エスパルス研究所

清水エスパルスの躍進と新スタジアム建設に向けた考察

 3月頃から、研ナオコの「かもめはかもめ」の替え歌が、脳内でエンドレス再生されている。清水は清水 鹿島や浦和 ましてバルサにはなれない。。。まあ、別にウマくもなんともないが、とにかくそんな沈鬱した気分だ。

 当S研では、今季の目標として、J1リーグ優勝ということを掲げた。影響力など何もない一ブログとはいえ、今季開幕するに当たってクラブやサポ全体が浮ついた雰囲気だった、たとえわずかでもその一部をなしてしまったことに、今は罪悪感で一杯である。現時点で振り返れば、昨シーズンの「躍進」(8位にすぎないのだが…)すら、落とし穴に向かう壮大な「フリ」だったのではないかという気がしてくる。

 しかし、清水サポは、夢見ちゃいけないのだろうか。昨シーズン1桁順位を達成したのだから、今シーズンはそれを上回る上位進出をと、その気になってはいけないのだろうか。

 ドウグラスと北川のJ最強2トップが今年を猛威を振るう。北川の代表入りで、本人はもちろん若手全員の目の色が変わる。東京五輪やその先も見据える立田は急成長。ソッコの守備は今年も健在。穴だった右SBにJ最強タレントを獲得し、サイド攻撃力が倍増。強度や選手層に不安のあったボランチおよびCBは、ピンポイント補強で弱点解消。さあ、今年は大躍進だ。そんな風に期待した自分が、愚かだったのだろうか?

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 途中までは、そんなに悪い試合ではなかったと、思いたい気持ちもある。失点場面に関しては、相手が上だったと、そんな気がするのも事実である。このチーム状態で、アウェーで上位相手なら、ある程度仕方がないかなといったことも言いたくなる。むしろ復調の兆しが見えたのではないか、と。

 しかし、2分け4敗、6試合勝ちなし、その現実に変わりない。6試合のうち3回先制したが、その結果が1分け2敗(←サッカーにおいては、ほぼありえない現象と言っていい)。ここまでの6試合のスコアを合計すると、前半は4:5である程度競っているが、後半は4:11という惨状。すべての試合で、後半に失点している。

 なお、こちらのページに見るとおり、統計的に見ると、Jリーグでは先制したチームの勝率が7割近くである。それを一つも勝利に持って行けていないのが、今季の清水なのである。

 言い訳はできない。それが結論。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 もしこの世に、「人を落胆させる」という仕事があるとしたら、こいつらはプロ中のプロだな。NHKの「プロフェッショナル」で取り上げるべきレベルだ。冷たい風にさらされながら、そんな思いが頭を巡った。

 それにしても、今季の我が軍の一貫した特徴として、「90分の中で、試合が進めば進むほど、どんどん酷くなっていく」という点がある。必然的に、後半にボロボロになるという現象が起きる。今回の湘南戦だって、出だしは清水の方が押しているかのような雰囲気があった。湘南は、おそらく意図的に、前半は前から行かないという作戦を立てていたと思われ、最初の方は押し込むことができた。しかし、一本のスルーパスを通され、それをどうにかコーナーに逃れたものの、トリックプレーにまんまと引っかかって敵に先制を許したところから、一気に歯車が狂う。「どんな試合でも1得点はできる」という今季の清水の法則が働き、いったんは同点に追いついたが、その直後に致命的ミスが出て、ほぼ試合の流れが決した。

 個人的に、後半はひどく白けた気分で観ていた。清水のシュートシーンもあったが、あの試合の流れで、清水が同点・逆転できるとは、とてもイメージできなかったからである。実際、湘南側としては、望外の3点目もとれ、非常に楽に逃げ切ったという感想だっただろう。湘南は、リードしてからは、逆にフォアチェックを強化し、清水に思うようにボールを運ばせない。しかも、こんな時に限って強い逆風であり、六反のキックはせいぜいハーフラインくらいまでしか届かず、困った時のロングボール戦法も不発だった。

 全体として、湘南の試合運びは見事だったが、かと言って、1つ歯車が狂っただけで、そこから連鎖的にチームが崩れ、まったく無抵抗で敗れるというのは、大問題である。指揮官にも、選手にも、適応・修正する能力がないと言わざるをえない。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 以前、当S研では、今季清水が序盤戦でつまづいたのは、「5位仕様」への転換に苦労しているからだというようなことを書いた。もっと具体的に言えば、昨シーズンまでのようなリアクションサッカーから、自分たちで主導権をもってボールを握るようなスタイルへの変革だろう。その一環として、昨シーズンまでだったら、自陣で危ない場面があったら、清水のプレーヤーたちはとにかく力いっぱいボールを遠くに蹴っ飛ばしていた。「イレブン総蹴っ飛ばし小僧化」と言おうか、自陣で押し込まれた状態の時に、そこから繋いで自分たちの攻めに転じようなどということは、誰も考えていなかった。

