エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

2017年01月

 岡山2:清水2 得点者:鄭大世、白崎凌兵

 最近、エスパルスの公式HPを10分置きくらいにチェックしているのは所長だけではないと思うが、「大前についての発表は?!」と固唾を呑んでいるところで水谷の発表が出たり、「今日あたり超大物の加入発表か?!」と期待してアクセスしたら「必勝祈願」の予定が出ていて「補強じゃなくて神頼みかよ」とツッコミを入れたり、「長谷川悠がどうしたっ?!」と色めき立ったら第一子誕生のお知らせだったり、絶妙に脱力させてくれる。もちろん、お子さん誕生はおめでたいですけどねえ。

 突然ですが、クイズです。清水エスパルスの歴史上、初めてキックオフを1人だけで行った選手は誰でしょうか? 答は石毛秀樹。周知のように、2016シーズン、キックオフのルールが途中で変わり、J2ではこの第21節から新ルールが適用され、後半開始のキックオフを、石毛が1人でセンターサークルに入って、後ろに戻す形で行ったのでした。

 さて、2016シーズンの振り返りも、ようやく半分まで来た。この岡山戦、リオ五輪の代表選手が決まった直後の試合であり、岡山の矢島がJ2から唯一当選、清水の三浦は落選という明暗があった。三浦本人は「フル代表を狙う」とすぐに切り替えたそうだが、現実的にはもう何年も清水からは代表プレーヤーが生まれておらず、そうした思いが後の「成長したい」と言い残してのガンバ移籍に繋がったのかもしれない。また、清水側では、前節に続き石毛が先発出場、3~4本ほどの決定的なシュートを放った(入らなかったが)。今となっては、「この試合の印象が良くて、シーズン終了後、岡山への移籍が決まったのか」なんて気もしてくる。もう一つ、この日は岡山のGK中林が大当たりで、シーズン終了後には広島への復帰が決まることになる。2017年にその穴を埋めるのが、清水からのレンタルの櫛引とか(レギュラーをとれるかどうかは知らないが)、2017シーズンに向けた異動が明らかになった今この試合を観ると、色々考えさせられる。

 2016シーズン、岡山との闘いは、アウェー・ホームとも、死闘だった。この7月の対戦では、清水の攻撃が80点で岡山の守備が80点、清水の守備が60点で岡山の攻撃が60点といった印象で、引き分けは妥当だったかな。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 山口0:清水4 得点者:白崎凌兵、石毛秀樹、北川航也、村田和哉

 そう言えば、舛添要一が残した、「違法ではないが、一部不適切」って、かなりの名言だし、ギャグとして使い勝手も良かったけど、2016年の流行語大賞に選ばれなかったね。いやね、大前の移籍騒ぎで、ちょっとそのフレーズを思い出した次第。

 閑話休題。何だか、もうすっかり、2016シーズンの余韻に浸る雰囲気ではなくなっちゃったけど、6月のアウェー山口戦。2016シーズンで最も完勝に近かった試合の一つだろう。ショートパスでリズムを作ろうとする山口に対し、清水は前線から激しいプレスをかけ、特に敵のキーマンであるボランチの庄司に仕事をさせず、山口は慣れないロングボールに頼るしかなくなり、相手にほとんど攻撃をさせなかった。タイトな守備からの長短のカウンターを炸裂させた清水が、4得点を奪って圧勝したと、そんな試合だった。所長がこの試合から受けた感想は、「山口は清水にとって最もやりやすいタイプ」というものであり、まさか2ヵ月後にホームで大苦戦することになるとは予想できなかった。

 2016シーズンで、石毛の唯一の得点が生まれたのが、この試合。先制の白崎のゴールに繋がるスルーパスを出したのも石毛だし、金子に代わるフォワード起用に応えた形だった。それから何試合か、先発のチャンスを与えられたんだけどねえ。。。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 当ブログでは、移籍報道に一喜一憂したりという姿勢は、表向きはあまり見せていないが、この話題には触れないわけには行くまい。

