして、実際に攻守の切り替えをどれだけ素早く実行できるかが、勝負を分ける。

 しかるに、昨今の清水は、攻めている時には、人数をかけてイケイケになり、守備の備えを怠りがち。だから、序盤に圧倒しているように見えても、最初のピンチであっさりと敵に先制されたりする。

 また、相手に押し込まれると、とにかくクリア一辺倒になる。守備からどうやって自分たちの攻撃に繋げていけるかということこそがキモなのに、繋ぐ意識も形もないから、延々と相手に握られる。特に、最近の試合では、前半はある程度やれて、点がとれたりしても、攻撃は前半だけで店じまいということが多い。守勢に回った時に、カウンターをちらつかせることだけでも抑止効果があるのに、それさえ見せないから、ずっと自陣のゴール前に貼り付いて跳ね返すだけという展開になるわけだ。

 それにしても、課題が山積のチームである。

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 去年のJ1順位表も相当奇妙なものだったけど、これまでのところ、今年はさらに変態性が強い。清水は、前節広島に敗れ気分は絶望に近かったが、もしあの試合に引き分けていたら、一桁順位の9位になるところだった。まあ、広島戦はどう見ても必然の敗戦だったけど、試合終了間際に苦し紛れに打ったミドルが相手に当たってコースが変わって入るとか、引き分ける可能性がゼロではなかったはずである。そうしたら、9位だったんだねえ。逃がした魚はでかい。

 第29節終了時点のJ1順位表を眺めると、優勝争いしている鹿島・東京・横浜は、取りあえず「3強」と表現していいだろう。ただし、どのチームにも絶対的な強さは感じないが。

 4位広島から6位川崎までが、大きく勝ち越しており、「良」といったところ。

 7位大分と8位札幌が、だいたい五分の星で、「並」と言えよう。

 勝ち点35で並んでいる5チームを、「弱」と呼ぶことにしたい。清水はこのグループに位置する。

 14位名古屋から17位松本までが、崖っぷちという意味で、「崖」である。

 そして、18位の磐田は、もやは崖っぷちではなく、泥沼なので、「沼」と呼ばせていただく。言うまでもなく、次節清水が沼に負けたら、崖である。

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 エスパルスの戦い振りがパッとしないので、最近はJ3の北九州の結果を見るのを楽しみにしている。今季の最初の頃は気付かなかったのだが、いつの間にかコバさんが北九州の監督に就任しており、いかにもあの人らしく、終盤になってだいぶチーム状態が上がってきた。第28節終了時点で、ギラヴァンツ北九州はJ3首位を走り、2位に4ポイントの差を着けている。北九州は、せっかく新スタジアムが出来たところでJ3降格の憂き目に遭い、気の毒だったが、J2の舞台に復帰する時が近付いているのではないか。

 そして、最近の北九州の好調を、清水からレンタルで出向中の高橋大悟が支えているというのが、嬉しい。夏に加入して、右サイドハーフの定位置を掴み、8試合で5得点。レベルの落ちるJ3とはいえ、本来のシュートの上手さを発揮している。

 今の流れで言えば、北九州は来季J2で戦い、引き続きコバさんがチームを率いる可能性が高いと思うが、そうなると悩ましいのが高橋大悟の去就である。コバさんは大悟を高く評価しているようで、レンタルの延長とか、もしかしたら完全移籍を希望するかもしれない。清水よりも北九州の方が出場機会が保証されているので、判断が難しいところだ。

 まあ、現時点で一番大事なのは、来季J2に上がってくるであろう北九州さんと同じ土俵に、清水が落ちないようにすることだが。

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 昨日は、ルヴァンカップの決勝、川崎VS札幌をTV観戦した。印象に残ったのは、フジテレビによる中継の低劣さで、実況・解説が酷い。解説の清水氏は面白くもないような話を滔々と話し続け、アナウンサーはわざとらしく絶叫してスベり、ピッチ解説の武田氏はそれに割って入って少しでも自分のセリフを増やしたいとベクトルがバラバラで、聞いていて非常に気持ちが悪かった。

