エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

 スタジアムで生観戦していると、清水の選手にばかり目が行きがちで、相手のチームのことはなかなか冷静に見れない。仙台戦も、DAZNの見逃し配信で改めて観てみると、「ほう、先方はこんな戦い方をしていたのか」ということに、遅れ馳せながら気付いたりする。いくらDAZNの編集クオリティが低くても、テレビ観戦にはそれなりのメリットもあるなと感じる。

 で、仙台戦を改めて画面で観て、痛感するのは、仙台側の野津田が本当に効いてたんだな、ということ。水を得た魚のようにプレーしている。レンタル選手なのに、生え抜きの10番みたいな存在に見える。改めて、小林清水は、何で彼を有効活用できなかったんだろうと、惜しまれる。最初は、「コバさんが、無理にボランチなんかやらせたから、いけなかったのかな?」なんて思ったが、今回の清水戦で野津田は後半途中からボランチに下がり、それによってさらに真価を発揮していた印象すらあり、ポジションの問題じゃあないな、と考え直した。

 逆に言うと、広島のレンタル・ポリシーというのは、なかなか不思議である。上手く使えばここまで働く野津田を新潟~清水~仙台と貸し出し続け、才能は折り紙付きの川辺を磐田に何年も貸し、どう考えても次世代の中心選手である茶島を現在千葉にレンタル中と、気前が良すぎである。

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 昨日、清水のスローインに関する駄目出しをし、そのような問題提起をした以上、印象論で語っては駄目で、しっかり検証してみようと思って、清水のスローインに注目しながら、仙台戦を全部観直してみた。

 ただ、いつも文句を言っているように、DAZNの放送は本当にボールに集中してくれない。放送の姿勢として、「スローインはどうでもいい場面だから、スローインの時間を利用して、リプレーや監督の表情やサポの様子に画面を切り替えよう」くらいに思っているのだろう。サッカーの本質を取り違えた、お粗末な放送姿勢だと言わざるをえない。そんなわけで、すべてのスローインの成否を確認できたわけではない。統計によれば、この仙台戦で清水には26回のスローイン機会があったとされているが、そのうち所長がどうにかチェックできたのは20回だけだった。なお、今回、スローインの成否を評価するにあたって、基準としたのは、スローインを投げてから2~3プレー後くらいに、清水がきちんとボールを保持できていたか?という点である。昨日書いたように、確かにファーストタッチは清水の選手がしたけれど、相手に密着マークされていてすぐに奪われました、なんていうのは、失敗としてカウントする。

 結論を言えば、この基準を当てはめると、仙台戦での清水のスローインは、9回が成功、11回が失敗だった(「お前のさじ加減だろ」というツッコミが聞こえてきそうだが。笑)。つまり、半分以上のスローイン機会で、すぐに相手ボールになってしまっていたということである。こんなことをしていて、ポゼションが高まるはずはない。

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 こちらのウェブサイトには、清水の試合の様々なデータが出ていて、その中に「スローインの成功率」という指標もある。これによれば、仙台戦における清水の「スローインの成功率」は、84.6%だったという。全部で26本スローインがあったらしいから、そのうち22回、「成功」したとカウントされているのだろう。一見すると、悪くなさそうな印象を抱いてしまう。

 しかし、所長はこの「スローインの成功率」という指標に、重大な疑念を持っている。たぶん、投げたボールを、最初に味方が触ったら、「成功」とカウントされているのではないだろうか? しかし、それは我々が試合を観て覚えている感覚とは、だいぶ異なる。仙台戦でもそうだったように、今の清水は基本的にスローインをFW(大抵の場合はクリスラン)に当てるというやり方をとっている。しかし、ほぼそのパターンしかないので、クリスランは常に敵に密着マークをされており、それでもそこをめがけて投げている。確かに、ボールにファーストタッチをするのはクリスランかもしれないが、最初から厳しく相手につかれているので、狭いエリアで厳しい体勢で受けることになり、ボールを収めて味方に繋ぐことはなかなかできず、すぐに奪われることが多い。上記の「スローインの成功率」なる指標は、そのようにあっさりと敵に奪われてしまったものも含めて、1回味方が触ったというだけで、「成功」としているのではないか? だとしたら、根本的に無意味な統計である。