 個人的には、2016年、皆の団結により、奇跡の自動昇格を成し遂げたという充実感に、もう少し浸っていたかったというのが本音だ。まだ、「プレイバック2016」のシリーズも、半分くらいしか終わっていないし。それが、昇格劇の登場人物だった選手たちの移籍話がちらほらと出始めて、興を殺がれたような感じになり、果ては大前元紀の移籍決定となると、あの団結、一体感、感動は一体何だったのだろうかと、白けた感情を抱いてしまう。皆でJ1復帰を勝ち取り、その勢いのままJ1に殴り込みをかけると、そこまで込みでの昇格物語ではなかったのかと、大きなわだかまりを感じる。

 まあ、しかし、大前元紀が清水ではなく大宮でプレーしたいと言うのであれば、そのこと自体はやむをえない。キャプテン、10番、2度目のゼロ円、大怪我からの復活ドラマ、「ここまで引っ張って、最後は金か?」など、サポの立場から言いたいことは山ほどあるが、決まってしまったことに、あーだこーだ言ったところで、何の足しにもならない。

 所長の見るところ、大前元紀の移籍は、どちらかと言うと、象徴的・精神的な痛手という側面が大きいと思う。逆に言えば、戦力面での打撃は、彼が2016年にたたき出した18ゴールという数字ほどは、意外と大きくないのかもしれないという気がしている。

 結局のところ、大前元紀は「ポジション争い」に敗れたのだと思う。この場合の「ポジション」というのは、単に先発のフォワードという意味ではない。清水の象徴、中心、王様としての確固たるポジションを失ったということだ。実のところ、2017シーズンに大前がフォワードのレギュラーとして活躍し、チームのトップスコアラーになること自体は、依然として可能だろう。しかし、2016シーズンの後半戦を見れば、大前がもはや絶対的なエースではなく、彼を中心にチームが回っているわけではないことは、明白だった。象徴的なことを言えば、PKのキッカーも、大前元紀から鄭大世に代わった。清水が2016年夏から徹底するようになった2トップによるプレス戦術に最適な組み合わせはテセ・金子であり、実際にも大前の不在中にチーム成績は上向き、テセがエースの座を不動のものにしていた。むろん大前復帰後は2トップの基本的組み合わせはテセ・大前に戻ったものの、大前は得点だけに集中するというよりは、テセにどやされて守備に奔走する役回りに転じたわけである。J1復帰決定後、大前は、「あの怪我がなければ、ぶっちぎりでJ2優勝していたはず」と強弁していたが、本人の怪我前の昨年5月頃の清水の闘い振りを思い出せば、残念ながら、そう信じる根拠はない。

 2016年序盤の大前の得点王争い快走 → 大怪我 → 復帰 → J1昇格というドラマには、王位を失った大前が出て行くという続きがあったのだ。今となっては、そう考えるしかない。むろん、これからもまだ物語は続いていくだろう。

 本人は最近、2017年の目標として、「とにかく代表に入りたい」と発言していた。残念ながら、清水からはもう何年も日本代表選手は出ていないし、ハリルホジッチがJ2上がりの地方クラブを視察に来るとも思えない。2018年のワールドカップを目指すなら、2017年にJ1得点王をとるくらいの活躍が必要。それに近付けるのは、もはや自分が中心でない清水よりも、玉座を用意してくれているらしい大宮かもしれない。ならばそれに賭けてみようと、そんな思いに傾いたのではないか。むろん、それに加えて、金銭面の隔たりも大きかったのだろうが。

 大前のことは決まってしまったので、もうどうしようもないが、これが、若手にとっての変な先例みたいになってしまわないことを、願う。そうならないためには、清水というクラブのブランド価値を上げていくしかない。

 個人的に、本件に納得したとか理解を示すということではなく、自分なりにこのように気持ちを整理してみた、といったところ。大宮との対戦で、ブーイングとかでもいいけれど、大前のチャントをマイナーメロで歌うとか(笑)、そのくらいのことはしてもいいと思う。ただ、「大前キラーとして、町田から井上の獲得を」とか、そういう品のないことを言うのはやめましょうね。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 清水1:千葉1 得点者:鄭大世