 他サポの立場からすれば、川崎と札幌のどちらかに「勝って」ほしいなどと思うはずもなく、負けることをより強く願うのはどちらかという話になる。所長の場合、それは明らかに札幌だ。清水が持っている数少ないタイトルの値打ちを下げてほしくないし、今季の遺恨もある。タイトルなど、10年早いと言ってやりたい。

 そういうことを別にすれば、観ていて面白い試合であり、第三者も、何やら魂を揺さぶられるようなところがあった。2012年に、当時のナビスコ決勝に進出した清水は何のインパクトも残せず、インチキPKで延長戦に持ち込むのがやっとだったけど、今回の決勝は長く語り継がれるであろう名勝負となった。

 それはそうと、昨日の決勝を眺めながら、改めて感じたのは、「2016年J1昇格組は優秀だなあ」ということだ。2016年J1昇格組というのは、2016年のJ2の結果、昇格を果たし、2017年からJ1を戦っているチームという意味である。

 Jリーグの「歴代 昇格・降格クラブ早見表」という便利なサイトがある。これを見て分かるとおり、ある年にJ1昇格を決めた3チームが、3チームとも翌年もJ1残留を果たしたことは、2016年の札幌・清水・C大阪のたった1例しかないのである(昇格チームが2チームだけだった場合は他にもあるが)。この3チームは、J1復帰の2017年だけじゃなく、翌2018年も揃って残留し、本年2019年もその可能性がある(ただし清水がちょっと怪しい)。こんな昇格トリオは、今後もまず出てこないのではないだろうか。

 札幌・清水・C大阪は、単にJ1に定着しているだけじゃなく、リーグ戦で1桁順位になったり、一昨年のセレッソのようにルヴァンで優勝したり、今年の札幌のようにルヴァンで決勝まで進んだり。まあ、そうやって考えると、トリオの中では、清水が一番パッとしない。リーグ戦では確実に残留を決めたいところだし、できれば天皇杯をとって気を吐きたい。

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 天皇杯の戦いは、鳥栖戦のリードした後の試合内容は最悪だったけれど、一応、準決勝進出。思えば結構遠くへ来たもんだ。勝ち上がりはすべて辛勝であり、4回勝ったうちの3回が1:0、残り1回も磐田相手にPK戦で決着を着けたものだった。まあ、逆に言えば、湯水のように失点する今季の清水が、天皇杯に限っては、対戦相手の攻撃力の低さによるものとはいえ、今のところ1失点だけ。その点だけは、まあまあ評価できる。

 清水との対戦相手が決まる準々決勝の神戸VS大分を観たけれど、改めて感心させられるのが、大分の戦い振り。あんなに、安そうな日本人選手ばかりで(おっと失敬)、堂々と戦っているのは大したもんだ。守備の強度なんかは明らかに清水より上。そして、清水とは真逆で、低い位置からでも丁寧に繋ぐ。はっきり言って、低い位置で相手に奪われて大ピンチになることも多く、見ていると「そんなに繋ぐことに、こだわらなくても」と思うこともあるのだが、それでも戦い方がブレない。今の清水のサッカーは残留するためだけの発展性のない代物だが、大分は補強次第ではまだ伸びるポテンシャルを感じる。ただ、試合の方は、両者決定機が少ない中で、神戸が1点を奪って勝利した。

 というわけで、準決勝は、12月21日(土)14:00KO、VS神戸@ノエビアと決まった。何でも、トーナメント表の配置からして、清水は準決勝までは全部アウェーになることが、最初から決まっていたらしい。何という不公平なレギュレーションだろうか。まあ、守備意識の弱い清水がトーナメントで勝ち上がるためには、緊張感のあるアウェーの方が逆に有利だったりするのかもしれない。ノエビアに特別悪いイメージもないし、一応は期待することにしたい。