 しかし、今シーズンは、自陣の深いところからでも、クリア一辺倒ではなく、なるべく繋ごうという姿勢が見える。たとえば、神戸戦の失点場面がそうだ。ペナ内でこぼれ球を拾った立田は、昨年だったらクリアしそうな状況だったが、そこから自分で持ち出そうとし、それをイニエスタに奪われた。そして、イニエスタの折り返しがソッコの足に当たり、それをポドルスキに決められてしまったわけだが、ソッコも大きくクリアするのではなく、とっさに味方に渡そうとしたように、所長には見えた。まあ、一瞬の出来事だったので、「味方へのパス」というのがどれだけ自覚的だったかは分からないが、昨年までのような「危ない場面ではとにかく大きく蹴る」という意識だったら、あの場面ももっとはっきりしたプレーになり、結果的に失点は免れたかもしれないと思うのである。

 所長自身、今季の清水には上位(もっと言えば優勝)を狙ってほしいとの思いから、昨年までのようなクリア一辺倒の守備では駄目だと考えていた。当然、そうしたスタイルの転換に当たっては、産みの苦しみがあるだろうと、覚悟もしているつもりだった。この変革を押し通すべきかどうか、個人的に確信を持てなくなっているのは事実だが、新しいことに挑戦しようとしているからこそミスも生じているのだということは、理解すべきだろう。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 こちらに、長崎の高田社長の対談が出ていて、結構エスパルスの話が出てくるので、シェアさせていただく。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 当S研では、エスパルスの新スタジアム建設ということを、旗印に掲げている。しかし、困ったことに、こういう問題について、なるべく白けた態度をとった方が、冷静で大人らしい振る舞いだと考えている人もいる。そういう人が言いがちなこととして、「一部のファンが楽しむだけのスタジアムより、病院の建設の方が大事だ」といったセリフがある。

 一見もっともらしい言い分だが、ちょっと一面的すぎると思う。まあ、確かに、市民が病気になった時に、世話になる病院は必要である。しかし、市民がそもそも病気にかかりにくくなるとしたら、もっと素晴らしいことだ。大袈裟なようだが、サッカースタジアムは、健康に効くのである。

 スポーツ観戦は、健康寿命の増進に効く。そうした情報は、ネット検索すれば、山のようにヒットする。考えてみてほしい。スタジアムが山奥にあり、しかもスペックが低く、観戦の快適性が低い。その結果、市民の足がスタジアムから遠のき、その分、市民の活動が低下する。それに対し、アクセスが良好な場所にアメニティの高いスタジアムができれば、隔週ではあっても、定期的にスタジアムに足を運ぶ市民は増えるだろう。そうした習慣が、生活に張りを与えて、様々な波及効果をもたらし、市民の健康と社会の活発性が増進される。その結果、病院にかかる患者が減少する効果だって、間接的にではあれ、期待できるはずだ。

 もちろん、こうした効果を数値化したりするのは困難だ。しかし、いずれにしても、「市民の健康のためには、病院こそが最優先。新スタなどは贅沢」という貧困な発想には陥りたくないものである。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 何度も申し上げていることだが、サッカーと政治を絡めて語るのを嫌がる人もいるけれど、ホームタウンのあり方、ひいては新スタジアムの行方が、政治によって大きく左右される以上、サッカーという観点からも政治に無関心ではいられない。我々が新スタジアムを待ち望んでいる以上、市民としての権利意識をもって、政治というものを大いに利用すべきだ。

 さて、残念ながら、田辺現市長は時々リップサービス的にエスパルスを持ち上げてみせたりはするものの、彼のプライオリティの中では、エスパルスの新スタジアムの建設というのは、だいぶ低い順位なのだろう。彼が執心しているものとして、有名なのは、駿府城の天守の復元というプロジェクトがある。

 駿府城の天守閣を復元する、その価値を否定するつもりはない。でも、清水サポ諸君、こうは思わないか? 現代において、地域のシンボルとなり、その威容を全国に発信できるのは、サッカースタジアムではないのか。言ってみれば、サッカースタジアムは、現代の天守閣のようなものだと、そんな風には考えられないだろうか? 過去の天守閣を復元することも、まあそれなりに重要かもしれないが、一番大事なのは、これから我々がこの街をどうやって形作っていくかだろう。その象徴として、街の誇りとなるような現代の天守閣こと新スタジアムを建設することを、優先してもいいのではないか?