 不思議なことに、清水というクラブは、メンバーや監督や戦術やシステムが変わっても、「スローインが下手」ということだけは終始一貫している。実にありがたくない伝統である。ヨンソン監督に代わってサッカーが全体的に改善されつつあっても、スローインに無駄に時間をかけすぎ、その結果密着マークされているFWに無理に投げて簡単にボールを失うという問題は、手つかずのままとなっている。考えてみれば、これはものすごく重大な問題である。相手ボールのスローインはだいたい相手が収めるのに、マイボールのスローインはだいたい相手に奪われているわけで、これではサッカーのルールが一方的に清水に不利に書き換えられているに等しい。今シーズン、今のところ結果は出ているが、ボール支配率は一向に高まっておらず、マイボールのスローインを確実に保持できていないこともその一因ではないだろうか。これでは自分で自分の首を締めるようなものだ。スローインは、心がけとチームの共通理解さえあれば簡単に改善できるはずである。中断期間中に、ぜひとも取り組んでほしいことの一つである。

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 結局、仙台戦でも交代カードを1枚余らせた。ここまでのリーグ戦4試合すべてで、ヨンソン監督は交代カードを使い切らずに終わっている。最初は、「そういう傾向の監督なのかな?」「先発イレブンで上手く行ってるから、代える必要がないのかな?」などと思っていた。しかし、仙台戦後半のあの苦しい試合展開、1点がほしい状況でも、1枚余らすということは、「そもそも、切るカードがないということなのだろうな」と、考え直した。

 ここまでのところ、後半の途中で北川からテセに代えるというのが、定番になっている。しかし、正直言って、その交代が奏功している印象はない。たぶん北川は、今シーズンは自分が中心になって点をとりまくるイメージを抱いていたと思うのだが、今のところ主役はクリスで、自分は前線からの守備に走り回って、疲れたところでテセに交代。ここまで1得点こそ挙げているものの、どうも本人は不完全燃焼の表情をしている。そして、交代出場するテセも、空回りしている印象が強く、仙台戦では明らかにブレーキにしかなってなかった。悪くない(というか望外な)リーグ戦開幕4試合だったが、個人的には、テセと北川がモヤモヤを抱えながらプレーしているように見えるのが、気がかりである。

 それで、仙台戦でも、テセを出すところまでは規定路線で、アクセントをつけられる楠神も投入したが、そこから先に切るカードがない。むろん、この日ベンチに控えていた滝も前途有望なアタッカーだが、滝にしても大悟にしても、リーグ戦の即戦力というにはまだ少々厳しい存在であろう。白崎の復帰を含め、もう少し攻撃陣の層が厚くならないと、交代カードを余らす試合が続いてしまうかもしれない。

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 仙台戦の後半、立て続けに相手のコーナーキックを受けた時間帯、あれは辛かった。CKを直接決められたわけではないものの、連続CKで押し込まれた流れの中で失点してしまった。その意味では、ルヴァンの甲府戦に続いて、CKの流れから痛い失点を喫したわけである。

 仙台戦では、相手のCKが10本、うちが3本。本数の差もさることながら、清水の場合、敵のCKをひとまず弾き返しても、そこから味方に繋いだりできず、またCKになってしまったりして、ずっとゴール前で守る時間帯が続いてしまうことが問題である。逆に、自分たちのCKはミスキック等で単発に終わり、さらには相手のカウンターを浴びたシーンも仙台戦ではあった。このあたり、前政権からの課題が、まだ解消されていない。

 そもそも、清水はCK守備が決して得意ではないのに、簡単に敵にCKを与えすぎである。今季開幕以降、ルヴァンも含め、自分たちよりも相手の方がCKの本数が多い試合が目立っている。整理すれば、以下のとおりである。

清水4:鹿島8
清水3:神戸6
清水5:磐田3
清水3:札幌3
清水3:甲府6
清水3:仙台10

 という具合に、磐田には上回り、札幌とは同数だった以外は、敵に倍の数のCKを与える試合が続いているのだ。これではどうしても失点の確率が高まる。CKに逃げればいいやじゃなく、そもそもなるべくCKを与えないような守備、それを心掛けてほしいのである。