 しかし、今から2ヵ月後に、清水と神戸がどんな状態なのかは、まったく想像がつかない。特に、神戸はVIPが怪我がちであり、リーグ戦が終わったらとっととバカンスなどということも考えられ、年の瀬のメンバー構成が予想できない。準々決勝の対大分戦で、神戸は安定感はあったものの、やはりイニエスタがいる時の創造性が欠落しており、決め手に欠ける印象だった。

 そして、現時点で、清水、神戸とも、J1で16位になって入れ替え戦に回る可能性があり、その試合は12月14日(土)に設定されている。もしかしたら、清水と神戸のどちらかが、12月7日がJ1最終節、14日が入れ替え戦、21日が天皇杯準決勝などと、怒涛の日程になるかもしれない。

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 昨日のエントリーでは、つい感情的になってしまったが、それも無理もないくらい、とにかく鳥栖相手の戦い振りは情けないものだった。念のためにもう一度言うが、超絶テクを見せてくださいとか、攻撃的に行けとか、そんなことを言っているわけではない。敵の圧力が大して強いわけでもなく、充分余裕があるのに、自分のところにボールが飛んできたら、とにかく蹴り返す、その繰り返しである。清水は、守備力の弱いチームなのだから、攻撃にさらされる回数を増やすのは、危険である。それを、せっかくマイボールになっても、すぐにそれを敵にお返しし、またマイボールになってもまたお返ししと、そんなことを延々と繰り返している。その愚かさに、あきれ果てたまでである。

 清水の選手たちのプレー振りを見ていると、爆弾コントを見せられているみたいだ。彼らにはボールが爆弾に見えているのではないだろうか? 導火線に火の付いたダイナマイトを渡されたやつが、「ひゃ~、怖ぇ」と別のやつに渡し、そいつも、「ぎゃあ、おっかねえ」と別のやつに渡しと、そんな風にしか見えない。そんな渡し方だから、当然、意図のあるパスなんかにはならない。そんなにボールを持つのが怖いなら、サッカー選手をやめてしまえと言いたい。

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 天皇杯鳥栖戦、カップ戦だから、勝ち上がったという結果がすべてとおっしゃる方もおられるだろう。所長だって、喜んでいる皆さんの気分を害するようなことは、あまり言いたくない。しかし、自分が応援しているチームながら、ホント、こいつらのサッカー、大嫌いだ。別に、華麗な妙技で勝ってくれとは言ってない。1点リードしている状況で、相手が圧力をかけてきて、ある程度受けに回るのは、仕方がないだろう。

 しかし、周囲5メートルくらい、敵が一人もおらず、プレッシャーが一切かかっていない場面でも、トラップしてボールを保持したりせず、全部クリアに逃げるのは何故なのか? 相手が1人退場になって、余裕をもってボールを回せるはずなのに、それでもなおドウグラス目がけてロングボールを蹴ることしかできないのは、何故なのか? 試合終盤、なるべく相手にボールを渡したくない状況で、GKがゴールキックを誰もいないところに蹴り、律儀に相手にボールを返し続けるのは何故なのか?

 繰り返すが、華麗な妙技を見せてくれなどということは、まったく言っていない。堅守速攻で、リードしたらブロック守備ということ自体は構わない。しかし、それにしても、ボールを奪ったら、なるべく自分たちでボールを持って、時間を使った方が、合理的に逃げ切れるのである。増してや、今回の鳥栖のようにあまり迫力がなく、しかも1人退場になった相手には。

 ここ何年かで清水に染み付いた「蹴り癖」、今後長くこのクラブを蝕み続けることになるだろう。

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 サッカーのカップ戦というのは不思議なもので、リーグ戦とは違うコンペティションであり、メンバーをそっくり入れ替えたとしても、結構両者は連動するものである。近年の清水の経験を振り返っても、そのことは言える。リーグ戦の勢いがカップ戦にも出るし、翻って、カップ戦の結果がリーグ戦にも伝染したりする。結局は我慢だけのシーズンになってしまった清水にとって、天皇杯は最後の夢。しかも、相手はリーグ戦の残留ライバルである鳥栖。この週末はリーグ戦はないということもあり、全力で勝ちに行く試合であることは間違いないだろう。