 ヴェルディに負けてネジを巻き直してから、群馬戦の大勝を皮切りに、結果的には9戦負けなしを続けることになり、この千葉戦はその5試合目だった。しかし、その9戦負けなしは、5勝4引き分けであり、一頃に比べれば安定はしたものの、「勝ち切れない」という印象の方が強かったこの時期である。また、当時の清水には「3連勝の壁」というのがあり、このホーム千葉戦も3連勝がかかっていたのだけれど、またしても勝ち点3を逃したと、そんな試合だった。

 この試合、やはり問題は失点シーンだろう。2016シーズンに何度かあった、相手のドリブルにズルズル下がり、まともなシュートブロックにも行かず、豪快なミドルを突き刺されたという失点。ただ、一流のGKなら止めていたのではないかと思われるシュートだったのも事実。西部離脱後の杉山力裕のプレー振りは、まあまあ普通だったのではないかと個人的には思っているのだが、このあたりから、ミドルシュートに上手く反応できなかったり、若いディフェンスラインとキーパーの連携の悪さを突かれたりするシーンが散見されるようになった。前にも書いたが、リキはどうも失点をすると落ち込んでどんどんパフォーマンスが落ちていくタイプに見受けられ、その悪いスパイラルにはまり始めたのが、この時期だったのではないかと思う。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 1月8日に草薙で開催された、日韓代表のOBたちによるレジェンドマッチ、BS朝日で放送していたので、それを眺めてみた。あいにくの冷たい雨が降り注ぐ天気であり、大榎氏をはじめ、両国選手はブルブルと震えるような様子で入場。あのお天気では、選手も、観客も、罰ゲームに近い感覚があっただろう。もっと良い天気でお客さんも沢山入ったら、日本チームももっと頑張ったかもしれないが、ああいう厳しいコンディションではどうも韓国チームの方がたくましさを発揮する傾向があり、試合は4:0で韓国が完勝。ついでに言えば、冬枯れした草薙の芝生は、1980年代を思い出させる懐かしくも物悲しい風景だった。清水のOBでは、大榎、澤登、三浦ヤス、齋藤などの各氏が出場したが、あまり大きな見せ場はなかった。唯一の現役プレーヤーとして特別出場した小野伸二も清水OBと言えばOBだが、大事なシーズンを控えた時期であり、無難なプレーに終始していた。現役のフル代表による日韓戦の前座試合として、OB戦をやったら、かなり本気度が増して盛り上がりそうな気もするけど、いかんせん今回は「寒い」だけの試合だった。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 清水3:横浜0 得点者:枝村匠馬、村田和哉2

 ゲンキの長期離脱が確定的となり、暗澹たる気分を抱えながらも、「何とか彼のためにも良い戦いをしよう。そして、残された者たちが団結し、シーズン終盤にゲンキが帰ってくる頃には、何とか昇格を狙える位置に着けていたい。」そんな雰囲気の中で迎えた、ホーム横浜FC戦。

 それにしても、いわば代役として起用された金子翔太が、鄭大世と絶妙な化学反応を起し、テセが得点を量産するとともに、清水が安定して勝てるようになるとは、この時はまだ誰も想像しなかっただろう。金子の献身的な守備により、テセが点をとることに集中できるようになっただけでなく、チームが攻守に機能し始めた。

 もっとも、テセ+翔太の2トップのお披露目となったこの横浜戦では、まだフォワードの爆発という感じでもなく、シュート数も伸び悩んだ。得点を直接生み出したのはむしろMFであり、右サイドハーフが3得点を決めた。特に村田は左足シュート、右足アウトサイドと、多彩なシュート技術を披露。さすがは、ゲンキから「攻撃はお前が引っ張ってほしい」と託されただけのことはある。

 他方で、若いディフェンスラインはまだだいぶ不安定であり、特に犬飼あたりとGKの連携が悪い場面があって、その後千葉や札幌にそこを狙われたのだろう。それから、この当時右サイドバックを任されていた川口は、どうも相手のマークを外して決定的なピンチを招く傾向があった。

 かくして、大前元紀なきエスパルスが、再スタートを切った。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 町田1:清水2 得点者:大前元紀、北川航也