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 開始9分のラッキーパンチ1発だけでは、辛いわな。いや、あんな素晴らしいゴールをラッキーパンチなんて呼んでは失礼かもしれないけど、滅多に決まるプレーではないし、本人も「ラッキーな」とコメントしてるくらいだからね。それ以降、やはり金子だったか、ペナ内で合わせそこなったチャンスがあったけど、決定機と呼べるのはそのくらいで、時間が経つにつれ劣勢になっていった試合だった。1:1のドローに終わったとはいえ、互角だったという感覚はまったくなく、むしろ勝ち点1でもとれてよかったというのが、偽らざる心境である。

 それもこれも、ヨンソン清水が、今のところまだ「繋ぎ」の部分で未完成だからだろう。仙台は自分たちのやり方が成熟したチームなので、ボールの運び方や相手守備の崩し方などが確立されている(ただ、それだけに、ちょっと、まだるっこしい感じのサッカーであることも事実だが)。それに対し、今の清水はそのあたりがまだ手探りで、スムーズさを欠いている。そういった「繋ぎ」の部分で、仙台に質の差を見せ付けられたというのが、この試合の総評である。

 しばらく試合がなく、ネタを小出しにしたいので、今日のところは以上。

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3setsu

 前節の札幌戦終了の時点で、所長はまだ他の会場の結果をチェックしてなかったから、「ひょっとして、首位!?」と色めき立ってしまった。実際には、第3節終了時点で、3位となっている。上表のように、開幕前の評論家の先生方の順位予想と照らし合わせると、なかなか楽しいことになっている。

 もちろん、たった3試合で上位につけているくらいで、浮かれてはいけないことは承知しているが、これまでのところ清水は内容を伴った上で根拠のある勝ち点を積み上げているから、今後に向けて希望が持てる状況であることは間違いない。

 つい数ヵ月前までは、地べたに這いつくばって、勝ち点1を落穂広いするようなサッカーしかできなかった我が軍が、大型補強をしたわけでもないのに、急にたくましく見えるようになった。

 実のところ、所長は困っているのである。何に困っているかと言うと、他のチームの試合を観る時に、どのようなスタンスでいたらいいのか? 昨シーズンまでなら、「残留ライバル、負けてくれ」という目線で観ていた。でも、もしかしたら、その気になって、いいの? 残留のことは気にせずに、「清水のライバルである上位チーム、負けろ」という目線で観て、いいの? 頼む、信じさせてくれ。「俺たちのライバルは、上位だ」って。

 そのための第一歩が、本日の仙台戦だ。ルヴァン甲府戦の悪いイメージを払拭してほしいし、リーグ戦のホームで勝ってこそ、本当の意味でヨンソン清水の躍進に期待が持てる。

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 ルヴァンカップの磐田戦で途中出場したのに続いて、今回の甲府戦では先発デビューを飾った高橋大悟。磐田戦で若手枠として出た左SB伊藤研太が怪我をしてしまったそうなので、伊藤以外に若手枠で誰を起用するかということになり、それで大悟に白羽の矢が立ったのだろう。

 結論から言うと、今回の甲府戦で大悟が爪痕を残せたわけではない。たぶんシュートはゼロであり、決定的なパスに成功した場面も思い出せない。

 まあ、半分は本人の問題というよりも、この試合で清水がまったく前線にボールを運べず、特に前半などは大悟がほとんどボールに触れなかったことが問題だった。ただ、2トップの一角として前で待つだけでなく、降りてきてボールを引き出したり、金子みたいに前線からのチェイスで守備のリズムを作ったりと、何か工夫をすればいいのになと感じたのは事実である。

 後半になると、おそらく監督からの指示があったのだろうと思うが、トップ下的な位置をとったり、相手の間に入って受けようとしたり、コンビネーションでスペースに飛び出そうとしたりと、だいぶ動きが変わった。途中で右サイドハーフに入ってからも悪くはなく、決定的な仕事はできなかったものの、それなりにチームのアクセントにはなっていた。プロの試合で初めて90分フル出場したわりには、最後まで足も動いており、またサイドハーフでは最終ラインまで戻って守備をする献身性も見せていた。