 ただ、最近まで入れ替え戦に回る16位に位置していたとはいえ、今の鳥栖は普通に強いチームだと考えた方がいい。今季の前半鳥栖が苦しんだのは、監督の人選の誤りや、トーレスの思い出作りにつき合わされたことによる迷走にすぎなかった。タレントはそれなりに揃っており、今の金監督に代わってからの力は、J1の中でも中位くらいだろう。まあ、鳥栖の順位やチーム状況が依然として苦しいのは事実なので、先方が今日の試合をどう位置付けて戦ってくるかは不明だが、清水にとって「格下」でないことは間違いない。しかも、清水はここ何年か、鳥栖でのアウェー戦で、無残な敗北を繰り返しており、良いイメージが湧かない。

 清水にとって一番嫌なのは、豊田が先発して、最初から放り込んでくることかもしれない。そうされたら、90分間守り切れる気がしない。

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 先日の清水と広島の試合。ともに最近ヨンソン監督に率いられた時期があったり、城福・篠田両氏はFC東京の監督を前後して引き受けたことがあったり、一説には近年清水が城福氏にオファーを出したことがあったりと、監督およびそのスタイルをめぐる機微が交錯した試合だった。論点を整理すれば、以下のとおりではないか。

  • 城福氏は、甲府時代は「堅守速攻」というイメージが強かったが、それは甲府の戦力や位置付けゆえであり、監督本来の志向ではなかった。
  • 城福氏は、2016年にFC東京の監督に就任し、本来の哲学である攻守に主導権を握るサッカーでの勝利を目指したが、その転換が上手く行かず低迷、解任された。
  • 城福氏の後を襲ってFC東京の監督に就任した篠田氏は、堅守速攻をベースにチームを立て直し、見事J1残留させた。しかし、そのオフにフロントの進めた大型補強は、必ずしも篠田監督の意に沿ったものではなかったりして、翌2017年は成績が出ず、篠田監督は9月に解任された。
  • 広島が2017年に残留争いを演じたこともあり、2018年に広島監督に就任した城福氏は、どちらかというと堅守速攻の現実路線を採り、攻撃はパトリックにお任せという雰囲気があった。しかし、2019年は、堅守速攻型から、城福監督が本来志向するポゼション、ゲームコントロール、攻守の主導権といった路線へとアップグレードし、それにより好成績を収めているように思える。

 で、以上のように論点を整理した上で、我が篠田エスパルスについて考えると、今のところ清水は堅守速攻型のチームコンセプトである。ただし、現実には「堅守」ではないので、ロースコアの堅い試合よりも、ノーガードの打ち合いの方が勝率が高いという、チームコンセプトとは矛盾した傾向になっている。

 広島は、本当に上手く、堅守速攻型からゲームコントロール型に転換したと思う。言い換えれば、城福氏は、東京で失敗した課題を、広島では首尾良く実現しつつあるということにもなる。どうだろう、篠田監督には、今のような出来損ないの「堅守速攻」だけではない、さらなる引き出しはあるだろうか? そして、仮にあったとして、選手たちはその転換に適応できるだろうか? まあ、今季残留できた場合の、その先の話だが。

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 今季の清水はリーグ戦で先制点を奪って勝った試合が7試合あるが、そのうち2試合はいったん同点に追い付かれ、その後に突き放したというパターンである。したがって、先制してそのまま優位を保ったり、あるいは点差を広げて勝ったという安定的なパターンは、本当に数えるほどしかない。

 前にも書いたとおり、ざっくり言うと、サッカーでは先制すると、勝ち70%、分け20%、負け10%といった確率であろう。統計は知らないが、先制点をとったチームが追加点を挙げる確率の方が、とられたチームが追い上げのゴールを挙げる確率よりも高いのではないだろうか。しかるに、今季の清水は、どうにも先制点の優位を生かし切れていない。浦和、広島と、2試合連続で逆転負けを食らってしまった。

