当ブログでは、移籍報道に一喜一憂したりという姿勢は、表向きはあまり見せていないが、この話題には触れないわけには行くまい。

 個人的には、2016年、皆の団結により、奇跡の自動昇格を成し遂げたという充実感に、もう少し浸っていたかったというのが本音だ。まだ、「プレイバック2016」のシリーズも、半分くらいしか終わっていないし。それが、昇格劇の登場人物だった選手たちの移籍話がちらほらと出始めて、興を殺がれたような感じになり、果ては大前元紀の移籍決定となると、あの団結、一体感、感動は一体何だったのだろうかと、白けた感情を抱いてしまう。皆でJ1復帰を勝ち取り、その勢いのままJ1に殴り込みをかけると、そこまで込みでの昇格物語ではなかったのかと、大きなわだかまりを感じる。

 まあ、しかし、大前元紀が清水ではなく大宮でプレーしたいと言うのであれば、そのこと自体はやむをえない。キャプテン、10番、2度目のゼロ円、大怪我からの復活ドラマ、「ここまで引っ張って、最後は金か?」など、サポの立場から言いたいことは山ほどあるが、決まってしまったことに、あーだこーだ言ったところで、何の足しにもならない。

 所長の見るところ、大前元紀の移籍は、どちらかと言うと、象徴的・精神的な痛手という側面が大きいと思う。逆に言えば、戦力面での打撃は、彼が2016年にたたき出した18ゴールという数字ほどは、意外と大きくないのかもしれないという気がしている。

 結局のところ、大前元紀は「ポジション争い」に敗れたのだと思う。この場合の「ポジション」というのは、単に先発のフォワードという意味ではない。清水の象徴、中心、王様としての確固たるポジションを失ったということだ。実のところ、2017シーズンに大前がフォワードのレギュラーとして活躍し、チームのトップスコアラーになること自体は、依然として可能だろう。しかし、2016シーズンの後半戦を見れば、大前がもはや絶対的なエースではなく、彼を中心にチームが回っているわけではないことは、明白だった。象徴的なことを言えば、PKのキッカーも、大前元紀から鄭大世に代わった。清水が2016年夏から徹底するようになった2トップによるプレス戦術に最適な組み合わせはテセ・金子であり、実際にも大前の不在中にチーム成績は上向き、テセがエースの座を不動のものにしていた。むろん大前復帰後は2トップの基本的組み合わせはテセ・大前に戻ったものの、大前は得点だけに集中するというよりは、テセにどやされて守備に奔走する役回りに転じたわけである。J1復帰決定後、大前は、「あの怪我がなければ、ぶっちぎりでJ2優勝していたはず」と強弁していたが、本人の怪我前の昨年5月頃の清水の闘い振りを思い出せば、残念ながら、そう信じる根拠はない。

 2016年序盤の大前の得点王争い快走 → 大怪我 → 復帰 → J1昇格というドラマには、王位を失った大前が出て行くという続きがあったのだ。今となっては、そう考えるしかない。むろん、これからもまだ物語は続いていくだろう。

 本人は最近、2017年の目標として、「とにかく代表に入りたい」と発言していた。残念ながら、清水からはもう何年も日本代表選手は出ていないし、ハリルホジッチがJ2上がりの地方クラブを視察に来るとも思えない。2018年のワールドカップを目指すなら、2017年にJ1得点王をとるくらいの活躍が必要。それに近付けるのは、もはや自分が中心でない清水よりも、玉座を用意してくれているらしい大宮かもしれない。ならばそれに賭けてみようと、そんな思いに傾いたのではないか。むろん、それに加えて、金銭面の隔たりも大きかったのだろうが。

 大前のことは決まってしまったので、もうどうしようもないが、これが、若手にとっての変な先例みたいになってしまわないことを、願う。そうならないためには、清水というクラブのブランド価値を上げていくしかない。

 個人的に、本件に納得したとか理解を示すということではなく、自分なりにこのように気持ちを整理してみた、といったところ。大宮との対戦で、ブーイングとかでもいいけれど、大前のチャントをマイナーメロで歌うとか(笑)、そのくらいのことはしてもいいと思う。ただ、「大前キラーとして、町田から井上の獲得を」とか、そういう品のないことを言うのはやめましょうね。

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