 本来の能力が高いという前提で、100点満点の55点くらいだったと評価させていただく。

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 ルヴァンでの清水と甲府のメンバーの年俸総額を比較したら、たぶん、うちの方が2~3倍くらい高かったのではないか。確かに、新監督の下での非主力組ゆえに、連携の部分がまだまだといった事情はあったにせよ、個々の選手のクオリティや経験値だけでも優位に立てるような、そんな試合を期待していた。その期待は裏切られたと言わざるをえない。

 テセの現状のプレー振りは、ヨンソン監督がクリスランをファーストチョイスにしているのももっともだと思わせるものとなっている。本人の「焦り」もあるのかもしれないが、なるほど、今のところ、ポストも裏抜けも、クリスランの方が上だ。兵働は、見ている側からすると、オレンジのユニを着てることに、まだだいぶ違和感を感じた。慣れない左SB起用だったので、多くを求めるのは酷だが、普段の清水がどれだけ松原の突破力に頼っているかを、逆に印象付けるような結果となった。甲府戦で、個人的に気になったのは楠神の動きであり、彼は俊敏系のプレーヤーのはずなのに、ボールに反応する時のアジリティは低く、常に一歩遅れているような印象を受けた。単にまだ本調子でないということならいいのだが。残念と言えば、やはり村田のプレー振りであり、あの低い守備力で、突破力も陰を潜めるとなると、今後の使い方が限定されざるをえない。実績のあるボランチ2枚も、甲府戦のパフォーマンスは褒められたものではなく、増田がハーフタイムで退いたのはおそらく監督からの駄目出しだろう。航平のクロスも精度を欠いたし、そもそも失点に繋がったコーナーキック、あれを航平がスローイン等に逃れられず、安直にコーナーを与えてしまったことに、所長は不満である。角田と二見のセンターバック2人も、「レギュラー2人が怪我でもしない限り、リーグ戦の出番は回ってこないだろうな」と思わざるをえないものだった。

 そんな、中堅・ベテラン総崩れの中で、唯一気を吐いていたのが、GK西部である。確かに、六反はものすごい反応やセーブを見せることもあるが、基本に忠実な安定感のあるプレーという意味では、実は西部の方が上ではないかと、個人的には思っている。また、スカパー!の放送が酷すぎるせいで、すべてのプレーをチェックできたわけではないが、少なくとも後半に西部は、ゴールキックやパントキックを大きく蹴るのではなく、スローで近くの味方にパスすることを心がけていた。ヨンソン監督はおそらく、今後ロングキックよりも、ディフェンスラインから丁寧に繋ぐ方向にシフトしていくと所長は予想しているのだが、仮にそうなった場合には、六反よりも西部が重用される可能性もあるのではないかと想像している。

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 いや~、ベストメンバーではなかったとはいえ、それは先方も同じだし、内容からしても完敗で、この負けはショックだなあ。

 今シーズン、良い感じで得点を重ねてはいたけれど、基本的にはクリスランへのロングボールと、前からプレッシャーをかけてのショートカウンターだけだった。言い換えれば、自陣からのビルドアップで相手ゴールに迫るようなことは、実はできていたわけではなく、増してやトップチームからメンバーを落としたカップ戦では、それが如実に表れたといったところか。

 ただ、所長の印象としては、この甲府戦での清水は、クリスランがいないのでいつものロングボールをトップに当てる戦法をとらず、ディフェンスラインから繋ごうとして、それが上手く行かず相手ゴールが遠くなってしまったたように感じたのだが、試合後のヨンソン監督のコメントを読むと、前半「ただ蹴ってしまっていた」と苦言を呈しており、そこで修正を入れて後半繋ぐようになったから少しは改善された、というようなことを言っている。どう理解していいのか、正直良く分からない。

 良く分からない原因の一つは、スカパー!(というか、どこが制作しているのか知らないが)の放送の酷さにある。プレーが切れるたびに、大したことのないシーンでもスローでリプレーしたり、観客席で飛び跳ねてるサポや監督の表情に画面を切り替えたりするので、そのたびにピッチ上のライブ映像が遮断され、たとえば西部がどういう風にゴールキックを蹴っていたかということが、観ていて分からないのである。頼むから、余計なことをせずに、ピッチ上の出来事を普通に流し続けてほしい。

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