 ただ、広島戦で、同点・逆転を食らった時に、「まさか」というよりも、「やはり」と感じたサポさんが多かったのではないか。ドウグラスの先制点が31分というのは、明らかに「早すぎた」のであり、残り60分もの長い時間を清水が無失点で切り抜けられるはずはないのである。今季の清水は、前半に先制して、そのままリードを保って勝った試合は、3試合しかないのだから。清水にとって一番良いのは、試合終了間際に勝ち越し点を奪って、残りの守りの時間を短くすること、これに尽きる。

 普通のチームなら、先制点をとれば勝率7割だが、清水はせいぜい5割。それも、早い時間の先制は、ちょっと微妙。「敵に先制されるよりはマシ」というくらいの意味しかないのだ。悲しいかな。

 ただし、先制されても、オープンな打ち合いに持ち込めば、結構な確率で逆転勝ちできたりもする。それが今季の清水の不思議なとこ。

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 先制もできたし、1点差負けなので、一見すると、いわゆる「惨敗」ではなかったようにも思える。しかし、私見によれば、広島戦のこの敗戦は、0:4、0:8の負けに匹敵するくらいに重い。先方としては、ああいう形で先制点をとられるのはもちろん計算外だったろうが、そんなの関係ないとばかりに、その後の試合展開は、完全に広島の掌中にあった。まるで、詰め将棋で詰められるように、必然の敗北を喫したという印象が強い。最終的に1点差に終わったのは、先方は無理に3点目、4点目をとりに行くよりも、清水相手なら1点差で充分逃げ切れるし、そういう試合運びの方が安全だからそうしただけであって、仮に得失点の関係で広島が大量点を必要としていたら、この試合も大差を付けられた可能性が高い。

 痛感したのは、遅攻のクオリティの差である。広島はパスを回せば回すほど相手をはがしていくのに対し、清水はパスを回すとだんだん自分たちが苦しくなってくるという、真逆の構図。後半は、カウンターと、ドウグラス狙いのロングボールしか形を持っていないチームの悲哀がモロに出てしまった。点差以上の完敗だったと言わざるをえない。

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 ドウグラスとヘナトの復帰により、広島戦でブラジル3本柱が揃うかと思いきや、エウシーニョが全体練習に参加しておらず、鎌田の先発が有力だという。

 今季、清水が挙げた勝ち星の中には、エウシーニョの印象的な活躍で掴んだ勝利が少なからずあった。有名な話だが、今季の清水は、エウシーニョが出場した試合と欠場した試合では、勝率が全然違うのだそうだ。

 しかし、個人的には、エウシーニョの存在には依然として、功罪両面を感じる。持ちすぎて、独特なポジショニングをして、トリッキーなプレーをして。確かに、それが上手く行って救われることもあるのだけれど、「そこは普通にクロスでいいじゃん」「今、味方空いてただろ」という場面でも奇抜なプレー選択をしがち。その結果、チーム全体としてのパスの巡りが悪くなり、ボールを奪われてピンチを招いたり、金子が活きなかったりと、明らかな弊害も生じるのである。むろん、功罪比べれば功の方が大きく、欠場が痛いことは間違いないのだが。

 なので、鎌田が先発して、普通のサイドバックらしく、まず守備から入って、機を見て駆け上がり、オーバーラップからのクロスとかね。エウシーニョがいないのなら、そういう「普通のサイドバック鎌田」に期待してみようかと、今は思っているわけである。まあ、試合後に、「やはりエウシーニョの欠場で攻め手がなかった」ということになるかもしれないけど。

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 広島との対戦が迫ってきた。残念ながら、今季、広島の試合は個人的にあまり観ていないので、詳しいことが分からない。確実に言えるのは、失点数24はリーグ3位タイの少なさで、清水はこういうタイトなディフェンスのチームを苦手としているということである。

 一方、広島の得点は清水と同じ40であり、とりたてて多いわけではない。自分たちからガンガン仕掛けていくというよりも、守備から入って粘り強くチャンスを伺い、ここぞという場面で決める勝ち方だろう。要するに、爆発力はないが、試合運びが上手く、安定感があるわけである。