 2016シーズンいくつかあったターニングポイントの中でも、最も重要なそれとなったのが、このアウェー町田戦だった。言うまでもなく、この時点でJ2得点王であった大前元紀が大怪我を負い、その後3ヵ月も離脱を余儀なくされる原因となった試合である。改めてこの試合を観てみると、ゲンキの負傷退場には伏線があり、まずこの試合を裁いていた主審がビミョーなオーストラリア人で、普段のJのそれと異なるニュアンスの笛に、序盤から明らかに両チームの選手は苛立っていた。そうした流れで、30分過ぎの清水陣のコーナーキックの場面で、ポジション取りの中でゲンキが相手選手と小競り合いになり、余計な手出しをしてイエローカードをもらう。その険悪な雰囲気を引きずったままのコーナーキックで、多分に報復的に、敵に真空飛び膝蹴りを浴びせられ、落下時にも駄目押しを食らって、病院送りとなったものである。

 くだんの負傷シーンはさておき、この試合、清水の試合内容は前節の水戸戦に負けず劣らず酷いものであった。4本のシュートで、良く2点もとったものである。今、録画を観返してみても、82分の北川航也の痛快な抜け出しからの得点のみが唯一のカタルシスであり、それ以外はすべて苦痛というか、そのくらい苦しい試合だった。特に、若く経験のないディフェンスラインが、ずるずる下がったり、ラインが揃わなかったり、ボールウォッチャーになったりと、だいぶ未熟さを露呈していた。勝利できたのは、ただただ幸運と、相手の決定力不足のお陰だった。

 ことほどさように、ボロボロの試合だったが、枝村が右サイドハーフでシーズン初先発し、夏以降の清水の基礎的な攻撃布陣が、この試合でようやくその姿を現したことは、記憶しておいていいだろう。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 水戸0:清水0

 前節の8:0大勝の余勢を駆って、ルンルン気分で敵地に乗り込んだサポさんも多かったことだろう。かく言う所長もそうである。「贅沢は言わん。4:0くらいで勝ってくれれば充分(笑)」なんて心境だった。それが、終わってみればまったく見せ場なしの、スコアレスドロー。前の試合で8点をとったチームが、シュートわずか3本に終わるのだから、分からないものである。

 とにかく、強風に翻弄された試合ということに尽きる。前半はあえて風下を選んで耐え忍び、風上に立つ後半に勝負をかけるという作戦をとったが、完全に空回り。後半、ロングボールが流れていき、清水の攻撃陣がそれに追い付けないというシーンが続くたびに、心の中で「学習能力!」と叫んだものだった。選手同士でもまったく意思の疎通ができていなかったし、観ている側はストレスをため込むばかりの試合だった。

 波に乗れそうで、乗り切れなかったこの時期。所長は水戸に行ったことがなかったので、良い機会だと思い現地参戦したが、この頃から、「あれ? J2は1年限りのはずだから、今のうちに色んなところに行っておこうと思っていたけど、この分だと、焦らなくても大丈夫?」なんて思い始めたものだった。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 清水8:群馬0 得点者:白崎凌兵、鄭大世2、大前元紀2、村田和哉2、金子翔太

 説明の必要もあるまい。もはや伝説となった群馬との一戦。開幕当初、ホームで点がとれなかったことが嘘のように、8得点をたたき出した。8得点はクラブ新記録でJ2タイ記録、得点差8もJ2新記録だった。これ以降、ホームではほとんどの試合が複数得点となり、福祉基金にも大いに貢献することになった。

 途中出場の金子翔太が清水での初得点(2015シーズン栃木では1得点していた)。我ながら、目が節穴としか言いようがないが、確かに金子は溌剌とした面白いアタッカーだけれど、彼がプロのトップレベルで通用するかということに関しては、所長は少々懐疑的だった。まさか彼が、「陰のMVP」と称えられるような、J1復帰の立役者になろうとは、この頃はまだ想像できなかった。