 市長選絡みでは、天野進吾氏が、次のようなメッセージを発信している。

 Jリーグのスタジアム要件を満たすには、新スタジアムを建設する以外にはありません。どうせ建てるのであれば、思い切ってACL基準をクリアするスタジアムを建てたいと考えてます。
 リーグ3位以内に入ってACL出場となっても、開催がECOPAだとサッカー「王国」としては不甲斐ないではありませんか。
 清水駅東口袖師ふ頭に、世界に誇れる3万人規模のスタジアムを建て、豪華客船をはじめ清水港に入るすべての船のランドマークとしてはどうでしょうか。

 ここで所長が言いたいのは、だから天野候補を支持しましょう、ということでは必ずしもない。それでも、天野氏が新スタの問題を争点にしてくれたということが重要なのだ。対抗馬の天野氏がこういうメッセージを発信すれば、田辺氏にしても新スタ問題についてまったく沈黙というわけにはいかないだろう。我々サポとしては、しっかりとした権利意識をもって、候補者同士の論戦を見守り、また新スタの問題が埋没しないように仕向けていくことだと思う。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 ヨンソン監督の就任以来、テセが随分と冷遇されているということは、皆さん感じていることだと思う。今般、読んだ記事の中で、次のようなくだりがあり、これはただごとではないと感じた。

 一昨年、チーム唯一の2桁得点を挙げた男も、昨季はFWドウグラスらに押され定位置を失った。アピールしたい気持ちが先行し、ヤン・ヨンソン監督(58)の求めるプレーを体現できずにどなられた日もあった。実績は群を抜くベテランが「ボールを受けるのが怖い」とさえ言った。

 「監督の求めるプレーを体現できずにどなられた」と言うが、具体的にどのようなことなのだろうか? 推測するしかないが、クリスランやドウグラスにできて、テセにできないこと、と考えてみると、「なるべく前線で張って、ポストプレーの的になるとともに、深みを作るような役割」だろうか。

 皆さん、イメージだけで「テセはポストプレーが上手い」と思っておられるかもしれないが、実はテセはポストがあまり上手くはないのではないかということは、当S研では何度も書いたことがある。たとえば、こちらの記事などだ。その代わり、テセには味方が押し込まれた時に自陣に戻って、場合によってはゴールライン付近まで戻って守備をする献身性がある。ただ、そういう風にFWが持ち場を離れることを嫌う監督もおり、たとえばかつてのゴトビ氏などは「ワントップは常に前線で待機」という考え方だった。ヨンソン監督にも、それに通じるような譲れないFW像があり、テセはそれに合わないということなのだろうか?

 しかし、神戸戦で明らかになったとおり、若手の滝などは途中出場等で「ラッキーボーイ」的な活躍は期待できても、先発させてチーム戦術の柱にするには、まだ線が細すぎる気がする。いくら監督とテセでFW像が合わない部分があるにせよ、FWとして違いを作れる存在が誰かと言えば、明らかではないかという気がするのだが。

 もう一つ、テセが一般的なイメージと違っているのは、彼は実はとても繊細なメンタルの持ち主であるということだ。見かけのように、豪放磊落というわけじゃない。監督のビジョンを押し付けるだけじゃなく、ある程度本人のイメージ通りにプレーさせた方が、結果が出ると思うんだけどね。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 アウェー神戸戦は1:1ドロー。清水の守備は、過去3試合が嘘のように安定し、暗闇の中で一筋の光が差したような試合になった。

 タレント豊富な神戸に対し、アウェーで引き分けなら、普通に考えれば悪くない。もしこれが、開幕戦だったら、万々歳だった。しかし、すでに第4節であり、借金をしょい込んだ状態であることを考えれば、あの前半の内容なら、できれば勝ち点3が欲しかった。第4節にして、「ようやくスタートラインに立った」といった感じだが、すでに失った時間とゲームが、あまりに重い。

 清水が神戸戦で崩れなかったのは、半分は自分たちの改善によるもので、残りの半分は神戸との相性の問題だった。当S研の事前の見立てのとおり、神戸は清水の弱点を突いてくるようなことはほとんどなく、「なんちゃってバルサ」に興じているだけだった。特に、清水は自分たちのビルドアップの際に前から圧力をかけられると、ほとんど繋げなくなるのだが、神戸は清水ボールになると、とっとと帰陣してくれるので、清水はディフェンスからボランチくらいまでにかけて、いつになく自由にボールを持ち運ぶことができた。逆に、神戸のビルドアップは、後方から悠長に繋ごうとするので、清水のハイプレス・ショートカウンター戦術がはまりやすかった。

 というわけで、そこそこ上手く行った神戸戦だったが、神戸相手だからこそという側面が強く、まだ信用はできない。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

 開幕前の所長のJ1順位予想(というか願望)では、首位(清水)と最下位(神戸)の対戦である。しかし、清水はルヴァンのダービー勝利で一つ安堵したとはいえ、守備再建の道のりは遠そうだ。神戸は、一番負けたくない相手なので、もっと状態の良い時に当たりたかったというのが本音である。

 一つだけ、希望的観測を言えば、神戸にはミシャ札幌のようないやらしさは、ないのではないか。前節の札幌は、清水の特徴や弱点を読み切り、システム的なミスマッチに付け込んで、執拗に痛いところを突いてきた。それに比べると、神戸はおそらく、そうした緻密な対戦相手のスカウティングやゲームプランというよりも、「スーパースターに気持ち良くプレーしてもらう」というのがチームコンセプトなのではないだろうか。まあ、現在のようなどん底の清水が、敵地で神戸を倒すイメージはなかなか沸かないが、付け入るわずかな隙があるとしたら、そのあたりにあるのかもしれない。

よかったらクリックお願いします
にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

↑このページのトップヘ