 清水としては、もしかしたら、序盤にビッグチャンスを連発したり、ボールを持つ時間帯を作ったりもできるかもしれない。しかし、仮にそうなっても、実は相手が試合をコントロールしており、相手の掌の上で踊ってるだけだった、なんてことになりかねないのが、広島という相手である。攻めている時もリスク管理を怠らず、一瞬の隙から失点するようなことは絶対に避けてほしい。先制点を奪われてボールを持たされ、試合後に「内容は良かった」などというコメントは聞きたくない。

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 それにしても、しばらく前に出た「ドウグラス骨折判明」という見出しは、あまりにも衝撃的過ぎた。ちょっと、PV稼ぎ目的で、釣り過ぎなのではないだろうか。冷静に考えれば、「以前から小指を怪我していた。良く調べたら骨折だった。オフを利用してその手術をした」ということだから、プレーにそんなに影響がある話じゃない。GKや、あるいは二見だったら(笑)、指怪我したら大変だけど、普通のフィールドプレーヤーへの影響は、最小限なのではないだろうか。

 もちろん、直接手を使わないサッカーとはいえ、テセのように、右肘関節脱臼となれば、出場は不可能だろう。オールドファンの中には、「堀池は肩脱臼しても、その試合最後まで出場して、マンオブザマッチまでとったぞ」とツッコム人がいるかもしれないが、まああれは1つの試合の中だけだから我慢できたのであって、結局その後の試合は欠場したと記憶する。

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mousou

 当S研では、新スタジアム建設を一つの旗印にしているが、久し振りにその話題である。以前、「勝手に妄想! 清水駅前新スタジアムのコンセプト」というエントリーを書いて、上のような妄想図を示したことがある。その際に、1階部分は地震時に津波の到来も予想されるから、思い切って駐車場にしたらいいんじゃないかと書いたが、同時に、いかんせん素人の妄想なので、技術的に可能かとかコストのこととかは分からないと認めておいた。

 そうした中、今般所長が注目したのが、「日本8強の裏で2000人が日産スタジアム復旧尽力」という記事である。

 会場周辺の多目的遊水地も一役買った。近くの鶴見川は過去にたびたび氾濫した「暴れ川」と呼ばれる。12日午後には水位が6・58メートル(通常0・8メートル)まで上がり、普段は陸上競技場などで使われるエリアが遊水地として機能した。鶴見川の流水を一時的にためて、洪水被害も防いだ。会場は1000本以上の柱に支えられた「高床式」で、1階駐車場は80センチの浸水があったが、迅速に管理スタッフが水吸引などの対応を施した。仮に駐車場が水没しても、開催できる体制も整えていた。2階の選手控室や3階のグラウンドの被害はなかった。

 どうだろうか? もちろん、洪水と津波は別物だとは思うが、1階を駐車場にする高床式のスタジアムという実例が横浜にあり、しかも現にそれが防災に役立っているわけで、所長が以前示した「妄想」も案外良い線を行ってたのではという気がしてきた。

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 これは、話題としてはもう古いのだが、所長はごく最近認識するに至ったので、今さらながら取り上げさせていただく。セレッソのFWにブルーノメンデス選手というのがおり、その選手のチャントが反響を呼んでいる。チャント自体はセレッソのコールリーダーが風呂場で鼻歌で作ったものが元らしいのだが、上の動画に見るように、有名なセレ女が仲間4人でそれを楽しそうに歌う様子を自撮りしてSNSで発信したところ、爆発的にバズったということだ。

 実はこの自撮り動画がバズったのにはきっかけがあった。動画が録られたのは、メンデスなどの得点で、ホームでジュビロを2:0と下した試合の後であり、この女子たちの屈託のない喜びの表情と、ゴール裏に挨拶に来たイレブンを罵倒する磐田サポの怒声とがコラージュされ、それで上に見るような面白動画にされてしまったということだ。