 6点目に繋がった松原の粘りは、良かったねえ。やつはあれで自分のポジションを確立した気がする。

 この群馬戦、清水は過去4試合で1分け3敗というという最悪の状況で迎えた試合で、所長も気が重く、つい現地観戦を回避、クラブ新記録の8得点を生で目撃するチャンスを逃してしまった。雨の中駆け付けた8000人あまりのお客さんは、勝ち組でしたな。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 ヴェルディ2:清水1 得点者:白崎凌兵

 誰もが知っているように、清水の2016年シーズンにおいて、このヴェルディ戦は大きなターニングポイントになった。

 まず、メンバー構成。初めて、河井がボランチで、白崎が左サイドハーフで起用され、また左SBの松原も初先発。これが、その後のテッパンの布陣になっていくことは、周知のとおりである。また、センターバックでは角田とヤコの2人がやはり初先発したが、これはむしろ犬飼および三浦を欠いたがゆえの窮余の策という面があった。

 新たな役割を与えられた選手たちのうち、河井は試合開始直後にミスをして敵にシュートまで持ち込まれる場面があり、小林監督は河井に「あれが入っていたらお前はクビだったぞ」と冗談めかして通告したらしい。ちなみに小林監督は就任当初から、「河井はボランチができる」と目を付けていたと言われ、とにもかくにも、2016シーズンのキモとなるボランチ河井が誕生したのが、この第14節だった。一方、当初センターフォワードで起用されていた白崎は、サイドハーフにポジションを移し、わずか6分で得点という結果を出した。これも、その後のエスパルスにとってきわめて大きかったことは、言うまでもない。本人も後に発言していたとおり、この試合の白崎はキレキレで、先制した後も2つほど決定機があり、どちらかが決まっていれば、この試合の結果も違っただろう。やはり初登場の松原は、だいぶ危なっかしかったが、白崎が好調だったからこそ、不安定な松原を助けることができたと、白崎本人が語っていた。

 そんなわけで、その後のエスパルスの浮上に繋がっていく要因がいくつか見られた試合ながら、結果は敗戦。2016シーズン、唯一の逆転負けだった。この試合の前までヴェルディは9戦勝ち無しだったそうで、とにかくヴェルディがものすごく頑張った試合であり、色々と手探り状態だった清水に比べ、ヴェルディの戦い振りの方が迷いがなかった。

 このヴェルディ戦の敗戦を受け、首脳陣は静岡に取って返し、ほぼ徹夜で緊急会議。選手たちは、西部の提案で、青空ミーティング。戦術的には、FW2人が相手のボランチにプレスをかける方法を徹底することになるわけである。2016シーズンの清水が、まさに底を打ったのが5月22日であり、その危機感が強かったからこそ、その後の浮上があったと言える。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 元日に行われた天皇杯の決勝は、絵に描いたような予定調和と言おうか、川崎が美しいパスワークでゲームを支配しながら、鹿島得意のセットプレー2発(コーナー崩れも含む)にやられた。川崎は初タイトルを逃し、鹿島は何と19個目のタイトル獲得だと言う。

 皮肉を言わせてもらえれば、鹿島のホームタウンとして5つの市が挙げられているが、それらの人口を全部足しても、40万人足らずだろう。その40万人が、日本に存在するサッカーのタイトルをこれだけ独占してしまうというのは、なかなか考え物である。

 川崎サポさんたちのSNSを拝見すると、むろんタイトルを逃したことへの落胆を見せながらも、「内容はうちの方が上だった」とか、「楽しいサッカーを作ってくれた風間監督に感謝」とか、「これからがますます楽しみ」とか、意外に前向きな反応が散見される。

 それにしても、サッカーというのは変な競技だと、つくづく思う。たとえば、100メートル走でボルトが負けて、「でも内容はボルトの方が上だった」なんていうことはありえないだろう。浅田真央ちゃんが負けて、「でも真央ちゃんが一番良かった」という話も成り立たない(採点競技だから、一番良かった選手がトップになるはず)。野球でも、「負けたけど内容は上だった」とか、「我々の方が美しかった」なんてことを言ったら、明らかに負け惜しみである。そういうことを言って、何となくもっともらしく響いてしまう唯一のスポーツ競技が、サッカーなのだと思う。