 同じ試合の後の両ゴール裏で、まさに天国と地獄という光景が繰り広げられたことが、この面白動画で見事に描き出されてしまったわけである。で、問題はここからだ。一部の頑迷なコアサポが、ツイッターなどで、くだんのセレ女さんを執拗に非難したというのである。ゴール裏で、自撮りなんか録ってんじゃねえよ、と。ちなみに、セレッソのゴール裏はもともと普通の女子でも参加できそうな敷居の低さがあるらしく、攻撃してきたのは、他サポが多かったらしい。結局、彼女は深く傷付き、過去の動画を削除し、ツイッターのアカウントも抹消してしまったそうだ。まあ、J界隈ではかなり知られた話のようだが、事の顛末はこんなところだった。

 さて、この事件から、我々清水は何を学ぶべきか。まず、単純に、ブルーノメンデスのチャントがすごく良いということである。メロディーもノリも振りもシンプルで良いし、「ブルーノメンデス」「バモ」「ゴール」と単語が3つしか出てこないから、子供や一見さんでもすぐに歌える。残念ながら、最近の清水のチャントはそれと逆の場合が多く、スタジアムがまったく一体になれない。コールリーダーさんたちに言わせれば、「俺たちがこんなに必死に新しいチャントを考えてリードしているのに、何で付いてきてくれないんだよ?」ということなのかもしれないが、悪いが貴方たちが一生懸命目新しいメロディーや歌詞を考えるほど、一般サポは付いていけなくなるのである。とにかく、シンプルで楽しくノリが良いものを。貴方たちの過剰な「思い」など、歌詞に込めなくていいのである。

 第2の教訓として、今回はたまたま悪意の標的になってしまったが、やはりこの時代、カワイイ女子+SNSという組み合わせが、情報発信力としては最強という現実だろう。清水というクラブも、色んな努力、工夫はしてくれており、それには頭が下がるが、どうもすべての施策が、「オッサンたちが会議室で考えました」臭がしてしまうのである。とりあえずSNS周りだけでも、感度の高い若者とか女子に全面的に任せてみたらどうか。

 第3に、清水のコアサポにしても、ベテランサポにしても、若い人たちの価値観や行動様式を頭ごなしに否定するようなことをしては、絶対に駄目ということである。そんなクラブに、未来はない。もちろん、ゴール裏に来たのに、タピオカミルクティー飲みながらキャッキャ自撮りだけしている女子グループがいたら、「おいおい、君たち」と注意してもいいと思うが、「試合中だから一緒に応援しようよ」「ここはちょっと特殊だから、他の席の方がいいよ」などと優しく接してあげるようにしたい。

 最後に、上掲動画に見るように、磐田サポの「死ね」「土下座しろ」は、SNSに乗って全国に拡散され、永久保存されることになってしまった。こういう時代には、清水サポの皆さんも、ヤジ、罵声はほどほどにした方がいいですよ。

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 J1が、世界でも稀に見る混戦になりがちな、大きな要因の一つは、ACLである。Jの強豪チームは、日本の中ではビッグクラブであっても、欧州のビッグクラブのように、2チームくらい楽に作れるような選手層があるわけではない。ACLは、移動や遠征先の環境なども、過酷な場合が少なくない。これがJの強豪チームから体力を奪い、国内リーグ戦で下位が上位に一泡吹かせる可能性を高めるわけである。特に、先方がミッドウィークにACLを戦い、週末に我が清水とリーグ戦で戦うようなケースは、我が軍にとってチャンスのはずである。

 ところが、今季清水はここまで、川崎、鹿島、広島、浦和というACL組に対し、0勝・2分・5敗。そもそも、ACL組は強いチームなわけだから、苦戦するのはやむをえないにしても、先方の「ACL疲れ」を一度も活かせなかったのは、大問題だと思う。

 整理をしておくと、まず今季の清水の開幕戦は、広島が相手で、先方は4日前にACLのプレーオフを戦ったばかりだった。ただ、それはホームだったし、相手も強豪というわけではなく、それほどJ開幕戦への影響も残らなかっただろう。広島VS清水は1:1に終わった。