 確かに川崎さんの崩しとかは見事で見応えがあるが、かといってあんなあっさりとセットプレーでやられていたら、タイトルには近付けない。2失点の場面だけでなく、他にも危なかったコーナーのシーンが2つくらいあったわけで、そう考えればV逸は必然と言わざるをえない。むろん一定水準の内容や技術がなければ勝てず、川崎さんはそれをきわめて高いレベルで満たしているが、本当に勝負を分けるのはもっと別の部分にあるということを、今回の天皇杯決勝は改めて思い知らせてくれた。

 それから、川崎さん、清水の関係者として言わせてもらえれば、タイトルというのはとれる時にとっておかないと、その後に待ち受けているのは、恐ろしい反動期であり暗黒時代かもしれないんですよ。確かに、現時点の川崎さんのサッカーは美しく楽しいかもしれないけれど、監督の交代や選手の入れ替わりもあるわけで、輝きというのは永続するものではないのだから。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 清水0:徳島1

 そんなわけで、年を越しても、まだ2016シーズンの振り返りを続ける。

 このホーム徳島戦は、まさにどん底だった時期の試合。自動昇格なんてとてもイメージできず、「J2とも長い付き合いになるな」なんて思いが頭をもたげた時期だった。こりゃ完全にジェフさんパターンだな、と。

 お互いに、完全に崩したような決定機は少なく、コーナーキックの精度とその守備が勝敗を分けたような試合だった。

 この試合のトピックとしては、61分に福村に代わって枝村が左SBで出場したことか。この時点で小林監督は福村に見切りをつけたということだったのかもしれない。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 新年明けましておめでとうございます。至らぬブログですが、本年もどうぞよろしくお願いします。

shimizu

 年末に静岡新聞のサイトを眺めていたところ、「清水まちづくり構想着手 新病院と新庁舎が核」という記事があった。ちょっとだけだが、新スタジアムへの言及もあったので、取り上げさせていただく。記事には、「現在は駐車場などが点在する清水駅東側などでサッカースタジアムや複合ビルなど大規模開発の可能性を模索する」とある。上掲の地図も、同じ記事から拝借したものである(スタジアム候補地が具体的にどのあたりなのか、良く分からないが)。

 2017年は、清水がJ1に復帰する年だし、それのみならず、J1が大きく変貌していく、元年のような年になるだろう。言うまでもなく、DAZN(ダゾーン)という外資かつ新メディアに乗っかることによって、Jリーグは経営規模を大きく拡大しようとしている。そして、従来は「どんぐりの背比べ」という様相が強かったリーグにおいて、今後は放映権収入を傾斜配分し、意図的に一握りのビッグクラブを育成する方向に舵を切ろうとしている。現在の趨勢から言えば、浦和、ガンバ、横浜FMといったあたりがその座をうかがっており、また新国立競技場を五輪後に球技専用にしてFC東京の本拠地にとか、果ては鹿島がそこに移転(?!)といったきな臭い話もある。一部のビッククラブと、その他大勢という、容赦ない選別が進んでいく可能性がある。もうJ2上がりのチームが昇格初年度にJ1優勝とか、そういうおとぎ話のようなことはなくなるだろう。

 他方で、日本の財政危機、少子高齢化、地方都市の衰退といった構造的な問題が、いよいよ待ったなしになりそうな、そんな不安もある。上掲の清水のまちづくりに関する記事でも防災対策が主要テーマとして語られているように、南海トラフ地震および津波への対策も急務だし。さらに先の話をすれば、10年後くらいに東京~名古屋間でリニアが開通した時に、ルートから外れた静岡という街は果たしてどのような位置付けになるのかというのも、不透明な要素である(逆に東海道新幹線のダイヤ編成の自由度が増して、静岡にのぞみが止まったり、静岡空港新駅ができるなんていう希望的観測もある)。

 こうした厳しい経済情勢の中で、サッカークラブのエスパルスを支えていくというのは大変ではあるが、願わくば、エスパルスの躍進と新スタジアムの建設が地域の活性化に貢献できるような、そんな未来を皆で築いていきたい。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

↑このページのトップヘ