 清水にとって一番まずかったのは、浦和との対戦だ。4月のホーム戦は浦和がACLから中3日(しかも韓国遠征)だったのに0:2敗戦、10月のアウェー戦も浦和がACLから中3日だったのに1:2で敗れた。ともに、先方の「ACL疲れ」を活かせず。はっきり言って今季の浦和は、「ACLと清水戦でしか勝ってない」という感じである。

 さて、清水が5月にアウェーの鹿島戦で0:3で敗れたのは、ACLとは関係なかった。問題は、9月1日のホーム鹿島戦である。先方は、中国広州への過酷なACL遠征から中3日で疲労困憊のはずであり、この相手をたたけなければ恥という状況だったが、何とその試合で0:4惨敗。

 5月、川崎にホームで0:4と敗れ、監督の首が飛んだ時も、先方はACLから中4日だった。こうして見ると、清水はACL疲れに付け込むどころか、むしろACLを戦ったばかりの相手を苦手にしていると言った方がよさそうである。8月にはアウェーで川崎と2:2で引き分けたが、先方はすでにACLで敗退していたので、これは関係ない。

 そんなわけで、次節広島戦。広島もとうにACL敗退しており、疲労云々の要因はもう関係ない。いずれにしても、最後に一つだけでも、ACL組に勝ってほしいと思うわけである。

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 浦和戦の後半に松原がペナ内で浮き球を処理した場面が、DAZNの「ジャッジリプレー」で取り上げられていて、「あの場面はハンドでPK、松原にはイエローカードが相当」というのが番組の結論だった。カードの色については、あのまま流れても浦和の決定機になったという確証はなく、決定機阻止とまでは言い切れないので、レッドではなくイエローが妥当と解説されていた。

 鳥栖VS東京戦では、試合終了間際に誤審によってゴールが認められ、それによって首位戦線も残留争いもモロに影響を受けることとなった。それとは違って、浦和VS清水戦では、結局清水が敗れたことから、くだんの松原のプレーは、試合結果に影響したわけではない(もしかしたら、清水が早めに勝ち越し点を奪われた方が、反撃の時間が長く残されて、かえって同点に追い付ける可能性が高まったんじゃないかとか、ちょっと夢想もしたくなるが)。まあ、いずれにしても、負け試合の中の一幕にすぎなかった。

 ただ、もしも番組の結論のように、松原にイエローが出ることが妥当だったとしたら、彼はリーチがかかっているので、次節出場停止になったかもしれず、そのことの影響は非常に大きかっただろう。何しろ、うちのフィールドプレーヤーでは唯一、先発フル出場を続けているので。

 次節、もしも松原を欠いたら、左SBはどうしていただろうか? 二見をサイドに回して、立田がCB? それとも、福森が左SBでデビュー? まあ、そういう意味では、清水にもまだツキはあるのかもしれない。

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 数日前から報道では伝えられていたテセの腕の怪我についての情報がクラブから正式に発表され、右肘関節脱臼で全治までは8週間を要する見込みということである。

 浦和との公式戦で名誉の負傷を負ったというならともかく、失礼ながら名前も聞いたことのないようなチームとの練習試合で大怪我というのが、そもそも微妙である。最近の清水の負傷者、公式戦よりも練習試合の方が多く出ているような印象があるのだが、どうなっているのだろうか?

 大黒柱のドウグラスが体調不良を起こしている上に、左手小指の骨折が判明したということである。骨折判明という文字がネットに踊った時には絶望的な気持ちになったが、サッカー選手で手の小指の骨折がプレーにどの程度影響するのかは、良く分からない。

 一つだけ確かなのは、ドウグラスが万全でなくなり、今こそテセの力が必要という時に、肝心のテセが長期離脱という、そのことのもどかしさである。もちろん、一番悔しいのは本人のはずであり、責めるのは酷であるが、とにかくやりきれない思いだ。

 「ドウグラスと心中」と開き直って戦ってきたシーズンだった。ここまではそれが上手く行っていたが、最後にツケが回ってきた形だ。

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